第3号 平成21年11月4日(水曜日)
平成二十一年十一月四日(水曜日)
午前九時八分開議
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
予算の実施状況に関する件
・・・【中略】・・・
○笠井委員 日本共産党の笠井亮でございます。
・・・【以降、途中まで略】・・・
ちょっと実態を申し上げた上で総理に伺いたいと思うんです。
現場で今大変なことが起こっていまして、トヨタ自動車の場合に、昨年、二年十一カ月働けると言って募集しながら、契約更新せずに次々雇いどめして社会的批判を浴びました。昨年一月に九千人もいた期間工というのが、ことし九月末には千二百人に激減いたしました。
ところが、エコカーの生産増などを理由にして、ついこの間首を切った人六千人に対して、こういうはがきを送って、そして募集を行っております。一たん切った人たちに対して、「この度、期間従業員の募集を実施することになりました。つきましては、貴殿の在職中のご経験・技量を、弊社でぜひ活かして頂きたく、ご検討頂ければ幸いです。」ということで書いてありまして、一斉にはがきが送られてきました。
そして、応募者に雇用条件を示した文書を送るとともに、指定日に出社をすれば面接不要だということで、愛知県の豊田市内にある社員寮に入って研修を受けるように指示をした。ところが、雇用条件を書いた文書には肝心の契約期間や更新の有無が記載されていなくて、寮に入って研修を受けて初めて契約期間が知らされるという仕組みで、そういう人がたくさんいたんです。全員が四〇〇%増産のエコカー、プリウスを生産している堤工場配置でございます。来年四月以降、エコカー減税が切れたらいつでも期間工切りができるようになっている。
総理、要らなくなったらほうり出して、生産がふえたら、経験、技能を活かしてほしいのでぜひと言ってかける、それも、せいぜい半年先しか見えない、来年三月にはまたほうり出す、こんな御都合主義、こんな理不尽をいつまでも繰り返させていいんでしょうか。これは、総理の率直な感想、そして答弁を伺いたいと思います。総理、お願いします。
○鳩山内閣総理大臣 特定の企業に対することを申し上げることは控えたいと思いますが、しかし、一般的にそのような現実があろうかと思います。
やはり、景気が少しでもよくなると期間工を雇って、またおかしくなったらすぐに切る、そういう目的のために雇われてしまう、幾らたっても正社員になれない、これは私もやはり悲劇だと思います。
こういうことが起こらないように、ある意味では平準化的に生産というものを行うようなことも必要かとも思っておりますし、企業やあるいは労働組合に対して、この期間工のような形で大変哀れな状況に彼らを置かせるのではなく、むしろできる限り正社員的な状況の中で、またさまざまな待遇というものも改善しながら雇ってもらえるようなことを望みたい、むしろそのようなことを、企業あるいは経済界、さらには労働組合などに申し入れたいと思います。
○笠井委員 やむにやまれず応募した九州の二十代の男性は、肝心の契約期間も示さずに、これで来いなんてばかにしている、四月末に雇いどめされて、雇用保険も九月で切れた、あれだけ多くの首を切りながら反省もないと憤っております。六カ月の契約を結んだ五十代の男性も、半年後に更新されるかもわからない、地元に帰って仕事はない、できるだけ早く働きたいのにと。不安の声は当然だと思います。
増産で人員が必要なら正社員こそふやすべきであります。雇った期間工は正社員にせよ、少なくとも希望者には期間を延長せよ、やむを得ず解雇されてしまった人には就職をあっせんして、寮から追い出すなという声が現場で上がっています。当然だと思います。しかも、エコカー減税といいますが、もともと国民の税金であります。国民の血税で増産してもうけておきながら、その結果また非正規切りを繰り返す、こんなことが許されるかと。総理、まさにそういう問題だと思います。
そういう点では、直接企業に対しても申し入れをされると言った。フランスでも、ルノーをやったときに、サルコジ大統領もそして雇用担当大臣も工場に乗り込んでいって、実際に行かれて、そして工場閉鎖をとめるとか、そういうこともするということで対策を打ったということをやったわけですが、まさに毅然とした姿勢で臨まれる、そういうことでよろしいですね、総理。
○鳩山内閣総理大臣 そのように頑張りたいと思います。
○笠井委員 国会としても、非正規切り、新しい期間工のむやみな解雇を許さずに、雇用を守り抜く上で役割を果たす必要があると思います。
ことし一月の当委員会で、日本共産党を代表して私は、トヨタなど自動車大手、日本経団連などの代表を参考人として招致するように求めて、二月に、全会一致でまず日本自動車工業会の代表を国会、予算委員会に招いて、企業の社会的責任をただす機会となりました。
当委員会に、今度はトヨタ、日産、三菱自工、日野など自動車関連各社、それから電機業界、あるいは自動車業界の代表を参考人として呼んでいただきたい、そして雇用問題の集中審議をやっていただきたいと思いますが、委員長、理事会に諮っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○鹿野委員長 後刻、理事会で協議をいたします。
○笠井委員 こうした対策を打っていくという点でも、同時に抜本的な対策が必要であります。まさに、安心して働き続けられる社会、人間らしく働ける社会に向かうこと、あわせてそれを実施してこそ効果を上げることができる。そういう点では、一つは、有期雇用の規制をちゃんとやる。
同時に、先ほど長妻大臣も言われましたが、まさに労政審と言われた。労働者派遣法の抜本改正問題というか、改正問題の議論が始まっているというわけでありますが、民主、社民、国新の三党案がありますよね。この中には、製造業派遣の禁止から専門業務を除いたり、みなし雇用に要件をつけるなど、まだ抜け道が残っている。ところが、その審議会の場では、そういうことがある、だけれども、我々、修正を提起するつもりはありますが、そういうことに対しても、財界、大企業は、失業者がふえる、企業が海外に出ていってしまうということで、そんなことを言って派遣法改正に抵抗しております。
大体、六カ月後には失業にするというつもりの非正規雇用をしながら、非正規を規制したら失業がふえると言うのは、まさに不当だと思うんですけれども、総理、そういう考えについてはどう思われますでしょうか。総理に伺っております。ちょっと時間の関係で、お願いします。
○長妻国務大臣 手短に答弁いたします。
今言われた労政審、審議会でそこら辺の問題は労使とも真剣に議論をして、通常国会に法案の提出を目指して今議論をしておりますので、ぜひまた御意見を賜れればと思います。
○笠井委員 総理の感想を伺ったんですが。
とにかく、企業が雇いやすくすれば雇用はふえる、雇いやすくするにはいつでも解雇できるようにしなければ、そんな理屈で使い捨ての雇用を広げてきた。まさにその結果が今日の事態であります。使い捨て雇用こそ、技術の伝承も経験も現場のモチベーションも失わせて、本当の競争力を根底から崩している。まさに十年間の教訓、私は企業の経営者もしっかり学ぶべきだと思います。
まして、政府が財界、大企業の理不尽な抵抗に屈してはいけない。毅然とした態度で物を言って、文字どおり派遣法の抜本改正をやる、これこそ必要だということを強く求めて、質問を終わりたいと思います。
○鹿野委員長 これにて笠井君の質疑は終了いたしました。
・・・<以下省略>・・・
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