第174回国会 厚生労働委員会 第5号
平成二十二年三月十九日(金曜日)
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○平成二十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
院送付)、平成二十二年度特別会計予算(内閣
提出、衆議院送付)、平成二十二年度政府関係
機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
(厚生労働省所管)
・・・【中略】・・・
○近藤正道君 最後でございます。社民党・護憲連合の近藤正道です。
・・・【以降、途中まで略】・・・
今回の予算委員会の中でも、非正規労働の話が何人かの方から出ました。私も昨日やりました。派遣法の見直しがこの議会で、国会で実現するということは大変結構なことでございますが、とにかくこの間の小泉・竹中路線の中で、行き過ぎた規制緩和で爆発的に非正規労働が増えたと。そして、これが雇用の不安定、生活の不安定のみならず、まさに人材の劣化という、スキルが蓄積しないと。いろんなところでいろんな弊害がやっぱり出てきて、昨日も総理がおっしゃっておられましたけれども、非正規労働の増大がやっぱり国力を弱めると、まさに国力の源は労働だという話がありましたけれども、そういう非正規労働の増大が国力を弱めると、そういう側面が非常にあるんだということを総理も言っておられましたけれども、まさにここは本当に深刻な問題として、もう一度、増大している非正規労働を大きなやっぱり政治問題としてとらえて、何とかしなければならない。
この国会の一つの共通の認識に私はなっているというふうに思うんですが、ところが今回、皆さんから示された厚労省関係予算案の概要の中の非正規労働者への総合的な対策、これを見ますと、今年に比べて来年度予算が、非正規労働者への総合的対策が約百四十億円ほど予算が落ちているわけですよ。
例えば、パートタイム労働者の正社員との均衡待遇の確保と正社員転換の推進、これは非常に重要な事業だと思いますけれども、これも落ちている。有期契約労働者の正社員転換の促進、この予算についても今年に比べて来年が落ちている。あるいは、派遣労働者等の雇用の安定の確保、これはもう偽装請負だとか派遣契約の中途解約、こういうことはもうとにかくやられっぱなし、やられ放題、これをきちっとやっぱり防止をする、コンプライアンスをちゃんと守らせると、こういう意味で非常に重要な、しかも今年は派遣法は、これはもしかすると、もしかじゃない、派遣法は抜本的に変わるわけでありますので、その辺のスムーズな、円滑な移行も、これを監視をしなけりゃならない、こういうときにもかかわらず、これがまさに半分に減らされている。あるいは、住居喪失離職者等の再就職支援、職と同時に住まいを失っていると、こういう労働者に対する就職支援、これも大幅に減らされている。
私、これ、びっくりしまして、一体何だと言って聞きましたら、いや、これ去年、前の政権のつくった制度ですよね、ところがそれをやってみたら利用者が余り多くないんで、実態に合わせて予算案削ったと。それは、利用がなければそれ削るというのは分かるけれども、しかし余りにも、何というかな、消極的というか、ないんなら、じゃなぜ利用がそんなにないのかやっぱり分析をして、制度を変えてこうやってもう一度チャレンジをするとか、いずれにしても非正規対策というのは最重要の課題だということをみんなが言っているにもかかわらず、前の政権よりも大幅に予算が減るというのは、単に利用が少ない実態に合わせて減らしたというのではそれは何とも、何というかな、納得し難い。
私、与党ですから余り批判的なことは言いたくないけれども、ここは非常に重要なことなんで、どうしてこうなったのかということについて、やっぱりちゃんと説明をしていただきたいと。それは、予算はこうなったけれども、こういう理由でこうなんで、ほかにこういう形でもって完璧な体制を取っていますというんなら、是非私が分かるように御説明をいただきたいと、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(長妻昭君) 基本的に、この予算を減らしたというのは利用率が低いということでありまして、そのときに二つの理由が考えられると。一つは、利用率が低いのは、その行政がそれを周知徹底をしないとか告知が不足したとか、あるいはそれを、利用が簡便にできるようなそういう手続になっていないとか、つまり政策目的は合っているけれども、宣伝とかあるいは手続の面でなかなか利用が足りないという面と、あとは、もう一つは、その手法自体が効果が薄いということで、なかなかその政策の方向性が適切ではないということで利用が少ないと。
