衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第169回国会 予算委員会 第7号
平成二十年三月十三日(木曜日)
    午前九時開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成二十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
  送付)
○平成二十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院
  送付)
○平成二十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆
  議院送付)

・・・【中略】・・・

○吉村剛太郎君 おはようございます。自由民主党の吉村剛太郎でございます。

・・・【中略】・・・

○吉村剛太郎君 ・・・【以降、途中まで略】・・・今ちょうど春闘の時期でもございますが、それはそれで民民の問題ですから私がどうのこうの申しませんが、ここに一つの数字がございます。これは総務省労働力調査ということで、平成十八年ですから二年前ですね、正規社員が三千三百四十万人、非正規社員が一千六百六十三万人。要するに非正規社員は三三・二%、要するに三分の一が、今、今日の我が国の労働界では三分の一の方々が非正規社員なんですね。そして、その所得は大変大きな格差がございまして、これは企業の大中小によって違いますが、この同じ統計ですよ、大企業の千人以上の所得が六百七十五万、正社員ですね、それから中規模、百人以上千人未満が五百二万、小規模が四百九万、正社員ですね。ところが、非正社員はこの半分なんですね。まあ半分までは行きませんが、これだけの格差があるということ、これは大きな問題として、経済問題というのを超えてやっぱり社会問題として政治が取り組まなければならない問題ではないかなと、このように思っております。
  そういう中で、一九九九年ですか、派遣労働が原則自由になりました。それまで非常に抑制的だったのが原則自由になったんですね。それで一気に派遣労働者というのが増えてきたと。それと、バブル崩壊後の企業のリストラ、そういうものが相まってやはりこういう非正規社員というのが増えてきたんだろうと、このようにも思うところでございます。
  そこで、厚労大臣、私は個人的には派遣業、いわゆる人を紹介するような派遣業というのは非常に限定的で抑制的であるべきではないかなという考えを持っておるものなんです、個人的に。いろいろの答申もなされておりまして、実は先行きかなり心配もしております。これはどういう面かというと、そういう格差の問題、それから先ほどから総理もおっしゃっていた、技術革新という面ではなかなかやはり非正規の方々に社内での技術指導とかそういう面では後れを取るんではないかと、こういう考えもありましてそういうことを今申し上げておるんです。
  もちろん、業種によっては派遣という形のものがマッチするというものもあろうと思いますが、基本的に厚労大臣として、この派遣労働というものに対する基本的なお考えをお聞かせいただきたいと、このように思います。
○国務大臣(舛添要一君) 非正規でしかも低所得、今委員がおっしゃったようなこういう形の労働形態が固定化してしまうというのは、私はいろいろ問題が生じるというふうに思っております。
  したがって、フリーターの方々、非正規の方々を常用の労働者にするために三十五万人常用化しようと様々な取組をやっていますが、この派遣制度そのもの、これは働く方から見たら、これはやっぱり自分たちの権利もきっちり守りたいし、常用労働者になりたいと、これはあると思います。ところが、片一方で、例えば通訳のような場合には、常用よりもむしろ、外国の方来られて今日ニーズがあるんだという、こういうことはあっていいだろうし、それから雇用の機会を増やすという意味も積極的に評価すればあると思います。
  しかし、やはりこういう問題については様々な問題が出てきていることは確かですから、いろんな審議会、研究会などで今検討を行っておりますけれども、この派遣制度そのものの在り方は、やはりこれは国民的な議論をして抜本的な見直しを含めて考えるべき時期に来ているというふうに思っております。
○吉村剛太郎君 そうですね、現実、グッドウィル問題とかいろいろと問題が起きておりまして、これはやっぱり一つの社会問題として、申しましたように取り上げなければならないと同時に、やっぱり政治が責任を持たなければならない課題であろうかと、このように思います。
  そこで、これは新聞で拝見をいたしましたが、中小企業に対する正規社員化ですね、それに対する施策というのを打ち出されたと、このように思っておりますが、これは経産省かな、それとも厚労省ですかね、その詳細をちょっとお聞かせいただきたいと、このように思いますが。
