衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第2号 平成20年11月12日(水曜日)
午前十時開議
・・・【中略】・・・

本日の会議に付した案件

政府参考人出頭要求に関する件

児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)

厚生労働関係の基本施策に関する件

・・・【中略】・・・
午後一時開議

田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

質疑を続行いたします。山田正彦君。

山田委員 ・・・【以降、途中まで略】・・・

山田委員 今すごいリストラといいますか、新聞等によると、トヨタでも期間工を六千人から三千人に、日産でも二千人から千人にとか、いろいろなところでリストラ、これについても載っているようですが、もともと、自動車会社、こういうところは期間工、いわゆる期間を決めた従業員、三カ月か四カ月というのが多いと聞いております。こういったところから、あるいは派遣労働だけでかなりの数に上っていると思います、これはこれから聞いていくことにしますが。

その中で、私、この前、ちょっと連合静岡から話を聞いて、実際に相談員に当たった人から具体的にいろいろ詳しく聞いてみたんですが、私が出している資料一を見ていただければと思います。この二番目のところですね。「今朝(十月二十七日土曜日)会社から寮に五人来て、ドアをがんがんたたいて、開けろというので開けたら、踏み込んできて、」家財道具、独身ですから小さなものだと思うんですが、「運び出して自動車に乗せ、自分も乗せられて、台風の雨の中、駅前で放り出された。」と。

実際にその本人と連絡をとってみたんですが、これはもう携帯がつながりません。当時、連合静岡の浜松の相談員が、期間工で仮にやめさせられたとしても、宿舎との契約は権利があるんだから出ていくな、それをこうしてほうり出されたら、違法行為だから警察に行けと言ったそうです。それで、本人もやむなく警察にそのまま行ったそうですが、警察では民事不介入だといって全く取り合ってもらえなかったと。こうして、この方は寮から追い出されたら住むところがない。そうなると、当然、ネットカフェとかマックカフェとか、そういうふうに転々としなきゃならない。

こういう人がかなりの数いると思うんですが、今、そういった派遣労働者とか期間工の実態、これを厚労省として調べているはずで、私の質問事項にもあったので、大臣の方で答えられたら、今どういう実態にあるか、数その他、教えていただければと思います。

舛添国務大臣 まず、総務省の就業構造基本調査によりますと、製造業における契約労働者、いわゆる期間工でございますけれども、三十五万八千人、これは平成十九年の調査であります。また、都道府県労働局からの十月の報告によりますと、派遣労働者、請負労働者、またいわゆる期間工の約五千人が、雇いどめや中途解除または解雇されていると報告されております。

山田委員 期間工で三十五万人と言っていましたが、派遣労働者でどれくらいいますか。

太田政府参考人 今ちょっと手元に具体的な数字を持っていませんが、概数で申し上げますと、製造業における派遣労働者は大体五十数万人という状況でございます。

山田委員 製造業を聞いているわけじゃないんだけれども、全体の派遣労働者、では、私が調べました資料二を見ていただければと思います。

大臣もよく見ていただきたいんですが、この派遣労働が、平成七年から平成十八年度までの推移、今既に三百二十一万人。特に見ていただきたいのは平成十七年から十八年の数字、これが約百万近くふえているわけです。そうすると、この統計、平成十九年、二十年になるとはるかに四百万人を超しているんじゃないか。今は四百万人から五百万人に派遣労働者がなろうとしているのではないのか。これは大変な問題だ。

最近、二、三日前の新聞にも載っていましたが、非正規社員が、今まで三分の一ぐらいあるんじゃないかと言われておったけれども、もう既に四割を超えている。それに対して一体どのような、例えばやめさせられた、さっき言ったように、荷物をほうり出されて、台風の雨の中に人間までほうり出される。そういうやめさせられ方をして、人間らしく、派遣労働とか期間工が失業保険をもらって何とか憲法で言うところの最低の生活、これができるような状況になっているのかどうか。

