第171回国会 予算委員会 第2号
平成二十一年一月十九日(月曜日)
午前八時四十六分開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十年度一般会計補正予算(第2号)(内
閣提出、衆議院送付)
○平成二十年度特別会計補正予算(特第2号)(
内閣提出、衆議院送付)
○平成二十年度政府関係機関補正予算(機第2号
)(内閣提出、衆議院送付)
・・・【中略】・・・
○委員長(溝手顕正君) 関連質疑を許します。坂本由紀子君。
○坂本由紀子君 自由民主党坂本由紀子でございます。
私は、まず雇用対策についてお伺いをいたします。
年末、いわゆる年越し派遣村について大きく報道されました。全国のハローワークでは、昨年末は例外的に二十九日、三十日も窓口を開け相談に乗るということが行われていたはずですし、あるいは職を失うと同時に住居を失った方たちに対しては、雇用促進住宅への入居等についても相談に乗るということを進めていてくれたはずであります。
しかしながら、必ずしもそういう政策がうまく機能していなかったからあのような報道になったということなんでしょうか。それとも、最近、週刊誌等の取材記事を拝見いたしますと、あの年越し派遣村にいた方たちの中で派遣切りの被害者は二一%にすぎなくて、日雇派遣や非派遣の失業者あるいはホームレスがかなりいたとするもの、あるいは派遣切りに遭った方よりもむしろホームレスの方の方が多かったというような報道もあったりいたします。
そもそも、失業して次の職を一刻も早く見付けたいということで活動している方々と、それからホームレスで生活している方とでは対策の中身は違うのではないかというふうに思うのでございます。
厚生労働省は、この年越し派遣村にいた方たちに対して、その後退去して様々な活動をしておられるのかもしれませんが、そういう方たちに対して具体的にどのような施策を講じたのでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) 派遣村におられた方々のうち都内四施設に移動された方々に対しましては、当該施設内にハローワークの出張相談窓口を開設いたしまして、仕事や住居、職と住まいですね、これを確保されるように、まず約四千件分の寮付き住み込み求人等を活用した職業紹介を行いました。さらに、雇用促進住宅への入居のあっせんも行いました。さらに、住宅入居初期費用等についての就職安定資金金融制度の相談などの就労支援も行っておりまして、実績といたしましても約三百人の入所者のうち百三十九人の求職登録が行われたところでございます。
○坂本由紀子君 今御答弁の中で、四千人分の寮や住み込みの求人を紹介されたということでございますので、希望の仕事はいろいろあって必ずしもその仕事、御希望の仕事に合うかどうかということは分かりませんが、そういうものを使って是非自立に向けてやっていただくことが大事だろうし、政府としてはそういう支援をしっかりこれからもやっていっていただきたいと思います。
・・・【中略】・・・
そもそもこの派遣労働というものがどういうものとしてこの日本の中に制度として成立し、また拡大していったのかという、この辺のこれまでの経緯について厚生労働大臣にお伺いをいたします。
○国務大臣(舛添要一君) 労働者派遣法の改正の経緯でございますけれども、これは経済産業構造の変化、それから働く人たちの価値観の多様化などによりまして企業と労働者の双方で多様な働き方を求めるようになっていることを踏まえて、労働者保護に欠けることのないように留意しつつ実施してきたところでございまして、まず平成十一年には適用対象業務を原則自由化し、平成十五年には、平成十一年改正法の附則により当分の間労働者派遣を行ってはならないとされた物の製造業務への労働者派遣の解禁を行いました。
これらの改正は厳しい雇用情勢の中で雇用の場の確保などの目的として行われたものであり、雇用の確保について一定の役割を果たしてきたものと思っております。
○坂本由紀子君 派遣法の改正の中では、今大臣がおっしゃった平成十一年と平成十五年の改正が大きなものでありました。その平成十一年の改正当時の雇用状況というのは一体どうだったのか、どういう問題があってその雇用創出が必要だということで改正をしたのか、あるいは平成十五年、製造業への派遣が解禁されましたが、一体どういう状況の中でそれが行われたのか、もう少し具体的に御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) これは国際的にも、委員御承知のようにILO条約の中で多様な働き方を求める。つまり、価値観が自由化しておりますから、いろんな形の働き方を求める、そしてそれをきちんと雇用として認めていくという大きな流れの中で原則自由化しようと。
テレビを御覧になっている方に分かりやすく申し上げますと、例えば同時通訳のような方々というのは、それは国際会議があるところに行くわけですから、それはもうそのたび派遣する。それで、同じ製造業であっても、例えばその人しか持っていない技術をそこにやる、現場でやると、これも場所を変わってもいいわけです。
しかしながら、そういうことについては分かりやすいんですが、十五年について言うと、これはやはり製造業においてもいろんなフレキシブルな、柔軟な働き方をしたいというニーズが片一方であるとともに、片一方では、これは経営の立場から見たら、雇用の調整という側面から、この急速な経済情勢の変化に伴って、経営サイドからも雇用調整の一つのシステムとして派遣というのを受け入れて、それが世界的な潮流でもあったということでございますので、十一年には附則で製造業には適用しないとしていたのを、十五年には世界の流れに適応さしたということで、私の記憶が正しければ、今まで約二百八十万人ぐらいの方々がこの派遣という形で職を得ておりますし、現在も四十六万人ぐらいの方々がこういう形態で仕事をしているということでございます。
○坂本由紀子君 もう少し具体的に御説明いただきたかったんですが。
