参議院会議録情報 抜粋

平成16年3月9日(火曜日)の参議院ホームページ予算委員会の会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第159回国会 予算委員会 第6号
平成十六年三月九日(火曜日)

   午前九時開会
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   委員の異動
 二月九日
    辞任         補欠選任
     藤野 公孝君     有馬 朗人君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     柏村 武昭君     大島 慶久君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     山本 香苗君     遠山 清彦君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     遠山 清彦君     山本 香苗君
 三月四日
    辞任         補欠選任
     中川 義雄君     月原 茂皓君
 三月八日
    辞任         補欠選任
     大島 慶久君     矢野 哲朗君
     月原 茂皓君     中川 義雄君
     小川 敏夫君     福山 哲郎君
     内藤 正光君     郡司  彰君
     峰崎 直樹君     山本 孝史君
     高野 博師君     木庭健太郎君
     森本 晃司君     荒木 清寛君
     小泉 親司君     小池  晃君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         片山虎之助君
    理 事
                尾辻 秀久君
                小林  温君
                伊達 忠一君
                林  芳正君
                朝日 俊弘君
                高橋 千秋君
                山根 隆治君
                渡辺 孝男君
                大門実紀史君
    委 員
                愛知 治郎君
                有馬 朗人君
                扇  千景君
                木村  仁君
                岸  宏一君
                山東 昭子君
                清水嘉与子君
                田中 直紀君
                武見 敬三君
                段本 幸男君
                仲道 俊哉君
                保坂 三蔵君
                舛添 要一君
                森田 次夫君
                矢野 哲朗君
                山崎  力君
                小川 勝也君
                大塚 耕平君
                郡司  彰君
                榛葉賀津也君
                辻  泰弘君
                中島 章夫君
                樋口 俊一君
                平野 達男君
                福山 哲郎君
                山本 孝史君
                荒木 清寛君
                木庭健太郎君
                山本 香苗君
                紙  智子君
                小池  晃君
                林  紀子君
                福島 瑞穂君
                島袋 宗康君
   国務大臣
       内閣総理大臣   小泉純一郎君
       総務大臣     麻生 太郎君
       法務大臣     野沢 太三君
       外務大臣     川口 順子君
       財務大臣     谷垣 禎一君
       文部科学大臣   河村 建夫君
       厚生労働大臣   坂口  力君
       農林水産大臣   亀井 善之君
       経済産業大臣   中川 昭一君
       国土交通大臣   石原 伸晃君
       環境大臣     小池百合子君
       国務大臣(内閣官房長官)(内閣府特命担当大臣(男女共同参画))    福田 康夫君
       国務大臣(国家公安委員会委員長)
         (内閣府特命担当大臣(青少年育成及び少子化対策、食品安全))       小野 清子君
       国務大臣(防衛庁長官)  石破  茂君
       国務大臣(内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、個人情報保護、科学技術政策))  茂木 敏充君
       国務大臣(内閣府特命担当大臣(金融、経済財政政策))        竹中 平蔵君
       国務大臣(内閣府特命担当大臣(規制改革、産業再生機構))      金子 一義君
       国務大臣(内閣府特命担当大臣(防災))        井上 喜一君
   内閣官房副長官
       内閣官房副長官  山崎 正昭君
   副大臣
       内閣府副大臣   伊藤 達也君
       外務副大臣    阿部 正俊君
       財務副大臣    石井 啓一君
       厚生労働副大臣  谷畑  孝君
       厚生労働副大臣  森  英介君
       農林水産副大臣  市川 一朗君
       経済産業副大臣  坂本 剛二君
       環境副大臣    加藤 修一君
   大臣政務官
       内閣府大臣政務
       官        森元 恒雄君
       防衛庁長官政務
       官        中島 啓雄君
       法務大臣政務官  中野  清君
       外務大臣政務官  荒井 正吾君
       財務大臣政務官  山下 英利君
       文部科学大臣政務官       馳   浩君
       経済産業大臣政務官       江田 康幸君
       経済産業大臣政務官       菅  義偉君
       国土交通大臣政務官       鶴保 庸介君
       環境大臣政務官  砂田 圭佑君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  秋山  收君
   事務局側
       常任委員会専門 員        吉田 成宣君
   政府参考人
       国家公務員倫理審査会会長    花尻  尚君
       国家公務員倫理審査会事務局長  平野由美子君
       内閣府食品安全委員会事務局長  梅津 準士君
       警察庁生活安全局長       伊藤 哲朗君
       警察庁交通局長  人見 信男君
       警察庁警備局長  瀬川 勝久君
       防衛庁運用局長  西川 徹矢君
       防衛庁管理局長  大古 和雄君
       金融庁検査局長  佐藤 隆文君
       金融庁監督局長  五味 廣文君
       法務省民事局長  房村 精一君
       法務省刑事局長  樋渡 利秋君
       厚生労働省健康局長       田中 慶司君
       厚生労働省医薬食品局食品安全部長       遠藤  明君
       厚生労働省労働基準局勤労者生活部長      松井 一實君
       厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長    塩田 幸雄君
       厚生労働省年金局長       吉武 民樹君
       社会保険庁運営部長       薄井 康紀君
       農林水産大臣官房統計部長    山本  領君
       農林水産省消費・安全局長    中川  坦君
       農林水産省生産局長       白須 敏朗君
       国土交通省総合政策局長     澤井 英一君
       国土交通省道路局長       佐藤 信秋君
       国土交通省海事局長       鷲頭  誠君
       国土交通省政策統括官      矢部  哲君
       環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長    南川 秀樹君
       環境省自然環境局長       小野寺 浩君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)
○平成十六年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)


