衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第5号 平成19年3月16日(金曜日)

平成十九年三月十六日(金曜日)

    午前八時五十分開議

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)

 児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

・・・【中略】・・・

○櫻田委員長 次に、阿部知子君。

○阿部(知)委員 社会民主党・市民連合の阿部知子です。

・・・【以降、途中まで略】・・・

○阿部(知)委員 では、引き続きの質問に入らせていただきます。

 きょうは、私はまた、派遣という働き方についてお伺いしたいと思います。

 大臣のお手元にもお配りしてございますが、ここには「雇用形態別、各種保険の適用」ということで、上から正社員、非正規社員、その中の分類も、契約、嘱託、出向、派遣、中には登録、常用と分けまして、そうした働き方の皆さんの雇用保険、あるいは社会保険の健康保険や厚生年金についての適用率が書いてございます。

 ここで派遣と大くくりいたしましたものの適用を見ますと、七七から七五%ということで、実は、一九九九年の同じ調査よりは少し改善しておりますが、大臣、やはり七〇、八割を欠くような雇用の保険の実態ということはいかがかということについて一点。

 引き続き、時間がないので、恐縮ですが、私が先日お尋ね申し上げました日雇い派遣等々は、また、ここの実態には浮かんでこないもののように思います。派遣で認可された会社、二万八百六十四社ありますが、また、そのうち日本人材派遣協会に加盟している派遣会社、七百二十七社でありますが、実は、厚生労働省の方では、この日雇い派遣の実態というものは、この認可された派遣会社のどれだけが行っているのかということについて、実態把握はしておられるかという二点、続けてお願いします。一点目は大臣に、八割欠けているがどうかという方ですね、大臣にお願いします。

○高橋政府参考人 雇用保険の適用の実情にかかわっての問題でございますので、まず私の方で御答弁させていただきます。

 まさに今お示しのあった実態調査にも示されているとおり、派遣の中での登録型の派遣で七七・七%というような雇用保険の適用の状況にあるわけでございますが、雇用保険におきましては、派遣事業か否かということにかかわりませず、週の所定労働時間が二十時間以上であって、一年以上の雇用見込みがある場合には、雇用保険の一般被保険者となり得るわけでございます。

 したがいまして、日雇い労働被保険者の部分は別といたしますと、一〇〇%から七七・七%を除いたその二十数%、これらの方がどういう状況にあるか、これは、まさに適用漏れなのか、適用の条件がクリアできていないのか、必ずしも判然とはいたしませんが、他の社会保険に比べますと高い割合になっているのかなと思っています。

 なお、本来適用される者であるにもかかわらず、何らかの事由で未適用となっている方につきましては、本人からの申し出がなされた場合につきまして、確認日の二年前の日までを限度として被保険者資格を確認するということも、私ども、対応させていただいているところでございます。

○阿部(知)委員 私が大臣に伺いたかったのは、こうやってデータ上に出てくる現状の、登録派遣として比較的把握されている実態の中でも八割を欠いておる。恐らく日雇い派遣はここには、実態はせんだっても申しましたが、ほとんどわかっておらない。

 大臣、一言で結構です。そうした、この前大臣は、それは労働者派遣法にのっとって正しくやっていくとおっしゃいましたが、なかなか、実は厚生労働省に何回こうやって聞いても、この中に日雇い派遣が含まれているでしょうかどうでしょうか、わかりませんねと。今のも結局わからないということなんですね。

 あわせて、私は、労働基準法にも抵触するような働き方も含まれていると思うのです。ここはぜひ厚生労働省として、もちろん、労働者派遣法に抵触するかどうか、派遣か請負、今問題になっております偽装の問題、それも一方でございますが、こうしたスポット派遣等々の日雇い派遣の方の労働実態、労働基準法から見てどうかということも、あわせて、これから厚生労働省として鋭意真剣に努力していくという御答弁を一点いただきたいと思います。

○柳澤国務大臣 彼らも、携帯を持って、派遣元との連絡はとれる状況にある、何か仕事があったら派遣元から自分に対して連絡があって、どこどこの派遣先に行ってこういう仕事があるからやってくれ、こういうことでございますので、その意味では、今委員からいただいたこの分類によれば、派遣労働者登録型ということになるんだろう、このように考えます。

 この派遣労働者登録型につきまして、近来、非常に、特に若い人たちを中心として、余り健康的でもない、そういう生活をしながら、今言ったような労働に従事するというようなことがあるということの指摘をいただいておりまして、私どもとしては、全く手がかりがないわけではなくて、それもまた、恐らく、この中に入っているかどうか、それを確かめろと言われると、今役所の職員が説明したようなことになるのかもしれませんが、とりあえず、まず派遣の業者を通じまして、一体どういうことが起こっているんだということは調べるというか、日常の業務の中で何とか把握をいたしたい、こういうように考えているところでございます。

