衆議院・参議院会議録情報 抜粋 |
衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。 |
第7号 平成19年4月11日(水曜日) 午前九時七分開議 ・・・【中略】・・・ 本日の会議に付した案件 政府参考人出頭要求に関する件 参考人出頭要求に関する件 産業活力再生特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一三号) 中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律案(内閣提出第一四号) 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律案(内閣提出第一五号) 株式会社商工組合中央金庫法案(内閣提出第三九号) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号) 資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件 ・・・【中略】・・・ ○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也でございます。 産活法の中で、サービス産業の生産性向上、重点六分野の一つとして人材支援サービスがあるわけですけれども、いろいろ経産省の出しています、例えばサービス産業についての中間とりまとめなどでも、派遣、請負の生産性向上のポイントが人材育成だということを強調しているんですね。そのためには、ユーザーとベンダーの提携を深めること、あるいはパートナーの絞り込みとか資本協力などということを言っているんですけれども、これは要するに、結局、派遣・請負会社というのが、独立して専門業務を担える外部人材として十分育っていないという状況の反映だろうなと思って受けとめておりました。 そこで、具体例として御紹介もし、大臣に御感想なりをお聞かせいただきたいのが、キヤノンのセル生産方式についてなんです。 配付資料に、これはキヤノンの冊子をコピーしたものですけれども、題字で、「キヤノンは、国際競争力をより高めるために、″セル生産″の進化と、自動生産システムの確立をすすめています。」ということで、左上の「生産活動」のところに、「キヤノンの生産革新は、セル生産の開始とともに大きな飛躍を遂げました。」四行目に、「セル生産は、地域ごとの特性をプラスしながら、世界の全生産拠点へと拡がりました。必要な時に必要な数だけ作るジャストインタイム生産など、柔軟な生産体制が可能になり、刻々と変化する販売状況に合わせて生産数量を調整するサプライチェーンマネジメントを高い精度で行なっています。」 右下にセル生産について若干紹介がありますけれども、下の方の行にありますように、各人の技能レベルに応じて工程数を調整したり、生産数の加減も容易に行える、これがだから生産性向上に非常に力を発揮するんだということです。右上に写真がありますけれども、これが大分キヤノンの大分事業所。大臣が視察されたのはこちらの方なんでしょうか。 紹介しましたように、大分キヤノン全体は八五%が派遣、請負の労働者ということで、いわば、セル生産の現場、各区画、セルごとに請負会社が請け負っているという形がありました。私が拝見したのは安岐事業所なものですから、ちょっと大分事業所の現場そのものは拝見していないんですけれども、同じように、多分セルの区画があって、それを請負会社が請け負って、看板かなんかも出て、きちっと区画して、区分けしてやっていますよということが紹介されていたと思います。 しかしながら、そうはいっても、生産工程とか生産調整や工程の調整、当然それは人員の調整も必要ですから、私は、新商品の投入などを含めて、発注者側、キヤノン側のやはり具体的な指揮命令がないと、請負会社の生産もセル生産方式じゃままならないんじゃないかと率直に思いました。 大臣としても、拝見された中で、キヤノンの指示なしに請負会社の生産というのは成り立たないというのがセル生産方式の実態なんじゃないのかなというのが私の率直な受けとめなんですが、大臣はその点いかがでしょうか。 ○甘利国務大臣 キヤノンも一部上場の日本を代表する企業の一つでありますから、きちんと法令に従って対応しているというふうに信じておりますし、もし法令に違反するようなことがあれば、それは法令違反として監督行政庁から改善命令がその会社に向かうということになります。 ○塩川委員 やはりセル生産方式という形態自身が請負形態とマッチングするのかなというのが率直な思いでありまして、研究者の方でも、このセル生産方式は微細な部品を組みつける工数は多いし、タクトタイムが短い、したがって、キヤノンの社員が作業手順などを指揮命令しなければ作業がスムーズに進まないし、異常への対応も困難になる、こういう指摘もありまして、請負会社が請け負う形のセル生産方式というのは、これは偽装請負ではないかという懸念が生じる内容だと思います。 