第9号 平成22年3月17日(水曜日)
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)
・・・【中略】・・・
○長妻国務大臣 おはようございます。
ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現在、我が国では、雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあり、特に、非正規労働者の雇用の安定や雇用保険財政の安定的な運営に大きな影響を与えているところであります。
このような状況に対応し、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化、雇用保険の財政基盤の強化等を図るために所要の措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の主な内容について御説明申し上げます。
第一は、雇用保険法の一部改正であります。
まず、非正規労働者に対するセーフティーネット機能の強化を図るため、一般被保険者の適用範囲を拡大することとし、週の所定労働時間が二十時間以上であって三十一日以上雇用見込みの方については、雇用保険の適用対象にすることとしております。
また、事業主が被保険者資格取得の届け出を行わなかったことにより雇用保険に未加入とされた方について、二年以上前の時期に、賃金から雇用保険料を控除されていたことが確認された場合には、事業主が届け出を行わなかったことにより所定給付日数が短くなる不利益が生じないようにするため、現行制度において遡及可能な二年を超えて遡及して適用できることとしております。
第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。
二年を超える遡及適用の対象となった方を雇用していた事業主が、事業開始時に必要な保険関係成立の届け出を行っていなかった場合には、保険料の徴収時効である二年経過後においても保険料を納付できることとし、厚生労働大臣はその納付を勧奨することとしております。
また、現下の雇用失業情勢に対応した雇用対策の実施に必要な財源を確保するため、平成二十二年度における雇用保険二事業の保険料率については、弾力変更の規定は適用せず、原則の千分の三・五とすることとしております。
第三は、特別会計に関する法律の一部改正であります。
雇用保険二事業の安定的な運営を確保するために、雇用調整助成金等のために必要な額について、失業等給付に係る積立金を使用することができる暫定措置を講じることとしております。
なお、この法律は、平成二十二年四月一日から施行することとしておりますが、遡及適用に関する部分は、公布の日から起算して九カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
この法律によって、新たに非正規雇用の方、最大で二百五十五万人が雇用保険に入ることができるというものであります。
これからもセーフティーネットの拡充に努めてまいりますので、よろしくお願いをいたします。
○藤村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
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○藤村委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子君。
○阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
初めてトップバッターをやらせていただきます。よろしくお願いいたします。
・・・【以降、途中まで略】・・・
さて、昨年の三月十八日の衆議院厚生労働委員会では、この雇用保険法の改正の採決時に、以下のような附帯決議が採択されております。「雇用情勢の急激な悪化に伴い、」云々、「日雇労働求職者給付金の受給要件の見直しを含め制度が活用されるよう一層の周知徹底を図ること。」
何を言っているかというと、今まで、日雇い保険の場合、二カ月間で二十六日間の勤務日があれば、その白手帳にシールを張る形で失業保険がおりていたわけですが、実際には、非常に仕事量が減る、そしてなかなか二カ月で二十六枚というところに到達しない方が出てきておるということを昨年指摘させていただきました。その指摘を委員会で受けとめていただいて、このような、日雇い労働者給付金の受給要件の見直しを含め制度が活用されるようという附帯決議がついたわけです。
では、果たしてどのような見直し、現状把握等、要は、やはり雇用情勢が悪ければ、必ずしも二カ月で二十六日働けないということもあると思いますが、この点についての見直しの現状について御答弁をお願いいたします。
