衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第169回国会 内閣委員会 第3号
平成二十年三月二十七日(木曜日)

    午前十時開会

・・・【中略】・・・

  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成二十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
  送付)、平成二十年度特別会計予算(内閣提出
  、衆議院送付)、平成二十年度政府関係機関予
  算(内閣提出、衆議院送付)について

・・・【中略】・・・

○神本美恵子君 民主党・新緑風会・国民新・日本の神本美恵子でございます。

・・・【以降、途中まで略】・・・ 

○神本美恵子君 長時間労働を解消あるいは抑制していくということ、非常に重要なかぎだと思うんですけれども、これにつきまして規制改革会議が第二次答申を昨年末の十二月二十五日に発表しておりますが、この第二次答申の「機会均等の実現」、「労働分野」というところに長時間労働についての記述がございます。
  私はこれを読んで、今、上川大臣、ワーク・ライフ・バランスをする上で長時間労働、特に二、三十代の子育て真っ最中の世代の長時間労働が六時間以上に及んでいるという、週六十時間ですね、及んでいるというようなお話、そういう認識で私も共通するんですけれども、この規制改革会議の長時間労働に対するとらえ方がこのように書かれております。「長時間労働に問題があるからといって、画一的に労働時間の上限を規制することは、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益と、そのような労働によって生産効率を高めることができる使用者の利益の双方を増進する機会を無理やりに放棄させる。」というふうに書かれております。
  私なりに何を意味しているのかなということで読んでみたんですけれども、要するに、自由な意思で適正で十分な対価給付を得て働く労働者の利益、それからそれによって、使用者側はその労働によって生産効率を高める、その両方の利益のためには労使のお互いの契約で労働時間なり決めればいいのであって、長時間労働を抑制するなりということで規制を掛けることは問題だというふうに私には読み取れるんですけれども、これは規制改革会議、担当していらっしゃる内閣府だとお聞きしましたが、どのような議論の中でこういうふうな取りまとめ、二次答申でありますけれども、になったんでしょうか。
○政府参考人(小島愛之助君) お答え申し上げます。
  ただいま先生が御指摘されました記述は、規制改革会議第二次答申中の「労働分野」の「問題意識」の中に書かれているところでございます。
  その意味するところでというお尋ねでございますが、個々の労働者にとりましては、その人生の段階におきまして、仕事に専念する時期もあれば家庭に時間を割きたい時期もある、また自己研さんに時間を割きたい時期もあるのではないか、また一方で、そのような労働者の雇用を望む使用者もいるのではないか、こうしたことから、画一的に労働時間の上限を規制することは必ずしも適切ではないのではないかといったような議論を踏まえた考え方を示したものであると承知しております。
○神本美恵子君 それにしても、先ほど上川大臣もおっしゃったように、週六十時間以上働くということは、単純に考えて、週六十時間ですから所定労働時間四十時間を二十時間オーバーする、五日間で割り算しますと一日に四時間ですか、オーバーワークをするわけですが、一日四時間であれば、九時―五時と考えても九時まで働くわけですね、夜の。そうすると、それから通勤時間一、二時間見ますと、家に帰るのは早くても十時、十一時になると。それは、子育て中でなければそれでいいというお考えなのか。
  その辺が人生のいろんな時期で選べるようにすべきだというふうにおっしゃいますけれども、どの時期であっても週六十時間以上働くなんというのは考えられないというふうに、だれかがその分、例えば子供が育ち上がったら今度は両親の介護などの問題も出てくるわけですから。ワークの時間とライフの時間のバランスを取りましょうというのが今政府として出しているワーク・ライフ・バランスの実現、ということを一方でやりながら、今おっしゃったような、これについては自由な意思で労働者が決めるんだからいいんだという考え方が規制改革会議で出されている。私は、こういうことで本当にワーク・ライフ・バランスというものが取れるのか。
  これについて、厚労省の方が、ここの問題ではないんですけれども、この規制改革会議は、ほかにも、もう一つこれももう絶対に看過できないと私は思う部分があったんですが、例えば、過度に女性労働者の権利を強化するとかえって最初から雇用を手控える結果になるなどの副作用を生じる可能性もある、これもちょっとよく分からないんですが、どういうことなんですかね。厚労省に後でまとめてお伺いしますが。
○政府参考人(小島愛之助君) お答え申し上げます。
  ただいまの御指摘の記述も第二次答申中の「労働分野」の「問題意識」の中に書かれているものでございます。その意味するところというお尋ねでございますが、人権上の観点から必要とされる性差別の防止や、妊娠、出産に係る女性の保護が必要であるということは当然のことでありますが、こうした目的を達成する手法として、使用者側に法的な義務を課す手法が最善であるとは限らないのではないか、女性労働者の権利保護をすべて個別企業に課すことによって達成しようとする方法を取る場合には副作用が生じる可能性があるのではないかという考え方を示したものであると承知いたしております。
