衆議院・参議院会議録情報 抜粋

参議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第166回国会 厚生労働委員会 第18号
平成十九年五月十五日(火曜日)
    午前十時二分開会

・・・【中略】・・・

  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律
  の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
  付)

・・・【中略】・・・

○円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。

・・・【以降、途中まで略】・・・

○円より子君 次に、派遣労働者の待遇についてお聞きいたします。
  派遣労働者は、現在二百五十五万人と言われておりますけれども、労働者派遣法では、派遣労働者の均等処遇についての規定がありません。福利厚生について適正とすべき旨の努力義務だけしかないんですね。
  現状において、派遣労働者も正社員との待遇格差が大きいと考えますが、実際に給与等の差はどうなっているのでしょうか。また、派遣労働者について均衡の取れた待遇を確保するために労働者派遣法の改正等について検討することが重要と考えられますが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(高橋満君) お尋ねの派遣労働者とそれから一般的な正社員の賃金の比較でございますが、なかなか調査の方法でありますとか調査対象の違い等があって、その点は十分留意していく必要があろうかと思いますが、私ども把握しております賃金といたしましては、年収ベースでございますが、正社員につきましては、平成十七年の賃金構造基本統計調査、これによりますと約五百二十万円、他方、派遣労働者の平均年収でございますが、これは、平成十七年に私どもで行いました労働力需給制度についてのアンケート調査の結果でございますが、約二百九十二万円と、こういうふうになってございます。
  それで、派遣労働者と派遣先におきます正社員との均衡待遇という問題でございますが、賃金につきましては、この労働者派遣制度におきましては正に雇用主は派遣元でございます。派遣先は指揮命令関係があるというのみにすぎないわけでございます。そうした意味で、派遣労働者の賃金と申しますのは、これは派遣元が派遣労働者と話し合い、交渉する中で決定される制度的な仕組みになると。また、現在の我が国の賃金制度の中では、いわゆる企業を超えた職種別賃金というものは必ずしも一般的ではない、それぞれの企業におきまして労使の交渉で決定される仕組みになっているといったようなことを勘案いたしますと、やはり法制化、均衡処遇についての法制化ということについては慎重な検討を要する問題ではないかと受け止めております。
○円より子君 慎重な検討というのは、余り早急に法案にしない方がいいという言語の意味なんでしょうか。
  御存じかと思いますけれども、スポット派遣労働者、よくワンコールワーカーと呼ばれる、携帯で、あしたどこどこへ何時に集まってください、こういう仕事がありますという、日雇派遣というのが今急増しています。
  若者やリストラされた人たちにとってはすぐに現金が手に入るので大変魅力的だそうですが、ほかに仕事がないから、魅力というよりも、それしかないからしようがなくやっているという人の方が多数だと思いますが、拘束時間の割には大変賃金が低く、仕事がないときの保障もありません。朝から晩まで働いてようやく六千幾らか七千円ぐらいになるらしいんですが、そこに通勤の交通費も含めて払われるものですから、それも全部課税されてしまう形で、当然通勤の交通費は所得税に課税されないものなんですが、一日一日違うところに行ったりするものですから、派遣元といいますか、そこの人たちは交通費と別にするなどという面倒なことはしないとか、様々に派遣会社には問題があるようなんですね。
  それで、私は、労働者派遣法を、その派遣元のマージンのことや様々な業務管理費の名目で取っていたりとか、いろんな問題が随分ありますので、もちろん、賃金が低いので国民年金、国民健康保険も払えないとか、当然、雇用保険に入れてもらえていないとかという、こういう若い人たちが今後、年を取ってきたときにどうなるのかという問題もあります。年金が、無年金者になって生活保護を受けることもございますが。
  こうしたスポット派遣労働者が今後急増することを私は大変憂えておりまして、こうした人たちを保護する、また派遣元にどう規制を掛けていくか、いろいろそれは実態を把握して、そして違法な労働条件や適正でない労働条件については是正を図るとともに、労働者派遣法の見直しをそれこそ慎重にではなく早急に検討していただきたいと、それが急務だと思うのですが、大臣、いかがお思いでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) いわゆる日雇派遣、今委員はワンコールワーカーという名称でお呼びになられたわけですが、これについては、労働力の需給の迅速なマッチングということには寄与している面があることは認められますが、実際、雇用が非常に不安定であるという、そういう働き方であるという認識をいたしております。
  厚生労働省といたしましては、とにかく安定した雇用を希望する者につきましてはできるだけそうした雇用機会が与えられるように、ハローワークにおきます支援でありますとか、そういうようないろんな手だてを講じましてそうしたことに努めているところでございます。もちろん、労働者派遣法や労基法に違反する場合があれば厳正にこれは対処していくということも、そうしたことを実現する環境の整備の一環だと思ってこれを実施しているところでございます。
