衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第170回国会 厚生労働委員会 第2号
平成二十年十一月十三日(木曜日)
   午前十時開会

・・・【中略】・・・

  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
(介護従事者の給与改善のための介護報酬改定
に関する件)
(年金記録改ざん問題等の実態解明に関する件

(周産期救急医療対策に関する件)
(医療安全対策に関する件)
(公立病院の経営改善、医師確保等に関する件

(若年者雇用対策に関する件)
(事業縮少に伴う派遣労働者等の解雇問題に関
する件)
(公的年金資金運用の在り方に関する件)

・・・【中略】・・・

小池晃君 日本共産党の小池晃です。

・・・【以降、途中まで略】・・・

小池晃君 ・・・【中略】・・・
引き続き、今の経済情勢にかかわって、リストラと年金の株式運用の問題について今日は聞きたいと思います。
大規模な労働者の首切り、雇い止めが始まっています。しかし、ウォール街のばくちのような経済によってつくられたこのツケをやっぱり労働者に回すというのは私は許してはいけないというふうに思うんです。
厚生労働省として、現在起こっているリストラの動きについてどのように把握しておられるか。製造業の派遣・請負労働者の離職、百名以上の離職者を出している企業の数とか離職者数について御報告をしていただきたい。
政府参考人(太田俊明君) 都道府県労働局からの十月の地域の雇用失業情勢の報告でございますけれども、雇い止めあるいは中途解除は十八件となっているところでございまして、派遣労働者、請負労働者、またいわゆる期間工の方々約四千九百四十人が雇い止め等をされているところでございます。
それからまた、同じ都道府県労働局の報告でございますけれども、解雇などによる雇用変動、これは原則百名以上のところでございますけれども、三十五件ということで、これは正社員とかパート社員の方々でございますけれども、約六千三百人が解雇等の対象になってされているというふうに聞いているところでございます。
小池晃君 資料で詳細はお配りをいたしました。
厚労省が把握しているだけでも一万人を超える。しかも、報道では、トヨタ自動車とそのグループ企業だけで七千八百人に及ぶ期間社員、派遣社員の首切り、日産で七百八十人、マツダ八百人、スズキ六百人と、大企業が相次いでリストラ計画を発表しています。こういう一斉に大量解雇というのはかつてなかった事態ではないかと。
減益とはいっても、トヨタでもなお年間六千億円の利益を今年見込んでおりますし、内部留保、ため込み十三兆円あるわけですね。トヨタのかつて奥田碩会長は、経営が悪化したときに労働者の首を切るような経営者は腹を切れと言った。ところが、やっていることと実態と違うわけです、今。
大臣、昨日、首相あてに申入れも私ども日本共産党として行いましたが、この大量解雇、雇い止めをやめさせて、雇用維持のために最大限の努力をするように、日本経団連を始めとする経済団体に対して大臣が直接乗り込んで物を言うべきときではないですか。指導すると、改善を申し入れると、やるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣(舛添要一君) 今の委員の御意見も受けまして、近々、経団連に参り、そのことについてもきちんとやることを検討したいと思います。
小池晃君 これは是非やっていただきたい。厳しくやっぱり申入れをしていただきたい。指導をしていただきたい。
厚生労働省に仕組みをちょっとお聞きしたいんですが、こういう大規模なリストラが始まっている中で、これを監視したり企業に雇用責任を果たさせるための仕組みは現行制度では、簡単に説明していただきたいんですが、どんなものがあるんでしょうか。
政府参考人(太田俊明君) 今御指摘の企業での大量雇用変動に対応する仕組みでございますけれども、雇用対策法に基づきまして二つ仕組みがございまして、一つは再就職援助計画の作成、もう一つは大量雇用変動の届出でございます。
再就職援助計画の作成につきましては、これは事業規模の縮小等に伴って離職を余儀なくされる労働者の職業の安定を図るということで、事業主に計画を作っていただきまして、円滑な再就職を促進するというものでございます。
それから、大量雇用変動の届出につきましては、これは一時的に大量の離職者が発生してその地域の労働需給に影響を及ぼすおそれがあるという場合には、この事業主からの届出を受けて、ハローワーク等の関係各機関が再就職支援のための措置を講ずるということで迅速かつ的確に対処するということでございまして、そのような仕組みがあるということでございます。
小池晃君 その大量雇用変動や再就職援助計画の直近までの提出の数字見ましたけれども、例えばトヨタなどでは今年既に二千人の期間労働者が辞めさせられたと報道されているんですけど、それらしき数字が見当たらない。トヨタからは、法律で定められている大量雇用変動の届出若しくは再就職援助計画の報告は出ていますか。