○国務大臣(舛添要一君) 先ほども申し上げましたけれども、非正規雇用を改善するという意味で、まず三十五万人の常用雇用化を目標としようとしてフリーター常用雇用化プランというのを今推進してございます。それから、有期契約の労働者の雇用管理の改善、正社員への転換支援、それから日雇派遣の適正化を始めとして労働者派遣制度の見直し、今法律がありますから、こういう法律に違反したところは厳しく処分する、取り締まるということで徹底した措置を私の方で指示をしてやっております。
  それから、改正雇用対策法がございますので、これに基づいて若者の雇用の機会を確保する。それから、改正パートタイム労働法、これに基づいて要するに正社員と差別しちゃいかぬよと、こういう均衡待遇ということでこれも指導しております。それから、やはり最低賃金法、これはさきの臨時国会で成立させていただきました、労働契約法、こういう一連の労働法制をしっかりと守って、やはり働く人たちの生活と権利を守るんだと、それが厚生労働大臣としての私の職責だと思いますので、全力を挙げて邁進してまいりたいと思います。
○吉村剛太郎君 ワーク・ライフ・バランスというような言葉が最近生まれてまいりまして、職業の選択の自由ということで大変喜ばれているんだというような意見もありますが。ここに厚生労働省の労働力需給制度についてのアンケート、派遣労働者が派遣という働き方を選択する理由ということで、働きたい内容を選べるが四〇・二%でトップなんですね。これ私は非常に疑問に思っております。というのは、私の周囲に派遣の仕事をされている方がたくさんいるんですけど、一人もいないんですよ。やはり、正規雇用になりたいという方々ばかりなんですね。確かに、子育てが終わった御婦人とか通訳の方とか、そういう方には都合がいいかもしれないが、一番働き盛りの三十歳前後の方で仕事が選べるなんて言っているのは私の周囲にはゼロなんですね。だから、統計と皮膚感覚とが随分違うので、私自身はこの統計に疑問を持っております。特に、この働き盛りの人の中では私の周囲ではゼロなんですね。
  今、少子化問題その他が言われておるときに、年収二百万で結婚して子供をつくるというのではなかなか大変だろうと、こう思っております。そういう面も含めて、再度厚労大臣、この正規、非正規、派遣についてのお考えをお述べいただきたいと、このように思います。
○国務大臣(舛添要一君) アンケート調査、統計、これは様々なものがありますが、一部はやっぱり価値観の多様化、生き方の多様化で、一つの会社に縛られるんじゃなくて自由に生きたいというそういう若者もいることは、これは否定できないと思います。
  しかし、今委員がおっしゃったように、我々が年長フリーターと呼んでいるのは、二十五歳から三十四歳、今、ちょうど今おっしゃった結婚なさるような時期なんですね。これは、いわゆる就職氷河期という時期だったものですから特に甚だしい問題で、恐らく世間の感覚からいうと、本当は正社員になりたいんだと、しかしなれないと。そうすると、これは今おっしゃったように、結婚しようにも定職じゃなくて安定した賃金でもなければ家庭も築けないということになりますので、やはりこういうことに対してきちんと対策を取らないといけないと。
  それで、この平成二十年度、今審議いただいている予算、その中で、先ほど申し上げました三十五万人を目標とするフリーター常用雇用化プランと、今度は職業能力の形成をきちんとやらないといけない、それでジョブ・カード制度というのを今度入れまして若者に職業能力の開発の機会を与えると、これも予算化措置をお願いしてございます。
  それから、改正雇用対策法で、新卒者以外、先ほど申し上げました年長フリーターというのは、二十歳の人は採るけど三十三歳はもうちょっと要らないよと、こういうような感じになるんですね、やっぱり企業としては、新卒者採りたいと。しかし、そうじゃなくて、そういう方以外にも門戸を拡大するというようなこと、それはきちんと企業の方にも指導していきたいというふうに思っておりますので、こういうことをきちんとやらないと日本社会全体が崩壊すると、そういう危機感を私も委員と共有しておりますので、今後とも全力を挙げてこの問題に取り組みたいと思います。
○吉村剛太郎君 ありがとうございました。
  さらに、これは我々政治に携わる者が与党も野党もなくやっぱり真剣に取り組まなければならない一つの大きな社会問題だと、私はこのようなとらえ方をしておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

・・・<以下省略>・・・




 

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