  そして、こうしたいろんな問題をはらんでいる、またいろいろな展開というか時間の推移の中で多様になっている、こういうようなことをまとめて派遣労働法の改正というようなものを視野に置いて取り組むべきではないかという御提案、問題提起でございますけれども、私ども、先般の十五年改正事項のフォローアップという意味合いにおきましても、今申したような広範な問題に関しまして労政審において議論を目下いただいているところでございまして、その状況を踏まえてこの事態の改善を図るべく検討を進めたいと、このように考えております。
○円より子君 労政審等の議論でこのパート労働法も、いろいろそうなんですけど、使用者側からどんどん力が強くて押し切られないように、是非労働者の立場で厚生省の方が頑張っていただけたらなと思うんですけれども。
  そもそも、どういう社会、どういう働き方ができる社会をつくっていくかというのは、やはり大臣が率先してやっていただけることじゃないかと思うんですけれども、いまだに子育て中の女性の労働力率は低くて、M字型カーブを描いております。もうこれは三十年ぐらい前から私など、このM字型を何とか台形に、欧米型にしていくために、もっともっと子供を産んで育てる間の働き方について社会が後押ししてくれたらなとずっと言い続けてきたんですけれども、ちっとも変わっておりません。
  このワーク・ライフ・バランスですとか、子供をもっと女性たちに産んでほしいと大臣も思っていらっしゃるようですけれども、そのためにはやっぱり社会の環境整備が本当に大事なんですね。そうすると、今度のパート労働法というのはそのことも視野に入れながら本来変えていくべきもので、自発的にでも、別に非自発的な人たちの問題も物すごくあって今までずっと質疑してきましたけれども、家族的責任を負担するためにフルタイムではなくパートで働きたいという男性も女性も増えるような、そうした社会をつくらなきゃいけないと思うんですね、女性だけじゃなくて。男の人だって、すねかじられて教育費や何かだけあれして、お父さんは余り家に帰ってこなくていいと、丈夫で留守がいいなんて言われるよりも、子供が今日歯が生えた、立っちができた、よちよち歩きをしたというような、そういう感動するような場面に立ち会えた方が男性だって楽しいと思うんですよね。
  私たち、本当に女性に生まれて子供を産んでそういう育つ現場にいられてよかったなと思いまして、私なんかも保育園に子供をゼロ歳から預けて働いてきましたけれど、もう保育園に迎えに行くのは恋人に会うよりもうれしくて飛んでいくという、預けないで済めたらどんなにいいかと思ったことももちろんございますから、そういう人たちの働き方ができるように、パートタイム労働によってもしっかりと生活の糧が得られるようにすることが本当に私は重要だと思うんですね。
  それなのに、例えば女性が働き続けた場合と、辞めて、今、妊娠、出産で七割も辞めているわけです。これが七割辞めて、もう恥ずかしい数字だと思うんですね。厚生労働省も内閣府も何をしてきたのかという感じですけれども、辞めないで済むようにすればいいんですが、再就職したら一生涯の収入は五分の一なんですよ。こういうことも含めて、もちろん人生はお金だけで測ることのできるものではないことはだれもが分かっていますけれども、でも、子育て中も働けるような短い時間で、それでいて収入もあるような、そしてまた、ちょっと辞めていてもまたいつでも復帰できるような、そういう社会をとにかく早急につくっていただきたい。ワークシェアリングの一層の推進、先ほどもう熱が冷めておかしいねと、大臣も認識同じだとおっしゃいましたが、是非とも、このパートタイム労働法だけではなく、そういう社会をつくるために頑張っていただきたいと思うんですが、これからの認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(柳澤伯夫君) まず、冒頭お触れになられた女性の出産退職によるM字カーブにつきましては、これを放置することは我々は許されないと考えております。余りマクロのことを言いますとまた問題かもしれませんが、日本の労働力を確保するという、そういう観点からいってもこれは放置できないと、こういうことでございます。
  そういうようなことで、私どももこれに取り組まなければいけないということですが、いろいろ育児休業とか介護休業とかというような女性の働く環境というものの整備もそれなりに進んでおりまして、この十年でM字カーブの底にある三十歳から三十四歳の年齢層においては労働力率が八ポイント上昇しているということも客観的事実でございます。もとより、これで満足するなどというようなレベルでないことも御指摘のとおりでございます。
  全体としてワーク・ライフ・バランスを男女を通じて実現をして、そして、しかも活力のある労働市場であるということをどのようにして実現していくか、これ非常に大きな労働行政上の課題であるということは私もよく認識をしているところでございます。
  今、内閣の方で子どもと家族を応援する戦略会議、総合戦略会議というものが置かれまして、多方面にわたる検討が行われているということですけれども、その中心はワーク・ライフ・バランスの実現ということであろうと、このように考えておりまして、厚生労働省としても大きな貢献をここにしていかなければいけないと。
  それには、今私ども提起しているこのパートタイム労働を始めとする多様な労働形態、雇用の形態というものが賃金を始めとする処遇という面でいわゆる正規の雇用と大幅に劣後するというようなことでは、到底そういうことは実現できないと私ども思っておりまして、日本の長い間に培われた雇用の慣行を背景とする雇用市場の現実というものもこれは尊重をしながら、そうした私どもの理想というか、かくあるべしというようなものをいかに接近させていくかということのために、私ども、いろいろまた委員各位の御指導もいただきながら取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。
○円より子君 終わります。ありがとうございました。

・・・<以下省略>・・・




 

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