○長妻国務大臣 今おっしゃられたのは、まさにこの委員会で、昨年の三月十八日の附帯決議を読み上げていただいたわけであります。まず、今おっしゃられたように、二カ月で二十六日働くというのが要件でありますけれども、非常に日雇いの人数に比べてこの被保険者資格の手帳を交付されている方が少ないという実態と、減少幅が大きいということで、そこの実態を詳細に把握した上で、同時並行的に、この手帳がこういう役割をしているというのを御存じない方が最近もかなり多いという感触を持っておりますので、そういう方に対して、広報をきちっと適切な場所でしていくということを検討していきたいというふうに考えております。
まずは実態把握をした上で、いろいろ改善すべき点があれば改善させていただくということについても考えております。
私も、実は野党時代に、附帯決議というのをどれだけ役所は重みを持って受けとめているのかという問題意識も持っておりますので、今後とも、附帯決議についても対応をするという前提で行政についても指導していきたいと思います。
○阿部委員 ぜひそのようなお取り組みをお願いしたいと思います。
本当に、総体的に仕事が少なくなっている。そしてそこで、働きたいけれどもなかなか仕事にありつけないという状況はこの間広がっています。しかし、それだからといって、収入がなければ、当然いろいろな、極論すれば生活保護等々に頼らなくてはならなくなる事態もあるわけで、なるべくセーフティーネットを広くしていただけるよう、実は、これは昨年の附帯決議で、一年たったわけですから、今大臣が、新たに大臣として担当された中で調査をしていただけるということを前向きに受けとめ、また、各自治体では、そうした方に対しても、二十日しかないというときに、自治体ごとにいろいろ工夫をしているところもあるやに聞いております。そういう実態も含めてお調べをいただきたいと思います。
引き続いて、もう一問お願い申し上げます。
一九八六年に労働者派遣法が施行されました。近くまた、労働者保護の観点から、法を業法から労働者保護にと転換していく改正が予定されております。
実は、この労働者派遣という形態が我が社会に取り入れられてから、むしろその裏側で、今までは、労働組合が行うある種の労働者供給事業というものが認められてきた。いわゆる労働者供給事業というものがございましたが、派遣の労働者数はわあっとふえたのですが、この労働者供給事業という方は、なかなか派遣の伸びの裏でふえませんでした。
これは、労働者みずからが労働組合という形をもって、そこでの無料の職業紹介ですので、ある意味で、労働者保護という観点ではすぐれた働き方の一つになるのではないかと思います。
細川厚生労働副大臣に伺いますが、現在、この労働者供給事業を実施している組合は、全国で七十九しかないとある意味では言えますが、これの実態、実数、どのくらいの方がそういう働き方をしていて、二問続けて恐縮ですが、今後、厚生労働省としては、労働者保護の観点から、こういう、組合が紹介して、ある意味で安定性のある働き方というものについてどのように評価し、また、行政の中でのサポートをしていくかということについてお伺いをいたします。
○細川副大臣 阿部委員にお答えいたします。
労働者供給事業というのは、職業安定法四十四条で原則禁止をされております。それはなぜかといいますと、賃金の中間搾取とかあるいは強制労働が起こり得るということでこれは禁止をいたしておりますけれども、しかし、例外として、そういうおそれがない場合には、厚生労働省の大臣の許可ということで、労働組合などがその供給事業を行うことができる、こういうことになっております。
平成二十年度におきましては、七十九の組合が許可を得ておりまして、四万七千人の労働者を年間延べ約百四十三万件、労働者供給をいたしておるところでございます。
この労働者供給事業というのは、労働者の立場に立って労働組合などが無料で労働者供給を行うというものでありますから、労働者の立場に立って供給事業を行うということで、これは推進をしていくべきだというような強い意見もございます。
さらに、昨年の労政審の答申では、日雇い派遣とかそういうものが禁止をされていくことになりますので、そういう意味では、派遣労働者の雇用の安定とかあるいは企業の人材確保を支援するという意味では必要な措置を講ずるのが適当だ、そういう答申の内容になっておりますので、厚生労働省としても、さらに検討を進めていきたいというふうに思っているところでございます。
○阿部委員 憲法二十七条に、労働は権利であり義務であるという一文がございます。本当に働く権利ということが担保され、そして社会がより発展しますように、これからもお取り組みをよろしくお願いいたします。
終わらせていただきます。
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