第19号 平成22年4月23日(金曜日)
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
・・・【中略】・・・
○藤田(一)委員 民主党の藤田一枝でございます。
・・・【以降、途中まで略】・・・
ここからはお尋ねでございますが、あわせて、日雇い派遣、今回、ポジティブリスト化という問題が出てきたわけでございます。
日々または二カ月以内の派遣を禁止するということで、今回、日雇い派遣の問題、禁止規定が出たわけですけれども、専門二十六業務の中から、ポジティブリスト化で十八業務は例外規定にするということになる予定だと伺っております。
これも非常に、ポジティブリスト化をすることによって、登録型の派遣と同様の問題が今後起きてくるのではないか、あるいは抜け道に、抜け穴になってしまうのではないかということが大変懸念をされていくところでございます。これはやはり厳格に運用をしていただかないといけない。
特に、このポジティブリスト化については、六カ月以内に、先ほどの御答弁でも整理をされるということでありますから、この点の見直しについて、ぜひ厳格な運用、抜け道がないような、ポジティブリスト化の例を見ていたらば、やはり同じなんですね、受付とか案内とかというのも入っていて、これは適正な雇用管理に支障を来さない業務とかという形になっているんですけれども、どうもなかなか理解できない。
先ほどから大臣の御答弁でも、日雇い派遣ということは非常に問題があるんだ、こういうことが非常に大きな格差の要因になったんだというお話もあるということからすると、このポジティブリスト化ということは非常に厳格に見ていかなければいけないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。御答弁をお願いしたいと思います。
○細川副大臣 委員の御指摘のとおり、それについては厳格にやっていかなければいけないというふうに思っております。
具体的には、専門性があって労働者の交渉力の高い業務については、これは労働者保護の観点からも問題がないというふうに考えております。このため、いわゆる専門二十六業種のうち、特別な雇用管理を必要とする業務、あるいは日雇い派遣がほとんど見られないような業務を禁止するということ、それ以外の業務について、例外を政令に定める、こういうことになっておりまして、それを今後、委員が御指摘されるように、厳密に、抜け道がないような形できっちりと規定をしてもらうように労政審で審議をしていただき、それをもって、どのようなことが認められるかどうかということを決めてまいりたいというふうに思います。
○藤田(一)委員 ありがとうございます。
先ほどの初鹿議員が資料として提出された新聞記事ではないんですけれども、この法案が抜け穴だらけだということになってしまったのでは、せっかく改正をするという意義が薄れてしまうわけですから、ここの中のなかなか読み取りにくい部分を、この委員会の審議、国会の審議を通じてしっかり詰めて、そしてそこをきちっと埋めていただきたいというふうに思いますので、今の点についてもぜひよろしくお願いをしたいと思います。
次に、違法派遣についてお尋ねをしたいと思います。
違法派遣というのはいろいろな形で行われてきて、先ほどの専門二十六業種の問題でも厚労省は適正化プランというものを出されたりとか、あるいは違法派遣についていろいろな指導、勧告だとか命令だとかということで、この間、大変強化をされてきているわけではありますけれども、大変大きな問題がございます。
今回、迅速的確な対処ということが盛り込まれたわけでありますけれども、問題は、違法派遣の認識の問題であります。いろいろな点が出されていますけれども、故意ではなくて過失だった、それは知らなかったんだというふうに言われた場合にどうなのかということが大変心配をされています。
この点については、やはりそういう言い逃れということがないようにしていかなければいけないということだと思いますけれども、この点についてどのように御見解を持っていらっしゃるか、対処されようとしているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○細川副大臣 このみなし規定を入れましたことは、これは、違法をしていたからもうそこで派遣が終わりだということで、労働者の皆さんが解雇されるというか職場を離れるような形になってもいけないわけでありますから、違法派遣をしていた派遣先は労働者に対して雇用契約、労働契約の申し込みをした、こういうみなし規定を入れたところでございます。
