『陳述書』

Ａ

１	本人の性格
	私の次男である上段勇士は、昭和50年11月19日生まれ、自殺した当時は独身でした。他に兄弟は、長男のＹＯ、三男のＹＡがいます。　勇士は、真面目な性格で、信頼されていると感じると、期待にこたえようと精一杯努力するタイプでした。また、何事も仕上げは丁寧で立派であり、理科系の学習が心底から好きでした。
２	経歴
	勇士は、平成９年９月30日に東京都立大学工学部を中退した後、その年の10月27日に株式会社ネクスターに入社し、株式会社ニコンの熊谷製作所に派遣社員として派遣され、同工場で働いていました。　勇士は、都立大を中退した理由について、工学部で教える内容のレベルが低く、図書館に行っても文学の本が主流で、そこでの勉強に意味がないからだと言っていました。そこで、勇士は�無理して卒業しても意味がない。将来、アメリカに留学して勉強する�と言って、都立大の退学届を出し、都立大を四年生で退学しました。　そして、勇士は、就職雑誌を見て、ネクスターに就職しました。ネクスターを選んだのは、寮があることや、ボーナス、家族的な待遇があるということで選んだとのことでした。　ネクスターは人材を派遣する会社で、勇士はニコンの熊谷製作所に派遣されたので、それまで一緒に住んでいた自宅（※親子はずっと東京でした）から、会社借り上げの熊谷の寮に引っ越しをして、そこで一人暮しすることになりました。　勇士は、ネクスターに就職するまでは大変健康でしたし、筋肉トレーニングをすることが好きでしたので頑丈な体をしていました。
３	ニコン熊谷製作所での勤務開始（平成９年10月～12月）
	勇士は、ニコンの熊谷製作所では、工場から出荷される半導体を製造する機械の最終検査を行っていると聞いていました。　最初の２ヶ月間は通常勤務でした。　その頃は�目が疲れる�と言ってはいましたが、他には特に目立った様子はありませんでした。　当時の勇士の状態を、電話などの会話や様子を入れてお話し致します。　平成９年10月27日、勇士はこの日、ネクスター熊谷営業所に就職しました。　その日（月）に勇士から電話があり、�いかにも工場って感じの所だよ。ほぼ規則正しい時間で過ごせるから、ちゃんと自炊できるし、トレーニングも出来る。熊谷はやっぱ田舎って感じだね。周りに店ないしね。お寺のそばを通る、静かな所だ。人がほとんど歩いてない。みな車で移動する町だよ。でも寮は相部屋だけど広いよ。それぞれ１部屋使って、残りの部屋に２人の荷物置くんだよ。台所も使い易い。お金を貯めるにはもってこいな環境だね。頑張るぞ�と、こんなことを話して、それは張り切っていました。住環境に満足していることが伝わって、私もとても嬉しかったことを覚えています。　11月22日（土）は、勇士は、岩手県一関市にある岩手の実家（私の父母の住居）に一泊しました。11月11日に岩手の実家に引っ越した私の荷物整理等を手伝う為に、三連休の初日に岩手の実家に来たのです。送り出した時と何ら変わらず、元気にせっせと手伝ってくれました。目が少し充血していたのは気になりました。　12月３日（水）は勇士から電話があり、�ちょうど１ヶ月ぐらい経ったよ。この分だと貯金も貯めていけそうだし、３年後ぐらいにはアメリカに留学出来そうだよ�と明るい声でした。　この頃の勇士の話によると、�この検査は、最終検査なので集中力が必要であり、きちんと休めないと疲れがたまって来る�とのことでした。

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