第166回国会 厚生労働委員会 第7号
平成十九年三月二十七日(火曜日)
午前十時二分開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出
、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を
改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
・・・【中略】・・・
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
・・・【以降、途中まで略】・・・
それから、雇用に関連して、ちょっとこれは通告していない、今日起こった事態なんですが、東京労働局が日雇派遣最大手といわれるフルキャストに対して、派遣法で禁止されている警備や建設などの業務にアルバイトを派遣して業務改善命令出したというふうに言われている。しかも、これ全国五十三支店でやっていたというので、明らかに故意ですよね、これは。建設と警備ですからね、だれが見たって分かる。これは大問題だと。
元々、私はそもそもそういう警備業者やあるいは建設業者がフルキャスト、まあフルキャストは悪いですよ、フルキャストに問題あると思いますよ。しかし、明らかに派遣法で禁止されている警備業者やあるいは建設業者からフルキャストに派遣を求めること自体が大変問題なのではないかと私は思うんですよ。
大臣、これ細かい話じゃなくて、フルキャストに対する厳正な対応というのはこれもちろんです。しかし、やっぱり発注する側を取り締まる、こういう仕組みを作らないとこれはいけないんじゃないですか、今回の事案を見ても。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは派遣法で、要するに派遣をする業者としての私ども規制を掛けているわけでありまして、これに基づいて今回のような適用除外業務への派遣を行うということがあれば、それは改善命令をするということもその枠内で可能になったということであろうと思います。
○小池晃君 それはもうやっていることなんです。
○国務大臣(柳澤伯夫君) その上で、今度はいわゆる派遣先の方をどうするかという問題については、もう度々ここで議論をしているわけでございますけれども、それらについては一定の今手続の中で行政の処分が行われるという仕組みの下にあるということでございます。
○小池晃君 派遣先に処分が行われないじゃないですか。こういうふうにもう明々白々ですよ。間違っちゃいましたという話じゃないでしょう、故意でやっている。これに対しても何もできない、そういう仕組みでいいのかということですよね。
この派遣、偽装請負の問題も含めてですが、キヤノンの問題、これキヤノンの偽装請負は社会問題になっています。
これ厚労省にお聞きしますが、キヤノンに対してはいつ是正指導を行ったんですか。
○政府参考人(高橋満君) 個別の企業にかかわります監督の状況に対するお尋ねでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○小池晃君 もうマスコミみんな出ているのに、これ言えないわけでしょう。だから、こういう問題なんですよ。こういう受け入れた側の企業に対しては物も言えない、腰が引けている、これが今の労働行政なんですよ。これでいいのかということが本当に私、真剣に問われていると思うんですよ。
キヤノンの問題も昨年七月に大々的にマスコミに出た。しかし、キヤノンの現場では実は法律違反だということを認識しながら偽装請負をやっていた。
これは私ども入手したマル秘扱いの文書なんですが、これタイトルは外部要員適正管理の手引と書いてある。発行は〇六年の二月なんです。中に何て書いてあるかというと、現在、キヤノンで働く総要員の三分の一は派遣労働者と請負労働者ですと、派遣労働者、請負労働者の活用の機会は今後更に増してくると思われますと。さらに、この中には、偽装請負は違法であり職業安定法によって罰せられる、派遣先が一年を超えて派遣を受け入れる場合は直接雇用の申込みを行わなければなりませんとちゃんと書いてあるんですね。これを〇六年の二月にキヤノンはちゃんと出しているんですよ。
法令遵守だといいながら、実態としては、ようやく昨年八月に厚生労働省の指導で偽装請負から派遣に切り替えると。分かっていながらずっとやっているわけですよ。これが今の大企業の実態です。しかも、キヤノンの会長は日本経団連の会長である御手洗氏だと。経済財政諮問会議で、請負法制に無理があるんだと、これを是非見直してほしいと、いけしゃあしゃあと要求しているわけですね。自分の会社では違法をはっきり、もうこれ動かぬ証拠ではっきり把握していながら、承知で偽装請負を行いながら法律が悪いと。余りにも身勝手過ぎないかと。
そもそも、先ほど言ったように、偽装請負の是正指導では受入先への指導は極めて甘い。だって、実態聞いても答えもしない。これが今の現状なわけですね。
先ほど、重ねてになりますが、最近ようやく限度期間を超えた場合は派遣に転換を認めないということで、三月一日に、この派遣期間の制限に抵触している労働者派遣は特に厳正に指導するという通達出した。これはこれで当然しっかりやってもらわなければいけないというふうに思いますが、しかしこれは派遣先への直接雇用というふうになっていないんです。適正な請負でもいいよと、その他の雇用確保措置でもいいよと。これで本当に偽装請負解決するか。
