衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第19号 平成22年4月23日(金曜日)

・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
・・・【中略】・・・
阿部委員 社会民主党の阿部知子です。
・・・【以降、途中まで略】・・・
阿部委員 では、引き続いて、本日のテーマの労働者派遣法に移らせていただきます。

先ほど長妻大臣からこの法案の御説明がございましたが、私の理解が間違っているのか、最後に、このほか、法律の名称と目的を変更いたしましたと。このほかと述べられましたが、そもそも、今回の労働者派遣法の改正は、これまで労働者派遣業の業法が主であったこの派遣法を、明らかに労働者保護のための法律と目的を変え、それゆえに名称も変えたものと理解してよろしいでしょうか。

そのほかではないんだと私は思います。メーンの改正が、これは、これまで労働者派遣業の業法とその就業形態を決めたものであったものから、そこに働く人に着目して、労働者保護の観点で法律を改正するものであると考えてよいでしょうか。

長妻国務大臣 この趣旨説明で申し上げたことは、法律の名称に保護という言葉を入れたということでございまして、今委員がおっしゃっていただいたようなそういう趣旨であります。

阿部委員 新政権が発足いたしましてこの法律を与党として出す以前に、既に、政権交代前に三党でこの労働者派遣法の改正案もつくり、しかし、実際には成案を見ませんでしたけれども、今与党にある三党は、もともと、この労働者派遣という形態が今の働く人たちにもたらしているさまざまな問題に着眼して、何とかこれを改善したいという思いで始まったと理解しています。

そして、今回の改正はその一歩であり、まだまだ課題は残されながらも、それは、一つには、労政審等々の仕組みを一たんは通って法案化するというこれまでのルールを大事にするということからは、まだ今回到達できないものも実は残されていると思いますが、私は、何よりも、目的を明示し、この内閣としての姿勢を示したということにおいて評価をしたいと思います。

しかし、その中で、同時に残された課題の中のまず最も大きなものからきょう質疑をさせていただきます。

ここで、いわゆる常用雇用の派遣労働者、常時雇用する労働者であれば、さまざまな意味で、派遣はこれからも了とされております。製造業への派遣も含めてであります。では、この常時雇用する労働者と呼ばれている派遣労働者の実態については、政府はどのようなデータをお持ちなのか。

例えば、あるところに三カ月派遣、そして一カ月ほどあいて、またあるところに二カ月派遣。これは例示ですけれども、この合間の期間の一カ月は、どこか、派遣元から派遣先に行っていない状態があるといたします。この間、例えば給与はどうなっているのか。

そしてもう一つ。派遣業をやっていて、なかなか景気も悪く、派遣先の仕事が減る。このときに、いわゆる雇用調整助成金、普通の労働形態であれば、仕事が減ったとき、そういうことで賃金補てんをされるわけですが、この雇用調整助成金、実績はいかがなものであるか、これを細川副大臣に伺います。二点お願いいたします。

では、ごめんなさい、細川副大臣には後者をお願いいたしまして、前者は長妻大臣で、あと足立政務官には、お時間を割いていただいてありがとうございます。

長妻厚生労働大臣、この常用派遣の皆さんの派遣されていない間の賃金、労働形態。社会保障はもちろんあるでしょうね、派遣元と契約しているんですから。賃金についてはどうでしょう。

長妻国務大臣 今おっしゃられた件については、平成十七年に行った調査がございまして、つまり、派遣元と常用雇用の契約を結んでいる、しかし、その派遣元が派遣先との契約が切れたときにその労働者はどうなるのかということでございます。

この調査によると、五四・九%の人はすぐに別の派遣先を派遣元が見つけて雇用が続いたということでありますが、二三・二%の方については、ほかの派遣先を一定の期間を置いて見つけてもらったということです。

問題は、その一定の期間、仕事がない期間は、ではどうなっていたのかということでありますが、今申し上げた二三・二%の中で、約半分の方は派遣元から休業手当をもらっていました。それは常用雇用でありますから、もらうのは当然でありますが、ただ、それ以外の半分の方は休業手当の支給がないということでありますので、これは中身を詳細に確認しなければなりませんが、問題のある可能性がある、こういう調査がございます。

細川副大臣 雇用調整助成金につきましては、リーマン・ショック以来の大変な不況の中で、この制度が大変利用されてきた。このことで、解雇されずに雇用が確保されているということがございます。

そこで、派遣の場合について、具体的な数字を申し上げますと、雇用調整助成金の支給対象となった派遣労働者数、これは本年二月で六千人、これまでに延べ人数十四万人でございます。

