第168回国会 厚生労働委員会 第8号
平成十九年十一月二十七日(火曜日)
午前十時一分開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○労働契約法案(第百六十六回国会内閣提出、第
百六十八回国会衆議院送付)
○最低賃金法の一部を改正する法律案(第百六十
六回国会内閣提出、第百六十八回国会衆議院送
付)
○身体障害者補助犬法の一部を改正する法律案(
衆議院提出)
○中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰
国後の自立の支援に関する法律の一部を改正す
る法律案(衆議院提出)
○社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正す
る法律案(第百六十六回国会内閣提出、第百六
十八回国会衆議院送付)
・・・【中略】・・・
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
・・・【中略】・・・
次に、若者の雇用対策についてお伺いをいたします。
いわゆるワーキングプアと呼ばれるような非正規雇用によって若年層に低所得者が増加している問題は、国全体として早急に解決すべき課題であると考えます。こうした問題の解決のためにも、今回の最低賃金法案は早期に成立させるべきだと思います。また、最近の雇用状況については、新卒者の就職内定率が大きく改善をされるなど明るい兆しがありますが、前回の質疑でも、デートレーダー型と呼ばれるような新入社員が早期退職をして再就職先を探すというミスマッチの状況が増加していることを指摘いたしました。
これに対して、就職氷河期のいわゆる年長フリーターの方々を取り巻く環境は依然として深刻な状況にございます。この方々が安定した職業に就き、家庭を持ち、次の世代をはぐくんでいけるよう、今国を挙げて取り組むべきと考えます。
そこで、厚生労働省にお伺いをいたします。先ほどにもありましたけれども、年長フリーターの就職支援に向けてどのような施策を講じているのか、お尋ねいたします。
○政府参考人(太田俊明君) 若者の雇用対策でございますけれども、各省連携して政府全体で取り組んでいるところでございまして、今雇用情勢につきましては、お話ございましたように、新規学卒者の就職状況が改善傾向にありまして、いわゆるフリーターの数は三年連続で減少して、二百十七万人から百八十七万人まで三十万人減るなど、改善の動きが見られるところでございます。
しかしながら、今御指摘ございましたいわゆる就職活動の時期が新卒採用の特に厳しい時期、就職氷河期に当たって、正社員になれないでフリーターにとどまっている若者、年長フリーター等は依然として多く、こうした若者に対する支援は極めて重要であると考えているところでございます。
厚生労働省といたしましては、今年度は特に改善が遅れております年長フリーターの正規雇用化への支援に重点を置いて、フリーター二十五万人常用雇用化プランを推進しているところでございます。
具体的には、例えば少人数の会員制で、ジョブクラブ方式で集団就職の支援の実施を行っているということ、あるいは就職が困難な年長フリーターをトライアル雇用していただいた後、正社員として雇用する事業主に対する特別の奨励金の支給をするということ、さらには、職業能力を判断するために企業実習を先行させる職業訓練の実施などに取り組んでいるところでございます。
また、さきの通常国会で改正していただきました雇用対策法等に基づきまして、新卒者以外への門戸の拡大など、若者の応募機会の拡大を図るための企業等に対する周知啓発、指導などにも取り組んでいるところでございます。
さらには、年長フリーターというよりはむしろニート対策でございますけれども、ニートを始めとする若者の働く意欲を高めるため、若者の置かれた状況に応じた専門的な相談、自立支援を実施する地域若者サポートステーションの推進などに取り組んでいるところでございます。
○山本博司君 私も、広島とか愛媛などの地域若者サポートステーションを視察をして、現場を見てまいりました。ニートなどの若者支援の取組に大変熱心に取り組んでいらっしゃいました。ただ、実施箇所の今後の拡充も含めて、これらの施策の充実については早急に対応をお願いを申し上げたいと思います。
さらに、ワーキングプアの問題というのは、一つには能力開発政策の課題と言えます。企業は長期にわたって能力開発投資を回収できる正社員を中心に教育訓練を行うので、若い非正規労働者には十分な教育訓練の機会が与えられておりません。
そこで、若者の能力開発を社会全体の負担で行えるような仕組みが必要になると思います。特に、中小企業においては大企業に比べて規模が小さいため様々な制約があると思いますが、こうした能力開発に対する支援策についてどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(新島良夫君) 企業が行います人材育成は、労働者の職業能力開発の基本となるものでございます。その意味で、その振興を図ることは重要な課題だというふうに考えております。特に、今お話ございましたが、中小企業につきましては大企業と比較いたしまして職業訓練の実施率が低い状況にございます。そういう意味で、積極的な支援が必要であると認識をしているところでございます。
