衆議院・参議院会議録情報 抜粋 |
衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。 |
第14号 平成19年2月23日(金曜日) 平成十九年二月二十三日(金曜日) 午前九時開議 ・・・【中略】・・・ 本日の会議に付した案件 政府参考人出頭要求に関する件 平成十九年度一般会計予算 平成十九年度特別会計予算 平成十九年度政府関係機関予算 ・・・【中略】・・・ ○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。 ・・・【以降、途中まで略】・・・ こういったことでありまして、総理の御答弁のとおり私も思いますが、まさに構造改革がなければ、この十年間はまさに十年前と同じような状況、暗い状況。東京に行っても地方に行っても、どこもいいところがない。どの業界、どの業種を見ても、先の展望が全く見えない。一流企業と言われている社員もいつリストラに遭うかわからない。リストラされると再チャレンジできない。こういった暗い状況だったと思うんです。 その中、まさに構造改革をやればこういう結果が出るということは見えなかった中で、しかしやらなければいけないという中で、自民党、公明党の政府・与党挙げて構造改革をしてきた。これが、現状、マクロの数字はよくなってきた。 しかしながら、総理の御答弁にもありましたが、地域によって、業種によって、その効果のあらわれ方が違う。大都市東京はいいけれども、地方に行くとまだまだだ、神戸もまだまだだなというのが実感でございます。また、業種においても、元気な業種もあれば、まだ元気じゃない業種もある。企業でいうと、おおむね大企業はかなりよくなってきているけれども、中小企業でまだ苦戦している。こういったバランス、格差が見られる現象というのは、ある意味で構造改革の途上として起き得る現象だと僕は思うんです。 人間の体に例えても、大変成人病を患って、何とか体質改善しなければいけない、まずダイエットをする。その中で、ダイエットで体重は落ちたけれども筋肉質に変えなければいけない、その途上で血圧の数字がどうだとか一時的な状況が生まれているということはよくあることだと思うんです。 しかし、大事なことは、一途上の現象を固定化させない、それを固定化させないように追っての再支援策というか、具体的な適切な施策を打っていかなければいけない、こう私は思うのであって、この構造改革を否定するということは、十年前の状況の方がいい、どこの地域に行っても真っ暗だ、どこの業種に行っても、いつもリストラされるかどうかびくびくしている、こういった状況の方がいいというような話になるのであって、断じて正しくない見解だということを私の意見として申し上げておきたいと思います。 ・・・【以降、途中まで略】・・・ 私がここで申し上げたいのは、最近の企業の経営者に話をすると、企業はだれのものか、こういう問いに、株主のものだ、こう即答される方がたくさんいらっしゃるんですね。それはもちろん一面の真実です、株式会社ですから。しかし、株主と同時に従業員、社員のものである、私はそう思う。 日本型の経営というのは、やはりアメリカ型の経営とはちょっと違って、会社に入る、そこに対して、会社を自分の会社として、ロイヤリティーというか、忠誠心を持ちながら大変な勢いで仕事をする。その結果として、世界でも大変な業績を上げている日本の企業というのが現出してきたという歴史がある、事実がある。 どうも、この十年間、構造改革という中で、大変な三つの過剰、債務の過剰、設備投資の過剰、そして雇用の過剰ということを削減していく過程の中で、アメリカ型と言ったらちょっと適切ではないかもしれませんが、その企業文化について若干冷たくなっているのではないか。 ですから、私が申し上げたいのは、構造改革の途上、プロセスで、こういった設備投資を控える中、何でも控える中でなかなか従業員の給与が上がらなかったのは、これはやむを得ないことだとは思いますが、まさにようやく明るさが出てきた、利益も上がってきた、今こそやはり、企業はだれのものか、株主と同時に従業員のものである、こういった考えから、やはり従業員の給与というのをもう少し還元率を上げるべきだというふうに思いますが、その点について率直な総理の御見解をよろしくお願いしたいと思います。 ○安倍内閣総理大臣 ただいま赤羽委員がお示しをしていただいた大企業と中小企業の行動の違い、そういう意味においては、中小企業というのは、ある意味、日本的なよさを生かした家族的な雰囲気、やはりこれは、みんなで苦しいときも楽しいときも同じように分かち合おうよということではないかな、こう思います。かつては、これが日本の企業の強さとも称賛されていたわけでございます。 