衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第168回国会 厚生労働委員会 第12号
平成十九年十二月二十五日(火曜日)

    午前十時開会

・・・【中略】・・・

    ─────────────
   本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
  (薬害肝炎被害者の救済に関する件)
  (年金記録問題への対応に関する件)
  (医師不足対策に関する件)
  (障害者自立支援施策に関する件)
  (労働者派遣制度の見直しに関する件)
  (介護事業における労働環境改善に関する件)
  (食の安全確保に関する件)
  (原爆症認定の在り方に関する件)
  (ジョブカフェの委託経費に関する件)
     ─────────────

・・・【中略】・・・

○坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子でございます。

・・・【以降、途中まで略】・・・

○坂本由紀子君 ・・・【中略】・・・労働者派遣制度の見直しについてお伺いをいたします。
  先般、グッドウィルについて行政処分が出されるという報道がなされておりました。労働者派遣法につきましては、経済産業構造の変化でありますとか、あるいは働く人たちの意識の多様化に合わせて様々な改正がこれまで行われてきたところでございます。
  特に、平成十五年の改正以後、会社の数も増え、派遣に従事する人たちの方も増えてはおるんでございますが、本当にこの改正についてのフォローアップはしっかりやるということで、厚生労働省の方でも見直しが行われているというふうに聞いております。現実の問題として、法に規定されたことが守られていないというようなゆゆしき事態があるのは確かでございまして、特に若者がこのような日雇派遣のような形で、何というんですか、うまく使われているというのは、これは若者にとっても大変気の毒なことでありますし、将来の日本に有用な人材を確保するという意味でも憂いを残すところだろうと思うのでございます。
  この問題についてはしっかりと取り組んでいかなくてはいけないというふうに思うのですが、この派遣労働をめぐる状況について、行政としてどのような認識をお持ちなのかということについて最初にお伺いをいたします。
○政府参考人(太田俊明君) お答え申し上げます。
  今お話ございましたとおり、労働者の派遣制度につきましては、経済産業構造の変化、価値観の多様化などによって企業や労働者が多様な働き方を求めるようになってきたことから、労働者の保護に欠けることのないように留意しつつ、こうしたニーズに対応するための改正を行ってきたところでございます。
  そういう中で、最近においては派遣元事業主、派遣先企業や派遣労働者数のそれぞれが増加傾向にあるところでございますが、そういう中で、一方で、今お話ございましたとおり、偽装請負などの労働者派遣法違反が増加しているということ、あるいは若者を中心に日雇派遣など、雇用が著しく不安定な派遣形態が生じてきていることなどの問題が出てきているところでございまして、そういう中で制度見直しをすべきであるという意見も出ているところでございます。
  私どもは、こういうことも踏まえまして、労働政策審議会におきましてこの九月から具体的な見直しの検討を行ってきたところでございまして、今日、先ほど開催された審議会におきましても、現時点におけるその考え方及び方向性について中間的な報告が了承されたところでございます。私ども、この審議会の考え方に基づきまして、今後、制度の見直しなり改善について検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
  また、偽装請負、日雇派遣などの問題につきましては、今後とも厳正な指導を行ってまいりたいと考えているところでございます。
○坂本由紀子君 この労働者派遣の指導監督は、平成十六年からは比較的文書指導の実施件数なども増えて、随分監督をしっかりやるようになってきているのかなというふうに思います。
  元々は各ハローワークがいろいろな届出等を受けておりましたので、なかなかハローワークも失業者の方等、職を求めていらっしゃる方の対応が中心でございますので、そういう意味で、この問題についてはどこか一か所で集中してやるという平成十六年の労働局への指導監督の集中化が指導監督については非常にいい方策、いい方策というか、いい方向で作用しているのであろうというふうには思います。今後、法にのっとった運用がきっちりなされることが必要でありますので、そういう意味で指導監督をしっかり徹底していただきたいと考えます。
  ただ、それだけで問題が片付くわけでもございませんで、様々な課題について今後どう対応していくかということが大変大事だと思います。