政府参考人(太田俊明君) 個別の企業に係る事案についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思っておりますけれども、一般論として申し上げれば、これらの制度の対象となる大量の離職者が発生した場合には、これは事業主は当然ながら法に基づき計画等の提出をしなければならないということでございますので、もし提出がなされてない場合には、これは当然ながらハローワークにおいて適切に指導等を行ってまいりたいということでございます。
小池晃君 これ、マスコミが大々的に報道されているような事態ですから、何で答えられないのかなと。事前にも答えられないという話だったけれども。
私、やっぱりこういう態度では、本当に企業側から労働行政というのが足下を見られるというか、甘く見られるということになると思うんですよ。きちっとそういうところでは言うべきだと。
そもそも、じゃその今の大量雇用変動や再就職援助計画の仕組みが今のリストラの動きに対応できているのかどうかということなんですが、ちょっとお聞きしますけれども、今大企業のリストラの主な手段としては期間社員が期間満了したということで雇い止めをすると、あるいは派遣労働者の契約解除ということがかなりの部分を占める。局長、そうした場合も再就職援助計画の提出の対象になるんでしょうか。
政府参考人(太田俊明君) 再就職援助計画の対象でございますけれども、これは事業所に常時雇用されている労働者のうち事業規模の縮小等を伴って離職を余儀なくされる者を対象としているところでございます。常時雇用される労働者でございますけれども、これは六か月以上雇用されている者又は継続して六か月以上雇用されていることが予定されている者をいうということでございます。
小池晃君 いや、でもその有期雇用の場合はそうじゃないでしょう。六か月以上雇用されていたらすべて対象ですか。正確に言ってください。
政府参考人(太田俊明君) 今のお尋ねの件でございますけれども、期間を定めて雇用されている者のうち期間満了により雇い止めとなるという者につきましては、こうした支援の必要性を勘案して、労働契約の更新により三年以上引き続き雇用されている者を再就職援助計画の対象としているところでございます。
小池晃君 ということは、三年以内で期間満了の場合は届出の対象にすらならないということですね。
政府参考人(太田俊明君) 御指摘のとおりでございます。
小池晃君 大臣、こういう仕組みなんですよ。三年以内は対象外と言うけれども、今トヨタを始めとする製造業大手の雇用形態というのは、二年十一か月というのを上限として五か月、六か月の期間契約を繰り返して二年十一か月で全部もう終わりと、そういう雇用形態の中で多くの大企業の期間労働者は雇用されているわけですね。
結局、今の話でいえば、ずっと働きたくても三年以内に期間満了になるわけで、三か月とか六か月とかその契約期間の満了さえ待てば企業は何の対策も問われずに再就職援助計画出さないでいいという仕組みになっています。これで雇用対策といっても絵にかいたもちではないかと。
それから、派遣労働者に至っては、これは登録型だったら、これは派元が大量に解雇すればそれはまた別ですけど、派先が幾ら切ったってこういう中に載ってこないという仕組みになっているわけですよ。
率直に言って、私は今の雇用対策が大企業の雇用の今の在り方にマッチしていないと。要するに、一時的、臨時的な仕事じゃなくなってきているんです、派遣も期間社員も。それがまさに企業、工場内の期間労働者になってきている。そこに今リストラの嵐が襲ってきているときに、そこに全く作用しないような雇用対策になっているんではないだろうか。私は、今のままでは実態の把握すらできないし、そういう労働者に対して雇用対策の手を差し伸べることすらできない。これ、構造的問題だと思うんですよ。
大臣、やっぱりここは抜本的に見直していく必要があるというふうに私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
国務大臣(舛添要一君) 三年以内ということでその再就職計画の対象になるかどうかが切られているという今の仕組み、それはそれなりの判断で行われたと思いますけれども、やはり今委員がおっしゃるように、この再就職計画の対象となるべき労働者を確実に捕捉していく、そして今の制度がこれでいいのかどうなのかということも含めて少し検討させていただきたいと思います。
小池晃君 派遣労働者についてちょっと追加で聞きたいんですが、これは中途解除の場合は、派先にはどういう対応が求められていますか。
政府参考人(太田俊明君) 派遣契約の中途解除につきましては、これは違法ではないわけですけれども、当然ながら派遣労働者の雇用の安定の面からは好ましいものでなくて、可能な限り避けるべきものと考えております。
したがいまして、これは派遣元、派遣先、派遣先だけでなくて派遣元も含めてその指針に基づきまして、中途解除の際には派遣元、派遣先の双方の企業に対しまして、例えば具体的に派遣先ですと関連企業での就業をあっせんするということによりまして、新たな就業機会を確保するように必要な措置を求めているということでございます。
小池晃君 しかし、それはその指針の努力義務にすぎないわけですよね。
大臣、今、大規模な派遣切りが進んでいるわけです。何百人単位で派遣労働者の首を切っても、これは努力義務で終わっているという実態なんですね。これでいいのかと。やっぱり指針に沿った対応がちゃんとなされているのかどうか、大量に、もう報道されていますから、いっぱい。こういう企業に対して一斉点検などをやっぱり今こそやるべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
