衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第166回国会 厚生労働委員会 第1号
平成十九年二月十五日(木曜日)

    午前十時開会
     ─────────────
    委員氏名
     委員長         鶴保 庸介君
     理 事         阿部 正俊君
     理 事         中村 博彦君
     理 事         櫻井  充君
     理 事         津田弥太郎君
     理 事         浮島とも子君
                 岸  宏一君
                 坂本由紀子君
                 清水嘉与子君
                 武見 敬三君
                 中島 眞人君
                 中原  爽君
                 西島 英利君
                 南野知惠子君
                 藤井 基之君
                 足立 信也君
                 島田智哉子君
                 下田 敦子君
                 辻  泰弘君
                 森 ゆうこ君
                 柳澤 光美君
                 山本 孝史君
                 山本  保君
                 小池  晃君
                 福島みずほ君
     ─────────────
    委員の異動
  二月五日
     辞任         補欠選任
      櫻井  充君     郡司  彰君
  二月六日
     辞任         補欠選任
      郡司  彰君     櫻井  充君
  二月九日
     辞任         補欠選任
      柳澤 光美君     大塚 耕平君
  二月十三日
     辞任         補欠選任
      大塚 耕平君     柳澤 光美君
  二月十四日
     辞任         補欠選任
      岸  宏一君     松村 祥史君
      坂本由紀子君     野村 哲郎君
      櫻井  充君     千葉 景子君
  二月十五日
     辞任         補欠選任
      野村 哲郎君     秋元  司君
      南野知惠子君     神取  忍君
      松村 祥史君     二之湯 智君
     ─────────────
   出席者は左のとおり。
     委員長         鶴保 庸介君
     理 事
                 阿部 正俊君
                 中村 博彦君
                 足立 信也君
                 津田弥太郎君
                 浮島とも子君
     委 員
                 秋元  司君
                 神取  忍君
                 清水嘉与子君
                 武見 敬三君
                 中島 眞人君
                 中原  爽君
                 二之湯 智君
                 西島 英利君
                 野村 哲郎君
                 南野知惠子君
                 藤井 基之君
                 松村 祥史君
                 島田智哉子君
                 下田 敦子君
                 千葉 景子君
                 辻  泰弘君
                 森 ゆうこ君
                 柳澤 光美君
                 山本 孝史君
                 山本  保君
                 小池  晃君
                 福島みずほ君
    委員以外の議員
        議員       後藤 博子君
    国務大臣
        内閣総理大臣   安倍 晋三君
        厚生労働大臣   柳澤 伯夫君
        国務大臣
        (内閣府特命担
        当大臣(少子化
        ・男女共同参画
        ))       高市 早苗君
    内閣官房副長官
        内閣官房副長官  鈴木 政二君
    副大臣
        内閣府副大臣   平沢 勝栄君
        厚生労働副大臣  武見 敬三君
    政府参考人
        人事官      小澤 治文君
        人事院事務総局
        人材局長     鈴木 明裕君
        警察庁生活安全
        局長       片桐  裕君
        法務大臣官房審
        議官       後藤  博君
        財務大臣官房審
        議官       佐々木豊成君
        文部科学大臣官
        房審議官     布村 幸彦君
        文部科学大臣官
        房審議官     辰野 裕一君
        厚生労働大臣官
        房審議官     荒井 和夫君
        厚生労働省医政
        局長       松谷有希雄君
        厚生労働省健康
        局長       外口  崇君
        厚生労働省労働
        基準局長     青木  豊君
        厚生労働省職業
        安定局長     高橋  満君
        厚生労働省雇用
        均等・児童家庭
        局長       大谷 泰夫君
        厚生労働省社会
        ・援護局長    中村 秀一君
        厚生労働省老健
        局長       阿曽沼慎司君
        厚生労働省保険
        局長       水田 邦雄君
        厚生労働省年金
        局長       渡邉 芳樹君
        厚生労働省政策
        統括官      薄井 康紀君
        厚生労働省政策
        統括官      金子 順一君
     ─────────────
   本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
  (少子化等に関する件)