大臣、どう思われるか。これについては、私も質問通告をしたつもりなので、ひとつ具体的に、抽象的じゃなく、お答えいただきたい。

渡辺副大臣 雇用保険の適用状況についてでございますけれども、就労形態ごとに把握する仕組みになっていませんので、当省が実施した調査によれば、派遣労働者が雇用保険に加入している割合は八八・七%、契約社員については八一・九%となっております。

以上でございます。

山田委員 それは違うんじゃないのか。私の手元にある中では、日雇い労働者数五十八万人、この数字も違うと思うんだけれども、そのうち日雇い労働者の被保険者数というのが二万四千六百三十八人。これは、厚労省がつくってきた数字だけれども、うち日雇い派遣労働者の被保険者数というのはたった三人となっている。

派遣労働者数百五十二万人のうち、これも数字がちょっと違うと思うんだけれども、これはみんな厚労省の数字なんだけれども、みんな違うんだな。何を把握しているのか、本当に。そのうち雇用保険の加入者は五・三万人とあるから、一割にも満たないじゃないか。それが何で八〇%以上加入しているんだ。それを明らかにしてほしい。

渡辺副大臣 失礼いたしました。

日雇い派遣労働者に対する日雇いの雇用保険の適用状況につきましては、委員お話ありましたとおり、現在のところ三名ということであります。本年の九月末現在におきまして、そのとおりでございます。

山田委員 そうすると、今は本当に、我々にとって、先ほどの話のように、それこそ映画のドラマじゃないけれども、ドアをドンドンたたいて、あけて、入ってこられて、追い出されて、車に乗せられて、駅でおろされる、そういう状況でそういう人たちは一体どうやって生活するのか。

これは、大臣、期間工の人もかなり多いと思うんですよ。それについて厚生労働大臣としては一体どういう対応をするつもりか、ひとつお考えを端的に、きょうは質問事項がいっぱいあるので、端的に答えていただきたい。

舛添国務大臣 日雇い派遣についての雇用保険の適用が進んでいない、これは御承知のとおりでございますけれども、昨年の九月以降、派遣元の事業者に対して、その雇用する日雇い派遣労働者へ日雇労働求職者給付金制度の周知を行うことを指導してきたところでございます。

引き続き、この周知方法が徹底していない面もございますので、さらに周知をしていきたいというふうに思っております。

委員御承知のように、いわゆる派遣社員と日雇いというのは統計上別になっております。一カ月未満の雇用契約で働く派遣労働者というのが、一日当たりで換算すると五万三千人というのが先ほどお渡しした資料でございます。

とにかく、今申し上げましたように、雇用保険の適用が進んでいない方々に対して、この給付金制度の周知ということを徹底するように、さらに努力を重ねてまいりたいと思います。

山田委員 先ほど、たった三人しか日雇い派遣のうちに保険に入っている人はいないと言いましたが、この日雇い派遣とか期間工もそうですが、もちろん本工の、本工というか正社員の四割ぐらい給料は安い、しかもボーナスも将来の望みもない、こういう、リーマン・ブラザーズの破綻以来、真っ先に切られていくのが派遣労働であり期間工である。

そんな中で、若い人はどういうふうになっているか。ちょっとこの前の秋葉原事件、八王子事件、これはみんな派遣労働者だ。大臣、これは大きな社会問題になりつつある。あの二人とも自殺志望だった。

では、若い人の死亡率、自殺はどうなっているのか。資料にはつけていませんが、私が調べたところだと、この十年の間にかなり、一・五倍ぐらい上がっていますね、ふえています。中でも、自殺がふえているのは三十から三十九歳。平成八年に二千五百一人いたのが、平成十九年には四千七百六十七人、約二倍近く上がっているんです。若い人が、何でこんなにこのところ急に自殺しているのか、そして、ああいう秋葉原事件みたいなことを起こすのか。

また、お年寄りもついでに言いますと、六十歳以上がやはり一・七倍か八倍ぐらいまで上がっています。これは、後期高齢者医療制度、大臣の責任もあると思っているんだけれども。

厚労大臣、きょう聞きたいのは、若い人がこういう状況に陥って、三十歳から三十九歳の若さで特にふえているということは、フリーターとか日雇い派遣とかいわゆるネットカフェ、マックカフェ、そういった人たちが、世の中に失望して秋葉原みたいなそういう事件を起こしたり自殺している。大臣、これに対して大臣としてどう責任をとるつもりか。