国務大臣(舛添要一君) 労働基準局を始め必要な監査、指導、これは行っていきたいと思います。それとともに、やはりこの派遣労働そのもの、それから常用雇用でない方々、この方々を何とか安定した職に就いていただく。そのため、先ほど来申し上げています十月三十日の生活対策でもそのための様々な施策を取り込んでおりますので、調査検討、指導監督、それとともに総合的な施策でこの派遣労働者の雇い止め、その他に対応していきたいと思っております。
小池晃君 一般的な対応ではなく、特別対策を是非打っていただきたい。
それから、雇用を打ち切られて失業した労働者の生活と再就職を支える、これも待ったなしです。雇用保険財政の積立金の残高については、これは失業等給付費で四兆九千三百六十二億円、二事業の安定資金で一兆一千七百六億円です。合計が六兆円超えるわけですね。
私ども、一昨日、緊急経済対策も出しましたが、これ活用すべきだと。やっぱりこの間の失業給付の削減を見直すとともに、雇用保険から排除されて未加入の労働者なんかも含めて、やっぱり生活援助制度をつくる、職業訓練や再就職活動中の生活支援制度をつくる、それから住宅困窮者に対する家賃補助、あるいは家を借りるときの保証人などの制度、こういったものも具体的に提案をしておりますが、大臣、やはりこの雇用保険の積立金を、雇用対策以外に使えって言っているんじゃないですよ、やっぱり雇用のためにこれは使っていく、これは私は道理があることだと思うし、今こそやるべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。
国務大臣(舛添要一君) 四兆九千億、これは失業した場合の積立てですから、私はこれはこういう状況であればまずしっかり守りたい。それから、二事業の一兆一千億円、これをどういうふうに活用するかと、それも考えたいと思いますし、それから、ただ安易に最後のセーフティーネットである積立金を埋蔵金などと称して使うということに対しては、私は非常に消極的なんです。むしろ、生活対策であるように、様々な常用化のプラン、それから、例えば非正規労働者就労支援センターを設置する、その他の追加経済対策でこれは対応すべきだというふうに思っております。
小池晃君 安易に使えとは言ってないんです。漫然とため込むことが許されるのかと。こういうお金があれば、やっぱり雇用のためにこそ使うべきじゃないかということなんですよ。やっぱりこれ、真剣に検討すべきだと。
それから、雇用保険については国庫負担の廃止を求める議論がありますが、そもそも国庫負担、なぜあるのか説明していただきたい。
政府参考人(太田俊明君) 失業等給付の国庫負担でございますけれども、これは保険事故である失業というものが政府の経済政策あるいは雇用対策と関係が深いものであって、その財源を労使双方の負担のみにゆだねるのではなくて政府もその責任を担うべきであると、そういう考え方でしているものでございます。
小池晃君 大臣、今の国庫負担の考え方からすれば、今議論されているような雇用保険に対する国庫負担を廃止するということなどは到底許されない議論ではないかというふうに思うんですが、大臣いかがですか。
国務大臣(舛添要一君) 私もそのとおりだと思います。
やはり、国が労働政策にきちんと責任を持つということは近代国家の必要な要件だと思いますので、私はあらゆるところでそこのことに対しては反対で、そうじゃなきゃ労働省って要らないはずです。そういう思いでおります。
小池晃君 そこはしっかりやっていただきたいということと、それからちょっともう一点、さっきの雇用保険の積立金の活用について、安易だというような形でやっぱりその議論をしてしまうのは私はおかしいと思うんですね。やっぱりきちっとそれは、今これだけ、百年に一度だとグリーンスパンが言うような事態の中で、大リストラが襲ってきたら何が起こるかって、これは景気が悪化するわけで、大不況を呼び込むようなことになるわけですよ。だから、そこを阻むためにこの積立金を使うというのは私は安易でも何でもないと、まさに理にかなった使い方ではないかというふうに思いますよ。
大臣、どうですか。やっぱりそれ、もっと踏み込んでこれ活用するというふうに決断すべきだと思いますよ。どうですか。
国務大臣(舛添要一君) これから先の例えば失業者がどれだけ増加するか、そういうことで、四兆というのは過剰に過ぎる、どんなことがあっても四兆九千億円使うことはあり得ないということは言うわけにはいかないと思います。
ですから、私はそこに手を付けるよりも様々な経済対策でこの経済社会の活性化をし、失業者を一人でも出さない施策をやっていくということでありますから、委員のお気持ちはよく分かりますけれども、最後のとりでとして私はこれは今のところはきちんと守り、そのほかの施策でもってまず闘いたいと思っております。
小池晃君 全部使えと言っているわけじゃないんですよ。共産党の提案だって一兆円程度活用しとちゃんと書いてあるんですから。だって、雇用保険財政だけ残ってあとは焼け野原になったって何の意味もないじゃないですか。だからやっぱりしっかりそこは考えてやってほしいと。

・・・<以下省略>・・・




 

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