私、大分キヤノンに行きまして、相手の方にお聞きして、セル生産方式というのは請負会社の方が請け負っているんだけれども、これは指揮命令という形で偽装請負になるんじゃないのか、特に新商品なんかを投入する場合にはそういった問題が出てくるんじゃないのかということを聞きましたら、キヤノンの方のお答えというのが、去年十月に出た技術指導の範囲で対応可能だ、厚労省の技術指導に関する指針に沿って対応している、こういうお答えでした。 そこで、厚生労働省にお聞きします。今言った、キヤノン側が紹介をした昨年十月の指針というのが、昨年十月三十一日付でホームページ上でアップされております、請負事業において発注者が行う技術指導についてのQアンドA、これは資料の二枚目の方につけてあります。これは確認なんですが、派遣、請負の区分の基準を示した、昭和六十一年労働省告示三十七号がございますね、一般的に告示三十七号と言っていますけれども。一つ、技術指導QアンドAというのはどういう中身か、簡単に紹介していただきたいのと、あわせて、この技術指導QアンドAは告示三十七号に基づく解釈を変えたものなのか、その点を確認したいと思います。 ○鳥生政府参考人 御指摘のとおり、昨年十月三十一日に、QアンドAということで、請負事業において発注者が行う技術指導についてということで、解釈といいますか、わかりやすく、技術指導等を行うことが違反になるかならないかといったことについて例を挙げて示したものがございます。 これは、一般的に労働者派遣に該当するか否かということを判断する場合に、請負事業主が自己の雇用する労働者の労働力をみずから直接利用することと、請負事業主が業務を自己の業務として契約の相手から独立して処理することといったことが定められているわけでございますが、発注者が請負事業で働く労働者に対して行う技術指導とされるもののうちで、例えば、請負事業主が発注者から新たな設備を借り受けた後に初めて使用する場合、借り受けている設備に発注者による改修が加えられた後初めて使用する場合等において、請負事業主による業務処理の開始に先立って、当該設備の貸し主としての立場にある発注者が、請負事業主に対しまして、当該設備の操作方法等について説明を行う際に、請負事業主の監督のもとで労働者に当該説明を受けさせるといった例を挙げまして、その要件に違反をするものではないといったことを解釈としてお示ししているというところでございます。 このQアンドAにつきましては、製造業における請負事業へのこれらの基準や解釈の具体的な当てはめにつきまして、例を示しながらより詳細な説明を加えたものでございまして、従前の基準や解釈に変更を加えているというものではございません。 ○塩川委員 告示三十七号を変更するものではないということです。 ちょっと確認なんですが、今、読み上げる形を含めて紹介してもらった内容なんですけれども、要するに、請負会社が発注者側からある業務を請け負う。当然のことながら、設備、ラインなどを請け負う際に、最初に使用する際に説明を受ける、あるいは、新商品が投入されるような場合、新商品についての説明、製造の着手時においての説明、その説明について、本来は請負会社の労働者に直接そういう指示はできないわけだけれども、こういったいわば着手時、開始時期において、当然のことながら、請負会社の管理監督者の立ち会いを前提に請負会社の労働者に説明することはいいんだという話だと思うんです。 要するに、ここで言う技術指導というのは、あくまでも開始時期の場合であって、発注者側が請負労働者に対し、管理監督者が付き添っているという場合を含めても、日常的に説明を行うような技術指導というのは想定していないと思うんですけれども、その点、いかがですか。 ○鳥生政府参考人 新しい設備を初めて使うというとき以外でも、例えば、先ほど読み上げた中でもございましたが、借り受けている設備に発注者による改修が加えられた後に使用するといったケースはあろうと思いますので、最初の、当初だけということではない、それ以外の場合もあるとは思います。ただ、基本的には、業務処理が進行している最中に発注者が労働者に直接指導するということは、指揮命令に該当するということで、適当ではないというふうに考えております。 ○塩川委員 業務処理が進行している最中においては、それはだめよということだと思います。 そこで、先ほどの、キヤノン側のセル生産方式の説明のペーパーにもありますように、このセル生産方式というのは、日常的に生産調整ですとか工程の調整、労働者の人員の調整が行われているわけですね。それがセル生産方式のいいところですから。 ですから、そこで重ねて聞きますけれども、告示三十七号においては、労働者の配置の決定及び配置の変更は請負事業主が行うということになっていますね。確認です。 ○鳥生政府参考人 そのとおりでございます。 ○塩川委員 ですから、労働者の配置決定、配置変更はあくまで請負事業者側がみずから管理するものであるわけです。 ですから、日常的に生産調整、工程調整、労働者の人員の調整が行われているようなセル生産方式においても、発注者側が日常的に労働者の配置変更を指示するということは当然できませんね。 ○鳥生政府参考人 具体的なセル生産方式の実態ということにつきましては承知しておりませんが、先ほど申しましたように、請負事業主がみずから自己の支配下のもとに配置決定するということでございまして、その発注した側が指揮命令を業務を処理する中で行うということは、適当ではないと考えております。 ○塩川委員 この間、偽装請負の問題で大きな焦点となっているのが、御手洗経団連会長のいわゆる請負法制の見直し発言というのがあります。 これは資料の三枚目につけましたけれども、昨年十月十三日の経済財政諮問会議の発言です。前後を見ても非常に唐突に発言されている部分なんですけれども、いろいろ仕事を教えてはいけないとか、突発的な事故に遭った場合についても指示ができない。こういうのがおかしい、だから請負法制を見直してくれという発言をしているわけですね。 この点について、昨日の参議院の厚生労働委員会におきまして参考人質疑がありまして、御手洗会長に参考人招致という要求があった中で、御手洗さんは来られなくて、日本経団連の専務理事の紀陸孝氏が参考人として参議院の厚生労働委員会に出席をされました。 その際に、我が党の小池晃参議院議員がただしたんですが、日本経団連の御手洗会長は経済財政諮問会議で、法令遵守当然だがということはまくらに置いておられますが、請負法制に無理があり過ぎる、これをぜひもう一度見直してほしいというふうに発言された。経団連としては現在も請負法制には問題があるという認識をお持ちなのかという問いに、紀陸日本経団連専務理事は、構内請負には最低限の指示、命令というのが発注者の方から必要な場面が出てまいります。昨年の十月に、領域を絞った範囲で発注者側の指示、命令ができるというふうな運用が変わりました。この点は、大いに評価をしたいと発言しています。 ですから、日本経団連として、昨年十月、つまりこれですね、技術指導のQアンドA、これをもって運用が変わったと。大いに評価したいというふうに述べているわけです。 運用が変わったと日本経団連の専務理事は言っておりますけれども、これはそういうことなんですか。 ○鳥生政府参考人 先ほども申し上げましたように今回のQアンドAを発出したということでございまして、これは、従前の基準や解釈に変更を加えるということではございません。 ただ、その中で、解釈をより明確にするという趣旨から、先ほどは申し上げませんでしたが、例えば先ほどの、新たな設備を借り受けた後使用する場合といったときに加えまして、発注者が安全衛生上緊急に対処する必要がある事項について、労働者に指示を行うといった場合も違反するものではないといった例示をして、そうした違反にならないといったケースについて明確にしたということでございまして、基準を変更するといったことではございません。 ○塩川委員 十月十三日に御手洗会長が請負法制見直し要求の発言をし、その直後の十月三十一日に技術指導のQアンドAが出ている。今、それは告示三十七号の解釈を変更するものではないとおっしゃったわけですから、この技術指導QアンドAについて、運用が変わったと大いに評価しているのが経団連、経営者側であります。これは容認できないわけです。 ですから、告示三十七号を逸脱するかのような、抜け穴づくりを容認するかのような解釈を生みかねないこの技術指導QアンドAは、撤回をすべきじゃないですか、撤回をしてもらいたい。その点、いかがですか。 ○鳥生政府参考人 いわゆる偽装請負の防止につきましては、厳格に運用する必要があるということで、各労働局において監督指導の徹底を図ってきたところでございます。 その過程におきまして、発注者や請負事業主から、先ほどの、安全衛生上の指導を行うことといったこともすべて労働者派遣法に抵触するのかといった疑問が多数寄せられたわけでございます。そういう中で、こうしたQアンドAを公表し、労働者派遣法に抵触しないものについては典型的な例を示して、わかりやすく説明することとしたものでございます。 ○塩川委員 日本経団連専務理事が勘違いしているんですから、それは勘違いですよと一言おっしゃりに行きませんか。 ○鳥生政府参考人 直接私どもはお話を伺ったことはございませんが、今回のQアンドAの趣旨については、これまでも御説明をして、御理解をいただいているものと存じておりますが、私ども、こうした制度の趣旨については、今後ともよく周知をしてまいりたいと思います。 ○塩川委員 日常的に生産調整、工程調整、人員調整を必要とするセル生産方式は、本来、みずからの指揮命令で作業をさせるものであるべきで、請負ではなく、メーカーが直接雇用で行うべきだ、率直にそう思います。 大臣、セル生産方式でやる以上は直接雇用でやれということをキヤノン側に言う、メーカーに言う、その点についてぜひ一言、いかがですか。 ○甘利国務大臣 企業がどういう生産方式で生産をしていくかというのは、企業の生き残り戦略と極めて重要な関係があります。法の範囲内でどういう労働力を調達していくかというのは企業の自主的な判断であります。その中に法令違反があれば、それは、厚生労働省は厳正に指導をしていくものと理解をしております。 ○塩川委員 終わります。ありがとうございました。 ○上田委員長 次回は、来る十八日水曜日午前九時理事会、午前九時十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十分散会
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