 



---〔中 略〕---


○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。





---〔以降、途中まで略〕---


厚生労働省そして内閣は、人々が、持ちたい人が子供を産み育てることを応援すべきであって、頑張って産めと、一人頭で頑張れと言う立場ではありません。労働法制をどんどん規制緩和をして働けない状況にしたり福祉を切り捨ててきたのは、正に政府・与党です。
  月刊「世界」三月号のある派遣の女性の実態を御紹介します。私も本人に会ったことがあります。東京都の派遣社員の場合は、一時、中絶まで思い詰めた。数年前、派遣元に妊娠を告げると、育児休業の対象外と解雇通告されたと。中絶を決意して病院を訪れたが、踏み切れないでいるうち、派遣社員の労働組合を知った。会社と交渉して育児休業明けに仕事を紹介してもらう確約を得て出産をした。だが、出産後も、子供の病気で休むと派遣元から、契約更新は難しいとほのめかされます。社会が私に産むなと言っているとその女性は言っています。
  先日、派遣の男性の話も聞きました。年収が二百万から三百万円台、好きな人が将来できても告白することができないんじゃないかとその人は言っていました。
  労働の劣化、悪化はすさまじいものです。偽装請負にメスを入れずに、派遣を規制緩和をし、非正規雇用をつくってきた正に政府の責任です。政府は女性に産めない状況をつくっているわけです。手かせ足かせ掛けてがけを登れと言ったって、それはがけは登れませんよ。
  総理、この女性の発言、あるいは政府こそがいろんな人を応援すべきである、ですから私は政策の転向、変更をすべきであると考えますが、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) この数年、派遣を始め働き方が大変多様化をしてきているわけでございます。その理由には様々な理由があるわけでありますが、しかしその中で、派遣からあるいはまたパートの方が正規の、正規雇用に進みたければそれが可能な社会をつくっていくべく我々も努力をしていきたい、このように考えております。
  そしてまた、この国会におきまして、労働法制、六本の法案を提出を予定をしておりまして、我々、働き方を変えていく、そしてまた先ほど申し上げましたように、パートの方々を含めての均衡待遇、あるいはまた正規社員になりたい、正規雇用になりたいという方々の望みが、また努力が実現されるような、そういう仕組みをつくっていかなければならないと思っております。

○福島みずほ君 今日の答弁を聞きながら、政策の転向が全くなされない、今国会提出される労働法制問題あり、日本版エグゼンプションについては断念をしない、これでは雇用が不安定ですから、少子化、これの解決にはならないですよ。



---<以下省略>---


【午後の部 開会】 午後二時七分開会



---〔中略〕---


○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。



---〔以降、途中まで略〕---


  合計特殊出生率が一・三台に下がり出すのは九〇年代の後半ですが、これは非正規雇用の増加と大変関係があると学者の人たちは指摘をしています。若年失業者が高い国ほど合計特殊出生率は低いわけです。安定した収入が得られ将来への希望が持てて初めて若者は結婚ができるかどうかと、こう思うわけですね。
  若者の非正規雇用の増加を招いたのは、労働者派遣事業法を始めとした政府の労働法制じゃないですか。大臣、いかがですか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) 実は、非正規雇用というのは派遣労働法を改正する以前から趨勢的には増加傾向にありまして、そういう増加傾向が非常に日本経済が低迷をした期間を通じて上昇を示したということだと認識しています。

○福島みずほ君 違うんですよ。
  偽装請負が増えた。だったら偽装請負がこういうのがあるから、例えば製造業に関しても労働者派遣法を認めるべきだ。二十七の専門職しか認められなかった労働者派遣事業法をどんどんどんどん規制緩和して、原則として製造業にも可能としました。しかし偽装請負にはメスを入れない。
  社民党は、日野自動車、そして今日キヤノンの偽装請負の人たちの話を聞きました。つまり、偽装請負にはメスを入れない、だけれども労働者派遣事業法はどんどん規制緩和していく、雇用の劣化が起きたわけです。非正規雇用は見事に増えました。それについて大臣、どう思われますか。原因つくった、元々非正規雇用があったんだったら、それをどうやって良くするかと考えるのが厚生労働省でしょう。しかし、規制緩和したわけですよ。だったら非正規雇用が増えるのは当たり前じゃないですか。だったら人が結婚しにくくなる、それは当たり前じゃないですか。どうですか。

