衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第171回国会 本会議 第6号
平成二十一年二月二日(月曜日)

   午前十時一分開議
・・・【中略】・・・

○本日の会議に付した案件
 一、日程第一
 一、裁判官訴追委員予備員辞任の件
 一、裁判官訴追委員予備員等各種委員の選挙

・・・【中略】・・・

○議長(江田五月君) 福島みずほ君。
   〔福島みずほ君登壇、拍手〕
○福島みずほ君 私は、社民党を代表して、麻生総理に対して質問をします。
 今、一つの時代が終わり、新しい時代が始まろうとしています。世界を席巻し、日本も猛威を振るった人々を切り捨てる新自由主義に決別し、雇用と福祉を大事にする社会民主主義の出番です。政府・与党がつくろうとしていた社会が明確に間違っていたのです。厳しい現実を直視し、大きくかじを切らなければなりません。
 年越し派遣村に連日行きました。自殺を図って連れてこられた人、年末、首を切られ、寮を追い出され、公園のトイレで過ごしていた人、いろんな人が来ていました。貧困と派遣切りの厳しい現実に、政治がまさに変わらなければならないと痛切に思いました。
 それと同時に励まされました。一千七百人ものボランティアの存在、支え合い、連帯、共生、人ごとではない、命をお互い支え合うということに励まされました。政治の哲学は、支え合いや連帯、人ごとではないということであるべきです。
 社会の仕組みを変えるべきときがやってきました。小泉構造改革から社会保障を大切にする社会民主主義の社会へ、ぎすぎすした社会から温かい社会へ、人を切り捨てていく排除型社会から連帯、共生の社会へ、一握りの富める者が優遇される社会からみんなの社会へ。
 麻生総理、社会の仕組みを変えることがあなたにできますか。気持ちがあるのでしょうか。国民の今政治に対する希望はここ一点に集中しています。それがあなたにできないのであれば、潔く辞めるべきではないですか。
 雇用が破壊をされ、サラリーマンの給料は十年間下がり続け、一月三十日の政府の統計によっても、非正規雇用のリストラは十二万五千人となりました。正社員も含め雇用の破壊、医療の崩壊、地方の疲弊は目を覆わんばかりになっています。
 これは政治によって引き起こされた政治災害です。政治災害が人の命を奪っています。総理、政治の責任はあると思いますか。どのような点に問題があったと思いますか。
 社民党は、二〇〇二年に格差是正を訴え、労働者派遣法の抜本改正を訴えました。社会保障費を毎年二千二百億円ずつカットすることは問題だと初めて指摘をしたのは社民党です。今後五年間、一兆一千億円、なぜ社会保障費のカットをする方針を総理は撤回をしないのですか。
 雇用についてお聞きをします。
 派遣切りが大量に出ていることは、小泉政権下、製造業についても派遣を認め、安上がりで使い捨てのできる労働力として導入をしたことに大きな問題と責任があると考えますが、いかがですか。だからこそ、製造業について派遣を禁止し、専門職にのみ派遣を認めるポジティブリスト化にすべきだと考えますが、いかがですか。
 なぜ、政府案は、舛添大臣が言っている製造業について派遣を禁止するというものと全く違うものになっているのですか。後期高齢者医療制度の議論と一緒で、口で言うだけなのでしょうか。
 派遣村にあったような総合相談窓口を各地に設置することやシェルターを増やすことが今すぐ可能だと考えますが、いかがですか。すぐやりましょう。
 企業の社会的責任についてお聞きをします。
 三月末までにこれからもっと派遣切りが行われる可能性が大です。一年間に三万人もいる自殺者がもっと増えるのではないかと私は大変な危機感を持っています。総理は大企業の派遣切りをやめさせるために全力を挙げるべきだと考えますが、いかがですか。
 また、自動車や電機などの日本を代表する大手製造業十六社だけでも、内部留保はこの六年間で十七兆円から三十三兆円に増えています。大企業は多額の内部留保を持ちながら、例えば日系ブラジル人の人たちなども真っ先に首を切られ、家族が路頭に迷い、子供たちは学校に行けなくなり、ブラジルなどに帰りたくても費用がないなどの人道上も許し難いことが今起きています。仕事と食べ物と住まいと教育を一挙に失うということが起きているのです。大企業の派遣切りにストップを掛け、大企業も基金などにお金を出すということが必要ではないでしょうか。

