衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第4号 平成20年11月19日(水曜日)
午前十時開議
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
・・・【中略】・・・

吉井委員 日本共産党の吉井英勝です。
・・・【以降、途中まで略】・・・

きょうは、その点では貧困ビジネスと言われるものについて伺っておきたいんです。

経済的困窮者を食い物にするいわゆる貧困ビジネスが今社会問題になってきております。例えば、敷金ゼロ、礼金ゼロ、仲介手数料ゼロをうたい文句にしたゼロゼロ物件というのがありますが、家賃の支払いが数日おくれただけで部屋のかぎが交換されてロックアウトされる、新しいかぎを受け取ろうと思ったら、家賃の一割に当たる違約金と施設再利用料の支払いが求められる。株式会社スマイルサービスなど、失業者とか派遣労働者、それから、住宅、福祉、金融などいろいろな分野で、困っている貧困者が苦しんでいる分野にすき間産業のように入り込んでいって、日雇い派遣業とかゼロゼロ物件とか、やみ金、消費者金融などを行って、困っている貧困者を食い物にしている。一例を言いますと、時給八百円台で週三日ぐらいしか仕事がないという本当に困っている若者、日雇いで暮らしている若者が、払いたくとも払えないというときに違約金を繰り返し取られて、その取られた額が二十六万九千百五十円になる、こういう被害も出ております。

そこで、警察庁に伺っておきたいのは、こういう問題についてどういうふうに把握しておられるのか、これを伺いたいと思います。

巽政府参考人 ただいま委員が御指摘になりましたような事案が問題となって報道されているということは承知しているところでございます。

警察といたしましては、こうした貧困者を初めとする市民を食い物にするような形の新たな手口による、これは今の段階では犯罪と言えるかどうかわかりませんけれども、こういったような動き、動向といったものについても常に関心を持っているところでございまして、刑罰法令に触れるような行為があったというような場合には、法と証拠に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。

吉井委員 法に触れるということが明白に出てきた場合、事件となってからの問題もあるんですけれども、もともと借地借家法では、家賃の支払いがおくれたことを理由に一方的に借家人をロックアウトするということは許されないことになっています。施設つきかぎ利用契約といううたい文句なんですね、このゼロゼロ物件などは。これは本来は、かぎつき施設利用契約が本来の姿なんですが、これが逆になってしまって、かぎの利用に付随して施設があるなどというのは、これは全くそれだけでもおかしい話なんです。ですから、かぎつきの部屋を貸し借りする賃貸契約、これは本来、借地借家法そのものなんです。株式会社スマイルサービスというのは不動産会社だから、こういうのは法律をよくわかっているはずなんですね。わかっていてこういうことが今生じているわけですけれども。

警察庁の方でも以前大分苦労してもらい、私も、財務金融委員会でやみ金規制の法律をつくるときに警察庁にも財金委員会に来てもらって質疑、やりとりしたことがあるんですが、やみ金問題も、さまざまな事件が起こって深刻になってから動き出したという感じが非常に強いんですね。今度の場合は、この教訓から、早く実態把握をし、そして被害者対策、違法行為の阻止行動に取り組むという必要がやはりあると思うんですね。事件になってから頑張ってもらうのはもちろんの話なんですけれども、もともと事件を起こさせない、そういうためにどういう検討をしておられるのかを伺いたいと思うんです。

巽政府参考人 この問題につきましては、基本的に、民事上の問題になるのかあるいは刑事上の犯罪という形になるのかというのは具体的な事案によって多分違うんだろうというふうには考えておりますけれども、もしそういった形で被害を受けている方から相談があった場合には、やはりこれは真摯に対応していかなくちゃならないというふうに思っておりますし、こういう問題があるということについて、そしてまた現場でいろいろとトラブルが起きているということにつきましては、各都道府県警察に対して注意喚起をしていきたいというふうに思っておりまして、その上で、相談への適切な対応、それから違法行為があった場合の取り締まり、厳正な対処ということで対応してまいりたいと考えております。

吉井委員 ちょうど先日、十一月九日付の東京新聞で紹介されましたが、警官の目の前でかぎを交換したと。これはスマイルサービスの元社員の方の証言が出ておりましたけれども、この社員の方は「宅建の資格を持っているので、違法性は分かっていた。でも、自分が食っていくのに精いっぱいで、居住者のことを考えている余裕はなかった。」というふうに言っているんですね。

それで、ロックアウトとか部屋にある荷物を勝手に撤去するというのは、これは住居への不法侵入あるいは窃盗ということに該当することにもなってくるわけです。ですから、これは実際に立ち会っておられたかどうかとか、個々の具体の例を見ないと簡単に言えないことはありますけれども、しかし、ロックアウトとか部屋にある荷物を勝手に撤去するというのは、これは借地借家法にも違反するし、民民の話とあったけれども、この業者は、ここはホテルと同じだ、だから居住権は発生しないんだとまで言ったりしているんですね。ホテルと一緒だといったら、これは旅館業法の世界になってくるんですね。

いずれにしても、きちんとそれぞれに法律というものがあって、その法律違反になるものについては、とりわけ不法侵入とか窃盗というのは、これは旅館であれ借家であれ同じことですから、きちんと本来、現認した場合は対応すべきだと思うんですが、伺っておきます。