○国務大臣(柳澤伯夫君) ちょっと私、委員のお話のうち二つにちょっと分けてお話をしなければいけないかと思いますが、偽装請負については、私どもも法令違反ということでこれはもう断固これに対応していかなければならない、このように考えているということでございます。
  それからもう一つは、非正規雇用ということについては、そのうち派遣のことを今先生はこの立法の経緯に触れましておっしゃられたのでございますが、私は、申し上げましたように、非正規雇用が増嵩を示しているのは、実はこうした派遣労働法の改正以前からの一つの傾向でありまして、それでそれがだんだんこう増えていったということは、やっぱり双方に、労使双方の間に多様な労働の形態というものを望む、そういう事情もあったと、このように考えているわけでございます。

○福島みずほ君 労働者の権利を守るために労働基準法を始めとした法律があります。どのような労働法制を作るかによって人々の権利が歴然と変わります。
  政府が非正規雇用を増やすような見事な労働法制をされました。規制緩和をされ続けてきました。だからこそ非正規雇用が増えたんじゃないですか。原因をつくっているのは厚生労働省ですよ。原因をつくっているのは厚生労働省であるにもかかわらず、頭一人分頑張れと言われるからみんな怒ったんですよ。
  政府に求めているのは子育て奨励策。頑張れ頑張れと、あんたの責任だと、自己責任だと言われる筋合いはありません。みんな子供を持てるような社会であれば、とっくの昔に持っていますよ。それが持てないからこそみんな苦しんでいるわけです。原因をつくった厚生労働省が、その反省もなく頑張れと、一人頭分頑張れと、しかもすべての女にそう言うことは私は許されない、そう思っています。



---〔以降、途中まで略〕---


 ところで、大臣は、今後国会に上程されるパート法に関して、適用対象者は四%から五%だと言い、午前中にも答弁がありました。ところで、この統計は私も見ましたけれども、期間の定めあるなしの区別がありません。しかし、政府が出そうとしている要綱案は、期間の定めのない、しかも正社員的パートの人のものが入っております。そして、データで見ますと、五人以上の雇用常用者のところでのアンケートを取ると、六六・六%は期間の定めがある。もしこれを単純にしますと、〇・一何%ぐらいしか適用対象者はないんですよね。だとすると、一体この法案は何物なのかと言いたいのですが、いかがですか。

○政府参考人(大谷泰夫君) このデータの扱いについて、入口からちょっと御説明を申し上げたいと思うんですが、今回の法案化しましたこの差別的取扱い禁止の対象となりますこのパート労働者の人数を直接示す統計とかデータはないわけでございます。これはなぜかといいますと、今回、この……

○福島みずほ君 コンパクトで結構です。

○政府参考人(大谷泰夫君) はい。その差別的な扱いを禁止するという要件をこの審議会で議論して、三要件今回明確化されたわけでありますから、それに基づいた過去の統計がないということはひとつ御理解いただきたいわけであります。
  それから、朝方、大臣が申し上げましたそのデータの中で、契約の期限の話がございました。今回の私どもの提案しております法律のこの期限の考え方は、契約期間の定めがないものもありますけれども、その契約期間の定めがあっても反復更新を繰り返して実質的に無期契約と同じとなっているものについても含んでいるわけでございます。
  そうなりますと、今回私どもが参考といたしました十三年の調査につきましては、この調査の中で配置転換や転勤等の取扱いについても聞いておりますから、そういう中からある程度そういった長期の雇用が推認されるのではないかということで、これが一応のよりどころになっているわけでありますが、あくまで推定でございます。

