衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第173回国会 財政金融委員会 第5号
平成二十一年十一月二十六日(木曜日)
   午前十時四分開会

・・・【中略】・・・

 本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○中小企業者等に対する金融の円滑化を図るため
の臨時措置に関する法律案(内閣提出、衆議院
送付)

・・・【中略】・・・
大門実紀史君 大門でございます。

・・・【以降、途中まで略】・・・
これから年越しにかけて非常に目の前で一番困っている方々の問題なんで、今日どうしてもちょっと時間いただいて取り上げさせていただきたいと思います。
最初に、資料をお配りいたしましたけれども、山井さん、恐縮でございますけれども、この就職安定資金融資制度、目的と概要について簡潔にちょっと説明をお願いできますか。
大臣政務官(山井和則君) 御質問ありがとうございます。
就職安定資金融資事業の概要としましては、派遣労働者等の解雇や雇い止めによって住居喪失状態になっている離職者に対して住宅入居初期費用などの必要な資金を貸し付けることにより、これらの者の住居や安定的な就労機会が確保できるよう支援する制度であると。そして、貸し付ける対象者の要件は、一番目には事業主都合によって離職に伴って住居喪失状態となっている離職者であること、二番目は常用就職の意欲が認められ常用就職に向けた就職活動を行うことであり、担保、保証人は不要であると。また、貸付け六か月後までに六か月以上の雇用が見込まれる就職をして雇用保険一般被保険者資格を取得した場合には一部返済免除を行っていると。
以上でございます。

・・・【中略】・・・
大門実紀史君 この制度は、山井政務官からわざわざ説明していただいたとおり、例の派遣切りで職も仕事も失った方に対して融資をするという制度でございまして、半年間の家賃とか生活費を国が融資するわけですけれども、それは十年以内に返済すればいいということになっております。・・・【中略】・・・これは、一見、その三割の人にとってはお金を借りて就職ができて返済免除もあるということで、この制度は有効に働いたかなと思いますが、七割の人にとっては結果的にはただ借金を抱えただけと、しかも仕事が見付からないで借金を抱えただけというようなことも言えるわけでございます。
一つの、私調査に行ってまいりましたので、実例を申し上げますと、群馬県の伊勢崎市の三十一歳の男性なんですけれども、これは、日産自動車の下請で派遣切りに遭いまして、派遣会社の寮に入ったんですが、そこを追い出されたと。それでハローワークに相談してこの就職安定資金融資を受けることになったんですけれども、半年後、今申し上げたように、なかなか今、正社員そのものになれないということで、半年たっても就職ができないということで借金を抱え込んだだけの結果になったということでございます。しかも、せっかくこの融資制度を使って借りたアパートもまた追い出されることになりました。
もう一つの問題点は、この伊勢崎市の方、仮にAさんといたしますけれども、Aさんが借りたアパートというのは、敷金なしで今急成長しております例の大手不動産会社、レオパレス21ということですね。・・・【中略】・・・レオパレス21の契約というのは定期借家契約で、半年だけということを最初からもう決めているわけでございます。したがって、何があろうと半年たったら出ていかなきゃいけないということですね。・・・【中略】・・・三枚目の資料が、そのレオパレス21がわざわざこの厚労省の制度にタイアップして作ったレオパレス住宅支援制度というものでございます。いろいろ書いております。これは要するに人助けなんだと、社会貢献なんだと、厚労省の制度に対応する、連携するものなんだということが書いてあって、厚労省の制度を使った方に家賃をちょっと割り引いてお貸ししますと。ただし、半年、六か月から最長八か月だと。まあ半年なんです、大抵は。出ていってもらいますと。半年たってどうしても引き続き住みたければ、一番下の方でございますけれども、新たな契約をしてもらいたいと。つまり、これは保証人付きでいろいろということなんですね。
しかも、この制度はこういう不動産会社に先に六か月分の家賃とか入居費を前払で払います。先ほど言いました伊勢崎市のAさんというのは約四十万円、レオパレスにお金を借りて払ったと。先払いなんですね。ですから、レオパレスとしては、この制度を利用して、とにかく半年分先にお金をもらえるんで何の不安もない、半年たったらそういう不安定な人は出ていってもらうと、こういうことになっているわけです。
御存じの方は多いと思いますけれども、レオパレス21というのは元々派遣労働者を大量に派遣会社の寮としてアパートを貸して受け入れたところでございます。リーマン・ショックで、派遣切りで、大量に派遣労働者が職を失う、追い出されると空き部屋がいっぱいできたわけですね。その部屋を空けておいてももったいないということで、この制度に食い込んで、この制度を利用して空き部屋を減らして経営を戻そうということをやったわけでございます。一種の私は貧困ビジネスと言っても過言ではない会社だと思っておりますけれども。
この半年の間、例えばそのAさんの例でいきますと、生活費として借りた分が百十万円、レオパレスに借りて払った分が四十万円で百五十万の借金を抱えることになりました。半年たっても何の解決もしなくて仕事は見付からないと。たまたま地元の共産党の市会議員に相談して、生活保護の申請をして、今は生活保護の申請をしたので住むところも借りて、それで求職活動をやっているということで、本人と会いましたけれども、自殺も考えたと。つまり、先行きの見えないときに百五十万の借金というのは本人にとって大変重い話で、何度も自殺を考えたということをおっしゃっていましたが、今は生活保護を受けて就職活動をしているということでございます。
これはもうただ借金を抱え込んだだけという部分もこの制度にはあるわけでございますし、これはAさんだけではなくて、私、七、八人の方、群馬の伊勢崎市のハローワーク関連だけで七、八人の方がこういう事態になっているんで、この制度が始まって一年ぐらいですけれども、相当全国でこういう例が出ているのかなというふうに思っているところでございます。
・・・【中略】・・・

