衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第166回国会 厚生労働委員会 第5号
平成十九年三月二十日(火曜日)
    午後一時五十分開会

・・・【中略】・・・

      本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
  送付)、平成十九年度特別会計予算(内閣提出
  、衆議院送付)、平成十九年度政府関係機関予
  算(内閣提出、衆議院送付)について
  (厚生労働省所管)
○児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出
  、衆議院送付)

・・・【中略】・・・

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
  まず、労働法制についてお聞きをいたします。
  労働者派遣法については今までも質問してきました。二〇〇三年に労働者派遣法を改正をして、改悪をして、医療と製造業についても派遣を可能にし、この分野で規制緩和が行われて、大企業においても製造業派遣の人たちが非常に増えたと。今、非正規雇用の人たちが、特に若い人たちで拡大をしています。これについてはもう一度製造業の派遣をやめるということをすべきではないかと改めてお聞きしますが、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 派遣対象業務につきましては、平成十一年の労働者派遣法の改正によりまして、産業の側の産業構造の変化への対応、それからまた労働者側の価値観の多様化などを背景といたしまして多様な働き方が求められるという状況の下で今これが行われているわけで、ネガティブリスト化の下で行われているわけでございます。
  それに加えまして、実は平成九年に労働者派遣事業を含む民間の労働力需給調整事業の運営を原則すべての業務で認めること等を目的とするILO百八十一号条約が採択されたことももう一つ背景としてありまして、そういう労働者の派遣法改正でこうしたネガティブリスト化が行われたということでございます。
  今委員が御指摘の物の製造業務への労働者派遣につきましては、平成十五年の派遣法改正におきまして行われたわけでございますけれども、これは産業構造の転換や国際化が進展する中で日々変動する業務量に応じて労働力需給に適応していくと、対応していくというニーズにこたえるために解禁したものでございます。
  したがいまして、今後もこの枠組み自体は必要な仕組みであると考えますが、しかし他面また、この派遣期間の制限の違反や、いわゆる偽装請負等の法令違反に対しては厳正に対処していきたいと、このように考えております。
○福島みずほ君 ヨーロッパは有期契約についても制限をしておりますし、パートなどについても均等待遇の立法、EU指令などたくさんあります。
  日本がほとんどの業種にすべて解禁としたことで、非正規雇用を拡大し、雇用の劣化、不安定化をまさしく起こしています。これは、格差拡大や非正規雇用の拡大に結び付いていると。多様な働き方は多様な働き方で結構です、それはそれでいい。しかし、多様な働き方の中で労働条件をどう守っていくかという視点がなければ、結局、雇用の劣化を、多様な働き方といいながら、雇用の劣化と雇用の破壊を生んでいる、それが今、日本で正に進行していることです。後者の観点からの規制がなされていないということが問題です。
  先日、宇都宮のキヤノンの工場に行きました。偽装請負があるということで、二〇〇五年にいったん派遣にいたします。当時、製造業は契約期間が一年、一年たつと直接雇用義務が発生する。それで、驚くべきことに、キヤノンはそこで偽装請負、請負から一年間だけ派遣にして、一年たったらまた請負に戻しました。完全請負、偽装請負ではありません、これが会社の説明です。
  同じように、同じ会社の同じ工場の中で同じように働き続け、同じようにというか、労働者として働き続けながら、ころころと請負から派遣、派遣から請負、これは結局、直接雇用義務を発生させない、あるいは派遣のままではいさせられないので、派遣から今度は請負にもう一回戻したんですね。こういうふうにころころと変えながら、結局、正社員にしていかない、これが実は現場で広がっていくことです。
  じゃ、完全請負というふうにすればいいのか、一切指示命令しない、一切口利かない、線を引いて正社員と口を利かせない、このようなことをすればそれでいいのかというふうに思っております。
  御手洗会長、経済財政諮問会議のメンバーであり、経団連の会長は、直接雇用義務は廃止をすべきである、あるいは、労働者派遣と法律は現実と法律が合致していないという発言をしています。私はその言葉を宇都宮の工場の中で聞きながら、もちろん総資本の立場で言っている面と自分の会社の都合で言っている面と両方あるというふうに思いました。法律をそういうふうに私物化して大企業がやっていっていいのかと、正社員の道をブロックしていいのかと、非常に怒りを感じました。
  労働者派遣法の中に直接雇用義務が規定があります。派遣期間制限違反で指導した件数と、直接雇用となった人数について教えてください。
○政府参考人(高橋満君) この派遣並びに請負につきまして、私ども、るるこれまで指導を各労働局におきましてやってきておるわけでございますが、十八年四月から十二月、今年度におきます十二月までのデータでございますけれども、派遣にかかわっての派遣元指導件数、細かくあれでございますので、派遣等から請負全体を合わせて合計、私ども四月から十二月で六千九百三十件の指導を行ったところでございますが、このうち何らかの形で派遣法の違反等が認められて文書指導をいたしましたものが五千七百六十五件ということでございます。
  このうち、今委員お尋ねは正規雇用になった者がどれくらいかというお尋ねでございますが、これにつきましては、例えば偽装請負の場合に私どもこれを是正していただく上で、まず雇用の安定を前提に是正をしていただく。その場合の雇用の安定のやり方として、直接雇用もその一つでございますが、それ以外に適正な派遣若しくは請負という形で事業を継続する、あるいは事業を継続できない場合は他の事業所にまた配置転換するなり、あるいは関連の企業等へのあっせんという形等々、様々な形が考えられるわけでございまして、そうした様々な中で当事者間で十分話し合っていただくというふうに指導をさせていただいているところでございまして、したがいまして直接雇用がどれくらい指導の結果あったかということについては、その実態については把握はいたしておりません。