---〔中 略〕---


○小池晃君
 雇用問題についてお聞きをしたいと思うんです。(資料提示)

 これ、最近の求人の実態ですけれども、これを見ますと、昨年十二月の厚労省の調査では、求人全体のうち派遣が五%、請負が二八%もあると。これ、各地の職安の実態なんですけれども、大阪梅田の安定所では五割超えているわけです。それから、横浜職安の調査では、製造業の求人の六割以上が請負であります。

 請負というのはどういうものかというと、メーカーなどの製造ラインや営業を一括して労働者を送り込むわけですね。ある雑誌によれば、リコーの御殿場事業所では製造部門七百名のうち四百名が請負だと。富士ゼロックスの海老名事業所は生産ラインはすべて請負だと。NEC米沢工場では、生産要員百四十人のうち半数が請負だと。ソニーの生産子会社、ソニーイーエムシーエス、社員一万三千人とほぼ同数の請負社員が働いている。このように、日本の大手の電機や自動車などの工場は今や多くが業務請負。請負業界は急成長していて、規模は一万社、百万人と言われている。

 総理は、昨年十一月二十六日の経済財政諮問会議でこう言っているんですね。若者の雇用は足りなくなるはず、それなのになぜ失業率が高いのか、やる気がないのか、能力がないのか、両方あるかもしれないけれどもと、こう言っている。しかし、求人の実態というのは今正に三割、四割は非正規雇用なんですよ。こういう実態があるわけです。条件が合わずに仕事に就けないという若者が出るのも、私、不思議はない。それでも総理は、これは若者のやる気や能力の問題だというふうにおっしゃるんですか。総理。


○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 やる気のない面も能力のない面もあるでしょう。だからこそミスマッチ。この求人があるんだけれどもその就職の糸口が見付からない人に研修なり訓練が必要だと言っているわけであります。まずやる気を起こしてもらわなきゃいかぬと。そして、新しい求人に自分の能力が合わないんだったら、その能力を身に付けるために研修なり訓練が大事だと、そういう点を今、厚労省も真剣に考えて、若者の雇用、自立に対して積極的な今対策を練っているところであります。


○小池晃君
 全く実態御存じない。本当にとんでもない今の発言だと思いますよ。派遣や請負の労働者の実態どうなっているか。どこで働かされるのかも、どんな働き方するのも分からない。

 私が聞いた話では、若者は、四年間で八か所の職場転々したという若者に話聞きました。青森で働いていたのを、明日から佐賀へ行ってくれと言われたという話も聞きました。労働条件も劣悪であります。あるチラシでは、稼げます、月収二十万円以上となっているんですが、これ、小さい字で稼働二十一日、残業六十時間、休日出勤と。そして、社会保障の加入はこれ一割以下なんです、こういう請負、派遣。若い労働者を過酷な条件で働かせて、言わばピンはねをするようなやり方が日本じゅうでこれまかり通っている。そして、日本の名立たる大企業がこういう労働者を今製造業では多数使っているわけですよ。総務省の就業構造基本調査では、この五年間に正規雇用は約四百万人減っている。その一方で、派遣、契約、嘱託、パート、アルバイトが約三百七十万人増えていると。正に四百万人ぐらいの雇用が正規雇用から非正規雇用に置き換わっていると。

 総理、今こういう請負や派遣というのが日本の製造業の主流になってきている、求人の大半を占めている、これを異常なことだというふうに総理は思われませんか。私は、二十一世紀を担う日本の若者をこういう細切れのピンはねのようなやり方で働かせることが今や求人の主流になっている、私はこんなことを許してはいけないと、こんな労働の切り売りを絶対許してはいけない、そう考えますが、総理、いかがですか。


○内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 ピンはねとかそういうのはちょっと言い過ぎだと思いますけれども、労働条件の改善は今後よく心しなきゃいけないと思っております。また、正規社員が減って派遣社員が増えているというのも、これは一つの時代の変化の現われだと思います。一概に悪いとは言えませんが、労働条件の改善については今後十分配慮しなければならないと私は思っております。

