衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第171回国会 予算委員会 第8号
平成二十一年三月六日(金曜日)
午前九時開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○平成二十一年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十一年度特別会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十一年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
・・・【中略】・・・

福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
・・・【中略】・・・
福島みずほ君 雇用の問題についてお聞きをします。
規制改革会議の第三次答申、去年十二月二十二日に出ております。これは全く規制緩和でありまして、労働者派遣事業の一層の規制緩和、それから事前面接の解禁などが含まれております。(資料提示)私はこれを見て激怒しました。派遣切りがあってみんな路頭に迷っているときに、相変わらず規制改革会議は全部規制緩和を言っているんです、派遣法の規制緩和をやれと。
この規制改革第三次答申内容を、与謝野大臣、舛添大臣、総理の順にこの評価をお聞かせください。
国務大臣(与謝野馨君) 一般論でしかお答えできませんけれども、規制緩和というのはすべて善であるというのは私は間違った考え方であると思います。例えば食品の安全などではむしろ規制は強化した方がいいという国民の声もあるわけでございます。
したがいまして、経済規制を緩和するというんで、例えば、民主党からの御質問の中にも一部ありましたけれども、タクシーの規制緩和というのがあって、結局国が需給調整を放棄することによっていろいろな弊害が出てきているという例もありますし、私は、経済規制も社会規制も緩和すべきものは緩和したらいいと思いますけれども、むやみやたらに緩和すればいいというものではないと思っております。
国務大臣(舛添要一君) 昨年十二月の規制改革会議の第三次答申にお触れになりましたのでちょっと私の方から詳細に申し述べますと、経済的な効果、これは規制改革で上げるというのは結構なんですけれども、その結果、労働者の保護に欠ける、生活の不安感を抱く、こういうところがあっちゃならない、それからサービスの質の低下とか安全性の低下があってはならない、これは私は繰り返し一貫して言ってきました。
あの第三次答申のうちで、パートが分かれていまして、具体的施策というのがある。この中で、例えばジョブ・カード制度の充実とか公共職業訓練の充実、これは結構です、これはきちんとやりましょうと。ただ、問題意識の中で、日雇派遣の問題であるとか、これは極めて私が考えるとちょっと待ってくださいよということがございますので、きちんと反論をして、例えば日雇派遣のことについて、これは雇用機会の萎縮を生むということが強調されている、それからグループ企業内派遣の割合を規制することが企業に無用の負担を負わせる、労働者保護という観点はどこにあるのかということがありましたから、きちんと、詳細は申し述べませんけれども、反論をし、それは厚生労働省のホームページなどに掲げておりますので、今後ともそのスタンスは守っていきたいと思っております。
内閣総理大臣(麻生太郎君) 今それぞれ述べられておられますけれども、規制改革会議の答申というものに掲げられております具体的な施策のあれでは、基本的にはこの会議と関係省庁の間でそれなりの意見が一致をしている内容と聞いております。その内容は、毎年、規制改革推進のための三か年計画というのをやっておりますが、これをもって政府としては責任を持ってこれ実施していかにゃいかぬという立場に我々はあろうと存じます。
これの中、いろいろございますけれども、今回の中にも、農業分野では農地利用に関する参入というものに関しては規制を緩和すべきではないかなどなどいろいろ意見もありますので、日本の活力を取り戻していくためには、規制を始め、いろいろ時代に適応しなくなってきております古いシステムというものをこれは変えていかにゃいかぬというのはこれは大変重要なことだとも思っております。
随分改革がなされましたけれども、なされていない部分というのは多々あろうかと思いますので、それなりの成果を上げてきたと思いますが、他方、今御指摘のありました点もありましょうが、これまでもいろいろな答弁で申し上げてきましたとおり、この規制の改革というのが約七年、八年続いた結果、改革によるひずみとして、例えば格差の拡大、またいわゆる地方の疲弊などなどいろいろ指摘されているところもありますし、また、大きなあれでいけば、世界的に見れば金融が、恐慌とは言いませんね、金融が極めて厳しい状況になったと。
