衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第6号 平成22年3月2日(火曜日)
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件

政府参考人出頭要求に関する件

平成二十二年度における財政運営のための公債の発行の特例等に関する法律案(内閣提出第三号)

所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一四号)

租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律案(内閣提出第一五号)
・・・【中略】・・・
佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。

まず、総理にお尋ねをしたいと思います。

配付をいたしました資料、これを見ていただきたいんですが、これは「企業規模別 利益配分の推移」というふうに見出しを書かせていただきました。左側は資本金十億円以上の大企業、右側は資本金一億円未満の中小・小規模企業のグラフです。

二〇〇一年度を一〇〇として、これを基準とすると、大手企業の経常利益、青いところですが、一時期二倍以上となった後、リーマン・ショックを含む二〇〇八年度は一二六・七。ところが配当の方は、一時四倍近くふえた後、二九四・三。若干減ったとはいいながら、三倍であります。役員給与は一〇七・一ということですね。従業員給与は九八・五、これはマイナスでございます。

一方、資本金一億円未満の中小・小規模企業はどうか。経常利益は余り伸びておりません。配当は一四一・〇。注目したいのは、役員給与が九五・六にとどまっているわけです。しかし、従業員給与は一〇七・三、これはわずかながら増加をしております。

このグラフをごらんになって、鳩山総理はどのような感想をお持ちになりますでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 佐々木委員に正直にお答えをいたしますが、やはり、大分大きな企業と中小企業との間で一番わかりやすいのは、配当金に対しての考え方が違うなというところでございます。

これは企業でありますから、企業それぞれの判断というものが優先されるのは言うまでもないことだとは思っておりますが、少なくとも大手の企業の皆さん方が株主に対する優遇施策を重視されたのではないか、そのように考えておりまして、このように大きな開きがあるということは若干の驚きだと申し上げておきます。

佐々木(憲)委員 大きな企業は、労働者の方については非正規雇用にどんどん置きかえていく。この背景には、労働法制の規制緩和というのがあったわけです。労働者全体の賃金水準を引き下げる、こういうふうになりました。そういうことをやりながら利益を生み出して、役員の給与、賞与をふやす、あるいは配当をどんとふやす、あるいは内部留保に回す、こういうやり方をしてきたわけです。

しかし、中小・小規模企業はなかなか経営が大変で、役員の給与、賞与よりも、従業員の生活を何とか守ると。我々、話を聞いてみましても、家族同然のそういう人たちの暮らしを守りたいんだということで、むしろ従業員をふやして懸命に利益を上げようという努力をされているわけです。この姿がこの資料にあらわれているというふうに思います。

個別の大企業について少し触れていきますと、例えば、経団連会長の会社、キヤノンですね。これは、当期純利益は千三百十六億円であります。これは十二月決算。それを上回って千三百五十八億円、配当に回しているんです。内部留保を取り崩しても配当に回すというような姿勢をとっております。

今総理もおっしゃいましたように、小泉・竹中路線によってこういう傾向はやはり加速されて、全体として経済格差は拡大したというふうに私は思います。幾ら株主優先主義だといっても、この風潮はかなり行き過ぎているというふうに私は思うんですが、総理はどのようにお考えでしょうか。

鳩山内閣総理大臣 大企業の中でも今キヤノンの例を引き合いに出しておられたわけでありますが、確かに、キヤノンについては利益を配当に極めて厚く充てているなと考えております。これは事実ではないかと思います。

いずれにせよ、企業は株主のみで成り立っているわけではありません。特に、従業員に対する配慮、今派遣労働者がふえているということがありました。現実に大企業は、そのようなことで従業員に対する給料はむしろ下がっているという実態があるということでありまして、従業員やあるいは消費者、地域社会といった関係者の密接な協力があって初めて企業というものは成り立つんだという認識をしっかりと持たなければならない。企業は社会的存在だというふうに考えております。

佐々木(憲)委員 ついでに言いますと、同じ十二月決算のブリヂストン、これは、当期純利益は十億四千三百万円です。それなのに配当は百二十五億四千八百万円。純利益の十二・五倍を配当に回しております。この配当に、証券優遇税制によって巨額の減税が行われているわけです。既に私は予算委員会でも総理に御質問しましたが、この税率、今減税が行われて一〇%になっております。配当、譲渡益課税、当然これはもとの二〇%に戻すということが私は必要だと思うんです。

この財務金融委員会でもこのことを議論してまいりました。菅大臣も、それは検討が必要である、峰崎副大臣は、すぐにでもやりたい、こういう話をされておられましたが、総理の決断をお聞きしたいと思います。

鳩山内閣総理大臣 私がどのような株式を持っているということは全く別の議論であろうかと思っておりますが、いずれにしても、これは私ども税制調査会で真剣に議論するべき問題であろうかと思います。

今佐々木委員が御指摘されたように、大企業の配当が極めて大きくなっているという現実があるわけでございます。一方で、これは時限的に、経済が必ずしもよくないという状況の中で、株価が必ずしも高くないという現実の中で、時限的に一〇%に軽減されているというのが事実ではないかと思っておりますが、この件に関しては、私よりも、より専門家であります菅財務大臣あるいは峰崎先生方にお任せをして、税調でしっかりと真剣に議論をされるべきだ、そのように考えます。

佐々木(憲)委員 菅大臣や峰崎副大臣には何度も質問をしましたので、きょうは問いません。

税率が軽減されているというのは、決して、それをやれば株が上がるというものではありません。やはり市場の信頼というようなことがまず第一、それから経済全体の活性化というものがあって初めて株価というのは上がってくるわけでありますから、それ抜きに、税率を下げれば株が上がるなんというそんな単純な話ではありません。

今は企業の体質の問題が問われているわけです。これにどう新しい政権が対応するか、このことが問われているわけですね。財源問題も今議論になりました。したがいまして、やはり力のあるところに応分の負担を求め、そして、消費税のような逆進性のあるものは、これを増税するなどというのはやってはならない、私はそう思っているんです。

そういう方向でぜひ検討して、こういう不公正なものは是正をしていただきたい、このことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。




 

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