○福島みずほ君 でたらめじゃないですか。つまり、四%から五%と言ったときには期間の定めのあるない、区別がないんですよ。だけれども、パートの人たちのほとんどは実は期間の定めがあるんですよ。
  今度要綱で出すのは、期間の定めがなくて、正社員的パートじゃないですか。おっしゃった期間の定めがあっても反復継続すれば期間の定めのないものとなるというのは判例ですが、何十回と更新しなければならないという判例もありますよ。原則としてパートの多くの人は期間の定めが今あるんですよ。それを、今度、厚生労働省、だから、大臣が四%から五%対象だと言うのはミスリードですよ。それは期間の定めのあるないが入っているわけです。
  大臣、私の言っている意味分かりますか。

○政府参考人(大谷泰夫君) 要綱には明記しておるわけでありますが、その期間の定めのないものも、それから契約期間の定めがあっても、反復更新を繰り返して実質的に無期契約と同じとなっているものを含むというふうに要綱にも明記しておりますので、ごらんいただきたいと思います。

○福島みずほ君 反復継続して期間の定めのないものは極めて例外的です。現に厚生労働省が取っているパートの実態調査は、期間の定めがあるもの、ないものと取っているじゃないですか、六六・六%、三三%。しかも、これは五人以上常用雇用がいるので比較的いい職場ですよ。ほとんどの人は、パートは期間の定めがあるんですよ。にもかかわらず、だから、大臣が四%から五%と言ったのはその区別がないんですよ。
  これは四%から五%、実際統計取ると一%を必ず切ると思いますよ。厚労省はデータを取ってないと言いますが、まあ四%か五%か一%かってもうほとんど余り差がないかもしれませんが、物すごく限られた人しか差別禁止の規定が掛からないんですよ。これを再チャレンジと言い、これを均等待遇と言うのはデマですよ。一%か四%か五%の論争を今ここでしておりますが、ごく限られた、一%も切るかもしれない人たちの差別禁止を法律でうたって、あとの人たちは差別禁止の条項が掛からないんですよ。これはパート差別拡大法案としか言いようがありません。一%しか差別禁止しないで、何を再チャレと言うのか、何をパートを保護すると言うのか、こんな法案は認められません。
  私が今日申し上げたいのは、少子化対策頑張る、子育て支援頑張るとさんざん言いながら、規制緩和をやり、これからもまともに向き合おうとしない、そして、法案はひどいのを出してくる、これで子育て支援をやりますって言うのは許せないというふうに思っているからです。
  例えば、深夜免除について一言お聞きをします。
  これはJALの、日本航空の深夜免除の件で、裁判になっておりますが、例えば育児・介護休業法十九条は単に深夜帯に仕事をさせないことしか命じていないので、昼間の仕事を与えなければならないとまでは書いてないとして、実際深夜免除をすると昼間の仕事がもらえない。で、客室乗務員の人たちは苦しんでいます。こういう実態についてどうお考えですか。

○委員長(鶴保庸介君) 答弁者、時間が迫っておりますので、早く答弁なさってください。

○福島みずほ君 じゃ、そうしたらいいです。委員長、もういいです。しゃべります。
  私は、弁護士として、実は妊娠、出産したことで退職に追い込まれた女性の裁判を均等法の下でやりました。現場はやっぱりすさまじいですよ。五世帯に一世帯が年収二百万円以下で、シングルマザーの人は二つも三つも四つもお仕事を掛け持ちしている。政治は、そういう弱い部分や援助が必要な人たち、会社と闘っても困っている、そのために法律を作ったり、だから労働、厚生労働省は雇用と厚生と二つあるわけじゃないですか。雇用では労働者の権利を守ってくれと。そして、その厚生の面では、やっぱり子育て支援を含め、特に多様なすべての家族を応援してくれと。それをやるべきです。
  今日の議論を通じて、安倍総理、そして柳澤大臣が、何が根本的に問題なのか、実は分かっていらっしゃらないんじゃないかということの感を強くいたしました。厚生労働省の政策転換と、もしこの政策転換ができなければやっぱり厚労大臣として不適格だということを申し上げ、私の質問を終わります。



---<以下省略>---




 

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