○塩谷委員長 次に、日森文尋君。
○日森委員 私も、この間の偽装請負の問題等について、重複を避けて質問させていただきます。
言語道断、大臣は遺憾だというふうにおっしゃいましたが、これはもう許しがたい行為が法令を守らなきゃいけない役所にあったということですから、遺憾だけではとても済みません。そのことをぜひ確認しておいていただきたいと思うんです。
一つは、建設弘済会の関係については、あり方検討委員会というのがありまして、そこが「建設弘済会への業務委託のあり方について」というのを取りまとめたようです。その中で民間出向者の見直し等が言われていて、これはこれで一定評価をしたいと思いますが、こういうことを出さざるを得なかった弘済会への業務委託について、なぜ、厚生労働省から指摘をされるような事態になってしまったのか。人が足りないということをさっき若干おっしゃいましたが、その原因について少し明確にお答えいただきたいと思います。
○竹歳政府参考人 原因について明快にということでございます。
地方整備局と建設弘済会との間の業務委託については、これまでも、実は、各地方整備局に対して、請負契約の趣旨にのっとって適正な執行が図られるよう指導徹底してきたところなんでございますけれども、今般、大阪労働局から、近畿地方整備局の二つの事務所において、厚生労働省が定める基準に照らし、一部不備があると。その内容については、例えば、請負契約であればこういう仕事をお願いしますということだけを頼むので、何人置いてくださいとか、そういうことを書くと請負契約にはなりませんというふうなことが指摘されました。それから休暇についても、庁舎管理上の都合もあったものですから、そういう委託の職員の方からも休暇はいつとるんだというようなことを報告をもらっていたわけですけれども、こういうことも請負契約の本旨からすると誤っているというようなことで指摘をいただいたわけでございます。
そういったことについては既に改善をしたところでございますので、今後は、請負契約という趣旨にのっとってきちっと業務ができるようにしていきたいと考えています。
あわせて、労働局の方からは、個別の二つの点以外にも、一緒に仕事をしているとやはりそういう問題が起きるじゃないかという御指摘もあったものですから、そこはきちっと区分をして仕事が進められるようにしよう、こういうふうにしているわけでございます。
○日森委員 原因がよくわかりません。単に請負の関係の認識が不足をしていたからそうなったという程度の話なんですが、本当にそれだけなんでしょうかということを指摘しておきたいと思うんです。
それから、偽装請負の関係についてもそうなんですが、結局、これは民間企業でもそうなんですが、労働者をなるべく安く使い回そうということで、民間の特に大手企業、名立たる大手企業もこれは公然と行われているという実態があるんですが、やはり役所の中でもそういう発想があったんじゃないでしょうかということを思うんですよ。本当に仕事をきっちり法律に従ってやっていく、そういう当たり前の精神だとか行政の目的、これが実はあいまいにされて、ないがしろにされてきた結果、こういう事態が生まれたのではないかというふうに考えざるを得ないんですが、その辺の原因についてもお答えいただきたいと思います。
○竹歳政府参考人 まず基本的には、国の定員削減方針に基づいて、この間、定員が大幅に減らされてきた。一方、公共事業の実施に当たりまして、仕事自体は大変複雑高度化しております。例えば、広く国民の意見を聞く取り組みでございますとか、入札契約の適正化でございますとか、公共工事の品質確保の取り組み、さまざまなことがあったものですから、各地方整備局において増大する業務を限られた職員で円滑に執行していくためにはこういう請負の仕組みが必要だったということがまず基本にございます。
そういう中で、ただ一方で、業務のスリム化、効率化というものも求められているということで、この外部委託している業務は、あくまでも公共事業の発注や管理のうち補助的な業務でございまして、最終的な判断や決定を伴うものは国の職員が責任を持って行ってきているところでございます。
今後とも、外部委託というものは活用するわけでございますけれども、きちっと法律にのっとり、また、限られた職員で効率的に社会資本の整備や管理が行えるようにしてまいりたいと考えております。
○日森委員 基本的には国の職員がきっちりと仕事をしていくという大原則に立つということを改めて指摘しておきたいと思います。
あとはちょっと同じような話になってしまいますので、せっかくきょうは厚生労働省においでいただいていますので、ちょっと偽装請負の関係の一般的な話ということになりますが、お聞きをしたいと思うんです。
景気がよくなったというふうに言われていますが、しかし、よくなって史上空前の利益を上げていると言われている大企業において、脱法行為である偽装請負などが半ば公然と行われていて、かなり摘発をされているという実態があると思うんです。これは、こういう偽装請負が半ば公然と蔓延している、とりわけ製造部門等でこういうことが広がっているという現実について、厚生労働省はどのように分析をされているのか、お聞きをしたいと思います。
○岡崎政府参考人 製造業の請負につきましては、いろいろな理由からそもそも活用されておりますが、その中でも、経費が割安なためというようなことで活用しているという回答をしている企業が多いというのは事実でございます。
