第168回国会 本会議 第5号
平成十九年十月五日(金曜日)
午前十時一分開議
・・・【中略】・・・
○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、調査会設置の件
一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委員
及び同予備員辞任の件
一、裁判官弾劾裁判所裁判員等各種委員の選挙
一、事務総長辞任の件
一、事務総長の選挙
・・・【中略】・・・
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、福田総理に質問をします。
私は、今年の一月、安倍前総理の施政方針演説に対して、「社民党は、美しい国ではなく、温かい国をつくります。」と宣言をしました。くしくも、福田総理は「ぬくもりのある政治」と言いました。福田総理が本当に温かい改革をなさるのか、お聞きします。
福田総理の所信表明演説は、国民生活の悲鳴にこたえるものとなっていません。生活の破壊は、小泉・安倍内閣による構造改革の本質的な結果であり、単なる影ではありません。三位一体改革ならぬ三位ばらばら改悪で、地方切捨てが進みました。
社民党は、初めから構造改革の方向が間違っていると批判してきました。今までの改悪を進めるのか、これを是正するのか、総理の演説ではどちらの方向に進むのか明らかではありません。今こそ具体的な格差是正のための政策が必要です。小泉改革を抜本的に転換すると、ここで明言していただきたい。いかがですか。
まず、雇用の問題です。
非正規雇用の拡大や雇用の劣化は、労働者派遣法の規制緩和を始めとした正に政府・与党の政策の結果です。格差拡大や貧困問題を生じさせてきた根本を変えない限り、雇用の安定はあり得ません。
社民党は、これまでも安定した雇用こそ安心できる生活の基本であると主張をしてきました。労働者派遣法を規制する方向で改正し、製造業については派遣を認めない、また登録型派遣を見直すべきと考えますが、いかがですか。また、最低賃金についても、暮らせる賃金にするためにも、経過措置をとり、中小企業へ配慮しつつも時給千円以上を実現すべきと考えますが、いかがですか。
・・・【中略】・・・
社民党は、人を切り捨てない温かい国を全力でつくっていくということを国民の皆さんにお約束して、私の代表質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕
○内閣総理大臣(福田康夫君) 福島議員にお答えを申し上げます。
まず、これまでの構造改革を抜本的に転換すべきではないかというお尋ねがございましたが、これまで構造改革に取り組んでまいりましたけれども、景気回復、雇用拡大など、一定の成果は上がっております。しかし、我が国は、なお人口減少、高齢化社会、またアジア諸国の台頭という国際経済の変化、環境問題といったような多くの課題に直面しております。これらを乗り切り、より成熟した社会をつくっていくためには、時代に適合しなくなった制度や組織を改めるなど、日本の将来を見据えた改革を進めていかなければなりません。
一方で、格差と言われる様々な問題が生じております。改革の方向性は変えずに、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていくことが大事であり、これに全力を注いでまいる所存でございます。その際には、老いも若きも、大企業も中小企業も、そして都市も地方も、自助努力を基本としながらも、お互いに尊重し合い、支え助け合うこと、すなわち自立と共生が必要であるとの考えの下に、国民の皆様の目線に立って行ってまいりたいと思っております。
次に、労働者派遣法についてでございます。
これまでの労働者派遣法の改正は、経済産業構造の変化や価値観の多様化などにより企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきたことから、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、こうしたニーズに対応して実施してきたものであります。この労働者派遣制度については、御指摘のような意見を始め、様々な議論があるところでございまして、これらを踏まえて、本年九月から具体的な見直しの検討を開始したところでございまして、今後、制度の施行状況や関係者の意見、現場の実態を踏まえつつ検討を進め、その結果に基づいて適切に対応してまいります。
最低賃金の引上げについてお尋ねがございました。
最低賃金については、今年度は例年を上回る引上げが実現したところでございますが、継続審議となっている改正法案については、地域別最低賃金について生活保護との整合性も考慮して水準を設定することを明確にしたところであり、早期に成立させていただきたいと考えております。さらに、成長力底上げ戦略推進円卓会議において、中小企業等の生産性の向上と最低賃金の中長期的な引上げの基本方針について政労使の合意形成を図ることにより、最低賃金の引上げの環境整備を進めてまいります。
なお、御指摘のような水準に最低賃金を大幅に引き上げることについては、中小企業を中心として事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われるおそれが大きいとも考えます。
・・・<以下省略>・・・
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