巽政府参考人 具体的な事実関係がどのような形になっているのかということは必ずしも詳しく承知しているわけではございませんし、また、個々の事案がそれぞれ犯罪となるのかどうかという点につきましては、やはりこれは具体的な事実関係に即して個別に判断していくべきだろうというふうには思っております。そういう意味では、一般的にお答えすることは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

ただ、先ほども申しましたように、犯罪と認められるような行為が行われているという場合は厳正に対処していく考えでございます。

吉井委員 そこで、この問題で大臣に伺っておきたいんですけれども、いずれにしても、旅館業法違反にもなりかねない問題、あるいは、借地借家法違反、こういう法律によって禁止されていることですから、取り締まりはできるし、やはり深い検討が今必要だと思うんですね、貧困ビジネスと言われているものについて。

とりわけ、経済的困窮者を相手にして、これがビジネスチャンスだということでもうけを拡大するなどということは、そもそもゆゆしき問題だと思うんですが、私は、この点では、職安機能の強化とか小口公的貸付制度とか公営住宅とか、あるいは借家入居の一時金貸し付けなり補助金なり、保証人引き受けの公的保証協会を考えることなり、仕事と住居と金融と福祉のセーフティーネットをちゃんと機能するようにすることが本来的な解決の道だというふうに思うんです。それをやっておかないと、犯罪というのは動機は単純じゃありませんけれども、今度の銃刀法改正の中でも経済的事由を考えてもらっているというのも、やはりそこに大事なところがあると思うんですよ。

ただ、それは法律に書いたら済むということじゃなくて、やはり経済的困窮にならないようにちゃんとしていく。そういう点では、民間企業というのはもうけになるところへ行くんですよ。もうけにならないけれども必要とされる公の役割というのはあるわけですね。それが、この間、規制緩和だとか小泉構造改革などで大分ずたずたにされてしまったので、貧困と格差が拡大しました。

これを放置しておくと、ますます追い詰められるということになりますから、そこをねらってビジネスチャンスと乗り込んでくる連中も生まれてくるわけで、私は銃刀法改正で経済的破綻を欠格事由にすることは必要だと考えるものですが、同時に、貧困ビジネスの蔓延など、大もとにある格差と貧困を拡大した政治はやはり改めていかないと、秋葉原事件などを深いところで防ぐということができないということになります。

セーフティーネットの張り直し、根本を正す政治の取り組みについて、政府としてどういうふうにやっていこうというお考えかを大臣に伺っておきます。

佐藤国務大臣 先生がおっしゃられたことは理解をさせていただきたいと思いますが、御指摘のとおり、生意気を言うようでありますけれども、政治家の使命は、全国民が豊かで幸せな生活を享受できるような世の中を築き上げることにあると思います。そもそも、経済的困窮に追い込まれる人がいないようにするための取り組みというのは積極的に取り組むべきだというふうに考えております。

そういう意味で、現在世界を揺るがしている経済的危機等を原因といたしまして、我が国は経済的に困窮する人がこれから増加するということも想定できると思います。そういうことを含めて、閣僚の一人といたしまして、全力を挙げて先生がおっしゃられるような経済対策や生活対策等に取り組みたいというふうに考えております。

吉井委員 今の金融、円高不況でますます状況が厳しくなっているんです。要するに、まず労働の問題があって、日雇い派遣とか、携帯でかかってきたところへ仕事に行く。安定して毎日きちんとどこかへ行くということができないで、雇用が不安定。したがって、雇用者所得が不安定。金がないから、住むところが不安定になってしまう、ネットカフェ難民と言われるような状態になったりとか、ゼロゼロ物件に行かざるを得ないという人たちですね。

それから一方では、金に困って消費者金融、それがさらに危ないやみ金の世界にまではまり込んでしまうとか。そして、なかなか住民票が固定しないということで、福祉の面での、生活保護なり就職一時金なりで支援を得て生活の再建を図るということもなかなか困難というふうに、本当に大変なところにいる。その人たちのすき間をねらって、口入れ稼業的に派遣業をやってみたり、あるいはゼロゼロ物件のように住宅のところをねらっていくとか、やみ金でやっていくとか、すき間産業的に貧困ビジネスとして横行しているわけですね。

だから、これはやはり大もとのところできちんと正すということをやらないことには、もちろん大きい対策もそうなんですけれども、そういうすき間産業的に貧困ビジネスとしてやるようなものについては、これはどの省庁の仕事だということじゃなくて、政府を挙げてこの機会にきちんと取り組んでいくということをやってもらうことが、あなたの場合、大臣であり同時に国家公安委員長をやってもらっていますから、自分の担当する銃刀法その他の世界でも、大もとをちゃんとすることを政府一体でやらないと大変なんだということを提起して、取り組んでもらうということが必要だと思いますので、もう一度伺っておきます。

佐藤国務大臣 もちろん私どもの分野だけでそういうことが解決できるとは思っておりませんし、全閣僚、総理を中心といたします閣僚の皆様方にも御理解をいただけるように努力をしてまいりたいと思います。

・・・<以下省略>・・・




 

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