『陳述書』



  G
 
13

陳述書について

   私は、YO(長男)が就職してから、外部からの電話での近況はメモして夜など兄弟に知らせて、盛り上がったりしました。そのメモ帳は、3人のうち2人あるいは1人にしか、知らせない事項などあるため処分の必要もあり、そもそも、メモですから保存しておくようなものでもなく、年度末には処分していました。
 勇士が就職した年は、全員がばらばらになっていましたから、電話の話をメモしました。いつもの年度末に処理の前に、勇士の自殺があったので、メモ帳は、しばらくは取っておきました。
 そして、証拠保全で就業週報が手に入った時に、YA(三男)と二人で、就業週報の関係日時の所に、電話のあったことを書き写す作業を、岩手の実家でしました。ですから、電話の日時などは、それに記されている日です。そして、その後、いつもの年通り、メモ帳は処分しています。
 私は、それらを基に、YOとYAとさらに詳しく話したり、思い出したりして、この陳述書を作成しました。
 今は3人ともメールのやりとりなので、もうメモの必要はなくなりましたので今年も去年も、メモは作りませんでした。

14

最後に

   勇士が、変則的な昼夜二交替労働によって、疲れをためていったことは、電話での話の内容や、家に帰ってきたときの勇士の様子を見ても明らかでした。勇士が自殺したのは、ニコンでの非人間的な勤務が原因であると確信しています。勇士とは良く電話で話していましたが、仕事の他には、勇士が自殺するような原因は全く思い当たりません。
 ニコンやネクスターが、勇士の勤務について、何ら健康についての配慮をしていないことは、その働かせ方からも明らかだと思います。勇士が退職を申し出たときも、ニコンもネクスターも真剣に取り合ってくれませんでした。無断欠勤した時にも放ったらかしであり、何の対処もしていません。このような無責任な行為が許されていいものなのでしょうか。この時、きちんと対処してもらえれば勇士が自殺することもなかったと思うと悔しくてなりません。
 しかも、当初、ネクスターに勇士の仕事の様子について聞きましたが、本当に何一つニコンでのことを知りませんでした。遺族より知らないことに唖然としました。
 勇士が身分の保障を託して選んだネクスターは、ただの『口利き商売』の状態と知った時には、大変な衝撃でした。
 平成の時代にこのようなシステムが出来ていたことを知りませんでした。重労働を負わされ、避けられない一因となっていることも、生前の勇士の言葉からはっきり伝わりました。ネクスターを誉めて就職していく息子を、私も喜んで送り出してしまいました。このシステムを知らずに就職させてしまったことも、今となっては限りない無念の気持ちとして消えることがありません。他の人には、このような目にあって欲しくありません。


<<前のページへ