衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第170回国会 本会議 第4号
平成二十年十月三日(金曜日)

    午前十時一分開議

・・・【中略】・・・

○本日の会議に付した案件
  一、請暇の件
  一、日程第一
  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員、裁判官訴
   追委員及び同予備員辞任の件
  一、裁判官弾劾裁判所裁判員予備員等各種委員
   の選挙

・・・【中略】・・・

○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、麻生首相に質問します。

・・・【以降、途中まで略】・・・

 総理は、最低賃金の引上げと労働者派遣制度の見直しに言及されました。それならば、ほとんどの労働団体が一致して要求している最低賃金を全国一律千円に引き上げる意思を示していただきたい。労働者派遣制度のどこをどう見直されるのか。日雇派遣の禁止、登録型派遣の原則禁止など、少なくとも一九九九年の原則自由化以前の状態に戻せというのが、これまた関係者ほとんどの総意ですが、そこまで踏み込む決意はおありですか。
  今、日本を代表する大手製造業で、違法派遣の摘発を受け、直接雇用への転換を余儀なくされるところが生まれています。しかし、その実態は、雇用期間三か月とか数か月、契約を更新しても最長二年十一か月、それを過ぎると雇い止めであります。
  人はこの世に生をうけた後、親や社会にはぐくまれ、大人になって仕事に就きます。そして、結婚、子育て、社会活動など様々な体験を経ながら両親をみとり、自らも老いていくという長い人生を送ります。決して三か月や数か月単位、最長二年十一か月単位で人生を送るのではありません。ところが、日雇派遣なら一日ごとの、期間社員なら最長でも二年十一か月だけの人生しか見通せなくなる。これほど不安な人生はありません。しかも、企業、工場は決してそんな単位で操業してはいないのにであります。
  総理は、国民にもたらされる不安を実に忌むべきと言い、これら不安を我が事として一日も早く解消すると宣言されました。ならば、不安な人生を強制する派遣や期間社員などの細切れ雇用の蔓延は、それこそ一日も早く解消すべきであります。そのためにも、派遣法の抜本的改正はもとより、二〇〇四年労働基準法改悪で導入された三年有期雇用の一般化を見直し、合理的な理由がある特別の場合以外の期限付雇用は禁止すべきではありませんか。
・・・【中略】・・・

○内閣総理大臣(麻生太郎君) 市田議員の質問にお答えをいたします。
・・・【以降、途中まで略】・・・

 最低賃金の引上げについてのお尋ねがありました。
  最低賃金を一挙に時給千円に引き上げることは、中小企業などの経営が圧迫され、かえって雇用が失われるおそれがあり現実的ではないと、そう思っております。また、全国一律の制度とすることは、地域によって物価水準などに差がありますから適当ではないと考えております。
  政府としては、中小企業の生産性を高めつつ、本年七月に施行されました改正最低賃金法に基づき引上げに取り組んでまいります。ちなみに、本年度につきましては、過去十年で最大の全国加重平均の引上げを行ったというのは御存じのとおりであります。
  労働者派遣制度の見直しについてお尋ねがありました。
  労働者派遣法につきましては、問題の多い日雇派遣を原則禁止するなど、労働者の保護を強化する観点から見直すことといたしております。一方、現在二百三十万人もの方に利用されております登録型派遣を禁止するということは、かえってその労働者の不利益にもなりますため、平成十一年の原則自由化以前に戻すという考えは適切ではないと思っております。
  必要以上に短い雇用期間を定めるいわゆる細切れ雇用についてのお尋ねがありました。
  派遣労働者や期間社員などの雇用の安定を確保することは重要な課題であると認識をいたしております。このため、企業に対しましては、必要以上に短い雇用期間を定めることなく、できるだけ長くするよう指導を行っております。また、希望する方には正規雇用の道が開かれますよう、職業能力を高めるための訓練、就職の支援など、様々な措置を講じておるところです。
  期限付雇用についてのお尋ねもありました。
  労働者のニーズも多様でありまして、期限付雇用に対する労働者の希望もありますことは御存じのとおりです。こうした期限付雇用を原則禁止することは労使双方の多様なニーズにこたえられなくなる可能性があり、慎重な検討が必要であると存じます。

・・・<以下省略>・・・




 

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