こういった問題が生じていることもこれは事実でありますので、こういった意味では、改革という基本路線というものはきちんと踏まえなけりゃいけないとは思いますが、新しい課題へ、すなわちまたひずみなどなど、そういったものを含めまして新しい課題へきちんと対応していくということが極めて重要だと思っております。
福島みずほ君 去年、つい二か月半前、派遣切りがすさまじく起きている、今も起きているわけですが、そのときにこういう労働法制の規制緩和を出す規制改革会議は、私は極めて問題だと思っております。この規制改革会議はもう解散すべきではないか。いかがですか。
国務大臣(甘利明君) 規制改革を担当する大臣として一言申し上げます。
規制改革会議の答申のうち、二つで構成されております、問題意識それから具体的施策であります。問題意識というのは、問題提起をするものであって、それを決定するものではなくて、そこでいろいろと議論をしていただくわけであります。そして、具体的施策というのは、この規制改革会議と関係省庁との間で意見が一致をしたものでありまして、これは閣議決定をされた後に実施に移すということであります。
規制改革というのは、財政出動を伴わないで経済とか社会を活性化するという言わば魔法のツールでありますけれども、このツールには使用上の注意があります。使用上の注意というのは、国民の安全、安心を阻害してはいけない。ですから、先回りして、そこを副作用が出ないようにしながらいい部分を伸ばすという視点が大事かと思っております。
福島みずほ君 この規制改革会議がやってきたことで、今まさに企業は栄えても個人の生活が壊れているわけです。
総理、この期に及んで労働法制の規制緩和、事前面接の解禁を言っているこの規制改革会議、特に労働分野における規制緩和、いまだに言っている、この評価について率直にお聞かせください。
内閣総理大臣(麻生太郎君) これを私は、今社会民主主義への転換という、その社会民主主義という言葉は、福島先生には何となく親しみのある言葉なのかもしれませんけれども、私どもからいいますと、自由民主党からいたしますと、なかなか親しみを持ちにくい単語が使ってあるなと思って今拝見をした、率直なところです。
そういった意味で、我々としては、今起きておりますいろいろなひずみの部分をどうやってやっていくかということに関しましては、先ほど甘利大臣からもお話がありましたように、こういった問題を含めて慎重に対応していかねばならぬと思っております。
福島みずほ君 与謝野大臣、社会民主主義への転換、いかがお思いでしょうか。
国務大臣(与謝野馨君) 私は村山内閣で閣僚もしておりましたし、村山総理の下で閣僚を務めて何の違和感もございませんでした。
私は、自由民主党の政策は、政策の傾向としてはどちらかといえばヨーロッパ型の社民主義であると思っております。
福島みずほ君 今は自民党の政策は明確に新自由主義なんですよ。私たちは、反貧困から社会連帯へ、この社会の中で生きられる社会をつくらないと駄目だと思っています。妙に与謝野さんとはやはり合うんでしょうかね。
でも、厚生労働大臣、これ、労働法制のこの規制緩和、ふざけるなと言ってくださいよ。
国務大臣(舛添要一君) 私はヨーロッパで社会民主主義の研究をずっと、歴史的研究をやってきておりましたから、日本の社会民主党がどうであるかは別として、ヨーロッパの伝統における社会民主主義というのは、片一方では資本主義のもたらす害悪、これに対する全体主義的なマルクス主義の対応とは違って、政治がリーダーシップを発揮して経済の言うとおりにならないということできちんと規制をやる、こういう方向でありますから、我が党がやってきた政策はそうでございます。
そして、今度の労働者派遣制度の改革について言うと、先ほどの問題意識を規制改革会議が言って、それと違ってグループ企業内派遣の割合を八割以下に規制するということをはっきり言っておりまして、まさにこれが今言った、政治がきちんとリーダーシップを取って労働者保護をするということを今度のこの法案で提案しているわけでございますから、一日も早い御審議をお願いしたいと思っております。
福島みずほ君 社民党は、安心して子供を産み育て、働き続け、安心して年が取れるヨーロッパ型の社会民主主義、暴走する資本主義ではなく、かつ全体主義でもなく、自由で連帯があって多元主義で、そういう社会を望んでいます。しかし、日本の社会や自民党、政府・与党がやっているのがそれと違うから闘っているんです。
政府の労働者派遣法の改正案、一定の要件の下で事前面接の解禁、これあるんですね。何で、じゃ派遣は、御存じ、事前面接は禁止しています。自由に面接できるんであれば、それは直接雇用せよの世界ですよ。でも、政府が出している、今政府・与党が出している派遣法の改正案は事前面接解禁、やっぱり規制緩和をしっかり入れているんですよ。転換していない。だからこそ今政府・与党と闘っている、そう思いますが、いかがですか。こんな案が出ているんですよ。これはやめるんですか、やめないんですか。
