衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第170回国会 法務委員会 第2号
平成二十年十一月十三日(木曜日)
   午前十時開会
・・・【中略】・・・

  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○法務及び司法行政等に関する調査
(薬害肝炎訴訟における国の姿勢に関する件)
(裁判員制度の円滑実施のための支援体制の整
備に関する件)
(死刑の執行及び殺人事件の求刑・量刑の基準
に関する件)
(法科大学院の現状と改善策及び司法試験合格
者数の見直しに関する件)
(刑事施設の過剰収容問題に関する件)
(犯罪被害回復給付金の支給状況に関する件)
(外国人研修生・技能実習生制度の実態に関す
る件)

・・・【中略】・・・

近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。大臣、よろしくお願いをいたします。
最初に、先月の十月二十六日の夕方、渋谷で起こった事件について大臣の所見をお伺いしたいと思うんです。
これは、先月の二十六日の夕方、渋谷のハチ公辺りで若い連中が、歩いていけるところに麻生総理の私邸、敷地だけでも六十二億円ぐらいするそうなんですが、これを見に行こうと、こういうことになって、そしてその後、歩き出したところ、規模としては、やじ馬等もいましたので正確に何人ぐらいなのか分からないんだけれども、まあ五十人、やじ馬を含めても百人ぐらいではないかと、こういうふうに言われておるんですが。
最初は、近くにいたお巡りさんは、それは行くときはちゃんと歩道を通っていかなきゃ駄目だよ、総理のうちの前へ行ったら五人ぐらい束になって歩いていかなきゃ駄目だよと、こんな話をしていたと。ところが、固まって動き出して、赤信号で止まって、青になった途端に私服の警察官がわっと襲いかかってきて三人逮捕されたと。一人が逮捕されて、そしてその逮捕を阻止しようとしている二人が公務執行妨害でやられたと、こういう事件だそうであります。
私は、その後、インターネットでそれを見たり、あるいは関係者の話を聞いたり、そこに作家の雨宮処凛さんなんかもいたそうなのでありますが、いろいろ聞きました。これは、逮捕後十日間の勾留が付いて全員釈放されたということでありまして、果たしてそもそも集団的示威行動と言えるのかどうか極めて私は疑わしいと、聞いた範囲でございますけれども。外形的な事実から見て極めて疑わしいにもかかわらず、事前警告もなしに一挙にそれを言わば抑え込もうとした。
これを私はやっぱり見まして、いろいろ、ごく普通の若者だったようであります。従来の政党とかそういう関係のない若者、格差の拡大とか貧困に怒りを持っている人たちがこういう話をしている中で、六十二億円の、じゃ、うち見に行こうと、こういう話になって歩き出したというところなわけでありまして、法律的にも、そもそも構成要件の該当性の点からも非常に問題があるし、違法性の点からいっても大変問題があるにもかかわらず、問答無用で押しつぶして、そして十日間の勾留後全員釈放したと。まさに見せしめ以外の私は何物でもないというふうに思っておりまして、ここで逮捕の違法性の議論をしたってそれはなかなか言うことを聞かないし、本来は警察の方に聞くのが筋なのかも分かりませんが、その後十日間の勾留が付いたということでありますので、これは法務行政の問題でもあるというふうに判断をいたしました。
そういう意味で、こういう非常に露骨な、まさに、まあ私はそもそも公安条例の対象ではないと思うし、仮にあったとしても、極めてごく微罪なものに対してやっぱり国家権力を振りかざして襲いかかる、こういうやり方は私はやっぱり絶対やるべきではない、そういうふうに思います。一方で、国会ではどんどんと言いたいことを言っている御仁もおられますけれども、表現の自由とか、思想、表現の自由というものを考えれば、私はもっとやっぱり違った対応があってしかるべきだと。
そういう意味で、今回のやり方等について法務行政のトップとしてどういうふうな所見をお持ちなのか、私は率直に言って不当な本当に弾圧だと、こういうふうに思いますが、大臣の見解をお伺いしたいと、こういうふうに思います。
国務大臣(森英介君) これは個別事件の捜査に関する件でございますので、法務大臣としては所感を述べることは差し控えさせていただきます。
一般論として申し上げれば、検察当局において法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しています。
近藤正道君 実にがっかりする答弁でございますが、少なくとも、警告もなしに襲いかかって、そして実質十三日も身柄を押さえて釈放する、これ本当に異常だと思うんですよ。なぜこの事件を言わば集団的示威行動と。私は、集団的な意思なんてなかったという、いろんな人の話を聞いてみますと、ないと、こういうふうに思うんですが、法務大臣にはどういう報告が上がってきているんですか。私は事前に通告をしておりますので、是非お伺いしたいと、こういうふうに思うんです。
国務大臣(森英介君) お尋ねの事件については、本年十月二十八日に東京地検に送致され、検察官が裁判所に被疑者の勾留を請求して、これが認められ、十一月六日、検察官において釈放したものと承知しております。
今申し上げましたとおり、個別事件の捜査についての所感を述べることは差し控えますが、刑事訴訟法は、現行犯逮捕の場合も含め、逮捕された被疑者について裁判官の発する勾留状により勾留することができる旨を規定をしており、本件についても同法の規定に基づき勾留されたものと認識しております。
近藤正道君 全く理由がありませんし、十日間で全員をまた釈放するような、そういうぶざまなことだったら最初からやっぱりすべきではないと。不当逮捕のまさに証左がここに私は表れているということを今日は指摘だけをさせていただきたいというふうに思っております。

・・・<以下省略>・・・




 

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