衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第165回国会 厚生労働委員会 第7号
平成十八年十二月十二日(火曜日)

    午前十時開会
     ─────────────
    委員の異動
  十二月六日
     辞任         補欠選任
      浮島とも子君     浜四津敏子君
  十二月七日
     辞任         補欠選任
      足立 信也君     内藤 正光君
      柳澤 光美君     田名部匡省君
      浜四津敏子君     浮島とも子君
  十二月八日
     辞任         補欠選任
      田名部匡省君     柳澤 光美君
      内藤 正光君     足立 信也君
  十二月十一日
     辞任         補欠選任
      山本  保君     草川 昭三君
     ─────────────
   出席者は左のとおり。
     委員長         鶴保 庸介君
     理 事
                 阿部 正俊君
                 中村 博彦君
                 櫻井  充君
                 津田弥太郎君
                 浮島とも子君
     委 員
                 岸  宏一君
                 坂本由紀子君
                 武見 敬三君
                 中島 眞人君
                 中原  爽君
                 西島 英利君
                 南野知惠子君
                 藤井 基之君
                 足立 信也君
                 島田智哉子君
                 下田 敦子君
                 辻  泰弘君
                 森 ゆうこ君
                 柳澤 光美君
                 草川 昭三君
                 小池  晃君
                 福島みずほ君
    国務大臣
        厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
    副大臣
        厚生労働副大臣  石田 祝稔君
        厚生労働副大臣  武見 敬三君
    政府参考人
        内閣府規制改革
        ・民間開放推進
        室長       田中 孝文君
        総務省自治行政
        局公務員部長   上田 紘士君
        財務大臣官房審
        議官       古谷 一之君
        財務省主計局次
        長        鈴木 正規君
        文部科学省高等
        教育局私学部長  磯田 文雄君
        厚生労働大臣官
        房長       太田 俊明君
        厚生労働大臣官
        房総括審議官   宮島 俊彦君
        厚生労働大臣官
        房審議官     荒井 和夫君
        厚生労働大臣官
        房統計情報部長  桑島 靖夫君
        厚生労働省医政
        局長       松谷有希雄君
        厚生労働省健康
        局長       外口  崇君
        厚生労働省労働
        基準局長     青木  豊君
        厚生労働省職業
        安定局長     高橋  満君
        厚生労働省職業
        安定局高齢・障
        害者雇用対策部
        長        岡崎 淳一君
        厚生労働省職業
        能力開発局長   奥田 久美君
        厚生労働省雇用
        均等・児童家庭
        局長       大谷 泰夫君
        厚生労働省社会
        ・援護局長    中村 秀一君
        厚生労働省老健
        局長       阿曽沼慎司君
        厚生労働省保険
        局長       水田 邦雄君
        厚生労働省年金
        局長       渡邉 芳樹君
        厚生労働省政策
        統括官      薄井 康紀君
        厚生労働省政策
        統括官      金子 順一君
        社会保険庁総務
        部長       清水美智夫君
        社会保険庁運営
        部長       青柳 親房君
     ─────────────
   本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
  (都道府県労働局における不正経理等に関する
  件)
  (雇用、年金等に関する件)

 