では、派遣先の企業が違法を知らなかったということでその責めが免れる、そういうことでは委員が御指摘のようにおかしいということになろうかと思います。
そこで、知らなかったということで、過失がそこにない、こういうことも要件に入れておりますから、これは、派遣先の知らなかったということについては、知らなかったことについて過失がなかったということを相手先が、派遣先が証明をする、こういうことにもなってまいりますから、ほとんどの場合がなかなか難しいというように考えております。
ただ、全く知らなくて、それに過失がなかったような場合にもこのみなし規定を入れるということはちょっと規制がきつい、こういうことでそういう形にしたところでございます。
○藤田(一)委員 そうしますと、知らないことに過失がない場合を除くとなっているわけですけれども、この過失がない場合というのは、企業側が、使用者側が立証できなければいけないんだ、こういうことでございますね。そういう形で厳しくやっていくという御答弁であったと理解をいたしますので、ぜひお願いしたいと思います。
あわせて、みなし規定の導入でありますけれども、このみなし規定を導入するということによって、派遣先に対する抑止的な効果というものが大変強く出てくるんだということを伺っております。
しかし、このみなし規定の導入、ここに今回列挙された、禁止業務に従事させること以下五点ありますけれども、それだけではなくて、違法派遣というのはいろいろな形で起きる可能性があるのではないか。むしろ、列挙された行為だけではない、全体的な厳しいチェック体制ということが派遣先に対しても今後やはり必要になってくるのではないか、このように考えるわけであります。
従来、派遣元に対して、指導、勧告、命令、こういうものが行われてまいりました。今後、このみなし規定の導入だけではなくて、派遣先へのさまざまな指導というんでしょうか、そういうものをどのように行っていこうとされているのか、その点もあわせてお聞かせをいただければと思います。
○細川副大臣 先ほど、みなし規定での、知らなかった、あるいはそれについて過失がないということ、そういうことについて御説明してまいりましたけれども、ちょっと加えますけれども、ほとんどの場合、だまされたというようなとき以外は、これは雇用先、派遣先のみなし規定が適用されるというようなことでございます。
それからまた、違法派遣が繰り返されるというような悪質な派遣先に対しては、まず指導助言して、そして勧告、公表というのがこれまでだったんですけれども、これからはそういう指導助言というようなことではなくて、悪質な業者に対しては、指導助言をせずに即座に強力な勧告、そしてその企業名を公表していくというような、そういう厳しい態度で臨むこととなっております。
○藤田(一)委員 ありがとうございました。
いずれにしても、厳しい姿勢で対処をしていただきたいということをお願いしたいと思います。
そして次に、有期雇用派遣労働者の無期雇用への転換についてお尋ねをしたいと思います。
今回、努力義務規定ということでこの規定が入ってきたわけでありますけれども、派遣労働者の正規雇用への転換というのはなかなか難しい状況がございます。一度非正規という雇用形態で働くと、なかなか正規雇用にはなれない。もちろん、みずから希望して選んでいる働き方なんだという指摘も一方ではありますけれども、しかし大半は、実はやはり正社員という募集がなかったから派遣で働いているんだ、こういう理由が大変多いというふうに私は認識をしております。
そういう人たちが正社員を希望して何とか転換したいといっても、実際には、履歴書段階で落とされてしまうケースがこれまた大変多いということでございます。理由は何かというと、やはりスキルが形成されていないとか、キャリアが蓄積されていないとか、こういう形で落とされてしまって、採用までいかないというわけであります。
ここはやはり、派遣労働者の正規雇用への転換というのはこれからとても大事になってくるわけでありますから、具体的な就労支援策というものが必要であろう。従来の奨励金のような形も一つの方法でありますし、また、それが少し、時限立法的な形ではなくて、安定的に使用者にとっても利用できるというようなことも必要なんだろうと思いますけれども、いずれにしても、今回厳しく規制をかけたこととの抱き合わせで、やはり就労支援策強化をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○長妻国務大臣 今の御指摘は重要な点でございまして、労働者については無期雇用がより望ましいわけであります。そのときに、派遣元に無期雇用されてもいいし、派遣先に無期雇用されてもいいわけでございまして、その双方について支援策というものを講じる必要があると考えております。