  自由民主党では、二十一日、先週の金曜日に総理大臣と厚生労働大臣にこの労働者派遣制度の見直しに関する緊急の申入れを行ったところでございます。労働者派遣制度について、働く人の視点に立って雇用の安定に資する見直しを検討を実施すると、そして違法な日雇派遣や偽装請負を撲滅して、優良な派遣会社や請負会社以外は淘汰されるような社会とすべく、緊急違法派遣一掃プランを実施してもらいたいという申入れでございました。五つの項目について要請をいたしておりまして、この問題については一つとして先送りできない問題だと思いますので、今日はこの場でお考えを少し伺いたいと思います。
  一つ目は、労働者の保護に欠ける日雇派遣を一掃するために、雇用契約の長期化、就業条件の明示の徹底、安全衛生措置の徹底など、派遣会社、派遣先企業が守るべき事項を具体的に記載したガイドラインを創設したらどうかということを申し上げております。これについていかがでございましょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 日雇派遣につきましては、今お話ございましたとおり、契約が細切れであるとか、あるいは就業条件の明示が徹底していないとか、あるいは安全衛生措置に問題があるというようなことも指摘されておりますので、私ども、今後、雇用契約の長期化でございますとか、あるいは就業条件の明示の徹底、さらには安全衛生措置の徹底など、派遣会社、派遣先企業が守るべき事項を具体的に記載したガイドラインの創設を早急に行ってまいりたいと考えております。
  今日行われました審議会でもそのような方向が出されておりますので、部会において速やかな検討を行った上で、早急にガイドラインの創設をさせていただきたいと思っているところでございます。
○坂本由紀子君 その具体的な中身が守られることをしっかりフォローしなきゃいけませんので、そういう意味で、正確に情報を把握するという意味で、派遣会社からの日雇派遣の報告ですとか、あるいは派遣先責任者の選任を義務付けて、日雇派遣の確実な把握を行うことによって派遣会社、派遣先企業への指導監督を行う、そして違法な事案には行政処分や告発を行って厳正に対処をするということが必要でございます。
  そのような報告を取ることあるいは選任の義務付け、こういう問題についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 違法な労働者派遣でございますとか偽装請負に対しましては、これまでも厳正に指導を行ってきたところでございますけれども、更にいろんな問題がまだ残されておりますので、指導監督の徹底を図っていくことが重要であると考えております。
  そのため、今御指摘のございましたとおり、派遣会社からの日雇派遣の報告でございますとか、派遣先責任者の選任を義務付けることによりまして、今後、日雇派遣を確実に把握いたしまして、派遣会社、派遣先企業への指導監督を行い、特に違法事案につきましては今後は更に厳正に対処すると、こういう方向で早急に措置を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○坂本由紀子君 派遣につきましては、偽装請負との関係がいろいろ指摘をされております。やはり偽装請負というようなものは撲滅しなくてはいけない。派遣先の企業も含めて徹底的な指導監督を行って、悪質なものについては厳正に対処していただく。そして、適正な請負について請負労働者の雇用の安定が図られるように措置をしていただくということが第一だと思います。
  請負と派遣の違いを十分御存じないような会社もまだ一部にあるやにも聞くところでございまして、この問題についてのお取り組みについても伺いたいと思います。
○政府参考人(太田俊明君) 偽装請負につきましては、様々な新聞報道されるとおり、いろいろな問題があったところから、昨年の九月以降、その防止、解消を図るための取組を強化してきたところでございます。
  具体的に申し上げますと、例えば一つは、請負事業主、発注者等に対する広報、集団指導の実施などの周知啓発の強化、また二つ目は、職業安定行政と労働基準行政の間での情報共有の徹底をいたしまして、共同監督の計画的実施を始めとするような監督指導の強化、更には死亡災害等重篤な労働災害を発生させた悪質な違反が認められた発注者に対する司法処分、請負事業主に対する刑事告発、行政処分といった厳格な対応を行うこととしたところでございまして、今後とも悪質な事案につきましては厳正に対処をしていきたいと考えているところでございます。
    〔理事谷博之君退席、委員長着席〕
  あわせて、適正な請負につきましては請負労働者の雇用の安定を図るための措置、これはガイドラインなどを創設いたしまして、こういった措置を講じているところでございます。