現在、大企業がそういう行動をとるのは、確かに委員が指摘をされたように、国際競争にさらされ、設備投資をしなければいけない、あるいは利益を株主に還元もしていかなければいけない、そういう中においての行動の一つのあらわれなんだろうと思うわけであります。しかし、従業員に利益を還元していって所得をふやしていくことは、消費増にもつながって景気のいい循環に結びついていくわけであって、結果としては、これは企業にとっても必ずプラスになっていくわけでありますし、また、従業員の皆さんが安心感、安定感を持つこと、そしてまた、きょうよりもやはりあしたが、頑張れば来年の方がよくなる、こう思うことが、もっと一生懸命働こう、いいアイデアを出していこうというモチベーションにつながっていくのではないかと私も思うわけでございます。 それを全部捨ててしまうというのは、私は、やはり間違いであって、そのバランスをうまくとっていく、まさにある意味では、世界に対して新しい日本のモデルを、これがやはりモデルだな、こう目指してもらえるようなモデルを提示することが求められているのではないだろうか、このように思います。 ○赤羽委員 今、本当にいい御答弁だったと思うんですが、本当に、新日本型の企業モデル、雇用のモデルというのはやはり十分あり得るべきだと思いますし、ぜひこのマクロの景気の回復の実感を一人でも多くの国民ができるように施策を進めていただきたいと重ねて申し上げたいと思います。 ちょっと次に、順番が違うんですが、いわゆる格差問題の中で、よくいろいろな格差の問題のとらえ方というのはあると思うんですが、やはりだれもが認めざるを得ないのは、いわゆる就職氷河期、バブルがはじけた後に大学、学校を卒業した人たちが、能力がありながら就職できなかった。 日本の企業というのは、いい側面もあれば、僕がちょっとどうかなと思うのは、学校の新卒者に対する神話というんですかね、新卒神話というのが物すごく強い。ですから、能力がありながら、既卒業者ということで大変なハンディを負うというのが現状だと思うんです。 ○安倍内閣総理大臣 ただいま赤羽委員が御指摘になったように、年長フリーターの皆さんは、本当に、就職氷河期、一番厳しいときにたまたま新卒として就職の時期を迎えてしまった、その結果、残念ながら、就職活動がうまくいかなかった、あるいはまた思っているような企業には行けなかったという人たちもたくさんいるわけでございまして、この多くの方々が、うまく就職がいかなかった人たちが、いわば年長フリーターとして存在をします。 もう一回やり直そうと思っても、残念ながら、大企業はみんな新卒ですから、また多くの企業が新卒ですから、中途採用の道がほとんどない。であるからこそ、我々は、この方々にも着目をしながら、この方々がもう一度正規の雇用に進んでいくことができるように、そういう道をつくらなければいけないと思っています。 この問題に長い間、赤羽委員を初め公明党が取り組んでこられたことに対しましては、本当に敬意を表したい、このように思います。御進言をいただきました政策を我々も政府として取り入れて推進をしていきたい、このように思います。 この国会におきましても、雇用対策法の改正案を提出して、新卒一括採用システムの見直しを進めていきます。また、いわゆる年長フリーターに対して、新たな就職能力開発支援に着手をしていきたい。なかなかこの方々は、フリーターをやっていますと、アルバイトですと、自分の能力を開発していく機会というのがほとんどないということであったのではないかと思います。また、これは年長フリーターではありませんが、ニートの若者に対しては、地域の関係機関等のネットワークによる支援を進めていかなければならない、このように思います。 我が国の次代を担うこうした方々にも社会に参加していただく、夢を持っていただくために、あらゆる施策を推進していかなければいけない。こういう方々が何度でもチャンスのある社会をつくっていくのが、私が進めております再チャレンジ支援でありまして、フリーター、ニート対策については五十九施策を実行してまいります。ですから、この方々のために五十九施策を新たに実行してまいる考え方でございます。 隗より始めるということでございまして、国家公務員については、三十代の人を対象に国家公務員の中途採用者選考試験、私はいわゆる再チャレンジ支援と言っておるんですが、これを新たに実施いたしまして、通常の国家公務員採用試験の対象年齢を過ぎた方、いわば年長フリーターの方々にも国家公務員への再就職の機会を広げていかなければいけない。私どもから公務員において門戸を広げていかなければ、民間企業の方々にそういう中途採用をこれからやってくださいということもお願いできないと思います。合格者を来年四月に各府省に採用することを想定して、ことしの秋にこの新たな試験を実施する方向で今準備を進めております。 ・・・<以下省略>・・・ |