第170回国会 厚生労働委員会 第2号
平成二十年十一月十三日(木曜日)
午前十時開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
(介護従事者の給与改善のための介護報酬改定
に関する件)
(年金記録改ざん問題等の実態解明に関する件
)
(周産期救急医療対策に関する件)
(医療安全対策に関する件)
(公立病院の経営改善、医師確保等に関する件
)
(若年者雇用対策に関する件)
(事業縮少に伴う派遣労働者等の解雇問題に関
する件)
(公的年金資金運用の在り方に関する件)
・・・【中略】・・・
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
先日、予算委員会で労働者派遣法について、労働者派遣についてお聞きをしましたが、今日も継続してまずお聞きをいたします。
派遣労働者の注文減少、中途解約など、景気後退から生ずる実態把握について、先日お聞きをいたしました。私も十月現在における企業整備状況をいただきましたし、先ほど四千九百四十名ということで回答がありました。
しかし、この企業整備状況は十四県しかないんですね。一番、例えば私もたくさんメールをいただきますが、愛知県、静岡県、派遣が多く、派遣切りが多く進行していると言われているところはありません。ですから、実際は四千九百四十名ではなくもっと多いと思いますが、本当の実態はどうなっているんでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 私ども十月に、全国のハローワークを通じまして中小企業四千二百八十五社に対しまして、経済情勢の変動に伴う雇用面等への影響に関するヒアリング調査を行ったところでございます。
これを見ますと、マクロのデータでございますけれども、派遣社員についての雇用の過不足感は、過剰とする事業所が不足とする事業所を一三・五ポイント上回っておりますし、特に輸出型製造業では二六・〇ポイントの過剰という状況でございます。
それから、派遣、パート、契約社員等の再契約の停止を行った事業所というのが、これが全事業所に占める割合で三・六%でございます。いずれも七回、七月の調査と比較しまして悪化しているという状況でございます。
それから、都道府県労働局の個別の把握で累計いたしますと、先ほど申し上げた四千九百四十人というのが派遣労働者、請負労働者、いわゆる期間工の雇い止め等の数字でございます。
○福島みずほ君 ヒアリングの結果はいただいております。私の質問は、四千九百四十名のこの表が十四県しかないので、問題の大きい愛知県、静岡県が入っていないのはなぜかとお聞きしているんです。
○政府参考人(太田俊明君) これは都道府県労働局で把握できる限りの数字で把握したものでございます。ですから、全部網羅的に把握しているかというと、そこまではいっていませんけれども、いろんな情報によって把握したものを全部集めて累計したものでございます。
○福島みずほ君 いや、ひどいですよ。労働局が全国都道府県にあって、出ているデータが十四県だけで、先ほど四千九百四十名と言ったのはたかだか十四県なんですよ。しかも、ここからは、多く製造業現場に派遣がいる、そして実際派遣切りが行われていると言われている愛知県、静岡県はないんですよ。局長、なぜ愛知県、静岡県は上がってきていないんですか。
〔委員長退席、理事家西悟君着席〕
○政府参考人(太田俊明君) これは労働局からの個別の情報を集計したものでございますので、基本的に私ども、労働局にこのような動きがあったときには情報を上げるように指示しているところでございますけれども、更に愛知、静岡も精査をしてみたいと思っております。
○福島みずほ君 厚生労働省は、予算委員会でも質問しましたし、全国の労働局に全部上げろと言うべきじゃないですか。さっき四千九百四十名と言ったけれど、たかだか十四県の結果を言っているだけで、厚労省、指導すべきですよ。
大臣、すべての労働局に対して、派遣切りがどれだけ行われているか、十四県以外のデータも上げるように指導してください。
○国務大臣(舛添要一君) しかるべき調査をするように指導いたします。
○福島みずほ君 よろしくお願いします。
中途解約についても予算委員会で質問しました。これは仕事のあっせんを実施しているかどうかについて実態は把握していないというのが答弁でした。今日どうですか。
○政府参考人(太田俊明君) 中途解除につきましては、これはやっぱり可能な限り避けるべきものであるという考え方でございまして、先ほど申し上げたとおり、派遣元・派遣先指針に基づいて派遣元、派遣先双方の企業に対しまして、例えば派遣先の関連企業での就業をあっせんする等によって新たな就業機会を確保するように必要な措置を求めているところでございまして、実際にあっせんした例も把握しているところでございます。