大臣、やっぱり受入れ企業に対する社会的制裁をどう加えていくかということも考える必要あるし、同時に、法違反した企業にはきちっと雇用責任取らせると。つまり、私どもは、やっぱり制限期間を超えたかどうかにかかわらずに、違法をやっていたんだから、違法であれば、それは違反企業に対しては直接雇用義務を課すと、こういう措置をするしかないと思うんですが、大臣、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは私どもは、契約というのは両当事者の合意に基づくわけでありますから、そういう範囲の中で対処していくと。それで、しかもその中でできるだけ雇用というものを確保しようということで、今、小池委員が触れられたような幾つかのタイプの解決策というものを講じていくということでこの事態に対処しているということでございます。
○小池晃君 幾つかのタイプじゃ駄目なんだと、直接雇用義務を課すというふうにしなければこの問題は解決しないんだ、だって法律違反やっているんだから。それに対するペナルティーというのは必要なんですよ。やっぱりそういう点では本当に問題がある。
キヤノンは三月二十四日の記者会見で、派遣、請負から二年間で千人正社員にすると、二千五百人を最長二年十一か月の期間社員にするとしました。しかし、これで問題が解決するのかというと、実は私どもこの前にキヤノンの本社の広報に問い合わせしまして、昨年、その請負労働者から正規雇用したのは四百三十人で、今年の中途採用予定は五百五十人だと言っていました。
ところが、今回の報道というのは二年間で派遣、請負から千人の正社員だと。これ聞いたらば、結局、その中途採用の今年五百五十人という枠内のものなんです。だから、新しく決めたのは二年間で二千五百人の期間契約労働者の枠を設けたというだけなんです。しかも、キヤノン全体の派遣・請負社員というのは二万一千四百人です。製造部門の七五%が派遣、請負になっているわけですから、千人正社員にしたって本当にこの構造変わらないわけですね。
実態として、私どもにはキヤノンの工場で働く派遣労働者からメールも寄せられています。こんなメールなんですね。偽装請負から何の説明責任も果たさず、よく分からないまま派遣に切り替わった。給料は変わらず、仕事は忙しくなるばかりだと、そして直接雇用の話など全くありません、それどころか、中途採用の話があったが、我々派遣社員は対象外なので応募しないようにと派遣元を通じて言われたと、募集の件も事務処理上のミスだというふうに言っているけれども、これはうそだと、こういうメールが私どもに来ている。正に人間、物扱いにするような、そういう会社の言い分と現場の労働者の言い分全く違うという実態が出ているんです。
大臣、私、このキヤノンの偽装請負というのは、これは大きな社会問題にまでなったんだから、私は、厚生労働省として、キヤノンの工場、全国に一杯あります、全国一斉調査をする、そしてやっぱり特別な指導監督を行う、踏み切るべきではないですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 個別の企業の問題についてはお答えは差し控えさせていただくしかございません。一般論として言えば、いわゆる偽装請負については、これはもう労働者派遣法に違反するもので、違反が確認された場合にはもう厳正に指導を行うということでございます。
特に、昨年九月以降、偽装請負の防止、解消を図るため、いろんな取組をしているということはもう委員も御指摘になられたとおりであります。
○小池晃君 そういう通達出していることは、それはそれで私ども評価をいたします。
しかし、やっぱり実態を見れば、個々の企業ね、この規制をかいくぐって違法行為が蔓延しているという実態があるわけですよ。そういう意味では、やっぱりそのキヤノンなんていうのは正に日本経団連の会長出身企業ですから社会的責任だって大きいはずのところが、実際はその違法だということを承知でいながらやっているという実態があるわけですからね。ここはやっぱり本当に厳しくやる必要があるというふうに思います。
委員長、私、最後に、今国会というのは格差是正国会だと、それで労働国会だというふうに言われていて、衆議院の予算委員会などでは現場の請負労働者も参考人として意見も言っている。是非一度、この委員会に、キヤノンの会長でもあり日本経団連の会長でもある御手洗氏を参考人としてお呼びをして、これから様々な労働法制の審議をやるわけですから、一度じっくりお話をお聞きして、彼は彼で経済財政諮問会議なんかではもう勝手放題発言しているわけですよ。
そういう意味では、やっぱり国政、国会できちっとそういう人たちを呼んでお話を聞くと。もちろん、だとすれば労働側からも来ていただいて、双方のトップから厚生労働委員会として話を聞くと。今の労働行政、どう考えているのかということについてきちっと語ってもらうと。そういう場、しっかりつくって、それで労働法制の議論するんだったら、私は、やっていけばいい、そういう場を是非つくっていただきたいということを、まあこれは要望として申し上げておきたいというふうに思います。
○委員長(鶴保庸介君) 後刻理事会にて協議をいたしたいと思います。
○小池晃君 ありがとうございました。
以上で質問を終わります。
・・・<以下省略>・・・
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