平成十一年というのは、失業率が四%を超えて、当時、バブル崩壊後なかなか不況から脱し切れない中でついに失業率が四%を超えたということで大変だったんです。それまで日本というのは失業率が非常に低くて、そういう意味で皆さんが失業の危機を感じるというのは割合他国に比べると少なかった。だけれど、四%を超えて、これは大変だ、やっぱり思い切った対策を講じなければいけないのではないかということで、それまで労働者派遣については専門的業務などの二十六の業務に限定をしていた、そういう狭い業務で派遣を認めているだけではとても雇用の拡大ができない、もっと広く柔軟な働き方ができるようにこの業務を、一般的に禁止していて特定のものだけ許すのではなくて、むしろ問題が出る中間搾取だとか、そういう労働者の保護に問題のあるものはやってはいけないけれども、そうじゃないものについてはこの際いいことにしましょうということだったんじゃないかと思うのです。
あのときの改正については社民党も民主党も賛成だったんです、共産党だけは反対でしたが。そういう状況の中で、共産党を除いてすべての政党が賛成をして成ったと。製造業も原則自由化の中に入っていたんだけれど、附則の中で、数が非常に多いので、これはやはり心配なので当分の間はやめておこうということになっていたはずです。
ですから、そういう中で、派遣労働というのは、今影の面だけが強調されているけれども、失業率が非常に高くなった、あるいは平成十五年の改正のときには失業率が五・五%ですか、もう一番高かったときですよね。そして、なかなか求人が増えない。日本は比較的解雇について解雇しづらい判例の積み上げがなされていますので、事業主の方がなかなか求人を出さないというような問題があった。これではやっぱり雇用の問題は解決しないということで、様々な困難の中でどういう選択肢をすることが国民に雇用の場を提供し、あるいは雇用の安定を図るかということで行われてきたのであろうと思います。
・・・【中略】・・・
ただ単に製造業への派遣を禁止すればこの問題が片付くかといえば、そんな簡単な問題ではないと思います。製造業に従事している派遣労働者は一体今何万人いるでしょうか。そして、二〇〇九年問題というのが、この今回の景気後退に伴う雇用悪化の以前から心配をされておりました。この二〇〇九年問題というのは一体どういうことなのか、併せて大臣から御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 二〇〇九年の問題というのは、三年間を限度として派遣雇用を行うということで、それが三年の期限が来るということでございます。
派遣労働、私は今委員がおっしゃったことはよく分かりますけれども、基本は、常用雇用が基本である。私は、恒産なければ恒心なしということで、一貫して何とか常用雇用、これを基本とする、こういう働き方が基本であるということを申し上げた上で、しかしながら今四十六万人の方々がそういう雇用でおられるので、このこともまた考えないといけない。
したがって、これは労使含めてよく議論をしていただきたい。私が一人で勝手に決めるわけじゃありませんから、働いている方、経営者の方々、そして与野党の中でも様々な御意見がございますので、そういう意味で、今この問題についてよく議論をする時期に来ていると、そういうように思っております。
○坂本由紀子君 もちろん、雇用の安定というのは非常に大事ですから、だれでも安定した雇用に就けることが望ましいということは言うまでもないことであります。
今大臣がおっしゃった二〇〇九年問題というのは、制度が、製造業の分野も含めて、派遣労働は原則最長三年までしか認めないということになっているわけですから、景気後退がなくても、三年たった時点で派遣という形では認められないということになっているわけです。ここについては、じゃ、認められないことになっているから、その方たちが派遣という場を失って路頭に迷っていいかといえば決してそんなことはないはずです。一体この問題を政府としてはどう解決しようと思っていたのでしょうか。
○国務大臣(舛添要一君) それは様々な政策を、今次の補正予算、一次、二次、本予算でも組んでおりますけれども、要するに、この派遣労働者の方々に対して、基本的に、今の二〇〇九年問題はありますけれども、常用雇用化をどうして図るか。それはフリーターの問題にしてもそうでありますし、そういうことをきちんとやっていく、そして常用雇用をする経営者に対しては助成金を行う、その他様々な政策で常用雇用化を図っていき、そして雇用の安定を図っていくということを考えて、現実にそういう施策を実行しているわけでございます。
○坂本由紀子君 労働者派遣は臨時的、一時的な労働力需給調整の仕組みだというのは、これは法の解釈として考えておるところであります。
今大臣がおっしゃった二〇〇九年問題の解決のためには、具体的にこの補正予算にも対応策が盛り込まれているのではないかと思います。つまり、派遣労働者として派遣されている方を雇い入れた場合にはしっかりとした企業への助成をするというようなことも盛り込まれているのではないかと思うのですが、具体的にそういうところを説明していただいて、まだ仕事があってこれからも続けるという事業主にはしっかり常用雇用として雇っていただけるように、そういうことを大臣からもおっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) これは、関係団体にも経団連に対してもそういうことはきちんと申入れをしております。そして、この労働者派遣について、日雇派遣の問題など様々な問題ありますから、まずその日雇派遣の原則禁止などを含めた、これはもう委員御承知のように、今労働者派遣の改正案をこの国会に提出して、これをまず審議していただきたいというふうに思っております。
それから、派遣切りに対しては、これは先ほども申し上げましたように、どういうことを各団体に申し入れたか。これは、派遣元にも派遣先にも指針に基づいて、例えば簡単に首を切らないで就職先を関連企業であっせんしてくださいよというようなこと、それから、職を失ったら即住居も失うということがないように社宅をそのまま使わせてくださいよ、寮を使わせてくださいよ、そのときは月六万までの補助を、家賃補てんをいたしますよというようなことを行って、事業主に対して働きかけを行っているところでございます。
・・・<以下省略>・・・
|