・・・【以降、途中まで略】・・・
社民党は、新しい時代を切り開き、すべての人がこの社会で人間らしく生きられる社会を全力でつくると宣言し、私の質問を終わります。(拍手)

   〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(麻生太郎君) 福島議員より二十問質問をいただきました。

・・・【中略】・・・
 労働者派遣法について幾つかお尋ねがありました。
 これまでの労働者派遣法の改正は、厳しい雇用情勢の中で、雇用の場を確保することや労働者の多様な働き方に対するニーズに対応することなどを目的として行われたものであります。結果として、雇用の確保については一定の役割は果たしてきたものと認識をいたしております。
 他方、今回の歴史的な厳しい経済状況などを踏まえれば、労働者の保護を強化する観点から、労働者派遣法の見直しが必要と考えております。そのため、日雇派遣を原則禁止するとともに、派遣元に対し登録型の派遣労働者の常用化に努めるよう義務を課す、違法派遣を行った派遣先に対しその労働者の雇用を勧告する制度を創設するなどの改正法案を提出しておるところでもあります。
 ただ、その場合でも、現在、登録型派遣は約二百八十万人、製造業派遣は約四十六万人の方に利用されております。これらを規制することによって、かえって雇用の場が失われるような、奪われるような、そういった事態を避けなければならないとも考えております。こうした考え方は舛添大臣とも同様と認識をいたしております。
 いずれにいたしましても、国会の場でよく御審議をいただきたいと考えております。
 総合相談窓口の設置や緊急避難のためのシェルターの増設を行うべきとのお尋ねがありました。
 雇い止めなどにより住居を喪失した離職者に対する支援としては、昨年末より、全国のハローワークに特別相談窓口を開設、雇用促進住宅への入居のあっせん、住宅・生活支援の資金融資の相談などを既に実施しておりますのは御存じのとおりです。
 今後、福祉政策を担う地方公共団体とも緊密に連携しながら、離職者の方々の状況に応じた支援を総合的に実施できるよう、迅速かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
 派遣切りへの対応に関するお尋ねがありました。
 派遣労働者のいわゆる雇い止めや解雇が発生していることについて大変憂慮をいたしております。
 このため、労働契約法に関する啓発指導や労働者派遣法などに違反する事業主に対する指導監督を徹底してまいりたいと考えております。あわせて、労働者の雇用や生活の向上に向けて、雇用の維持に努力する企業を支援するための雇用調整助成金の拡充など、これまでにない規模、内容の雇用対策を講じてまいります。
 企業の拠出による職を失った労働者の支援についてのお尋ねがありました。
 企業が労働者の雇用や生活の安定に努力することが社会的責任だと考えております。このため、個々の企業がそれぞれ自主的に労働者の雇用維持や生活支援に取り組むことは極めて大切だと考えております。
 一方、政府としては、雇用保険制度の枠組みの中で事業主が全額負担する雇用保険に、雇用保険事業は二つありますが、つきましては非正規労働者などの支援を行ってまいります。今回の雇用対策におきまして、この財源を活用して、派遣労働者、年長フリーターなどを正規雇用した企業に対する助成、雇用維持に努める企業に対する雇用調整助成金の拡充、雇用創出のため都道府県に二千五百億円の基金を創設し、地域求職者などの雇用機会の創出など、既に一次補正、二次補正を通じて実施しているところであります。

・・・<以下省略>・・・




 

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