このため、厚生労働省におきましては、中小企業事業主に対しまして従業員の訓練等に応じた経費の一部を助成するとともに、中小企業を中心に実践的な技能を備えた現場を支える人材を育成するため、新規学校卒業者を主たる対象として、企業が主体となって企業における実習と、それから教育訓練機関における学習とを組み合わせた実践型人材養成システムを創設いたしまして、この制度の普及定着を図っているところでございます。
今後とも、これらの施策を通じまして、中小企業における人材育成の推進に努めてまいりたいと考えております。
○山本博司君 今のキャリア形成の促進助成金という内容ですけれども、どのぐらいの人数が利用しているのか、またその評価は今どうなのか、また予算に関しては、平成十三年度からのスタートと聞いておりますけれども、予算は増えているのかどうか、ちょっと通告がありませんでしたけど、もし分かれば教えていただければと思います。
○政府参考人(新島良夫君) キャリア形成促進助成金でございますが、額的に申し上げますと五十九億ほどの金額、助成の額になってございます。対象が約三十八万人ということでございまして、特にキャリア形成助成金全体に占めます中小企業の割合が約六割ということでございまして、そういった意味では中小企業に活用されているということでございます。
予算額でございますけれども、過去の実績を見ますと、ほぼ横ばいといいますか、順調に活用されているという状況でございます。
○山本博司君 ユーザーの、その利用者の評価という点ではいかがでしょうか。それと、活用状況といいますか、満足されているのかどうかという点でございますけれども。
○政府参考人(新島良夫君) この助成金があったがためにこういった訓練を実施したという、アンケート調査でございますが、九九%の方がそういう意味でいい評価をいただいているということでございますし、労働者につきまして、こういった助成金を使いながら実は検定、資格等を取ったという方も六割程度いらっしゃるという結果が出ております。
○山本博司君 大変大事な部分だと思います。特に中小企業の方にとってみれば、そういう大変厳しい状況の中での部分でございますから、是非充実をしていただきたいと思います。
フリーターなどの職業能力形成に恵まれなかった方たちには、就労自立の相談とか職探しの手伝いではなく、抜本的な基礎学力の学び直しとか安定した職につながる技術の習得支援が大変大事であると思います。そのためには、例えば雇用保険における失業手当の支給と公共職業訓練校での職業訓練機会の提供をセットにするなど、所得保障付きの教育機会を検討すべきではないでしょうか。そうすれば、若者にとっては生活が保障され、必要な技術も習得できるので、勤労意欲の増進にも効果を発揮すると考えます。
先日、東京都の福祉保健局の方から、いわゆるネットカフェ難民と呼ばれる人たちに実施をした調査である住居喪失不安定就労者の実態に関する調査について話を伺いました。この調査では、生活費を確保するために日払になるなどのすぐに手に入る収入を得ようとする姿が示されております。厚生労働省においても、所得保障という観点も考慮をして検討していただきたいと思います。
以上のように、厚生労働省においても若者の就職支援について様々な対策を取っていただいておりますけれども、まだまだ課題は多く残っております。
そこで、大臣にお伺いしたいと思います。この若者の就職支援や雇用促進に取り組む大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(舛添要一君) 今の問題につきましては、フリーター二十五万人常用雇用化プラン、これ今推進しておりまして、一つは年長フリーターに対する常用就職支援の充実、それから二つ目は職業能力形成システム、いわゆるジョブ・カード制、これを入れまして、若者の職業能力開発機会の提供を進めております。
それから、今委員御指摘の職業訓練中どうして食っていくんだと、これは生活費どうするんだという問題ありますが、これは、そういう経済的に生活が困難な訓練生に対しましては技能者育成資金制度、スカラシップというか、これが実はございまして、これで相当今言った問題は解決すると。具体的に、昨年度は二千七百三十八人の方が御利用いただきまして、十四億以上の貸付額があると。これ十六年以内に戻せばいいわけですし、これ業種によりけりですけれども、無利子無担保というのが大半ですから、その職業訓練を受けて、技術身に付いて仕事できると、そしたら少しずつ返していけばいいというんで、こういう制度もありますので、そういうのを御活用いただいて、是非能力を身に付けていただくと、そしてきちんと仕事をしていただくと。そのために、今後とも全力を挙げて、皆が安心して仕事をし生活できる社会を目指したいと思います。
○山本博司君 大臣、ありがとうございました。是非とも、雇用促進に向けた取組をお願い申し上げたいと思います。
・・・<以下省略>・・・
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