衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第166回国会 厚生労働委員会 第4号
平成十九年三月十五日(木曜日)
    午前十時開会

・・・【中略】・・・

  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障及び労働問題等に関する調査
  (派遣委員の報告)
  (厚生労働行政の基本施策に関する件) 

・・・【中略】・・・

○委員長(鶴保庸介君) ただいまから厚生労働委員会を開会いたします。

・・・【中略】・・・

○津田弥太郎君 民主党・新緑風会の津田弥太郎です。

・・・【以降、途中まで略】・・・

○津田弥太郎君 是非、積極的にお願いを申し上げたいと思います。
  次に、製造業の派遣問題についてお尋ねをしたいと思います。
  製造業については、これまで派遣労働の受入れ可能期間は一年間でありましたが、今月一日から最長三年の定めをすることが可能となっております。まず、この三年に延長された経過について、職安局長、簡単に説明をしていただきたい。
○政府参考人(高橋満君) 御指摘のとおり、平成十五年の労働者派遣法改正におきまして、物の製造業務への労働者派遣というものが解禁をされたわけでございます。それまで、それ以前までは、全面的に禁止されていたこの物の製造業務への労働者派遣の解禁に当たりまして、当時、製造業におきましてはいわゆる請負事業というものが広く利用が進んでおったといったようなことを踏まえまして、施行後三年間につきましては、十一年改正におきまして対象業務をネガティブリスト化をいたしましたときと同様に、まずは一年の派遣受入期間の制限を適用することによりまして、請負業でありますとかあるいは派遣先におきます事業運営に急激な変化をもたらすことなく、円滑な定着を進めていくということといたしたわけでございます。
  こうした経緯の中で、この三年間の経過措置が終了をし、労働者派遣法の本則どおりとなったことに伴いまして、この三月一日から最長三年までの期間という形で延長をされたところでございます。
○津田弥太郎君 平成十五年の派遣法改正の国会審議においても、製造業への派遣労働の解禁については、偽装請負が追認されてしまうとの懸念が表明をされ、違法派遣に対する制裁措置が十分に担保されるよう強い要請が行われました。
  これに対して、当時の坂口厚生労働大臣は、偽装請負に対する指導監督体制を強化したい、現在、請負と派遣を明確に区分するための区分基準があるので、この適切な運用を図りたい、もしこれで不十分であれば更に検討をしたいとの答弁を行いました。
  しかし、製造業の現場では偽装請負は是正をされず、昨年十月には業務請負最大手、クリスタルグループの中核企業でありますコラボレートに対して、大阪労働局が労働者派遣法に基づく事業の停止命令と事業改善命令を出したことはまだ記憶に新しいところであります。
  また、新聞報道によりますと、政府の経済財政諮問会議の委員でもある御手洗氏が会長を務めるキヤノンにおいて、同社の工場で働く派遣労働者が偽装請負の状態で正社員への雇用を申し入れるなどの事態となっております。
  御案内のように、この御手洗氏は、我が国の代表的な経営者団体であります日本経団連の会長であり、他の企業の模範とならなければいけない立場であります。そうした企業で偽装請負が起こっているとするならば、当然、キヤノンだけではなく、我が国の製造現場に蔓延している問題と認識しなければならないはずであります。
  現に、厚労省が違法な偽装請負に絡んで請負事業者を文書指導した件数は、二〇〇五年の六百十六件に対し、昨年の四月から十二月までの九か月間に千四百三件と急増し、立入調査した請負事業者の八割近くで文書指導が行われ、発注業者についても、調査した七割以上で労働者派遣法違反などの違反が見付かっておるわけであります。
  このように、根拠となる平成十五年改正の派遣法が製造業の現場で遵守されておらず、違法行為が横行している実態を踏まえれば、違法行為をますます助長するおそれのあるこの派遣期間の延長に対して強い疑問を持たずにこれを淡々と実行してしまうことは、厚生労働行政としては明らかに職務怠慢であります。本来は、製造業の請負労働を行っている全事業所、さらには製造業で一年までの派遣労働を行っている派遣元、派遣先の全事業所について徹底した調査を行い、本当に予定どおりに派遣期間を延長して大丈夫なのか、再検証をじっくり行うべきでありました。
  大臣は、製造業への派遣可能期間の延長に対して何らの疑問もお持ちにならなかったのでしょうか。もし疑問をお持ちになったのだとしたら、どのような疑問を持ち、事務方にどのような検討を指示し、その上でその疑問はどのように解消されたのでしょうか。納得のいく答弁をお願い申し上げます。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは、ただいま職安局長が答弁をいたしましたように、平成十五年の法改正によりまして、製造業務への労働者派遣の受入れ期間については三年と定められたものでございます。それが、これは附則……
○津田弥太郎君 一年。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 失礼しました。十五年のときは附則で一年というふうに定められたと、こういうことであったわけでございます。
  したがいまして、私どもとしては、この期間が法律の原則に戻ったということでございますので、なお一層この偽装請負のような違反の状態が生じないように指導監督を強化してまいらなければならないと、このように考えている次第でございます。
○津田弥太郎君 本当にその答弁でいいんですか。
  ちょっと速記録止めてください。
○委員長(鶴保庸介君) 速記を止めてください。
    〔速記中止〕
○委員長(鶴保庸介君) 速記を起こしてください。
○津田弥太郎君 じゃ、それでいいんでしたら。
  製造業に限らないんです。現行法においては、派遣期間は原則一年なんです。一年を超える場合は派遣先の労働組合から意見聴取義務が付されています。しかし、実際にはこの意見聴取が行われることなく一年を超える期間の派遣が行われていることが指摘をされているんです。悪質な企業では、派遣期間が三年になると三か月間直雇用、直雇用をして、三か月たったら再び派遣に戻すという脱法的なクーリングも行われているというふうに聞いているんです。
  厳格に対応するというふうにおっしゃっているんですね、先ほど。こうした法違反あるいは法の逸脱を許さないために徹底した行政指導を行っていただきたいということを私は申し上げているんです。いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) ただいま、前の質問でも申し上げましたとおり、労働者派遣法では派遣受入れ期間に制限のある業務について、派遣先が一年を超え最長三年までの範囲で労働者派遣を受け入れようとする場合には、労働者の過半数で組織する労働組合等の意見を聞くこととされていることは今委員の御指摘のとおりでございます。このような意見聴取が行われない不適切な事案については、これはもう当然厳正に指導をしてまいらなければならないということでございます。
  また、派遣先が労働者派遣の受入れと有期の直接雇用を繰り返すというようなことがあるとすれば、これはもう職業安定法等に違反する形態での就業ということになりますので、そうした事実がある場合には厳正に指導をしていかなければならぬと、こういうことでございます。(発言する者あり)
○津田弥太郎君 済みません。ありがとうございます。
  今日は時間がもうなくなってきましたんで、また次回の労働法制のときにしっかりやらせていただきたいと思います。

・・・<以下省略>・・・





 

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