第2号 平成22年2月19日(金曜日)
・・・【以降、途中まで略】・・・
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)
租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案(内閣提出第一五号)
財政及び金融に関する件
・・・【以降、途中まで略】・・・
○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。
きょうは、初めての所信質疑でありますので、今後の議論の前提となる点を確認していきたいと思います。
まず、菅財務大臣にお聞きしますけれども、大臣は、この約十年ぐらいの間を振り返りまして、経済格差というものが拡大した、こういう認識はお持ちでしょうか。
○菅国務大臣 持っております。
○佐々木(憲)委員 確かに、それまでも格差は拡大しつつあったと私は思いますけれども、二〇〇一年、小泉内閣が成立して以来、急速に格差拡大したと私自身は感じております。
一つは、非正規雇用が非常に大幅にふえまして、不安定な雇用が広がり所得が低下する、ワーキングプアと言われる人々がふえる。それから二つ目に、庶民の負担が非常にふえたんじゃないか。税の負担、それからいろいろな保険料等の国民負担がふえた。我々の調査によりますと、大体、政府発表の数字でも、合わせて十三兆円、それ以前に比べて負担がふえた。さらに、制度上の点でいいますと、社会保障、福祉、こういう面が非常に冷遇された。こういうさまざまな国民の面からいっての生活貧困化というものが進んだと思います。
しかし、その一方で、大きな会社になればなるほど内部留保というのがどんどんふえる、株式配当がふえる、経営者の所得がふえる、そういう格差というものが非常に拡大したんじゃないか。その上に、大企業、大資産家に対する減税というものが今度は逆に行われる。格差に輪をかける、加速させるような政策が構造改革の名のもとで推進された、私はそういうふうに思っております。
この格差解消のためには、これらのさまざまな要因に対して適切な対応をするというのが必要だと思います。その上で、税制というものが果たす役割、これは大変重要だと思いますけれども、菅大臣は、この税制の役割、格差解消の上でどういう役割を果たさなければならないと思っておられますでしょうか。
○菅国務大臣 まず、この過去の十年間の見方は、共通の部分もありますが、若干私の見方を申し上げますと、いわゆるそれ以前が、比較的公共事業に頼った形での景気刺激をやろうとしたことに対して、一般に言われる小泉・竹中路線というのは、つまりは、企業の生産性を高める、それをみんながやれば日本の経済がよくなるんだと言って現実にやったことは、例えば象徴的に言えば、カルロス・ゴーンさんがやったように大リストラをやって、そして、その企業は立ち直ったかもしれないけれども、多くの人が失業なりあるいは非正規の雇用に移っていく。
つまり、デフレ状況の中で、個別企業の効率化をやればそれがうまくいくといった考え方そのものが時代に合わなかった。そういうことが、先ほど言われたような労働法制等の行き過ぎた規制緩和もあって、大きな格差につながった、私はこのように見ております。
その上で、税制の役割というのは、もちろんこの間のやり方でいえば、どちらかといえば、所得税でいえば、最高税率を下げてフラット化する、それも同じように、お金持ちがお金持ちになればなるほど下の人を引き上げるんだという考え方がベースにあったと思いますが、先ほど言ったように、必ずしもそういう考え方だけでは日本経済全体が実は持ち上がらなかったわけでありまして、そういうことを含めて、税制調査会の中に専門委員会を今度設けることになりましたけれども、この十年間の所得税あるいは法人税、あるいは他の税制も含めてどうであったかという検証を始めたい、このように考えております。
○佐々木(憲)委員 今の菅大臣の御答弁のかなりの部分、賛同できるところがあります。
ただ、構造改革というものは、いい面もあったといいますけれども、私は、かなりいい面は少ないというか、ほとんどないんじゃないかと思っていまして、競争力のあるところ、あるいは強いところを応援すれば全体がうまくいくという発想自体が間違っていまして、弱いところは切り捨てるという発想につながり、逆に国民の多数が疲弊する、そのことが経済の基盤を弱体化させていく、こういうことになったのではないかというふうに思っております。
税の機能という点では、所得の再分配機能というのがありまして、そういう経済状況を是正していく上で大変重要な機能だと私は思います。つまり、大手企業あるいは大資産家に富が過剰に蓄積されている部分に対して、適切に税、社会保障などの応分の負担をしてもらって、それを通じて庶民の側、低所得者に適切にその富を移転させる、そして結果として格差の縮小につなげていく、この発想が非常に大事だと思いますが、自民党、公明党政権のもとではこの所得再分配機能が私は弱体化した、あるいは低下してきたというふうに思います。
大臣は、どう認識されていますでしょうか。
○菅国務大臣 私は、構造改革という言葉の意味はいろいろですけれども、必ずしもこの構造改革というものが全部だめだとは思いません。そこは、もしかしたら若干認識が違うかもしれません。
今言われた競争力という問題も、確かに国際的な競争の中にあるわけですから、競争力を維持強化しなければいけないところは多いと思うんです。ただ、問題なのは、余り長い時間をとると恐縮ですからあれしますが、やはり需要を拡大する、あるいは雇用を拡大して需要を拡大するというところにもっと焦点を当てて、場合によったら財政出動も必要だったのに、それを翌年のGDPが上がるからといって、余り長期的な効果のない公共事業にお金をやったり、あるいは先ほどのように、構造改革と称してデフレ下においての効率化をすることによって大きな間違いがあった、私はそういうふうに思っております。
その上で、税において所得の再配分といった機能があることはそのとおりだと思っておりますし、また、現在の所得税がそうした再配分機能が低下しているという指摘もそのとおりだと思っております。と同時に、先ほど申し上げたように、全体を成長させるためには、今度はどういうふうな形で財政出動をしていくかということもあわせて考えなければならない、このように思っております。
・・・<以下省略>・・・
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