舛添国務大臣 雇用政策というのがこれからますます大事になってくる。そして、今委員が御指摘の問題は、私も本当に深刻にとらえております。

そこで、雇用の面では、新雇用戦略ということを設けまして、そのうち、三つぐらい柱がありますけれども、一つは、いわゆる就職氷河期に正社員になれなかった若者に安定雇用を実現しようということであります。

今、秋葉原事件なんかに関連して委員が、三十歳から三十九歳とたしかおっしゃいましたか、その年代の方のことを言及なさいましたけれども、先般、十月の末に生活対策として取りまとめた中に、いわゆる年長フリーター、年長フリーターと我々が言う場合に二十五歳から三十九歳を対象といたしますけれども、こういう方を雇用してくれた事業主に対して奨励金、具体的に言うと、中小企業については一人採用していただくと百万円、大企業については五十万円、こういう奨励金を創設して、今言った年代の方々に対してもきちんと対応したいというふうに思います。

それから、先ほど、追い出されたと冒頭の資料一で御説明ありました。住居を失って、まさにネットカフェなんかに寝泊まりする、こういう方々に安定的な就労をやっていただくために、チャレンジネットという専門の窓口も設けました。

その他、さまざまな施策を講じてその問題に対応していきたいと思っております。

山田委員 フリーターとかそういう人たちに対して、採用した場合に百万とか幾らか中小企業にやると言うんですが、局長、その実績、一体そういうのは何例あったか、教えていただきたい。

太田政府参考人 今大臣から申し上げました、年長フリーター等を対象とした求人枠を設けて雇用する事業主に対する特別奨励金の創設、今般の生活対策で打ち出したものでございますので、まだ補正予算等の設定がなされておりませんので、今、奨励金の創設をするという対策を打ち出したところでございます。

山田委員 これまでもいろいろあったのに、今の話ではまだ何もやっていないということじゃないか。大臣、どう思われますか。

舛添国務大臣 いや、先ほど申し上げましたように、新雇用戦略でさまざまな手を打っている、そして、それに加えて、先ほど申し上げました生活対策ということで今申し上げた奨励策をやったということで、フリーター対策、ネットカフェにおられる方の対策、こういうことは着実に手を打ってきたところでございます。

山田委員 これから本気でこの問題に取り組まないと、我々厚生労働に属する者としては大変だと思うんだけれども。

一つ、派遣労働者の中で、ちょっと私も日雇い派遣の仲間と一緒にネットカフェに行ったりマックカフェに行ったり、そして、これは働いている現場も見せていただきました。その中で彼らが話しているのは、本来、派遣労働で禁止されている建設現場、もう一つは港湾の荷役、これが一番多いんじゃないか、私が当たった範囲では。本当の日雇い派遣で、ネットカフェで寝泊まりしている連中です。

これは明らかに違反なんじゃないか。これは一年以下の懲役、百万円以下の罰金に処せられるはずで、それについて厚労省は一回でも立入調査をしたことがあるかどうか、労働基準監督署は。

太田政府参考人 委員御指摘のように、労働者派遣法におきましては、港湾運送業務、建設業務などにつきましては労働者派遣事業を行ってはならないということになっているわけでございまして、罰則も当然ついているわけでございまして、法を遵守されるように広く周知を図っているところでございます。

この法違反の実態につきましては、労働者からの申告に対応するのみならず、派遣元事業主等に対する定期的な指導監督を行って積極的に把握をするように努めているところでございまして、法違反があれば厳正な指導を徹底しているところでございまして、十九年度の指導監督件数一万件の中で文書指導件数は六千五百件、うち禁止業務に係る指導は六十五件というところでございます。

山田委員 今、いわゆる派遣元というか派遣業者だけで五万か六万か届け出だけであるでしょう。ところが、静岡県だけで調べてみると、二千ぐらい派遣業者がいるというんだ。ほとんどがやみだ。届け出なしで派遣業を行っている。しかも、港湾の現場というのは、七割から八割は派遣労働者で占められているというじゃないか。それを単なる書面の報告書とか、そういう指導とか監督じゃなく、実際にその実態の立入調査を一回でもやったことがあるのかないのか、それを聞いているんだ。

