衆議院・参議院会議録情報 抜粋 |
衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。 |
第12号 平成19年2月20日(火曜日) 平成十九年二月二十日(火曜日) 午前九時開議 ・・・【中略】・・・ 本日の会議に付した案件 政府参考人出頭要求に関する件 平成十九年度一般会計予算 平成十九年度特別会計予算 平成十九年度政府関係機関予算 ・・・【中略】・・・ ○日森委員 社民党の日森文尋でございます。 ・・・【以降、途中まで略】・・・ その低賃金に抑え込まれている一つの要因に、非正規雇用の問題があるというふうに私ども思っていまして、これがどんどんどんどんふえて、今や千七百万人に達するかというぐらいの数になっているわけですね。 きょうは、その非正規雇用の方々が、それでなくても厳しい労働条件、賃金の中で働かされていて、なおかつ、名うてのというか、日本の有数の、この国の経済を牽引するような企業で不法な扱いを受けているということが随分明らかになったと思うんです。その問題について具体的に名前を言うと、キヤノンがそうですし、これは、御手洗さんというのは日本経団連会長ですよ、そこの企業だとか、トヨタだとか、実に、そういう日本を代表する企業の中で不法に非正規の労働者を扱ってきたという事実がぞろぞろ出てきて、これはもうびっくりしました。こんなことで本当にいいのかと。恐らく厚生労働省もそのことを大変心配されて、昨年の九月四日でしょうか、各都道府県の労働局長に、「偽装請負の解消に向けた当面の取組」という文書を出されたようです。 最初にお伺いしたいんですが、この取り組みを通じて明らかになった偽装請負の実態、それと、厚生労働省がそういう文書を出して、都道府県労働局が受けとめて指導されて、具体的にどういう改善が行われたのか、そのことについてお聞きしたいと思います。 ○柳澤国務大臣 「偽装請負の解消に向けた当面の取組について」という文書ですが、昨年九月四日、職業安定局長及び労働基準局長の連名でもって都道府県の労働局長あて通達をいたしました。 これを受けまして、全国の労働局では、昨年の九月から十二月までの間に、請負事業に係る千九百十一事業所を対象として監督を行いました。うち、労働者派遣法等に照らして不適切な点のあった事業所に対して文書による指導を行ったところであります。 このような是正指導を行うに当たりましては、指導の対象となった発注者や請負事業者に対し改善状況の報告も求めておりますので、その結果、行政処分の対象となったごく一部のものを除きまして、適正に改善がなされたか、改善のための具体的な取り組みが行われているもの、このように受けとめております。 ○日森委員 受けとめていらっしゃるのは結構ですが、しかし、現実にはそれがまだまだ氷山の一角で、依然として横行しているということも、恐らく御存じじゃないかと思うんです。 労働者派遣法、四年の三月以降、製造業でもいいよという話になったわけですが、実は、当初は派遣法に基づく派遣労働者だったんですね。しかし、最近、一部の企業では、派遣ではなくて請負契約、ともかく請負契約で仕事をやらせようということで偽装請負がたくさん出てきたわけですね。 請負契約になぜ企業がこだわって偽装請負までしてきたのかということについては、その調査の中で明らかになりましたか。厚生労働省は、どんな理由でそういう事実が起きているかということについて確認をされていますか。 ○高橋(満)政府参考人 お答え申し上げます。 請負事業がどういう理由で活用されているかということでございますが、私ども、アンケート調査を実施して、その結果を見てまいりますと、一つは、一時的、季節的な業務量の増大への対処という理由、またさらには、経費の節減、削減といったような理由から、大企業を中心に幅広く活用をされておる、こういうふうに理解をいたしております。 ○日森委員 厚生労働省の労働力需給制度についてのアンケートというものだと思うんですが、そうすると、このアンケートに答えた三二%の企業が、コストが安いと正直にお答えになっているわけですよ。安い労働力を請負という格好で使い回していこうと、正直に答えているわけですよね。 問題なのは、あの御手洗さんが、経済財政諮問会議の第二十二回会議、これはもう有名な話になっていますから余り重複は避けたいと思いますが、日本の労働市場が職務給に変わりつつあるんだと。そうでしょうかね。これは問題があって、失敗もあって、必ずしもそういう方向に全部行っていると私は思いませんが。