二つの側面があると考えておりまして、我々は、これを拝見をして、そしてこの部分については減らすということにいたしましたけれども、個々のかなり細かい対応というよりは総合的支援体制を整備しようということで、その部分については予算は倍以上にさせていただいているところでありまして、これは、正式には非正規労働者の総合的支援体制の整備ということで、職業紹介、職業相談と生活、住宅相談とを一体的に実施をするセンターを設置をするということで、これ三十二か所ということでありますが、これを今後とも効果が上がれば増やしていくということと、そしてもう一つは、住宅手当、ここにも住居喪失離職者等の再就職支援という、先ほども紹介していただきましたけれども、これ、自治体に手続をお願いする住宅手当というものも充実をして、その給付についても一定の要件で延長をするという取組は、これは手厚くしている。そして、基金事業ということで、雇用保険に入っていない方に対する、無料で職業訓練受けて、一か月十万円、一か月十二万円という生活費を支給するというのも枠を拡充をしていくというようなことで対応しようということで、決して非正規労働者の、この御時世でありますので、何か対応を緩めるというような発想を持っているわけではありません。
○近藤正道君 是非そうあっていただきたいと思うんです。
実は私は、今の緊急人材育成、求職支援の前の制度、来年、求職支援制度になる今の制度ですね、人材育成、あれの制度を最初に見たときに、実に使い勝手が悪いということで痛感をいたしました。せっかく皆さん頭ひねって知恵出していい制度をつくって、そして今までの縦割りを改めて谷間を埋めて、弱い立場の非正規の労働者を支えようという制度をつくったにもかかわらず、物すごい使い勝手が悪くて、そしてしかも周知もいいかげんで、そして多くのがやっぱり使われないと、そういう実態を非常に見せられた。
私、この間、NHKで湯浅誠さんが参与をやめた経過を放映していましたけど、あの経過も見て、やっぱりこれ一つ一つの制度はみんなそれぞれ鳴り物入りで、これでもって非正規労働者を支えるんだといって皆さん出してきた制度でしょう。これが一年ぐらいで、一年もまだたたないかぐらいで大幅に予算を削られるというのはこれはちょっとおかしいんではないか、本当にもう一度やっぱりきちっと点検をして、皆さん個々にはみんな一生懸命やっているの分かるんだけれども、これでいいのかどうか是非しっかりと調べて、もう一度私は是非話を聞かさせていただきたいというふうに思っています。
みんな国民の血税で、せっかく使うんなら徹頭徹尾やっぱり生きるような形で使っていただきたいな。今ほどの話は、お役人もレクのときに私にそういうふうな話をちょっとしていたけれども、そんなんじゃやっぱり済まないんじゃないでしょうかね。これみんな、皆さんも今まで宣伝をしてきた話じゃないですか。それがわずか半年かそのぐらいでこんなになるというのはやっぱりおかしいと思いますよ。
何かうなずいて聞いておられましたけれども、山井政務官、何か御意見ありますか。
○大臣政務官(山井和則君) やはり、これ非正規雇用の方を正規雇用に変えていくというのは一番重要なことなんですが、私もショックを受けたことがあるんですが、非正規雇用の人を正規雇用にしようという相談に乗っている方も正規雇用でなかったりとか、そういうふうなこともあると思うんですね。これは根本的な問題ですが、ハローワーク、今国家公務員を削減するという中で、やはりこれ正規雇用にしていくなり、やっぱりいい職場を紹介するときには本当に専門性の高いプロフェッショナルなカウンセラーが必要だと思っておりますけれども、そういう方々をこれからどうやって増やしていけるのか。
これは正直言って、予算が絡むことですのでそう簡単なことではないと思っておりますが、本格的に雇用対策に力を入れていくためにはやはりそういう人材を国がどうやって育てていくのか、そのことは一朝一夕にできることではありませんが、そういう根本的な問いを私たちは今投げかけられているんだと思っております。
○近藤正道君 いずれにいたしましても、全体として、今回の税金の使い方を変える、コンクリートから人へということで、人に着目をしてやっぱり人を支える、そういうふうに予算を大きく組み替えたと、私はもうすばらしいことだというふうに思っておりますし、この予算はもちろん賛成をいたしますけれども、今の非正規の労働者への総合的対策については全く釈然としておりませんので、是非この点についてはしっかりと分析をしていただいて、生かして税金を使っていただきたいというふうに思っています。
・・・<以下省略>・・・
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