第171回国会 決算委員会 第4号
平成二十一年四月二十日(月曜日)
午後一時一分開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○平成十九年度一般会計歳入歳出決算、平成十九
年度特別会計歳入歳出決算、平成十九年度国税
収納金整理資金受払計算書、平成十九年度政府
関係機関決算書(第百七十回国会内閣提出)(
継続案件)
○平成十九年度国有財産増減及び現在額総計算書
(第百七十回国会内閣提出)(継続案件)
○平成十九年度国有財産無償貸付状況総計算書(
第百七十回国会内閣提出)(継続案件)
(厚生労働省の部)
・・・【中略】・・・
○仁比聡平君 日本共産党の仁比聡平でございます。
大臣、御苦労さまです。まず偽装請負で働かされ続けてきた労働者の失業給付の期間についてお尋ねをしたいと思うんですけれども、この質疑をインターネット中継で当事者や関係者は見守っておりますので、お疲れのところだと思いますけれども、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
今、お手元に資料を配らせていただいております。今回に限っては企業名を伏せてお配りをしておりますが、愛媛県のある電機メーカーで働いてきた労働者がこの間の雇用情勢の下で非正規切りに遭っております。ここにありますように、最終の派遣会社での勤続年数が二年間だったということをもって失業給付の日数が九十日とされているわけですね。ですけれども、この一行目のところにありますように、計四社の派遣会社でその最終の派遣会社の前に働いているということがこの通知の上からも明らかです。
この四社というのがどんな会社なのかと。大臣、これは御存じかと思いますけれども、クリスタルグループの業者なんですね。ダイテックあるいはクリスタルコントラクト、コラボレート、当時やみ夜のカラスというふうに呼ばれましたけれども、偽装請負を始めとして違法を繰り返して、これが発覚しそうになると名前だけ、会社の名前を変えて違法行為を続けて、極端に低い労働条件で派遣労働者を食い物にし、業務改善命令、停止命令、繰り返してまいりました。
この伏せてあります最終の派遣会社というのは、実は派遣先であります大企業派遣先の一〇〇%出資の子会社なんです。この労働者に聞きますと、クリスタルグループの中で企業名が変わるときも名札と作業着が変わるだけで、ずっと同じラインで仕事をしてきた。そして、この一〇〇%出資の子会社に移る直前はコラボレートだったんですが、このマネジャーがこの一〇〇%子会社のマネジャーをそのままやっていたので、業務が丸ごと引き継がれたんだと、そういうふうに理解してこの先ごろの十二月まで来たというわけですね。結局、工場に必要な労働力を確保するために、偽装請負を繰り返したグループから派遣先大企業の一〇〇%出資の子会社が労働者を引き継いで工場に派遣してきたというのが実態だと私は思うわけです。
大臣もこれまで何度か御答弁をいただいてきましたけれども、失業等給付の日数の要件になります特定受給資格者のこの考え方はこれは実態に照らして行うべきだと、この認定はですね。この件で問題になるのは、同一事業所での引き続く三年以上の雇用が認められるか否かということになるかと思うんですけれども、私、こういう、先行してひどい偽装請負の実態があって、それを引き継いで派遣先の一〇〇%出資の子会社がやっているというような場合には、これは同一事業所と見るのが実態に照らして当然なのではないかなと思うんです。そうでなければ、偽装請負の実態と違法を事実上追認しかねないということになると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) 個々の具体的なケース云々はちょっとコメントを差し控えますけれども、今、仁比さんがおっしゃったのは、そのとおりであれば大変気の毒なケースです。ただ、特定のこの受給資格者になるためには、法律にきちんと書いてあることは、法の精神は、派遣元が同一事業者で、先ほどおっしゃったように、派遣元が変わらなくて三年間やっていればなるんです。ところが、これは派遣先は変わらないんだけど派遣元がころころころころ変わって、通算すれば三年になるんですけど、そういうケースを想定していないんですね、残念ながら。だから、今のルールでいうとこれは特定受給資格者に当たらないことになります。しかし、こういう方は、とにかく再就職支援ということ、その他様々な生活や住居を含めての支援を我々は全力を挙げてやっていきたいというふうに思っていますので。
今の、事実上は大きな派遣先の会社の子会社でこうだというのは、それは仁比さんがおっしゃることは全部一〇〇%正しいとして、そういう実態があっても法律の上では派遣元が同一でないと三年が通用しないんで、そこはそういう規定になっているとしか申し上げようがない。ただ、再就職支援は全力を挙げてやりたいと思っております。
○仁比聡平君 これまでの特定受給資格者の要件が大臣の今御答弁にあったような考え方でされてきたのかもしれないんだけれども、その考え方というのは、今私が申し上げているような事態を想定してそういうふうに決めているわけでは私はなかろうと思うんですよ。
つまり、この派遣元が実態としてこうした違法を繰り返すことを前提として、最後この二年間しか派遣業者、派遣会社ですね、ここの期間がないからということで、労働者の実際の労働の実態を無視して認定するというような考え方をそもそも取っているわけではないのではないかと思うんです。そもそも特定受給資格者を失業等給付の日数の上で長期に扱いましょうというのは、これは予期しない離職、解雇によって生活の基盤が失われるからだと思うんですね。