---〔中 略〕---


○辻泰弘君 民主党・新緑風会、辻泰弘でございます。雇用、年金等に関して御質問をさせていただきたいと思います。





---〔以降、途中まで略〕---


最後の十分ぐらいでございますが、雇用のことについて、雇用労働問題についてお聞きしたいと思っています。
  私は最近の社会風潮を大変懸念をしております。政府の、厚生労働省の資料を見ましても、個別労働紛争が急増している、また賃金不払残業が増加している。このこと二つを見ても、労働条件の低下、悪化というものを端的に示していると。また、経営側の使い捨ての雇用を安く使いたいというこの露骨な風潮というのが非常に私は、将来の社会の在り方といいますか、そのことに大きな禍根を残すんじゃないかと、このように思うわけでございます。
  そういった中で安倍総理が、労働市場の改革が内閣の大きな課題であるというふうにおっしゃっている。労働市場の改革とおっしゃる。一つの用語ではもちろんあるんですが、労働市場というと、何かやはり人を物として売り買いするのかというふうにもつながるわけですけれども、そういった中で八代さんのような規制緩和万能の方を経済財政諮問会議のトップに据えてということになりますと、私は大変大きな懸念を抱かざるを得ないわけでございますし、経済財政諮問会議で、議論も私は見ておりますけれども、正にそのことが現実になっていて、柳澤大臣が頑張っておられることについては敬意を表しておりますけれども。
  そこで、一つ根本的なこととして、労働分野における規制緩和ということをどのように考えられるか。私は、かねてからこの委員会で申し上げておりますけれども、労働だとか安全とか衛生とか環境とか生命とか医療とか、こういった人間の存在の基本にかかわる部分の社会的規制というものは、単純に規制緩和をして人間が幸せになるものではない。その点についてはしっかりと踏まえて、とりわけ厚生労働省、まあ我々の委員会もそうですが、その点からしっかりと取り組まにゃいかぬということを申し上げてきたところでございますけれども、そしてまた、尾辻前々大臣、元大臣は、規制緩和は弱肉強食的な側面を持つと、このようなことをおっしゃっていたんです。
  その点を含めて、規制緩和と労働、労働分野における規制緩和、このことについての基本的なお考えを大臣からお伺いしたいと思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) そもそも労働行政あるいは労働法制というものがどこから出てきたかといえば、これはもう、この自由社会の中で経営と労働側が一対一で自由な契約を結ぶということでは、やはり労働者の側が基本的に弱い立場にあって、公正な契約というものが期待しがたいというところで労働法制が出てき、その労働法制に基づいて労働行政が行われていると、基本的にはそういうことだろうと思っております。その労働法制というのは大体においては労働規制の形を取っているということが実態であります。
  そこで、さて、それでは、グローバリゼーションであるとかあるいは国際競争力ということの中で、一体この労働法制、労働規制というものがどの程度であるべきか、これが一つのポイントだろうと思います。同時にまた、最近の労働者というか働き方というか、そういうものについては随分多様化しているというか、その志あるいは意欲、さらには希望といったようなものが随分多様化しているということがありまして、そういうものを、従前の鋳型にはめたような、定型的な型にはめていくのがいいかどうかという問題も提起されていると、このように考えるわけでございます。
  そうした中で、私どもとしてどのような態度を取るべきかと、労働法規の規制緩和に対してどのような態度を取るべきかということは、なかなかこれは一概には言えないと。絶対これはまかりならぬというようなことで取り組むということが正しいかといえば、それはやっぱり適切でない面があろうと思います。しかし、同時に、じゃ、もう元々労働法規なんていうのはないのが望ましいと言わんばかりの立場からする規制緩和論というのも世の中にないわけではないわけですが、そういったことでいいかといったら、それは断固そういうことではないと、こういうことだろうと思うんです。
  いずれにしても、私どもとして、これはもう委員を始めとする国会の先生方にも是非いろんな御意見を出していただきたいわけでございますが、そういう意見を踏まえてバランスの良い判断をしていくべき分野であろうと、このように考えている次第です。

○辻泰弘君 大臣はインタビューで、労働法制を規制緩和したからニートやフリーターが生まれたと言われると改革推進側としてたじろぐ気分も正直なかったわけではありませんと、このように率直におっしゃっていて好感を持っておりますけれども、しかし、やはりたじろぎながらやっていただきたいと、そのことを申し上げておきたいと思うわけでございます。
  それから、八代さんの発言などを見ますと、正規、非正規の格差解消というのを、私らからすれば正規の方に合わせていくんだというふうに思うんですが、彼らの論理はむしろ非正規の方に落としていくというこういう、ああ、そういう考えもあるのかとある意味ではびっくりしましたけれども、そういう考えがあるように思うんです。そこはやっぱりしっかりと、大臣としてはやはり正規の方に近付けていくんだと、こういうスタンスで臨んでいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) これはもう、要するに均衡処遇というのは明らかにそうした方向での均衡処遇でありまして、私ども労働側がこの条件を悪化させるというようなことを推し進めるというような立場には本来ないと思っております。