 詳しいことは厚労大臣。


○国務大臣(坂口力君)
 その中で派遣と請負とはかなり違いますね。派遣は派遣業法としてきちっと位置付けたわけでありますから、派遣で、これはもう上限三年になっているわけでありますので、その三年を経過するような人たちは、それはもうそこで本採用にしてくださいよということになっているわけでありますから、一つのそれは道筋の人もあるわけなんです。

 で、請負の方は、これは一つの企業としてそこで、そこに働いているわけでありますから、その現場でその人たちが本当にその企業の社長なり上司から命令を受けて仕事をするということでなければならない。もしも仮にそこ、その人たちが派遣業のようにその行き先の工場のそこの工場長だとかそういう人たちの命令を受けてやっているということになれば、これは疑似派遣でありまして、本当の請負ではないということでありますから、そこは明確に区別をしていかなければいけないと。私たちもそこは取り締まっていかなければならないと思っております。


○小池晃君
 自然に増えてきたんじゃないんです。この間、法改正を繰り返して規制緩和をどんどんどんどん進めてきて、そしてこういう非正規雇用を大きな流れに政府が作ってきたんですよ。それがこういう結果になっている。そして、契約が終われば正規に雇用されるなんてとんでもない話だ。そんなの本当にごく一握りの人で、ほとんどの人は使い捨てになっているんですよ。それが実態なんです。

 こういう労働を日本の若者の中にはびこらせていいのかと。私、これ、二十一世紀の日本の根本問題だと。しかも、今いろいろおっしゃいましたけれども、今主流になりつつある業務請負について監督責任持っている大臣いますか。いたら手を挙げてください。これ、いないんですよ。これね、この業務請負というのは、どこも監督官庁ないんです、法律もないんです。間違いないですね。こういう実態なんですよ。これが今の実態なんです。日本の若者がこれだけ主流になっている働き場所をだれも大臣が監督責任持っていないという実態あるわけです。こんなに激増している中で監督官庁もない、規制する法律もない、労働条件の過酷さから過労死事件まで起きている、職業能力を高めることもできない。私は、こんなことしていたら本当に日本の経済にとってだってこれはマイナスになると、日本の社会の基盤を本当に揺るがすことだと。

 総理、お聞きします。監督大臣いませんから総理に答えていただくしかないんです。こういう問題について、全く野放しになっている、監督官庁もない、規制する法律もない、こんなことで総理、いいと思いますか。いかがですか。総理に答えていただきたい。総理。監督大臣じゃないんだから、総理に答えていただきたい。


○国務大臣(坂口力君)
 請負というのは一つの企業でありますから、企業であります限りそこで人を雇っておれば、それは労働基準法の適用になりますし、それは法律もすべてかかってきますよ。だから、そういう法律を守っていただくということでありまして、そういう意味では厚生労働省関係するわけですね。ですから、その皆さん方が企業の、他の企業の中で働いているときに、そこの企業のいわゆる工場長なりなんなりの指揮命令下に入っているということになれば、それは問題だということを申し上げているわけでありまして、自主的におやりをいただいている以上、それは一つの労働形態でありますから、私はそれはいいんではないかと思います。


○小池晃君
 ちょっと大臣、総理、答えてくださいよ。監督官庁じゃない。総理、総理、答えてくださいよ。
 私言ったように、今答えたけれども、監督官庁じゃないんですよ。これは、請負業というのは業として規制する法律もないんです。こういう実態でいいんですかと。一般的な労働者というのじゃなくて、これだけ百万人の労働者が働いている業界が全く何の規制もない、野放しになっている、これが実態なんです。そのことについてどうなのかと一点お聞きしているんです。


○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 これは監督官庁とかどうかということについては今答弁は差し控えますが、この派遣社員の問題についてはもっと規制を緩和してくれという声も強いんです。共産党は規制緩和、これに対して非常に抵抗が強いようですが、一年ではなくて今回三年に延ばしたでしょう。あるいは、派遣社員の規制を改革することによって更に雇用が増えるということもあります。だから、今後、今言った問題についてはそれぞれ厚労省あるいは他の官庁等、今の意見を踏まえてどういう対応が必要かということについては検討していくべきじゃないかなと思っております。


○委員長(片山虎之助君)
 小池君、ちょっと、時間来ているから簡単に。


○小池晃君
 EUではその派遣に対する指令案が提案されています。派遣先労働者との均等待遇原則が明記されている。一方では、日本ではこういう労働者に対する規制は本当にルールがないんです。これは日本社会の二十一世紀にとって非常に重大な問題だということを申し上げて、私、質問を終わります。


---<以下省略>---