ただ、そういう中で、きちっとした請負という形で行われていれば私ども問題はない、こういうふうに考えておるわけでございますが、構内で請負作業を行う、その際に、近くにその発注元の労働者がおるわけでございます。そういう中で、本来はきちっと請負事業者が責任を持つべき作業上の指示でありますとかそういったことにつきまして、請負事業者に言うのではなくて、直接その場にいる請負事業者の労働者に言ってしまうというようなことがどうも安易に行われている傾向があるということは事実だろうと思います。
私どもとしましては、やはりそこは、請負として出すのであれば、きちんと請負事業者が責任を持ってやる体制、これは仕事の中身もそうでありますし、それから労働者の管理もそうでありますが、そういったことをきちっと徹底していくということが必要だろうというふうに痛感しているところでございます。
○日森委員 今おっしゃったように、構内請負といいますか、そういうのが大きな問題になっていると言わざるを得ません。
厚労省も監督指導を強化する、指摘をしたりということで、これはしっかりやっていただきたいということなんですが、構内請負、これ自体を、その制度自体に問題があるのではないかというふうに私どもは思うんですよ。この辺について厚労省のお考えを一点聞きたい。
それから、請負業者や発注元のメーカーがとるべき対策指針、ガイドライン、これを来年六月をめどに出そうということになっているようですが、これは具体的にどういう方向性でガイドラインをお考えになっているのか。
この二点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○岡崎政府参考人 構内で請負作業を行う場合に、先ほど申しましたように、どうしても、やや混在しているという中でいろいろな問題が生じがちな点はございますが、一方ではやはり、業務を請負に出す際、請負事業者の専門的技術とか、いろいろな観点もありまして、従来から造船業その他で構内請負が行われてきたという状況もございます。そういう中で、構内請負を一般的にだめだと言うことはなかなか難しいのではないか、そこは、発注元、それから請負事業者それぞれが責任を持ってきちんとやるというようなことを徹底していくということが必要ではないか、こういうふうに考えております。
そういう中で、今御指摘のありましたガイドラインでございますが、これは六月をめどにつくっていきたいということで、有識者の方に集まっていただきまして検討しておりますが、一つはやはり、法令を遵守する、労働基準法でありますとか労働者派遣法でありますとか、そういった関係法令をきちっと遵守していただくというようなことをきちっと定めていくということとともに、請負事業者が独立して責任を持って仕事をしていくというのが本来の趣旨でございますから、そこにおきまして労働者がきちっとした教育訓練を受けていくとか、あるいは、そこにおきます労働者の処遇のあり方でありますとか、そういった点を含めましてガイドラインをつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
○日森委員 まあ、お気持ちはわかるんですが、しかし、実際にその偽装請負などをやっている企業の側の代表であります日本経団連の御手洗さん、何とおっしゃっているか。新聞でも出ていましたが、現在の請負制に問題があると。問題があるというのは厳しいんじゃないのかということでしょう、いわば緩和しなさいというような趣旨の発言をされているわけですよ。財界のトップ、企業のトップがそういう発想を持っていて、しかし厚生労働省は、請負業者や発注元がいわば自主的に法令を遵守しなさいということでやるんだと言うけれども、これはできるんですか。
御手洗さんの発言なんかについて、感想でいいから、厚生労働省、ちょっとしゃべってください。
○岡崎政府参考人 御手洗会長につきましては、指揮命令という中で仕事を教えるということをどう評価するかというようなことに関しておっしゃったというふうに理解しております。ただ、仕事を教えること自体が私どもすべてがだめだ、こういうことで言っているわけではございませんで、そこはやはり指揮命令になるような形はだめだ、こういうことで言っているところでございます。そういった点につきましては理解を求めていきたい、こういうふうに思っております。
なお、御手洗会長の発言を見ておりますと、法律を遵守することは当然であると、当然のことでございますが、言っておられますので、そういう中で私どもは法令の遵守を徹底してまいりたい、こういうふうに考えております。
○日森委員 その裏には、現在の請負制度、これは厳しいから変えて、もう少し企業が自由になるような法律に変えたらいいんじゃないかという裏があると思うんですよ。その法律を守るんだったら守りますよという意味にしか聞こえないんですが、まあそれはいいでしょう、ぜひチェックをきっちりできるようにしてほしいんです。
これは要望になるんですが、そのチェックをすべき機関、労働局もそうなんですが、それから監督署もそうなんですが、ここが廃止をされたり統合されたり、人が減っていて、一人の監督官が何百も仕事を持っているわけですよ。これは、事後チェックをきちんとやろう、法令遵守しているか確認しようとしたって、現実問題できないという状況があるでしょう。これも、一律に人を減らしなさいという例の公務員の改革の悪弊といいますか、悪い結果が出ていると思うんですが、ここはきっちり充実をしてもらう。それがなければ、自主的に法令を守っていただきますと言ったって、これは実効性がないですよ。このことを申し上げておきたいと思います。
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