第169回国会 本会議 第3号
平成二十年一月二十三日(水曜日)
午前十時一分開議
・・・【中略】・・・
○本日の会議に付した案件
一、日程第一
一、議員山本孝史君逝去につき哀悼の件
・・・【中略】・・・
○市田忠義君 日本共産党を代表して、福田総理に質問をいたします。
今、日本の経済は大きな岐路に立っています。
自民、公明の歴代政権はこれまで、大企業のリストラを容認し、労働法制の規制緩和を推し進めて低賃金の非正規雇用を拡大し、大企業、大資産家のもうけをひたすら保障してきました。その上、この間、大企業、大資産家への七兆円もの行き過ぎた減税を進め、足りなくなった歳入を庶民増税と負担増、社会保障の切捨てに求めてきたのであります。その結果、確かに大企業の利益は一九九七年と比べて二・二倍になりました。しかし、それは国民には波及しませんでした。この事実は政府も認めざるを得ませんでした。労働者の賃金は連続的に減り続け、家計が消費や貯金に回せるお金、いわゆる可処分所得はその間におよそ一割、二十四兆円も減ったのであります。
・・・【中略】・・・
第二は、大量の非正規雇用を生み出すもととなった労働法制の規制緩和、とりわけ労働者派遣法の抜本的な見直しを行うことであります。派遣してはならないところに労働者を派遣したり、労働者の又貸しである二重派遣など、違法派遣を繰り返していたグッドウィルが厚生労働省から業務停止命令を受けました。遅きに失したとはいえ、これは当然であります。しかし、そのことによって最大の犠牲を被っているのが違法状態の中で働かされてきた労働者、その多くが二十代、三十代の若い人々であります。何の責任もない青年たちが職を失い、路頭に迷うようなことは絶対にあってはなりません。違法派遣と知りながら派遣労働者を使っていた受入先の企業に直接雇用させるなど、政府は雇用の確保に力を尽くすべきであります。
総理は、労働者派遣制度の見直しに言及されました。それなら、単なる適正化ではなく、少なくとも人間を物扱いにする日雇派遣は直ちに禁止すべきではありませんか。さらに、登録型派遣を厳しく制限することを始め、労働者派遣法を派遣労働者保護法に抜本改正することを求めるものであります。
第三は、最低賃金の引上げであります。生計費原則に基づき、時給一千円への引上げを決断すべきであります。
・・・【中略】・・・
○内閣総理大臣(福田康夫君) 市田議員にお答え申し上げます。
国民と中小企業を応援する政策転換についてのお尋ねがございました。
景気が長い回復が続く中で、足下では賃金が伸びず、家計への波及が遅れております。景気回復の果実が家計に十分波及し、国民が景気回復を実感できるよう、労働分配率の向上に向けて、正規・非正規雇用の格差の是正、日雇派遣の適正化等の労働派遣制度の見直しなどの施策に積極的に取り組んで、全員参加の経済戦略を展開してまいります。
そのために、従来型の同業種間の縦つながり、縦のつながりに加えて、企業規模や業種をまたいで横断的に協力し合うつながり力を更に強化して、地域経済の活力の復活や中小企業の生産性の向上に取り組んでまいります。
具体的には、地域連携拠点を全国に二百から三百か所整備し、ITを徹底して活用し、経験豊富な大企業の退職者や中小企業、農業、大学が相互に連携して新たな商品やサービスを生み出す取組を支援してまいります。また、中小企業の事業承継を円滑にするための税制の抜本的見直しを行うことといたしております。これらを始めとする取組により、中小企業などの底力を引き出し、活力ある経済社会を構築してまいります。
・・・【中略】・・・
グッドウィルの派遣労働者の雇用の確保についてお尋ねがございました。
グッドウィルに対しては、事業停止命令に併せて、雇用の安定を図るための措置を講ずることも命令しておりまして、具体的には、派遣先を含む他の事業主への雇用のあっせん等を積極的に行うように指示しております。また、同社の派遣労働者に対しては、都道府県労働局において個別の相談に応じる体制を整えるとともに、ハローワークにおいて個々の労働者のニーズに応じたきめ細やかな職業紹介を行うことなどを内容とする雇用対策を全国で実施しているところであります。
労働者派遣制度についてのお尋ねがございました。
御指摘の日雇派遣や登録型派遣については、労働者の側でも一定のニーズがある反面、不安定な働き方でございまして、これを見直すべきとの意見など様々な議論があると認識しております。このため、労働者派遣制度については、まずは日雇派遣の適正化などのためのガイドラインを早急に策定するとともに、登録型派遣の在り方など制度の根幹にかかわる問題について、厚生労働省に研究会を設け、検討を進めてまいります。
最低賃金の引上げについてのお尋ねがございました。
最低賃金については、さきの国会で成立した改正最低賃金法に基づいて、生活保護との整合性にも配慮しつつ、あわせて成長力底上げ戦略推進円卓会議において中長期的な引上げ方針について政労使の合意形成を図り、引上げに取り組んでまいります。
なお、御指摘のような水準に最低賃金を大幅に引き上げることについては、中小企業を中心として事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われるおそれがあることも考慮しなければなりません。
・・・<以下省略>・・・
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