今御審議いただいている法案については、三つの努力義務を派遣元に課しております。一つは、期間の定めのない派遣労働者または通常の労働者として雇用する、こういう努力義務であります。二番目については、紹介予定派遣の対象としてほしいという努力義務であります。第三には、期間の定めのない労働者、つまり無期雇用者への転換を促進するため、教育訓練等を行うという努力義務であります。
それと同時に、今おっしゃっていただきましたような、派遣先が派遣元から派遣された労働者を直接雇い入れる場合は一定の奨励金を支払うという制度がございますけれども、これについて運用をして、雇用の安定を図っていきたいというふうに考えております。
○藤田(一)委員 ぜひ、この就労支援策というものをさまざまな面から強化していただきたいというふうに思います。教育訓練等も大変重要でございますし、インセンティブを働かせていく奨励金ということも必要だと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。
それから次に、今回、対象から外れました派遣先の使用者責任という問題について、一言だけ触れさせていただきたいというふうに思います。
派遣先の使用者責任というのは、やはり免れないのではないかと私は考えているわけであります。特に、派遣先にはさまざまな労働者の使用に対して、例えば労働安全衛生上の規定も適用されるわけでありますし、あるいはセクシュアルハラスメントの防止義務というようなことも求められているわけでございます。そういったことも考えますと、やはり派遣先の使用者責任ということをもう少し明確にしていくということが、派遣法をこれから強化していく上で必要なのではないか。
ぜひ、これは今後の検討に加えていただいて整理をしていただきたい、このように考えます。いろいろな審議会の議論の中でも指摘があったというふうに聞いておりますので、ぜひこの点について検討を進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○細川副大臣 派遣先の責任については、委員が御指摘のように、大変重要なことでございます。
そこで、審議会の方でもいろいろと検討をいただいておりましたけれども、結論が出ずに先延ばしになったことがたくさんありまして、例えば派遣先の団交応諾義務だとか、そういうものも先送りになっております。
それらの派遣先の責任については、派遣労働者の保護というような観点からこれをさらに検討していく、こういうことで、この改正案の附則の第三条第二項を設けておりまして、そこには「派遣先の責任の在り方等派遣労働者の保護を図る観点から特に必要と認められる事項について、速やかに検討を行う」、こういう規定を設けております。
この規定をつくっておりますから、この法律が成立をいたしましたら、その後、速やかに労働政策審議会の方でこの議論をやっていただく、こういうことになっております。
○藤田(一)委員 ぜひ団交応諾義務については認めていただきたい。労使間で解決できる問題もあるわけですので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。
次に、派遣労働者の待遇の改善についてお尋ねをいたします。
今回は、派遣先労働者との均衡を考慮しつつ、賃金、労働条件の決定に配慮をするということになっているわけでありますけれども、常用代替防止の観点からも、やはりここは均等待遇原則ということが必要ではないかと私は考えております。パートタイム労働法でも差別的取り扱いは禁止というふうになったわけでありまして、ここは派遣法も同様にならなければならないのではないか。雇用における格差の是正ということについては、均等待遇ということが絶対に必要であります。
もう重ねて申し上げる必要はないと思いますけれども、例えば、EU、欧州連合では、二〇〇八年の十一月に、派遣労働者指令ということで均等待遇を指令しております。そういうことをしているわけでして、均等待遇についてちゃんと検討するときを迎えているのではないか、このように考えていますが、ぜひここは大臣の前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