しかし、職務給に変わらないうちに、年功序列型の給料で、今の派遣法のように三年たったら正社員にしろと硬直的にすると、日本のコストは硬直的になっちゃうんだ、空洞化に結びつく、もう少しおれたちに任せてほしい、市場に任せてほしい、派遣法を見直してもらいたいということを発言していました。 安倍総理大臣は十五日の参議院の厚生労働委員会で、うちの福島党首が質問したんですが、この答弁で、実にいい答弁をされているんですよ。「派遣からあるいはまたパートの方が正規の、正規雇用に進みたければそれが可能な社会をつくっていくべく我々も努力をしていきたい、」というふうに述べました。 この安倍総理の、参議院で十五日に発言した、「正規雇用に進みたければそれが可能な社会をつくっていくべく我々も努力していきたい、」というのは、これは政府の方針、基本的な考え方というふうに確認しておいてよろしいでしょうか。 ○柳澤国務大臣 安倍総理の答弁というのは、私ども安倍内閣が進めているまさに一貫した政策的な態度である、このようにぜひ御理解を賜りたいと思います。私自身も、正規雇用を望む非正規労働者に対して、できる限り正規雇用の機会の拡大を図っていくことが重要だと考えております。 現実、具体的に、パート労働につきましては、パートタイム労働法の改正案を今国会に提出いたしますけれども、その場合にも、正社員として働くことを希望する者には正社員への転換を推進するということを、いろいろな手法を通じてですけれども、義務づけようというような方向で検討を進めているところでございます。 また、労働者派遣につきましても、現行制度において、一定の条件のもとで派遣先に派遣労働者に対する雇用契約の申し込み義務というものを課す仕組みを設けておりまして、派遣先での直接雇用の機会を与えてもらうように計らっているところでございまして、現時点でこれを撤廃するという考え方は持っておりません。 ○日森委員 改めて確認しますが、御手洗さんの御意見について厚生労働大臣は否定をされたわけですね。 もう一度確認だけしておきたいんですが、とすると、派遣労働者に対する雇用契約申し込み義務の見直しというのが第三次答申に盛り込まれているわけですね。平成十九年度中に検討というふうに書かれていて、「「規制改革・民間開放の推進に関する第三次答申」に関する対処方針について」というのが閣議決定されているんです。 この見直しは行わない、この閣議決定は違うんだ、十九年度中に検討などしませんというふうに、今後もしませんというふうに理解してよろしいんでしょうか。 ○高橋(満)政府参考人 お答えいたします。 規制改革三カ年計画並びに昨年末の答申におきまして、確かに雇い入れ申し込み義務についての大きな課題ということが提示をされておりまして、このことについて、やはり幅広くいろいろ検討はしていこうということは閣議決定という形でされておるわけでございます。 したがいまして、このことの持つ機能なり問題点は十分いろいろ幅広く検討をしていく。ただ、今大臣からお答え申し上げましたように、現時点で、私どもはこれを撤廃するという考えは持っていないということでございます。 ○日森委員 現時点では持っていないけれども、幅広く検討する中で見直しもあり得るというふうに今答弁されたんでしょうか。 大臣はどうなの。見直す必要はない、見直すことは考えていないと。現在なんですよ。 ○柳澤国務大臣 これは、先ほど御答弁申し上げましたように、現時点では考えておらないということを申し上げた、これは後で議事録を見ていただきたいんですが、そのつもりでおりますが、今職安局長が答弁したように、いろいろな問題点がありますので、これを幅広く検討するということになっておりますので、検討は行うということまでを差しどめる、そういう枠組みにはなっておりませんということでございます。 ○日森委員 だから、検討するということは、この御手洗さんの主張に沿って見直しをすることもあり得るという意味ですか。そういう方向というのは世界に逆行するでしょう。ヨーロッパなど、そんなことやっていませんよ。そういうことも含めてそうおっしゃったんですか。 ○柳澤国務大臣 これは、先行する閣議決定に私どもも簡単にこの場で全く反する、逆行した御答弁は申し上げかねるわけでございまして、その意味で、幅広く検討するということについては、検討するという立場を申し上げているわけであります。 しかし、私どもとしては、今、派遣労働において、また請負労働において行われていることの問題点というのは、極めて真っ正面から受けとめて何とかしなければいけない。そして、それは安倍内閣の基本的な方針であるところの、できるだけ、そういう形での労働をされる方においても本人たちが希望すれば正規の労働の方に転換をしていただく、移行していただく、こういうことに努めていきたいというのが基本的な方向であるということでございます。 ○日森委員 要望だけしておきたいと思うんですが、これはもう雇用契約義務というのはしっかりと確立するという方向で検討していただきたいということだけ申し上げておきたいと思います。 それから、キヤノンの問題ですね、御手洗さんが出てきましたので。もうちょっと触れたかったんですが、時間が余りありません。二点だけ触れたいと思います。 キヤノンは、偽装請負の問題が随分報道されました。その中で、若い人たちが労働組合などをつくって、正規雇用を求めて今運動をやっているんですが、実は、団体交渉も認めないとか、応じないとかいう大変不誠実な対応をしているんですね。その問題については個別の会社のことですから見解は求めませんが、それで、キヤノンが偽装請負のもとで請負労働者を酷使してきたという事実が私たちはあると思っていますが、一方で、正社員採用セミナーというのを開催しているんですよ。そこで求人広告を出しているんです、求人広告。何と書いてあるかというと、派遣社員などで現在キヤノンに勤務中の方は、この求人広告ですね、採用セミナーに参加を御遠慮くださいと書いてあって、初めから今キヤノンで働いている人は排除するような広告を出している。 今、実際、もう十年も請負と派遣をごろごろごろごろ一年ごとに変えられたりして使われてきた労働者、しかも、今頑張っている人たちは、キヤノンに対して正社員化を要求している方々は、若い人たちは、本当に難しい仕事、本当に二、三年たたないと技術を習得できないような大変難しい仕事をいわばずっとやってきて、正職員も知らない、自分たちしかできないような仕事をたくさんやっているんですよ。そういう人々を排除してやろうとしている。 もう一方では、新規採用というようなことを、新聞報道で出ていましたが、実は、しばらく前は、そういう派遣や請負の方々を正規労働者にするように努力するみたいな話をしていたキヤノンが、手のひらを返したように、新規採用なんだというふうに言い始めているんですよ。 これは、一つは、求人広告についてどういう感想を持っているか聞きたいのと、それからもう一つは、そう言って、今の偽装請負で酷使されてきた人々を正社員にしないで、適正な派遣とか完全な請負とかいうことで安い労働力を使い回していこうというその人が、政府の経済財政諮問会議の委員ですよ。 安倍さんは何と言っているか。さっきも言いました、派遣からあるいはまたパートの方が正規雇用に進みたければそれが可能な社会をつくっていくべく努力をしたいんだと安倍さんが言っているんだけれども、反対のことをやる人が経済財政諮問会議の委員としていろいろなことを言っているわけですよ。今の請負は使い勝手が悪いから変えろとか、期限は、雇用契約の義務なんというのは取っ外してくれ、こう言っているわけでしょう。これは恥ずかしくないですか。こんな人が経済財政諮問会議の委員なんかできるんですか。これは感想ですよ。安倍さんが何と言うか知らないけれども、厚生労働大臣はどういう感想を持っているか。 この二点を、ちょっとお聞きをしたいと思います。 〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕 ○柳澤国務大臣 まず、キヤノンの広告のことに委員はお触れになられましたけれども、私どもは個別の事案についてコメントをすることは差し控えさせていただきたい、このように思っております。 ただ、一般論を申し上げますと、職安法の四十二条には、労働者の募集を行う者は、労働者の適切な職業選択に資するため、的確な表示に努めなければならない、こういうような条文もあるわけでございますので、そうしたことに照らしまして、虚偽の広告あるいは当該募集に応じようとする労働者に誤解を生じさせる表現など、法に違反する行為等があった場合には、事実関係を確認の上、法の条項に照らして、是正指導を行い、改善をさせなければならない、このように考えているということでございます。 それからまた、経済財政諮問会議のメンバーについての御言及があったわけでございますけれども、これも、私は臨時議員として労働法制等の審議が行われる場には出ておるわけでございまして、そのときにはしっかりと私どもの考え方を申し上げ、そこは議論を闘わせる場ですから、議論を闘わせていただいておる、こういうことでございます。 ○杉浦委員長代理 日森文尋君、時間が終了しております。 ○日森委員 時間になりましたが、安倍さんの発言は政府の方針だということを確認して、そういう立場でしっかりやっていただきたいと思います。 終わります。 ・・・<以下省略>・・・ |