大臣政務官(山井和則君) 御質問をありがとうございます。
このような現状というものは私も今初めて聞きまして、やはり、もちろん今御指摘がありましたように、三割の人は就職につながっているわけで、これは非常にいい制度なわけですけれども、逆に七割の方が就職につながっていなくて、またその結果、この定期賃貸借契約の形態が、そのビジネス自体が不適切と言えるわけではないんですけれども、今おっしゃったように、結果的には就職も見付からない、そしてより多くの借金を抱え込んでいるという深刻な事態になっているという先生の御質問、非常に重要な御指摘だと思っております。
それで、このことに関しましては住宅手当制度というものを今年の十月から創設をいたしまして、各地方自治体を窓口として住居を失った離職者の方に対する家賃などの給付制度を行っております。こちらは貸付けではなくて支給ということになっておりまして、今のこの就職安定資金融資が終わってからも更に利用ができるということにもなります。
ただし、この住宅手当制度も十月一日からスタートでまだまだ知られていないという現状がありますので、こういう制度で今度は給付でつなぐことができるということも含めて啓発広報にも取り組んでいきたいと思いますし、また根本的にはこのような方々がハローワークを通じて常用雇用に半年以内に復帰できるように最大限努力をしてまいりたいと思います。
大門実紀史君 ・・・【中略】・・・このレオパレスというのも合法的は合法的なんですよね、別に違法をやっているわけじゃないんです。しかし、よく考えてみると、最初から半年の定期借家契約と。何やっても有無を言わせず出しちゃうんですよ、かぎ取り上げちゃうんですよね、荷物を廊下に出しちゃうんですよね、階段に出しちゃうんですよね。・・・【中略】・・・ハローワークの現場では割と善意で案外紹介しているのか分かりませんけど、半年後のことを考えると、余りばんばん紹介する相手ではないと、違法ではないけれども、かなり問題だと思っているので、それも現場に徹底してもらいたいというふうに思います。
・・・【中略】・・・やっぱり職がない人、先の見通しのない人に借金をさせるというのは本来的なものではなくて、やっぱり給付ですよね。現金給付をしてあげないとこういう結果が生まれると思いますので、まずやっぱり生活保護申請にきちっとしてもらうということで、住むところも取りあえずの生活費も救わなきゃいけないんじゃないかと。特にそれは年末にかけて重要になっていると思いますので、厚労省としても、ハローワークとその生活保護、各自治体との連携を図ってもらいたいと、そこで御努力をお願いしたいと。

・・・<以下省略>・・・




 

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