○長妻国務大臣 今のおっしゃっていただいた点でございますけれども、派遣労働者については、同じ仕事をしているにもかかわらず、派遣先の労働者に比べて賃金などの待遇が低く、不当である、こういうような指摘をいただいていることも事実であります。
そのため、今御審議している改正案では、派遣労働者と派遣先の労働者が同じ業務についているのであればバランスのとれた待遇を求めるという趣旨で、派遣先の労働者との均衡を考慮する旨の規定を設けさせていただいております。これは、第三十条の二という規定で「均衡を考慮した待遇の確保」ということでございまして、まずはこういう措置で、労働者の皆様方がバランスを欠くような、そういう待遇がなされないように、我々としても指導していきたいと思います。
○藤田(一)委員 大臣がおっしゃらんとすることは理解はいたしますけれども、均衡と均等はやはり違うんですね。ですから、そこはきちっと踏まえていただきたい。
そして、この間もこのやりとりを何回かさせていただいていたんですけれども、なかなか厚労省の方の御回答は、評価基準や物差しがないとか、あるいはヨーロッパは産業別の賃金構造だとか、そういう話がいろいろと出てまいります。でも、もう具体的に、ここはその物差しづくりも含めて検討するときを迎えていると私は思っているんです。
特に、今回、新成長戦略の中でも、同一価値労働同一賃金、均等待遇という言葉はやはり入っているわけでありますし、国連の女性差別撤廃委員会やILOからも再三勧告を受けている。こうしたことについて、政府は一定の回答をしていかなければならないわけであります。旧政権のときに、私ども野党のときには、これはおかしいと随分いろいろと言い続けてきましたが、政権がかわったわけでありまして、今度はその回答は大臣がなさるということになるわけであります。
民主党のマニフェストでも、同一価値労働同一賃金、均等待遇原則ということは記載をいたしております。ですから、ここは一歩踏み出す、そういう決断で、今すぐ、あしたからできる、あさってからできるということではありませんけれども、きちっとその目標に向かってスタートを切っていただきたいということを私は申し上げたいと思います。
大臣、もう一回御答弁、いかがでしょうか。
○長妻国務大臣 今申し上げたように、まず、この法案の中で「均衡を考慮した待遇の確保」という条文を設けさせていただいておりますので、この法律が施行された後、その実施状況、実態を把握して、そして是正すべき点があれば、それは課題として我々も対応する、こういうような姿勢は持ち続ける必要があるというのは同感でございます。
○藤田(一)委員 ありがとうございます。
働き方をこれから見直していかなければいけない、ワーク・ライフ・バランスということも盛んに言われている、こういうときに、どうしてもこの問題は避けて通れません。国際社会からもおくれをとっているということでございますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
最後に、もう一点だけお尋ねをしたいと思います。
今回の法案、大変大きな転換、一歩ということでありますけれども、非正規労働者の増大ということ、そして格差の拡大ということは大変今深刻な問題になっています。派遣法の改正だけで問題は解決しないということは十分承知をしておりまして、特にこれからは有期雇用契約のあり方ということが大変大きな問題になると思います。
この派遣法でも有期雇用契約のスキームというのが一部取り込まれているわけでありまして、これはせんだってお尋ねしたときにも、細川副大臣のもとに研究会が設置をされているということでございましたけれども、ぜひ、冒頭申し上げた不安定雇用の解消、派遣法だけでは解決できないさまざまな問題もあるわけでして、労働者の不安定雇用の解消が可能となる検討、有期雇用契約のあり方に対する検討ということを期待したい、このように思っています。
この点について、ぜひ御決意をお聞かせいただきたいと思います。
○細川副大臣 有期契約につきましては、大変重要な問題でございまして、今厚生労働省の中に有期契約の研究会を設置いたしまして、せんだって、その中間報告もしたところでございます。
働く者にとって、有期契約をどういうふうに定めていくかということは大変重要な、大事なことでありますから、これからしっかりとまた進めていきたいというように思います。
○藤田(一)委員 大変ありがとうございました。期待をしております。
質問を終わります。ありがとうございました。
・・・<以下省略>・・・
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