第174回国会 予算委員会 第14号
平成二十二年三月十八日(木曜日)
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○平成二十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
院送付)
○平成二十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
衆議院送付)
・・・【中略】・・・
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。
十六日に公述人として榊原英資氏が、介護や医療などを中心とした今までの社会保障を雇用とか子育てなどを含めた方向に大きく拡充させるべきだ、ヨーロッパ型の福祉国家を日本は目指すべきだ、子ども手当や高校無償化、これを盛り込んだ来年度予算、まさにその第一歩というふうに受け止めて高く評価をすると、こういうふうにお話しされておりました。
雇用政策、子育てを含む社会保障には高い経済波及効果があります。そして、社会保障が日本経済の一大成長分野であると、これは今やだれも認めるところでございます。社会保障をコストではなくて未来への投資だと、まさに福祉は投資だと、こういうことを積極的に位置付けたのは私はこの政権が初めてではないかと、こういうふうに思っておりまして、是非この政策を積極的にしっかりと推し進めていただきたいと、こういうふうに思っています。
最初に、総理に、この社会保障、人に投資をするということの意義あるいはそのねらいを総括的にお話しいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) まさに近藤委員お話しされましたように、今までは、やはりこういった問題、コストという部分でとらえられていたと思います。所得の再配分あるいは再分配した後、結果として貧困率がますます高くなってしまうというようなあべこべな社会保障制度というものもつくられてしまっていたということも含めて考えれば、新政権としてこの問題、しっかりと闘っていかなければならない大きなテーマである、そのように認識しております。
これは、社会保障という大きな枠組みの中に、先ほど榊原先生のお話もありましたけれども、私も同じように考えておりまして、例えば子ども手当とかあるいは高校の無償化、こういったものも大胆に充実をさせるということによって、結果として格差がない、いわゆる本当の意味での社会保障という、未来への投資という観点からの大きな事業だと見ることができると思っておりまして、そういう視点から見詰め直していく作業が今新政権に求められていると、そのように考えております。
○近藤正道君 派遣法の話でございますが、与党協議の結果、私ども社民党あるいは国民新党さんが強く求めておりました派遣先の事前面接の解除の見送りが決定をされました。私は大変良かったというふうに思っております。派遣法改正はあしたにも閣議決定をされるというふうに聞いておりますが、一日も早くこの国会に提出をされ、改正案が実現をされるということを願っております。
その一方で、この間のいわゆる行き過ぎた規制緩和、この中で、派遣だとかあるいは有期雇用、期間工だとかあるいは契約社員だとか、いろいろ様々、非正規の形で働く人たちが爆発的に増えました。今、五千万の人たちの中の三分の一、これが非正規だというふうに言われておりまして、この非正規の人たちが、雇用と生活の不安、これがまずあるということはもうもちろんでありますけれども、職業能力やあるいは熟練を蓄積する機会が失われていく。社会全体として、まあ言葉は私は好きではありませんが、人材の劣化、こういう問題がとりわけ物づくりの現場等で大変指摘をされているわけでございます。
総理にお尋ねをしたいと思いますが、非正規、不安定雇用に陥ってしまったこの人々の生活不安の払拭、あるいは雇用の安定、人材の質の向上のために、今こそ人間らしい労働、いわゆるディーセントワークと、こういうふうに言われておりますが、この実現に向けて大きく一歩を踏み出すべきだと。私は派遣法の改正もその一歩だというふうに思うんですが、その後のことも踏まえて、今こそ人間らしく働く、働く命を守る、このスローガンを掲げる鳩山内閣の下でこのことにやっぱりしっかりと取り組むべきだと、こういうふうに思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。
○内閣総理大臣(鳩山由紀夫君) 派遣法の改正に関しましては社民党さんが大変御努力をくださいまして、特に派遣先の事前面接というものを行わないと、その一点に絞って御協力をいただいた結果、おかげさまで派遣法の改正案というものを政府の中でまとめることができたことを感謝を申し上げたいと思います。これは最終的なすべてでき上がった派遣法の改正ではないと、私もそのように思っておりまして、まずは第一歩だと思っております。ガラス細工のようなところがありますので、御協力いただいたことに改めて感謝を申し上げます。
これからは更に、この派遣法、元々非正規の方々が多くなることが、今おっしゃったように必ずしも、この国の体力というものを弱めてしまったのではないかというお気持ち、私もそのとおりだと思っております。働き方はもっと多様であるということは自由であってよいかと思っておりますが、会社の事情によって一方的に、本来ならば正規社員として働きたいのに働けないという環境は必ずしも望ましいものではないと、そのように思っております。したがって、これを第一歩として、ディーセントワークのようなお話もいただきましたが、より国民の皆様方にとって、ある意味での国力というものを大きく増進させていくための発想というものもこれからの政権にとって大きな課題だと、そのように認識しておりまして、社民党さんの御協力を更にお願いを申し上げたいと存じます。
○近藤正道君 大変前向きな御答弁だというふうに受け止めさせていただきたいと思っています。
・・・<以下省略>・・・
|