第169回国会閉会後 厚生労働委員会 第1号
平成二十年九月十八日(木曜日)
午前十時開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
(標準報酬月額等の不適正な処理に関する件)
(非食用事故米穀の不正流通に関する件)
(後期高齢者医療制度等の保険料の特別徴収に
関する件)
(社会保険病院及び厚生年金病院の在り方に関
する件)
(職業能力開発施策に関する件)
・・・【中略】・・・
○坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子です。
・・・【以降、途中まで略】・・・
○坂本由紀子君 ・・・【中略】・・・。
最後に、実は質問通告していなくて恐縮なんですが、昨日、行政減量・効率化有識者会議で雇用・能力開発機構の存廃についての方針なるものが出されました。
雇用の情勢が景気後退を受けてやや全国的には目が離せない状況になってきていると思います。また、かつて景気が非常に厳しいときにきちっとした採用の中に入り込めなくて、不本意ながらフリーターとして今も働いている方たちがまだかなりいるわけであります。ですから、雇用の問題というのは国としてきちっと責任を持ってやっていかなくてはいけないんだと思います。
組織がどうこうということではなくて、雇用の問題にしっかりとした取組をするためには、私は、職業訓練というのは最も大事なことの一つであろうというふうに思うのであります。質の高い職業訓練を就職を希望する方たちに提供して、その方たちがより質の高い仕事に就き、それを続けることができるということは、国としてきちっとやらなくてはいけないことだというふうに思います。
もちろん、地方公共団体においてもやっていただいていますから、そこは国と地方の役割分担があるわけでありまして、学校卒業の方たちのような方に対しては地方公共団体がやり、離職者のように非常に景気に左右され、一地方公共団体だけではなかなかやり切れないというところについて、国が責任を持ってその体制を整えるということは大事なことであろうと思います。
もちろん、民間でいいサービスを提供するところがあれば、それは民間にも大いにやっていただく。そうでない場合、あるいは地方自治体で十分なことができない場合に、果たしてそれをどうやっていくかということを十分に認識した上で、これから景気がどうなるかによって非常に手を抜くことのできない雇用対策について、一段と国としても迅速な対応をしていっていただきたいというふうに思うのでございます。
なかなか政府としてまだ対応が決まっていらっしゃらないので御答弁が難しいかとは思いますが、ただ、組織ではなくて、そういう役割を国としてどう考えるかということについて、私は大臣のお考えを是非お伺いしたいと思うのであります。
○国務大臣(舛添要一君) 雇用・能力開発機構の存廃について、昨年来、当初は渡辺喜美大臣、今は茂木大臣とこれは議論を重ねております。いろんな無駄があればそれは改革していくのは当然でありますし、スパウザ小田原の例があったり、今、私のしごと館が一つのこのテーマとして挙がっております。
そういう中で、今委員がおっしゃったように、私は、何もかも市場経済原則に任せてしまう、すべてが民間がやれるというなら政府は要らないわけであります。なぜ労働省というのがあるのかと。
私は先般、新潟で労働大臣会議、G8をやりました。それぞれの国から、八か国出てこられて、EUからも出てくる。きちんとした議論ができたと思いますが、近代国家においてなぜ労働省があるかというのは、労働者の権利はきちんと政府が守るんであると。そうでなければ産業革命のときの国家と同じであって、労働者の権利が守れません。ですから、ILOという国際機関ももう釈迦に説法ですけれどもありますし、そして、例えばハローワークなんというものは国際条約において国家全体でやりなさいということになっている。
それは、有料の職業の紹介所なんというのはペイするからやっているので、じゃ、ペイしなかったらやりませんよ、民間は、そんなばかなことしませんよ。だから、ハローワークをPFIやろうといってやったって、はるかにハローワークの方がいい仕事ができているという結果が今出ているわけです。
そういう中で、福田内閣は五つの安心プランということで、その中に雇用、フリーターの常用雇用化、ジョブ・カード、様々な政策をやっているわけです。そういう形と矛盾する形で職業訓練というのを切り捨てていいのかというと、私はそうではないと思いますので、特に今これだけ経済が厳しい、油の値段も上がっていると。しかし、国際競争の中で日本の企業、特に中小企業、生き残っていかないといけない。そりゃ新しい人を雇う余裕はありませんよ。今いる工員さんたち、従業員の人たちの能力を、例えば旋盤にしても新しい旋盤の技術を上げてもらわないといけない。そのスキルアップすることによってやっと国際競争力が増す。
そういう中で、じゃ、だれが訓練するんですか。そんなものは、中小企業にお金ありません。そういうときに、きちんとしたポリテクセンターとか職業訓練学校、どういう施設でも構いません、国が責任を持ってそういう方の職業訓練をする。そのことによって中小企業がよみがえり日本経済がよみがえっていくということは、そして国民もきちんと雇用を確保できるということは、だれにとってもプラスになるわけですから、そういうポジティブ・サムのような形での政策づくりをきちんとやるべきであって、そういう議論を抜きにして、今何か人気取りでこういうことをやった方がいいとかポピュリズム的な対応をやった方がいいということに対しては、私は反対で、まず解体ありきじゃないんですよ。機構の中のどういう機能を残さないといけないか、何が国民のためになるか、それはきちんと議論する。
それで、例えば中央から地方に移してもいいですけれども、四十七都道府県、東京と鳥取違いますよ。財政力ないところでそれができますかと。こういうきめの細かい議論をして将来への青写真をきちっと作って、そして、そこにそういう形で改革するということがなくて、ただつぶせばいいということでは、私は国民に対して責任が取れません。
私のしごと館にしても、二百億円以上のお金が掛かった立派な建物をブルドーザーで瓦れきにしてしまうよりも、それを有効活用してきちんと国民のためになるようにやっていくと、こういう議論をやるべきだというふうに思っています。
何よりも私は、国が労働者の権利を守る、これは近代国家の基本的な姿であると、そういう哲学でこれまでも労働政策をかじ取りをやってきました。日雇派遣労働者、これ、日雇派遣の禁止にしても名ばかり管理職にしても、いろんな意味で私はそういう観点を忘れずにやってきたつもりでありますので、職業訓練ということについてもきちんと、日本国民に対する責任をそういう観点から果たしていきたいと、そういうふうに思っております。
○坂本由紀子君 ありがとうございます。
日本のどこにいてもそういう必要なサービスがしっかりと受けられるように責任を持って措置をするのが国の仕事であろうと思いますので、是非、大臣のその御決意の下でしっかりやっていただきたいと思います。
・・・<以下省略>・・・
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