 もちろん、それよりもまた違う、派遣の登録も何もしていない業者によるものについては、これはまた別途の努力が要ると思いますので、これについては、果たして私どもの方だけでできる話かどうかを含めて、少し内部で検討しないとならないんじゃないか、このように考えます。

○阿部(知)委員 私は、こうした若者の貧困化あるいは働き方の崩壊と同時に、今の日本の若者で、さまざまな、いわゆる心の崩壊と申しますか、なかなか働くことと自分を結びつけられない若者も多いと思います。

 きょうは、あと一点、ヤングジョブスポットについて取り上げたいと思いましたが、時間の関係でかないません。厚生労働省のお仕事としては珍しくと言うと変ですが、上手にいっていると思うのにやめるというお話であります。これも残念ですから、さらに、もうちょっと前向きにやっていただきたいと思うことを申し添えて、終わらせていただきます。

・・・【中略】・・・

○櫻田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

○櫻田委員長 これより討論に入ります。

・・・【中略】・・・

○ 阿部(知)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表し、内閣提出の雇用保険法改正案に対し、反対の討論を行います。

 今回の雇用保険法の改正は、行政改革法に対応し、雇用保険制度の安定的な運営を確保し、直面する諸課題に対応するために行うものと聞いております。

 しかし、非正規雇用の大幅な増加、ワーキングプアの増加という雇用情勢の変化に対応した施策は全く手つかずのまま、ただただ財政的な理由だけで国庫負担を削減するもので、雇用保険のあり方そのものをゆがめるものであると言わざるを得ません。

 反対理由の第一は、失業等給付に係る国庫負担を二五%から一三・七五%と大幅に削減することです。

 景気の回復によって雇用保険財政は余裕が出てきたとしていますが、これは、雇用保険から漏れているフリーターや日雇い派遣など、この間、急激に拡大した非正規雇用の人たちに十分雇用保険が行き渡っていないために生じたものです。

 政府は、昨年六月に策定した骨太方針二〇〇六で、国の一般会計予算における社会保障関係費の伸びを圧縮するため、今後五年間で一兆一千億円を削減することを決め、そのうち来年度は二千二百億円削減するとしました。しかし、介護保険制度や医療制度改革も実施したばかりで、取れるところがないため、雇用保険財政に目をつけ、国庫負担を削減するとしたのではないでしょうか。こうしたやり方は、雇用保険そのものをゆがめる以外の何物でもありません。

 反対理由の二つ目は、非正規雇用の急激な拡大、とりわけ、パート労働者だけでなく、フリーター、派遣労働者、さらには偽装請負、日雇い派遣と言われる人たちが雇用保険の網の目から漏れているにもかかわらず、全くと言ってよいほど手が打たれていないことです。

 例えば、日雇い派遣は、従来の日雇い労働者と異なり、携帯で仕事の手配を行うというものもあり、若者の間に急速に広がっております。当然、日雇い雇用保険の対象として検討されるべきですが、そもそも実態把握すらされていない現状です。フリーターも同様です。雇用保険に入っていないため、失業給付も受けられない人たちが今や圧倒的になってきています。

 今回の施策の中では、雇用安定事業の対象に被保険者になろうとする者を加えることになりました。この点は、フリーター対策の点からは一定評価できます。しかし、これは教育訓練給付などに限定され、失業給付とは無関係なものになっております。

 また、育児休業給付制度の拡充として給付率をアップさせるとした点も、一歩前進と見えながら、しかしながら、給付の対象はすべて雇用保険加入者です。日雇い派遣、フリーターなど、雇用保険外の、らち外に置かれた人々に対しては一円の給付もないのです。派遣労働者の七七%しか雇用保険には加入していません。四分の一が未加入という状況です。

 しかし、質疑の中でも、本当にあきれるばかりに、当局の認識は、他の年金や医療保険制度等の加入率よりはまだ高いとして、現状において極めて危機的であるという認識を全く欠いています。

 雇用情勢の大きな変化に対応し、セーフティーネットを張りかえることが求められています。そのためにこそ雇用保険のあり方を問い直すべきです。これまでの施策を点検し、どこに不十分な点があるかをチェックすることが緊急に求められていると考えます。

 政府のやり方は、財政再建をすべてに優先させており、時代の要請に全くこたえることができません。二十一世紀にふさわしい雇用保険行政の確立を強く訴え、反対討論といたします。(拍手)

・・・<以下省略>・・・





 

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