この労働者は、実は派遣先に派遣され始めてから考えましても六年四か月同じラインでずっと働き続けているんですよ。大臣うなずかれているように、これは派遣が製造業に解禁される前からのことなんです。元々安上がりの労働力として偽装請負として働かされ始めて、派遣解禁後、例えば上限期間が一年、あるいはその後三年というふうになりましたが、それらも完全に無視された形で六年四か月同じように働き続けているんですね。これはとっくに正社員になっていておかしくない労働者であって、それが突然の雇い止めという形になっているわけですね。派遣元からの離職票も会社都合というふうになっているとおり、実質的に解雇にほかならないわけです。こうした方に失業等給付を十分に受けられるようにしなければ、たちまち路頭に迷ってしまうことになります。この方は五十歳ですが、介護施設に入っておられるお母さんを支えなければならないのに、九十日でもう間近に失業給付が切られようとしていて、一体その後どうしたらいいのかと、もう展望が見えないわけです。
しかも、こうしたケースは、仮に離職が三月三十一日以降であれば、せんだって改正されました雇用保険法によりまして、雇い止めという認定でも三年間の暫定措置によって四十五歳以上なら二百四十日、八か月間失業等給付が受けられるわけです。こうしたことを考えても、私は余りにもバランスを失するのではないかと思うんですね。
先ほどの御答弁の上に重ねて申し上げることにはなりますが、大臣、是非実態をよく改めて調査することを御検討いただいて、この安定所長の通知に対して審査請求が出されているかと思いますので、よく検討して、実態に見合った失業給付等の日数が認定をされるように御検討をいただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) まず、偽装請負その他労働関係諸法令に違反している事業所に対しては、これは徹底的に厳罰で臨みたいと。したがいまして、実態、実際そういうところに踏み込んで調査をさせます。
ただ、同一の雇用主の下で三年間というルールがあるものですから、ころころ変えちゃっているわけですね。まさに、どういう意図か知りません、今の例だと、三年いかないうちに派遣元の会社を変えているわけで、非常に気の毒で、本当は今そうじゃなければ二百四十日までいくのが、九十日しかない。
ただ、私が先ほど申し上げているのは、雇用保険はあくまで次の再就職先が見付かるまでのつなぎですから、それは長いにこしたことはないですけど、最適なのは、今日職を失って、もうすぐ例えば一月後には職を得ている。なるべく早く再就職するということが必要なので、我々はその労働者の方に再就職支援、これは全力を挙げてやりますけれども、残念ながら、今いろんな角度からこの法律を見ても、今のケースだと適用できないんです。
だから、今のように、調査はいたし、それからその労働者の再就職支援は全力を挙げますけれども、今のシステムはそういうふうになっているということであります。
○仁比聡平君 今のシステムが今申し上げているような事態を想定してつくられたものではないということは、私は間違いないと思うんですよね。その点、大臣どうですか。
○国務大臣(舛添要一君) 基本的に、もう何度もこの委員会で申し上げていますけれども、労働者と事業主との契約は、派遣元企業に雇われているわけですから、派遣元企業とその労働者の間の契約であって、派遣先は、派遣先企業と派遣元企業の民間の二つの企業の間の私契約であるわけです。したがって、何といっても、あなたはどこに雇われていますか、これ偽装とかいうことでない限りは私は派遣元のこの企業の従業員ですということになりますから、個々で処理をしてもらわないといけない。これは、ですから、三年以上やればちゃんと見ますよということを申し上げている。
今、逆に派遣先の責任はどうなのかという話をしているんですけど、今回全く違うベクトルの話があるんで、そういうことは基本的には想定してありません。つまり、仁比さんがおっしゃることが、全く報告なさったことがそのとおりであるとしたときに、まさに三年いかないために次から次と派遣元企業をつくっていって労働者を転がしていくということをおっしゃったわけですね。だから、そこまで悪質にやるということを想定をしてつくったものではありません。何度も申し上げますけれども、派遣元と労働者の関係、これが法律のカバーする範囲だということなんです。
○仁比聡平君 今そこまで悪質なことを想定してつくったものではないとおっしゃっていて、実際にその偽装請負で六年四か月も苦しみ続けている人が、本当はもっと早くに正社員になっていておかしくない人がこうした事態になっているんですから、私はこれは是非検討を求めておきたいと思います。
この労働者やその仲間は、労働局に対しても偽装請負、上限違反の違法を調査し、直接雇用を指導すべきだというふうに申告をしていまして、私は当然の要求だと思うんです。
局長、この偽装請負や上限期間違反の実態は認められたんでしょうか。
○政府参考人(太田俊明君) 個別具体的なものについてはお答えできませんが、一般的には、派遣法違反があれば、それは調査した上で厳正な指導をしていくということでございます。
○仁比聡平君 一般論として、そうした場合、直接雇用を推奨する方向で秋以降、通達をされてきているわけですよね。ところが、会社は団体交渉の場で、労働局からの調査はあったが、直接雇用せよとは言われていないというふうに労働組合に対して述べているんです。これ、おかしいんじゃないかと思うんですよね。
会社の言うとおり、労働局が推奨という立場で発言をしていないならそれはもってのほかだと思いますし、そうでなくて、労働局が直接雇用をしてほしい、推奨すると言ったのに、それが是正指導でないのをいいことに団交の場ではそんなことは言われていないと仮にうそをついているんだとしたら、これほど社会的責任を踏みにじる態度はないと思うんですが、これこのままにするのなら労働行政の意味がなくなってしまうと思いますし、通達も意味を失うと思うんです。
そんな大企業には、大臣、強い姿勢で臨むべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君) 個別の企業についてはコメントしませんけれども、一般的に言えば、法律違反に対しては厳正に対処したいと思います。
・・・<以下省略>・・・ |