国務大臣(舛添要一君) 派遣労働についてどうするか。これは、平成十一年、十五年の改正のときに、極めて失業率が高く、とにかく雇用を創出しないといけない、そういう要請からきたものであります。しかしながら、こういう御時世になってみれば、私が常に申し上げているように様々な弊害が出てきている。
そういう中で、しかし片一方では、やはり私は常に恒産なければ恒心なし、そして製造業の派遣については、これはスキルがきちんと蓄積されない、その他様々な問題がありますから、きちんと見直しをしましょう、その第一歩がこの改正案でありますけれども、ただし、今のような派遣という働き方で働きたいという方もおられる、四十六万人そこで働いている、そういうところのバランスを取って、第一歩で、まずファーストステップはこうですよと申し上げておるわけですから、この国会の場で党派を超えてきちんと議論をしていただいてより良い法律に仕上げていただきたいと思っております。
福島みずほ君 社民党は、この不況下だからこそ人々の生活を守る、雇用と福祉を守る、労働者派遣法の改正案については、製造業の派遣は禁止する、ポジティブリスト化、そのことを提案しています。
今、大企業、体力ありますよ。この十年間で、お手元の資料があると思いますが、配当金は四兆円から四倍の十六兆円、内部留保もあります。減ったのは労働者の給料です。一見好況のときはワーキングプアで働かせる、いったん不況になればたたき切っていく。まだ体力はあるんですよ。雇用の調整弁として使ってはならないというのが労働法じゃないですか。不況になった途端に首切られたら人間は生きていけないですよ。この労働者派遣法の提案をしています。これは政府が出している改正案とは全く違うものです。
また、最低賃金の引上げ、均等待遇の実現、セーフティーネット、相談窓口の設定など必要だと考えます。一つ、相談窓口、総合相談窓口が必要です。でも、ハローワーク、もうどんどん人を削っているんですね。一千人また減りました。これこそ充実して就職支援やるべきだ、いかがですか。
国務大臣(舛添要一君) 公務員ということでの枠の規制はございますけれども、今相談員という形で今度の予算でも人員を増やすようにしております。それが一つ。
それから、先般、この雇用二事業ですけど、ふるさと創生では二千五百億円、緊急基金付きました。この場に政労の両方の代表が入っていただくということをやっておりますし、それから、各都道府県でそういうための組織をつくる、そこにハローワークから人を配置するということで、ある意味でそこでワンストップサービスができるようになりましたんで、これは早急に強力に進めていきたいと思っております。
福島みずほ君 ハローワークや労働局やそこで頑張る人たちを削らないでくださいよ、人々や中小企業に響きますから。
それで、いのちと緑の公共事業、ヒューマン・ニューディールを社民党は提案しています。(資料提示)それで、製造業で派遣切りに遭った、じゃ介護、農業に行こうと思っても、労働条件悪いんですよ。労働条件が悪ければ、それは働くことができません。社会全体の労働条件の向上が必要だと考えますが、総理、いかがですか。この雇用創出と社会全体の労働条件の向上について、ちゃんと変えるべくやるべきだと考えますが、いかがですか。
内閣総理大臣(麻生太郎君) 今御質問のあった成長ができる分野できない分野っていろいろあるんだと思っておりますが、今雇用を創出するという意味において、今そこに教育関係とか医療、介護、いろいろ出ておりますし、新しい時代に合わせて、一番下のところのさっきの耐震化の工事の一斉対応とか、これちょっと正直申し上げて学校の場合は夏休みしか使えませんのでなかなかこれ難しい部分があるんですよ、現場に行っていただいたら分かりますけれども。
そういったことも含めまして、いろいろあろうとは思いますが、少なくともきちんとした、将来に対して、目先、今この場だけのばらまきというんじゃなくて、学校とか病院とかいうのは長期的にはきちんとしたものができるというのは大事なことだと思っております、特に地震がよく言われる地域におきましては、日本全体としてもそうでしょうけれども。そういったところにおいては、こういったものは単なる工事のばらまきではなくて安心、安全というものにつながっていくと思いますんで、こういったものを含めて極めて大きいものだと思っております。
介護の分野につきましても、先ほど答弁申し上げたとおりですけれども、いずれにしても、こういったものを含めまして介護の報酬の話とかいろんなものを考えないと、ただ単に名前だけ列挙していても意味がないので、きちんとした対応というものを今後詰めていかねばならぬものだと思っております。
福島みずほ君 終わります。ありがとうございます。

・・・<以下省略>・・・




 

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