○坂本由紀子君 派遣労働につきましては、派遣労働そのものがいけないということではなくて、これはこれでやはり働く人の働き方としてそういう働き方がいいと言われる方もおられるわけですし、また企業にとっては即戦力となる方が得られるというようなメリットもございまして、この制度自体をしっかりと法令の趣旨に沿ったものとして整えていくということが大事なことなんだろうというふうに思います。
  そういう意味で、企業の中には違法なことをする、処分を受けたグッドウィルのような法に違反するような好ましくない会社もありますが、きちっと法令を遵守した優良な派遣会社もあるわけでございまして、そういう意味で、働く人たちが企業をしっかりと識別できるように、会社の情報を積極的に公開していただくことが大事なことではないかというふうに思うのでございます。
  例えば、派遣料金など働く人にとって是非とも知りたい、比べたいというようなものが幾つかあろうかと思います。この点での情報公開につきまして、どのようなお考えでいらっしゃいますでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 派遣労働者の雇用の安定あるいは福祉の増進ということを考えますと、今御指摘のございましたとおり、派遣料金などの必要な事業情報について積極的に公開するための措置を講じまして、派遣労働者が優良な派遣会社を選択できるようにすることが重要だと考えております。
  これも今、先ほど来申し上げておりますガイドラインの中でこういう措置ができるように、早急に措置ができるように検討を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○坂本由紀子君 緊急申入れの五つ目は、民間の力も活用して労働者派遣法や基準法等についての法令遵守を徹底する、そして派遣労働者からの苦情や相談に懇切丁寧に対応して、指導監督を迅速に実施するための体制整備を図るといたしております。
  派遣法そのものは職業安定局ですので、現場ではハローワークが担当しております。一方で、働く人を保護する法律の基準法等は監督署が対応しているわけでありますので、そういう意味で、出先の両機関が連携を密にしてやることはもちろん大事ですが、それ以外にやはり民間の事業主の自主的な取組をいただくということが基本的には大事なことだろうと思うのでございます。この点での体制整備につきまして、どのようにお取り組みをいただけますでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 午前中の審議の中でも御指摘いただいたところでございますけれども、この派遣事業の制度につきましては、民間の方々、労使が入っていただきまして、適正運営協力員というような仕組みもございます。ただ、まだまだその相談体制等、必ずしも十分でないというような御指摘もいただいているところでございますので、この制度を活用して機能を強化する中で、派遣労働者からの苦情や相談にもしっかりと対応できるような仕組みをつくってまいりたいというふうに考えているところでございます。
○坂本由紀子君 最後に大臣にお伺いしたいのですが、やはり若い人たちがしっかりと安定的な職を得て、これからの人生を歩んでいただくということは大変大事でございまして、そういう意味でこの派遣法は特に若い人たちの働き方に深くかかわる大きな問題だと思うのでございます。私たちの社会は人によって支えられ、日本の強みは人でございますので、そういう枠組みとしてこの派遣法が適正に機能するように是非この制度の見直しにつきまして、早急に着手し、実現していただけますように御見解を伺いたいと存じます。
○国務大臣(舛添要一君) 労働者派遣制度、今御議論ありましたように、労働者が安心して働けるようにきちんと規制をすべきだと、これが一つ。しかし一方では、自由な働き方、こういう制度がいいという意見もあります。そういうことを踏まえた上で、実は先ほど開催されました労働政策審議会で中間報告が出され、これが了承されました。
  その中身は、まず雇用が不安定等の指摘のある日雇派遣などについては、労働者保護により適切に行われるよう、省令や指針を早急に整備すること、これが第一。第二に、労働者派遣制度の根幹にかかわる問題については、厚生労働省に研究会を設け、法的、制度的な考え方について整理を行い、更に議論を深めていくこと。この二つが中間報告の中身であり、これが了承されたところでございます。
  そこで、厚生労働省といたしましては、まず第一に、日雇派遣を始めとした短期派遣労働者のための指針の新設、第二に派遣元事業主の事業状況などについての情報公開、第三に偽装請負等の労働者派遣法違反に対する派遣先も含めた指導監督の一層の強化、これらの実施について速やかな対応を図ってまいりたいと思います。
○坂本由紀子君 よろしくお願いいたします。
  以上で質問を終わります。




 

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