衆議院・参議院会議録情報 抜粋 |
衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。 |
第3号 平成20年1月22日(火曜日) ・・・【以降、途中まで略】・・・ ○本日の会議に付した案件 議員辞職の件 検察官適格審査会委員の予備委員の選挙 国務大臣の演説に対する質疑 (前会の続) ・・・【以降、途中まで略】・・・ ○ 志位和夫君 日本共産党を代表して、福田総理に質問いたします。(拍手) まず、暮らしの問題です。総理は、施政方針演説の中で、生活者が主役という言葉を繰り返しました。しかし、貧困と格差が進み、国民生活はいわば底が抜けてしまったような不安と危機に見舞われている現状をどう打開するのか、その具体的処方せんは何も語られませんでした。 そこで、四つの角度から総理の基本的見解をただします。 第一は、雇用の問題です。 この間、派遣最大手グッドウィルに事業停止処分が下されました。港湾、建設など禁止されている業務への違法派遣、二重派遣、偽装請負など、派遣労働が無法の巣窟とされている実態が明るみに出されました。 労働者派遣法の相次ぐ規制緩和によって、派遣労働者は三百二十一万人に急増し、そのうち二百三十四万人は登録型派遣、派遣会社に登録しておき、仕事があるときのみ雇用するという極めて不安定な状態のもとに置かれています。 派遣労働者の苦しみは、その多くが懸命に働いても年収二百万円以下という異常な低賃金だけではありません。社会保険に入れない、残業代が出ない、交通費が出ない、社員食堂が使えない、名前でなくハケン君などと呼ばれるなど、人間としての尊厳を踏みにじられる差別を受け、物のように使い捨てにされていることが、若者たちを深く傷つけています。一度派遣に入ったら抜け出せません、私たちは苦しんで涙して働いても希望も何もありません、若者が生きられない、こんな世の中であっていいでしょうか。これは、私たちに寄せられた痛切な声であります。 総理の基本認識を伺いたい。こんな働かせ方が、あなたの言う若者が希望が持てる社会にふさわしい働き方と言えるでしょうか。お答え願いたいと思います。 政府は、派遣労働の規制緩和を進める際、臨時的、一時的なものに限定し、常用雇用の代替にしてはならないことが原則だと繰り返し言明してきました。しかし、現実を見れば、正規雇用が減り、非正規雇用が急増し、派遣労働が常用雇用の代替とされていることは明らかではありませんか。総理はこの現実を認めますか。常用雇用の代替にしてはならないというなら、労働者派遣法の抜本的改正に踏み込み、派遣は臨時的、一時的業務に制限し、日雇い派遣やスポット派遣という極めて不安定な登録型派遣は直ちに禁止し、均等待遇のルールをつくるべきではありませんか。総理の答弁を求めます。 ・・・【中略】・・・ 以上、雇用、社会保障、農業、税金のあり方、四つの角度から問題点をただしてきましたが、今、経済政策の軸足をどこに置くかが厳しく問われています。 これまで政府は、企業が栄えれば、めぐりめぐって家計に波及し、国民生活がよくなるという成長シナリオを唱え続けてきました。ところが、昨年末以降の月例経済報告では、このシナリオは口にできなくなりました。大田経済財政特命大臣の演説でも、企業の体質は格段に強化されたが、賃金上昇に結びつかず、家計への波及がおくれていると認めざるを得なくなりました。大企業中心の成長シナリオは破綻しました。 それならば、経済政策の軸足を、大企業から家計、国民へと転換させるべきではないでしょうか。家計を直接応援する政策に切りかえるべきではないでしょうか。私は、そうしてこそ、貧困と格差を打開し、日本の経済と社会を健全に発展させる道が開かれると確信いたします。総理の見解を求めます。(拍手) ・・・【中略】・・・ ○ 内閣総理大臣(福田康夫君) 志位議員にお答え申し上げます。 労働者派遣についてのお尋ねがございました。 近年の派遣労働者の増加は、経済産業構造の変化や価値観の多様化などにより、企業と労働者の双方が多様な働き方を求めるようになっていることを背景とするものと認識しております。これまでの労働者派遣法などの見直しは、労働者の保護に欠けることのないよう留意しつつ、こうしたニーズに対応し実施してきたものと考えております。 しかしながら、若者を中心とした低所得の非正規雇用が増加し、固定化することには十分な注意が必要と考えております。だれもがみずからの能力を生かし、安定した仕事について、将来に希望を持って暮らせるよう、正規雇用への転換促進など、働く人を大切にする施策を進めてまいります。 労働者派遣制度については、当面の対応として、日雇い派遣の適正化などのためのガイドラインを早急に策定するほか、制度の根幹にかかわる問題については、厚生労働省に研究会を設け、検討を進めてまいります。 ・・・【中略】・・・ 経済政策の軸足についてのお尋ねがございました。 私は、経済政策においては、すべての人が成長を実感できる経済成長戦略を実行したいと思っております。 具体的には、意欲ある人が皆働けるように、定年制のあり方や六十歳以降の継続雇用・再雇用のルールについて検討を進めるとともに、ジョブカード制度を四月から導入します。また、正規・非正規雇用の格差の是正や日雇い派遣の適正化などを行います。 さらに、地域経済の活力の復活と中小企業の生産性の向上を実現するために、地域連携拠点を全国に二百から三百カ所整備し、ITを徹底して活用し、経験豊富な大企業の退職者や中小企業、農業、大学が相互に連携して、新たな商品やサービスを生み出す取り組みを支援いたします。また、中小企業の事業承継を円滑にするための税制の抜本的見直しを行うことといたしております。 ・・・<以下省略>・・・ |