先ほど申し上げたとおり、労働局でも把握に努めておりますけれども、基本的に全労働局でしっかりと把握し、適切な指導をしていきたいというふうに考えているところであります。
○福島みずほ君 中途解約をした結果について、仕事をあっせんしているかどうか、要するに指針が実効性があるものかどうかのデータについて、きちっと局長、出してくださいますね。約束してください。
○政府参考人(太田俊明君) 基本的に、先ほども申し上げたとおり、各労働局にはこのような情報はすべて、情報を本省に報告するようにということを指示しておりますので、その中でできる限りの把握をしていきたいと。それで、派遣先・派遣元の指針が守られるように引き続き指導をしていきたいということでございます。
○福島みずほ君 中途解約について指針が実効性があるかどうかについて私に回答をくださるという意味だということの確認です。よろしいですね。
○政府参考人(太田俊明君) 派遣先指針がどのように守られているか、できる限り把握いたしまして報告をしたいということでございます。
○福島みずほ君 今、中途解約と派遣切りが進んでいるので、お願いします。
大臣、例えば今日聞いたケースで、十月二十九日で、三十日にあなたはもう契約、解約をします、そして寮は十一月十五日に出ていってくれと言われる。つまり、派遣の人たちは寮に住んでいますから、中途解約で、あしたで終わりです、中途解約、そして来月十五日には寮を出ていってくれとなって一挙にホームレスになる、住まいを失うわけですね。今、現状はこういうことが行われているということに対して厚労省はもっと身を乗り出して解決すべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(舛添要一君) 労働者派遣法その他様々な労働関係の法律に基づいて、そしてまたこれまで様々な指針を出しておりますので、そういう指針に基づいてきちんと指導をしてまいりたいと思います。
○福島みずほ君 雇用促進住宅などについて、そういう人を例えば緊急的にでも入れるというのはどうですか。
○国務大臣(舛添要一君) それについては、平成三十三年までにこれは廃止するという形で今そのプロセスを踏んでおります。
したがいまして、そこに入れるというよりも、例えばハローワーク、それから例えばネットカフェにおられるような方々に対して、NPOや自治体を通じて様々な施策を取る。例えば、就職先に必ず寮が付いているところを就職する。それから、新しいアパートを探すときの資金を援助する。様々な施策をやっておりますので、そういう形でむしろ対応をして、雇用促進住宅はこれは廃止していくという方向ですので、それを両方ごっちゃにしないで、むしろ別の施策でやった方がいいと考えております。
○福島みずほ君 現状では愛知県や静岡県でホームレスになる。さっき言った例ですと、もう放り出される。実際そうなんですね。緊急的にもっとやらないと、実際、住居あるいは雇用保険もなかなかありませんから、実際とんでもない状況が起きている。それについてはどうですか。
○国務大臣(舛添要一君) そういう状況について、こういう方々に対してどういう生活支援をするか、再就職支援をするか。これは厚生労働省としても、それぞれの自治体と協力をしながらきめの細かい対策を取るべきだし、そういう方向で努力をしたいと思います。
○福島みずほ君 あしたであなたは中途解約、そして十五日には出ていけと言われて、なかなか間に合っていない。要するに、現状がひどい状況なわけで、それに対して今の厚労省の行政が追い付いていっていないという現状です。これについては、速やかにこうするという方針を出していただくよう、また改めて質問していきます。
・・・【中略】・・・
○福島みずほ君 派遣法の改正案が閣法で出ております。今派遣切りが問題になっておりますが、派遣切りに対してこの法案は有効ですか。
○政府参考人(太田俊明君) 今般国会に提出しました労働者派遣法の改正案におきましては、製造業を含む日雇派遣を原則禁止にするとともに、派遣元事業主に対しまして登録型派遣労働者の常用雇用への転換推進措置を努力義務とすることを盛り込んでいるところでございまして、これらの措置を活用いたしまして製造業等で働く派遣労働者の雇用の安定に努めてまいりたいと考えております。
それからまた、これは派遣法だけでなくて、派遣法の枠組みを超えて派遣労働者を始めとしました非正規労働者に対する支援、正規雇用化への支援を行っているところでありまして、今後ともその充実強化に努めてまいりたいということでございます。
