衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第19号 平成21年2月24日(火曜日)

平成二十一年二月二十四日(火曜日)

午前九時三十分開議
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件

政府参考人出頭要求に関する件

平成二十一年度一般会計予算

平成二十一年度特別会計予算

平成二十一年度政府関係機関予算
・・・【中略】・・・
川口参考人 社団法人日本自動車工業会労務委員長の川口でございます。

本日は、現在置かれている日本の自動車産業の現状と課題につきまして、労務問題を中心にお話をさせていただきたいと思います。

さて、日本の自動車産業は、製造品出荷額で見ますと、二輪自動車、車体、部品などを含めて、二〇〇七年で約五十四兆二千億円に達し、我が国製造業全体の一七%を占めております。また、世界の中で、世界の四輪自動車生産は二〇〇七年年間で七千三百万台ですが、日本メーカーは、二〇〇八年で、国内は約千百五十万台、海外は約千百万台程度と見込まれ、合計約二千二百万台を生産しております。

戦後の揺籃期を経て、我が国自動車産業がこのように日本経済及び世界経済の中で重要な一角を占めるに至りましたことは、その過程で国会の先生方初め関係省庁の御理解と適切な御指導をいただいたたまものと、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。

御承知のように、昨年秋、米国の金融危機に端を発した世界経済の大変動と景気後退の影響を、自動車産業は真っ先に受けております。例えば、最大の自動車市場であります米国におきましては、昨年十月以降、前年を三〇%以上下回る減少を記録し、ビッグスリーのみならず、日本メーカーも軒並み販売の大幅な減少に見舞われております。国内におきましても、さまざまな要因により、年間の販売台数は二〇〇五年以降四年連続で減少してまいりましたが、昨年十月以降は、これまた大幅な販売の減少に見舞われております。

お手元に配付させていただいた資料をごらんいただきたいと存じますが、十月には前年同期比六・六%の減、十一月は同じく一八・二%の減、十二月は同じく一六・七%減となり、その結果、昨年の国内販売台数は前年比五・一%減の五百八万台となりました。この台数は、一九八〇年の五百一万台以来、実に二十八年ぶりの低水準であります。

この状態はことしに入っても続いており、というよりむしろ悪化しております。一月の販売台数は三十・二万台、前年同月比で一九・一%の減。特に、登録車は二七・九%の大幅減少となっており、二月につきましても、販売店などから聞いておりますところによれば、今までのところ、登録車は一月よりもさらに販売台数が落ち込んでいると伺っております。まさに、需要が蒸発したと言っても過言ではない危機的な状況になっているわけでございます。

国内生産も、国内市場、海外市場での急激な減少の結果、生産調整を余儀なくされ、お手元資料にありますように、昨年十月は前年同月比六・八%減、十一月は同じく二〇・四%減、十二月は同じく二五・二%減を記録するに至っております。

これに追い打ちをかけているのが急激な円高で、国内生産の約半分を輸出する自動車メーカーの収益に大打撃を与えております。ほとんどのメーカーが今年度の業績見込みは膨大な赤字となっており、わずかに黒字を見込んでいるメーカーも、今年度の下期は大幅な赤字であります。今年度は上期の黒字がありましたが、それでもこのような状況であり、来年度は今年度よりさらに悪化するのではないかと懸念しております。

世界の金融危機の収束と景気の底打ちがいつになるのか、その見通しが全く立たない濃霧とも言うべき状況のもとで、日本の自動車メーカーは危急存亡の危機に立たされて、もがき苦しんでいるのが実情でございます。こうしたことから、各社は緊急対策をまとめ、事業の見直し、設備投資の見直し、役員、管理職の賞与、報酬、賃金のカット、会議費や出張旅費の削減から光熱費の節約に至るまで、ありとあらゆる諸経費の節約に取り組んでおります。

このような聖域なきコスト削減の努力にもかかわらず、需要の落ち込みの速度が想像を超えて激しく、その結果、苦渋の選択として、非正規従業員の雇用調整を行わざるを得なくなっておりますことにつきましては、御理解を賜りますようお願い申し上げます。

ことしに入りましても、先ほど申しましたように、国内外での需要の落ち込みはさらに激しく、各社は、積み上がる在庫調整のため一層の減産を強いられており、各社の状況によって異なりますが、生産ラインの一時停止を行うほか、労使合意のもとでの休業日の設定や勤務の一直化など、ワークシェアリング的な取り組みを含め、会社存続と従業員の雇用の維持のため、努力を重ねているところでございます。

繰り返しになりますが、どこが底か、先行きの見通しが全くつかないという、産業始まって以来の危機的な状況が続いております。政府におかれましては、各国政府との協調の上、世界の金融秩序の安定と景気回復のため、ありとあらゆる施策をスピーディーに講じていただきますようお願いしたいと考えます。

雇用対策としましては、既に各種の対策が打ち出されており、その中でも雇用調整助成金制度の拡充が図られております。会員各社においても、既に申し込みをしたり申請の検討をしたりしているところもございます。

また、今回の税制改正法案におきましては、低炭素社会実現と内需拡大のため、環境対応車に対する優遇税制が織り込まれております。これを予定どおり四月一日から実施いただきますよう、切にお願い申し上げます。さらに、部品メーカー、ディーラーを含め、資金繰りの円滑化対策につきましても引き続き御支援を賜りますようお願い申し上げます。

自動車業界としましては、従業員の雇用の維持、確保は企業の最重要経営方針の一つとして位置づけ、最大限の経営努力を図ってまいりますが、景気を一日も早く回復させていただくことが、企業存続と雇用の維持のために不可欠でございます。ぜひともよろしくお願いを申し上げます。

以上、業界の実情につきまして申し述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)

 

・・・<以下省略>・・・




 

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