第166回国会 厚生労働委員会 第9号
平成十九年四月十日(火曜日)
午前十時開会
・・・【中略】・・・
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○社会保障及び労働問題等に関する調査
(雇用、労働等に関する件)
○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
・・・【中略】・・・
○福島みずほ君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、雇用保険法等の一部改正案の原案並びに修正案に反対の討論を行います。
非正規雇用の大幅な増加、ワーキングプアの増加という雇用情勢が大きく変わっているにもかかわらず、その多様な働き方に対応した改正、弱い立場の人たちに手を差し伸べる対応とは逆行する改正になっていると言わざるを得ません。
まず第一に、今回、雇用保険の国庫負担の見直しを行い、千八百十億円の予算削減をしている点です。これは制度上の必要性から生じたことではなく、社会保障費削減ありきという議論から出てきた数字合わせでしかありません。
政府は、平成十五年度から五年間にわたり、一般会計における社会保障費を圧縮するため毎年二千二百億円の予算を一律に削減をしてきました。介護保険制度や医療制度改革、障害者の支援費制度見直し、生活保護制度の見直しなど、国民の、しかも弱い立場の人たちの生活に直結する予算を一方的に削減してきました。今回、雇用保険制度見直しに伴い国庫負担の削減を行ったのは、労働者の安定した雇用の維持、働く人の安心、安全を支える責任を負うべき政府のあるべき姿勢ではありません。
第二に、非正規雇用労働者が増えている中、特にパート労働者、フリーター、派遣労働者、さらには請負、日雇派遣と言われる人たちの雇用の劣化が大きな社会問題となっているにもかかわらず、今回の改正で支援策がほとんど取られていないことです。
例えば、スポット派遣と言われる労働形態が若者に広がっています。雇用保険制度の網の目からこぼれ落ちてしまい、失業給付も受けられない状況です。こうした人たちへの失業給付対策に手が付けられていないことは、現在進行形で起きている問題にきちっと向き合っていない証拠です。
今回の改正で、被保険者資格と受給資格を一般被保険者に一本化することは一歩前進ですが、受給資格取得のための期間が六か月から十二か月にする、これは雇用の劣化や悪質事業主が増えている中で、細切れ雇用を強いられている人、スポット派遣で働く人などの実情を無視しており、条件の引下げであり、明確な改悪です。
第三に、季節労働者、出稼ぎ労働者に対する特例一時金の給付水準の引下げが盛り込まれていますが、過疎が進む地域に住む労働者の実態、第一次産業に頼らなければならない産業構造の現状を無視しています。地域間格差が拡大し、所得格差が拡大している中で、出稼ぎをしなければならない人たちへの支援を切り捨てることにほかなりません。雇用の劣化が大きな問題となっている今の時代にこそ、労働者のセーフティーネットがもっと安心できる頼りがいのあるネットになることが求められています。そのためにも、雇用保険の国庫負担の安易な引下げは許されないと考えます。働く者と安心と安全を守るための雇用保険制度の在り方をもう一度考え直すべきです。
最後に、国民の命を守るためにこそ予算を割り当てるべきであり、社会保障関係費を一律に削減をしていく政府のやり方は税金の使い方を完全に間違っていると訴え、反対討論とします。
・・・<以下省略>・・・ |