○福島みずほ君 努力義務しかすぎず、もう今恐らく何万人レベルでしょうが、派遣切りになっている人たちに対してこの閣法は何も有効ではないんですね。努力義務でしかありません。
以前この委員会で質問したとき、大臣は、ディーセントワークとは何かという私の質問に対して、直接常用雇用だ、予算委員会での質問ですね、とおっしゃいました。また、この委員会の中で、メーキング、製造業については派遣を認めるべきではないとおっしゃいました。残念ながらこの閣法はそういうふうになっておりません。
大臣、これ不十分だと思われませんか。
○国務大臣(舛添要一君) 私は、常に恒産なければ恒心なしということを申し上げて、メーキングにまで常用雇用じゃないのが当たり前のようなことを言っちゃいかぬということを申し上げました。
そしてその一方で、しかし自由な働き方をしたいという人たちもたくさんいるということで、今回、私は日雇派遣を原則禁止するということをこれはやりたいということを言ったら、大変一般の方々から抗議のメールや手紙が来まして、私はこうして登録して働いているのに、あなた、私の生活どうしてくれるんだという、そっち側の意見もあるんです。そして、今製造業含めて二百三十万人ぐらい登録型で働いている方々はおられます。これ全部駄目だということになると、この人たちが働けなくなるということもあるんで、そこのバランスを取ってやりたいというふうに思っていますんで、いろんな声に耳を傾けながらディーセントワークを実現するために努力をしたいと思っております。
○福島みずほ君 二〇〇二年の改正前まではその人たちは派遣ではなかったわけですね、製造業で今働いている人は。ですから、製造業について派遣が広がったのは派遣法の改悪によってですから、それは直接雇用を企業はちゃんとすべきだというふうに思います。いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) そういう方向で様々な指導をやっていく。先ほどのこの派遣止めの、雇用の打切りのようなことについても努力義務ということを課しています。しかし、努力義務も、これも相当厳しく指導すれば私はかなり前に進めることができると思います。
だから、先ほど申しましたように、私のところに、大臣、私の職を奪わないでくれという登録型の労働者から相当な抗議が来ています。しかし、その中でどうしてやるかということで、例えば名ばかり管理職について相当私は厳しく指導しました。その結果、それなりの成果は上げておりますんで、全力を挙げてこのディーセントワークは実現するような方向で、あらゆる手で努力をすることをお約束したいと思います。
○福島みずほ君 閣法で出ている法案についての問題点は、規制緩和が入っていることです。常用型派遣の事前面接の解禁、期間制限のない派遣業務に関する派遣先の労働契約申込み義務の適用除外。なぜ、今労働法制を規制強化しなければならないときに、事前面接の解禁なのかと、なぜ規制緩和があるのか、これはもう全く逆行している。事前面接をやるぐらいだったら、正社員として直接雇用すべきじゃないですか。
○政府参考人(太田俊明君) 御指摘のように、今回の改正案におきましては事前面接のことが項目として挙がっておりますけれども、これは、派遣先が常用型派遣を選考する、選ぶインセンティブとするために、期間を定めない雇用をされる派遣労働者に限っていわゆる事前面接を可能としたものでございます。
したがいまして、今、現行でいわゆる事前面接を禁止している理由は派遣労働者の雇用機会を狭めるおそれがあるということでございますけれども、期間を定めないで雇用される労働者につきましては雇用機会は確保されておりますので、このような問題は生じないということでございます。
さらに、事前面接を可能とするに当たりましては、年齢又は性別による差別的取扱いを禁止する規定を設けているところでございまして、これによって特段の問題を生じないのではないかと考えているところでございます。
○福島みずほ君 派遣法においては事前面接はできないというのがその法律の制度上当然で、なぜ今回この規制緩和が入っているのか。
それから、先ほど大臣は多様な働き方とおっしゃいました。しかし今、何万人と派遣切り、契約更新拒絶と中途解約が起きている。あした解約、出てってくれと言われる。どこが多様な働き方なのか。まさに使い捨てになっていて、今回閣法として出された法案はこれに対して何ら効力を発するものでは全くありません。
これは、こういうものを作って若者に手を差し伸べたなどと言わせないというふうに思っています。これは、法案は規制緩和もあり、絶対に認めることができないということをあらかじめ強く申しておきます。
・・・<以下省略>・・・
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