太田政府参考人 今申し上げました一万件の指導監督件数、基本的には現場に立ち入って調査を行っているということでございまして、その中で文書指導件数は六千五百件、禁止業務に係る指導は六十五件、こういう状況でございます。

山田委員 実際に港湾の現場で立入検査をしたことがあるのかないのかと聞いているんだ、事前に報告を求めるじゃなく。大臣、答えてほしい。どうなんだ。聞かれたことにきちんと答えてくれればいいんだ。

太田政府参考人 派遣元事業主等に対する定期的な指導監督でございますので、実際の現場で、入って調査も行っているという状況でございます。

山田委員 そうじゃない。やみの業者もいっぱいあると言っているじゃないか。ただ建設や港湾で働いている労働者のところに立入調査して、派遣労働なのか直接雇用なのかという実態の調べというのは、僕が労働基準監督署に聞いた限りで一件もやったことがない。局長、もういい。

・・・【以降、途中まで略】・・・
山田委員 大臣、もう一回最初に戻りますが、ガンガンとドアをたたかれて、三人踏み込んできて、台風の中、駅前に連れ出されてその宿舎からおっぽり出された、こういう人たちが今も何千人も何万人もいるわけだ。いわゆるネットカフェ、私もそこに行って一晩一緒に過ごしてみた。マックカフェ、いわゆるマクドナルドのお店に行って、どういう寝心地になるのかやってみた。

そういうふうに今、働き手で家のない人、もともと雇用促進住宅制度というのは、いわゆる就労者のための住宅支援だ。そういった就労者のための住宅支援というのを思い切って、例えば生活保護はもう百万人ぐらいで打ち切りだ。それで、まともに何とか働いて食べていける人はいい。しかし、失業保険もない派遣労働者、これは今物すごい数がいる。そして期間工、そういった人たちに対して、期間工も期間工をやめるということになると寮を出ていかなきゃいけなくなるんだ。そういった相談もいろいろと私のところにも来ている。そうすると、どうしてもこの住宅支援、住宅手当、これが必要なんじゃないのか。

例えば、そういう雇用、日雇い派遣労働者の皆さん方、そういった方に一人六十万やるとして、仮に一万人に支払ったとしても六百億だ。天下り法人をやめてしまえば、これは五万人の人にだってできるんじゃないのか。大臣、こういったいわゆる就職支援のための働く人の住宅手当、そういったものは考えられないだろうか。

舛添国務大臣 今ネットカフェの問題なんかをおっしゃいました。このホームレスを含めての住宅支援をどうするかということでありますけれども、今の政策は、ホームレス自立支援法というのがございまして、これに基づいて自治体がホームレス自立支援センターを設置して、ここで宿舎や食事の提供を行う。それから、今ネットカフェにおられる方々に対しては、行政もそうですけれども、NPOの皆さん方にもお手伝いいただいて、とにかく求人のときに、例えば寮がついていますよ、賄いつきですよと。それから、常用雇用をやはりやっていただくということで支援をする。それから、アパートに入居するとき、先ほど敷金の話が出ました、こういうことの貸し付けを行うということをやっております。

こういうことを総体的にやりながら、ホームレスの方々それから住居が不安定な就労者の方々に対して、とにかく職業についていただく、そして安定した雇用を得ていただく、そして住宅の支援もそういう形でやっていくという方向で今は政策を行っておるところでございます。

山田委員 政策を行っているところで、まだ国からはやっていない。実際に東京都はわずか、それについて上限六十万までで、六十人ぐらいまでやっているようだけれども、我々政治家として、厚生労働に属する者として、この就業支援のための住宅手当、これをぜひこの雇用保険のうちから何とか、これだけの霞が関の埋蔵金、両方合わせると八兆と七兆で十五兆円だ。これだけあれば本当にその住宅支援等々はできるはずだ。それをぜひお願いして、私の質問を終わりたいと思います。

・・・<以下省略>・・・




 

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