阿部委員 前段の長妻大臣の御答弁には、平成十七年の調査でありますし、今般、この派遣法の改正に伴ってぜひ再調査をしていただきたいと思います。

と申しますのは、さっき大臣もおっしゃったように、次の派遣までの間が、何も仕事がなくて休業補償がある人が半分であれば、残る半分は何もない。すなわち、労働者保護の観点から、全くこれは不安定な収入になるわけでありますから、ここは、サンプル調査でも構いませんし、実態調査をぜひやっていただきたいと思います。

私がそうお願いするまたもう一つの理由は、常用雇用の派遣であって、派遣先への仕事の終わりが派遣元との雇いどめ、そこの派遣元で仕事がもう契約が切れるというようなものになっていることはないのかということを懸念しております。これも、もし調査がおありであれば教えていただきたいし、また、そうした実態が起きたときに何か是正措置に入られているのか、これは細川副大臣にお願いいたします。

長妻国務大臣 まず、前段のお尋ねでありますけれども、この法案では、登録型派遣の原則禁止の施行、これは公布後三年以内の政令で定める日でございますが、その期間までに、今おっしゃった常時の雇用で派遣元に雇われている方が契約が切れたときに、例えば休業の手当が出るのか否かについて、再度調査をして公表をさせていただきたいと思います。

そして、後段のお尋ねでございますけれども、これは派遣の契約が切れるといったときに、その労働者はどういう状況になるのかということでございますが、今審議いただいている法案の中の第二十九条の二というところで条文を入れさせていただいておりまして、今申し上げたような場合については、派遣先の義務として、そういう労働者に対して新たな就業の機会の確保等について必要な措置を講じなければならない、そういう趣旨の条文を入れさせていただいて、派遣先に対して一定の義務を課しているところでございます。

阿部委員 ちょっと後段は私の聞き方が悪かったのかもしれません。派遣先との契約は終わって、そして、そのときに派遣元で、それがもう派遣元との契約の終わりになっているようなケースがあるのではないかということであります。今大臣のお答えは、派遣先が中途で解約したことのお話でありました。

引き続いて、ちょっとデータを見ていただきたいと思います。私がそうしたことを伺いますのは、四ページ目の資料をごらんいただきたいのですが、これは平成二十年十一月、厚生労働省がお調べになった資料で、雇用契約別の対象労働者の中途解除に係る雇用状況についてであります。

このとき、中途解約された方は三万五千八百八十六人、そのうち常用型が二万五千二百八十五人おられて、常用型といっても有期の常用型と無期、期限の定めのないといって本当に無期の方と、常用であるが有期という方もおられるわけですね。例えば、一年以上であって、しかし一年半とかそういうのもありますでしょう。そう見ると、圧倒的に有期の常用雇用の方がいわゆる派遣切りの対象になっております。

この資料について、私はいろいろな分析が必要なんだと思います。相手方が中途解約する場合もあるでしょうし、相手との契約の終わりがこちらの派遣元との契約の終わりになっていたり、常用雇用と言われながら、有期の場合に、実際にも派遣切りに遭っているし、この法律がまだまだ、今回私どもの提案したものがその点において課題を残していると思いますから、大臣にきょうのお問い合わせ、まず、この数値はどうごらんになるか、そして、このことについてはどのように対処なさるか、お願いいたします。

長妻国務大臣 今御指摘の表でございますけれども、有期で派遣の契約が切れた、そして、その有期の労働者を派遣元がどう扱うのかというような趣旨でございますけれども、今、合計で有期では常用型、二万八百八十四人の方がいらっしゃる。そして、その中で一万八千六百六十四人が離職をされている。その中でも解雇というのが一万六千百八十九人いらっしゃる。期間の満了が千八百八十三人、こういうことでございますので、常用型で有期の方について、派遣契約が終わってしまうと非常に派遣元との雇用関係が不安定になる、こういうことが示されているというふうに考えております。

これについては、先ほどちょっと答弁を申し上げたように、今回の法案の中には、派遣先の都合で契約を切った場合でありますけれども、それについては派遣先が、こういう労働者の方について基本的な新たな職場の情報提供などなどの義務を課す、これを新たに条文に本法案で入れさせていただいているということで、それ以外の、正社員化の道を開くような別の政策もございますので、そういうものも組み合わせて支援をしていきたいと考えております。

阿部委員 派遣元との契約関係の終了も、他の正規労働者と変わることがない、きちんと要件が必要と思いますから、そのような方向に御検討していただきたいと思います。

終わります。

・・・<以下省略>・・・




 

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