○辻泰弘君 経済財政諮問会議のあの議事録を拝見しますと、はっきり言って八代さんというのはよく分かってないんじゃないかというふうな、大臣の反論もそこにあるようでありますが、長期雇用については規制があるというふうな、そういったことがあって、それに対して大臣が、長期雇用については規制しているわけじゃないと、こういうことで反論されていて、まあ当然のことなんですけれども。
  あと、大臣が大事なことをおっしゃっていて、労使自治で労使が対等の交渉ができるかというと、実際の力関係からいってできないと、そういった考え方で労働法制ができているんだと。非常に私は大事なことを言っていただいていると思います。全く平等でフリーマーケットでやれるなら民法でやればいいと。何のために労働法制が制定されたかと。最低限の労働者保護規定を設けることは労働法制の一番の基本なので、そこはしっかり考えていただければ大変有り難いと、まあ最後はちょっと弱気になっていらっしゃいますけれども。
  しかし、ここは強く言っていただいて、やはり、ほかのところは何かこういう規制緩和万能でそれがいいように思われているけれども、しかし、混合診療のときも実は八代さんとテレビで私がちょっとやったことになっている部分がありましたけれども、しかし、規制緩和万能で安心の社会がつくれるものではない、この点についてはしっかりと発言をしていただいて、経済財政諮問会議でも、経済産業大臣も安直な緩和はすべからずという御主張をされてたように思いますけれども、その部分は厚生労働大臣が一番その矢面に立たれることだろうと思いますけれども、これは私は長い日本の将来の社会の在り方につながることだと思いますし、人間の幸せというものの基本にかかわってくる重要なことになると思いますので、人間の幸せを追求するのが政治の使命だと思いますが、その人間の幸せを考えるときに、やはり労働という部分が極めて大きなウエートを占めていると。だから、その労働の部分の幸せづくりというものをやっていくことが私は政治の使命でもあり、また厚生労働行政の使命だと思っていますけれども、どうかそのことに沿ってお取り組みいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。
  最後になりますけれども、このところで労働法制をどうやって決めていくか、改変を決めていくか、すなわち、諮問会議で議論されたことと、議論された労働法制の改革というものをどうやってこの厚生労働委員会あるいは厚生労働省、こういったところとの関係で進めていくのか。要は、経済財政諮問会議だけで進められてはたまらないといいますか、めちゃくちゃになるわけでございますから、そこはしっかり歯止めを掛けていただきたい。大臣にも発言していただくと同時に、やはり法律化する過程を、プロセスをしっかりと大事にしていただきたいと思っているわけですが、そのことについてお伺いしたいと思います。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 経済財政諮問会議というのは、もうこれは、何と申しますか、総理が任命するということでございまして、その中に労働側が入っていないというようなことの労働者の声も聞いておりますけれども、今のメンバーでもって進んでいくんだろうと思うわけでございます。
  私がそこで申し上げているのは、労働法規、実定法としての労働法規、これについては、私どもは労政審でしっかり三者構成の中でこれはもう進めていくというのがベストの形だと。それは何となれば、労働法規というのは日々の、あるいは企業あるいは工場、こういったようなことの言わば働き方を具体的に規定するものでございますから、これが経営あるいは労働側の理解もなく仮に実定法が制定されたところで、それはもう円滑に実施されるということは期待し難いと私は思うのでございます。
  いずれにしても、三者協議の中で、お互い不承不承ではありましょう、やむを得ないなと思う、そういうことでありましょうけれども、まあ仕方がない、これで納得するか、これで双方合意した下で進んでいこうというような最低限の合意というものがない限り、私は円滑な労使関係を現場において実現するということは、私は期待すべくもないと思っております。
  そういう意味で、経済財政諮問会議にも私はこの点は強く主張しまして、実定法の改廃といったことについては、あくまでもこれまでどおりの労政審での審議を経た上で行うということはもうしっかり確認したいと、こういうことを言いまして、総理のその後の取りまとめやあるいは大田担当大臣の発言等でも、そのことは理解されたというふうに私としては受け止めているわけでございます。

○辻泰弘君 小泉さんもそうでしたけれども、安倍さんも残念ながら、庶民の生活、暮らし、雇用、労働、こういったものにしっかり目を向けるという、そういった感覚が十分でないというふうに私は思います。
  そういった中で、正に人を物としか扱わないようなこういった雇用労働環境が例えて言えばあるかと思うんですが、どうかそれを加速するようなことにならないように、そういった意味での厚生労働大臣の御奮闘を心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。





---<以下省略>---




 

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