衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第3号 平成20年1月22日(火曜日)

・・・【以降、途中まで略】・・・

○本日の会議に付した案件

 議員辞職の件

 検察官適格審査会委員の予備委員の選挙

 国務大臣の演説に対する質疑  (前会の続)

・・・【以降、途中まで略】・・・

○太田昭宏君 私は、公明党を代表し、福田総理の施政方針演説に関連し、当面する重要政策課題に絞って、総理並びに関係大臣に質問をいたします。(拍手)

 また、注目しなくてはならないのは給与所得であります。雇用者報酬の総額を見ますと、ここ十年、九七年の約二百八十兆円をピークに、二百六十から七十兆円あたりで横ばいのままであります。これまでもたびたび指摘してきたとおり、景気回復の果実がいまだ家計に十分浸透していない証左であります。

 この国を勢いのある国にしなければなりません。決してこの国を沈みゆく国にしてはなりません。我が国に漂う閉塞感を打破し、人口減少社会にあっても、元気な日本、とりわけ家計を元気にする施策に今こそ力を入れるべきであると考えます。

・・・【以降、途中まで略】・・・

何よりも大事な点は、労働力、すなわち雇用であります。人口減少社会の中で、まさに今、この点が大きな不安の源になっているのであります。

 私は、雇用政策に関しては、特に若年者、高齢者、女性の社会参画に施策を集中的に講じることが大切だと考えます。

 まず第一に、年長フリーターも含めた若年者雇用については、年長フリーター自立能力開発システムの拡充やニート支援を行う地域若者サポートステーションの倍増など、若者の活力こそ日本の活力維持のかなめであるとの視点での取り組みが重要だと考えます。

 第二に、高齢者については、団塊の世代が退職期を迎える今、元気な六十代が活躍できる社会の実現こそが日本の成長の大きなかぎであり、定年延長、継続雇用の普及とともに、労働者の募集・採用時の年齢制限禁止の義務化などに官民で力を合わせるべきであります。

 第三に、女性の社会参画を拡大するための取り組みが重要であります。特に、仕事と家庭が両立できるサポート体制の構築、再雇用の促進、企業内保育所の設置など、結婚、子育てによって退職、離職をしない、いわゆるM字カーブからの脱却の施策が重要だと考えます。

 さらには、非正規雇用から正規雇用への流れをつくるなど、働く人の所得、待遇の拡大を図るべきです。パートと正社員の中間に位置するショートタイム社員を新たな雇用形態として充実させるための支援策も検討すべきです。一方、偽装請負などの違法な事例には厳しい態度で臨むべきであり、日雇い派遣等の派遣労働についても労働者保護の視点から、情報公開の拡大、対象業種範囲など規制のあり方も含め、抜本的な見直しに踏み込むべきではないかと考えます。

・・・【中略】・・・

給与所得を上げるという点についてでありますが、そのため、私は、労働分配率の引き上げを訴えたい。

 近年の労働分配率の動向を見ますと、中小企業はほぼ横ばいでありますが、大企業は低下傾向が続いています。グローバル化の進展などもあり、残念ながら、企業は社員よりも株主を重視する姿勢に傾き、社員への報酬などよりも企業所得や株主配当を優先させ、結果、労働分配率は低下しております。

 総理は、施政方針演説で労働分配率の向上に言及されましたが、政府として強く大企業に要請するとともに、政労使が一体となって、労働分配率向上に資する施策の策定、環境整備を早急に行うべきであると考えます。これら施策を強力に推進することにより、女性や高齢者の雇用・所得拡大で世帯所得を大幅にアップさせることが可能であると考えます。

 以上、国民の目線から、私の意見、決意を申し上げましたが、それぞれの項目につきまして、福田総理の認識と決意を承りたいと存じます。(拍手)

・・・【中略】・・・

○内閣総理大臣(福田康夫君) 太田議員にお答えを申し上げます。

・・・【中略】・・・

  活力ある経済社会の構築と家計を元気にする施策についてのお尋ねがございました。

 日本経済は、平成十四年初めから息の長い回復を続けております。しかし、足元では、賃金が伸びず、景気回復の家計への波及がおくれております。政府としては、景気回復の果実が家計に十分波及し、国民が景気回復を実感できるよう、正規・非正規雇用の格差の是正や、日雇い派遣の適正化等の労働派遣制度の見直しなどの施策に積極的に取り組んでまいります。

 ・・・【中略】・・・

  人口減少下における雇用政策のお尋ねがございました。

 少子化、高齢化の進行による人口減少は、労働力人口の減少につながり、経済成長の制約となることが懸念されます。

 こうした課題を克服するためにも、若者、高齢者、女性など、働く意欲と能力を持つすべての人々が、安心して働き、安定した生活ができる社会を実現することが重要であります。

 具体的には、まず、年長フリーターを含む若者の対策として、フリーター常用雇用化プランなどにより若年者の正規雇用化を進めるとともに、地域の若者の自立支援を行う地域若者サポートステーションを拡充し、より多くの地域において展開するなど、次代を担う若者の雇用、生活の安定を図ってまいります。

 次に、高齢者の対策として、六十五歳までの雇用確保や、労働者の募集・採用時における年齢制限禁止の義務化の徹底、さらに、年齢にかかわりなく働き続ける社会を目指し、七十歳まで働ける企業の普及促進を図るなど、高い就業意欲を持つ高齢者の活躍できる場を創出してまいります。

 さらに、女性の就業率向上を目指し、安心して働くことのできる保育・子育て支援サービスの充実、育児や介護のために離職した女性に対する再就職・企業支援を行うなど、就業意欲を失うことなく働き続けることのできる環境整備を進めてまいります。

 こうした雇用政策にそれぞれ着実に取り組むことにより、働く意欲と能力を持つすべての人々の労働参加を実現してまいります。

 次に、短時間正社員と労働者派遣についてのお尋ねがございました。

 フルタイム正社員より労働時間が短い短時間正社員は、多様な働き方を提供しながら就業時間に比例した待遇が得られるもので、昨年十二月に取りまとめた仕事と生活の調和推進のための行動指針において、十年後に二五%の企業での導入を目標に掲げました。この目標の実現に向け、政府としても、企業の導入を支援するための専用サイトの開設等を通じまして制度の普及に努めてまいります。

 また、労働者派遣についても、偽装請負など違法派遣の一掃に向け指導監督を一層強化するとともに、日雇い派遣の適正化のためのガイドラインを早急に創設するなど、働く人を大切にする視点に立って労働者派遣制度の見直しを行ってまいります。

・・・【中略】・・・

  次に、労働分配率の向上についてのお尋ねがございました。

 労働者の賃金については、各企業の労使間において、経営状況等を踏まえた話し合いの上で決定されるべきものでありますが、景気回復の果実が家計に十分波及し、国民が景気回復を実感できるよう、御指摘のような近年の労働分配率の動向等も踏まえ、労使間で議論が行われることを期待いたしております。

 政府としては、労働分配率の向上に向けて、三十五万人の常用雇用化を目的としたフリーター常用雇用化プランなど若者の正規雇用化の支援、それから、改正パートタイム労働法による均衡待遇の確保や改正最低賃金法等による労働条件の改善、また、日雇い派遣の適正化等の労働者派遣制度の見直しなどについて、生活者の視点に立ちつつ、大企業を含む労使に積極的に連携協力を呼びかけながら、積極的に取り組んでまいります。

・・・<以下省略>・・・




 

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