○神本美恵子君 皆さんお分かりですか。その意味が私には分からないんですね。女性労働者の権利を強化すると最初から雇用を手控えるというのは、例えば具体例でいうとどういうことなんでしょうか、一つでも例を。
○政府参考人(小島愛之助君) お答え申し上げます。
  これは、その権利を強化するとそういう女性労働者の雇用を手控える可能性があるんではないかという一つの考え方を示したものと承知しております。
○神本美恵子君 昨日、ちょっと担当の方とやり取りをさせてもらったんですが、例えばといってそのとき教えてもらって私はよく分かったのは、例えば妊娠、出産の可能性のある女性が入社してきた、そこで育児休業制度がそこにあったとしますね。そうすると、その人が育児休業を取ると、まあ女性労働者の権利として取るとすれば、その分コストが掛かるわけですね。というようなことで、育児休業制度を一律に導入せよと言うと、そういう妊娠、出産の可能性というか、おそれというか、使用者側から見れば、おそれを持っている女性の雇入れを手控えるようになるから、一律にそういう女性労働者の権利を強化するということは良くないんだというようなことだろうと昨日説明された方は例としてお話をいただいたんですが、そう言っていただくとここに書かれている意味がよく分かるんですが、意味はよく分かりますが、私はこんなのはとんでもない誤りだと思いますし、国の施策から見ればこれまでやってきたことに全く逆行する内容だと思うんですけれども、これについて厚労省は、ここだけではなくて規制改革会議の第二次答申について反論をなさっておりますので、長時間労働やそれから労使の対等な関係ということについて反論されていることをちょっと御紹介いただきたいと思います。
○政府参考人(村木厚子君) まず、反論を個別の問題についてそれぞれしておりますので、私の方から、先ほどの女性の採用の手控え云々というところについて私どもの反論を述べさせていただきたいと思います。
  女性労働者の権利の保護ということにつきましては、人権上の観点から当然のことでございまして、日本におきましても男女雇用機会均等法という法律があって、性によって差別をされず、妊娠、出産等についても差別を受けないという当然のことを定めているところでございます。
  規制改革会議二次答申の表現につきましては、もちろん人権上の保護の必要性を否定をするようにも読めますし、また、先ほどの女性の採用を手控えるというようなことが本当にありますとその行為自体が男女雇用機会均等法の指導の対象になるような行為でございますので、この辺りのことを容認しているかのような記述というのは大変問題があるのではないかということで反論をさせていただいたところでございます。
○神本美恵子君 同じ政府内の規制改革会議ということで議論をされて、これはお聞きしますと、まだ問題意識ということで提起をされていることなので、このことが直ちに実施され、政策化されるということではないということですけれども、今ワーク・ライフ・バランスを言っているときに、長時間労働はそれぞれの自由意思で、労使で話し合えばいいんだとか、女性が働く権利を認めると雇い控えをするという、そのことを容認するようなことが同じ政府の会議の中でやられているということ自体が、私はもう最初からワーク・ライフ・バランスの実現に向けてアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感じがしまして、本当に「子どもと家族を応援する日本」重点戦略というものに対する大きな懸念といいますか、はてながこれを見た途端に付いたわけでございます。
  これについては、是非、上川大臣、しっかりと旗を持ってといいますか、あらゆるところに目配りをして、ワーク・ライフ・バランスの実現のためには何が必要なのかということを大きな決意を持って取り組んでいただきたいと思います。
  特に、一番最初に言いました労使の自主的な取組、これはもちろんそれを否定するものではありませんけれども、必要な規制なり労働者の保護なり、長時間労働に歯止めを掛けるような法的な整備、制度的な整備というのはこれはやっぱり十分に検討しなければいけないというふうに思うんですけれども、これについての大臣の、今の規制改革会議の考え方も含めて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(上川陽子君) 仕事と生活のまず調和を社会全体として取り組んでいこうということでございます。
  先ほどの長時間労働ということにつきましても、十四の数値目標、政策目標の中で六十時間以上の長時間の部分については十年後半減をするということを具体的に目標を掲げてやっていくわけでございます。ここは政労使の合意で決められた憲章と行動指針でございますので、自主的な効果的な、それぞれの企業に合った形で、労使でよくよく相談をしていただきながらワーク・ライフ・バランスの実現に向けて知恵を出して、また行動していただきたいというふうに思っておりますし、そうした動きについて国としても積極的にしっかりと支援をしていくということで、国民運動としての旗振りをしてまいりたいというふうに思っております。

・・・<以下省略>・・・




 

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