○福島みずほ君 厚生労働省にずっと聞いているんですが、教えてもらえない。あるいは、データを取っていないんでしょうか。つまり、派遣の人たちで、三年たつと本人の申出によって直接雇用義務が発生すると、これに関して直接雇用義務を発生させてほしいと思っているわけです。本人が望めば正社員への道が派遣法の中に入っているわけですから、そうしてほしいと。で、五千七百六十五件派遣違反が見付かった。では、直接雇用義務、なぜ直接雇用になった人の人数を把握していないんですか。だって指導されたわけでしょう。
○政府参考人(高橋満君) 派遣法に基づきます、派遣契約を結んで派遣が行われている場合につきましては、御指摘のとおり、派遣法上、一定の要件の下でいわゆる雇用制限期間を超えてなお使い続けたいという場合に雇入れ義務というものがいわゆる二十六業務以外の業務についてはあるわけでございますが、そのほか、請負の場合についてはこうした規定というものがないわけでございまして、したがいまして、先ほどお答えしましたとおり、様々な手法の中での雇用の安定を図っていただくべく、そういうことを踏まえた指導ということをやっておるところでございます。
○福島みずほ君 厚労省は各都道府県に労働局がありますよね。で、五千七百六十五件指導されたと。派遣法違反だったとすれば、その後、それがどうなったかというのは、データとして行政だからあるわけじゃないですか。直接雇用義務がそのうち何件あって、何人が直接雇用されたかというデータは取っていないんですか。取っていないとすれば、なぜそういうデータを取っていないんですか。現に行政指導で入っているわけでしょう。
○政府参考人(高橋満君) 違反事案については極めて多岐にわたるものがございまして、私どもその指導した結果としては、ほとんどおおむね指導の結果として是正をされた、あるいは一定の期間を設定をして是正に向けた努力をされておるということで、そのもちろん取組状況もフォローしながらやっておるところでございまして、結論的に言えば、ほぼ是正をされたということでございます。
○福島みずほ君 是正をされた結果をお聞きしたいんです。派遣のままなのか、ほかに振り分けたのか、直接雇用義務が発生して正社員になったのか。正社員への道というのがどの程度、厚労省が頑張ってそれを指導してくださっているのか、それをやっぱり聞きたいと思います。実際、五千七百六十五件とあるわけですから、その結果、どれだけ直接雇用義務が発生したか、教えてください。
○政府参考人(高橋満君) 今るるお答え申し上げているとおりでございまして、具体的にどれくらい直接雇用になったのかということについての数値は把握をいたしておりません。
○福島みずほ君 いや、日本の優秀な役人が、それはおかしいですよ。
  そうしたら、改めてお願いします。直接雇用義務がどの程度五千七百六十五件のうち発生したかについて、精査をした上、数字を教えてください。いかがですか。
○政府参考人(高橋満君) ちょっと今、手元には違反事項の詳細についてございませんので、また今、十八年度の数値についてはなおまだ把握、各労働局からの報告を受けておりませんので、十七年度の状況について改めてちょっと精査した上で、また御報告をさせていただきます。
○福島みずほ君 今、格差拡大や格差是正や正社員化への道をどうするか。安倍総理は毎回毎回、正社員への道を開く、開く、開くと言っていて、直接雇用のデータも取っていないんだったら、それは説得力がないですよ。これ、ずっと資料要求して出てこないので、きちっと、どれだけ直接雇用になったか、データを教えてください。
  例えば、キヤノンのケースも、じゃ、完全請負、これでオーケーですという形で問題が決着をすることをやはり望みません。それは、派遣、請負じゃなくてやはり正社員化への道を、できるだけ厚労省としては雇用の安定のために努力をしていただくということで決意をしていただきたいというふうに考えています。いかがですか。
○政府参考人(高橋満君) いわゆる非正規の方々の正規雇用への移行と申しますか、拡大というのは大変大事なことであるわけでございまして、私どもも、この非正規労働者の方のうち正規雇用を望まれる方についての正規雇用化に向けた取組ということをるる取り組んできておるところでございます。
  ただ、一般論として申し上げますが、各企業が労働者派遣あるいは請負等々も含めましてどのような形で労働力を活用していくのか、直接雇用なり外部労働力の活用なり等々あるわけでございますけれども、それらはやっぱり各企業の経営方針、経営状況等に応じて判断されるべきものだと考えますが、ただ、私どもも、企業が安易に人件費削減の観点からのみで外部労働力の活用を行うということは、技能の継承あるいは産業自体の競争力の問題、また労働者の側に立ってみましても、雇用の安定でありますとか能力向上の両面から決して望ましいものではないというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味で、派遣法に規定をされております直接雇用義務等の問題も含めまして、法令違反に対しては適正なものになるよう徹底した指導を行っていきたいと考えていますし、また、請負事業の問題につきましても、その適正化のためのガイドラインというものを現在、策定を急いでおるところでございまして、こうしたことも使いながら、良好な雇用環境の整備を図るべく、もう一段の取組を進めてまいりたいと考えております。
○福島みずほ君 安易な人件費削減のために請負や派遣が大企業でも使われているという実態があります。
  厚労省がどこまで踏み込んで頑張ってくれるのか、直接雇用義務を含めてどこまで頑張るのか、本当に注視して見ておりますし、期待をしている人も大変多いと思います。是非頑張ってくださるようお願いいたします。この委員会でもずっと引き続き質問していきます。

  ・・・<以下省略>・・・




 

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