第24号 平成22年5月28日(金曜日)
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
独立行政法人地域医療機能推進機構法案(内閣提出、第百七十三回国会閣法第八号)
障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(田村憲久君外四名提出、衆法第一七号)
障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(園田康博君外六名提出、衆法第二三号)
障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(田村憲久君外四名提出、衆法第一七号)及び障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(園田康博君外六名提出、衆法第二三号)の撤回許可に関する件
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)
厚生労働関係の基本施策に関する件
障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案起草の件
・・・【中略】・・・
○松浪委員 自由民主党の松浪健太であります。
・・・【以降、途中まで略】・・・
今回の派遣法につきまして御質問いたします。
私もこれまで多くの文献を読んで、そして、この派遣法の改正案、今回質問をつくってまいりましたけれども、前提が変わりました。
ほとんどの文献においては、二〇〇八年六月の政府の発表した二百万人という数を基本に、これまでの議論が組み立てられてまいりました。そして一昨日に、私もちょうどこの……(発言する者あり)委員長、よろしいですか。
○鉢呂委員長 はい、どうぞ。
○松浪委員 一昨日に出た状況によりますと、私も、このリーマン・ショックの影響が、派遣切りの影響がいかに強かったのか、その数字をまざまざと見て愕然といたしました。二〇〇八年六月には二百万人おったという派遣労働者の数が、約百八万人の状況になっております。これまで法案改正を皆さん続けてこられて、その中で本当に、この二年間で派遣労働者が約半分になってしまった。その背景をまずしっかりと踏まえて議論をしなければ、もう議論の前提自体が崩れているのではないかなというふうに私は感じるわけであります。
一昨日、その内訳を見せていただくに、余りに状況が違う。これであれば、新たな規制対象者の割合というのは、先ほどあべ議員の質問にもありましたけれども、もう一度しっかりと、どれだけの方が規制対象者なのかということを政府はお考えになっているのか、まず確認したいと思います。
○森山政府参考人 お答え申し上げます。
先日発表いたしました平成二十一年度の労働者派遣事業報告の集計結果でございますけれども、これは速報値でございますけれども、これでいきますと、二十一年六月一日現在の派遣労働者数は約百八万人、先生が今おっしゃったとおりでございます。そのうち、今般の改正法案の規制の対象となる派遣労働者数は約十八万人でございます。
その規制の対象となる十八万人の内訳につきましては、製造業務派遣の原則禁止の対象となる労働者が約六万人、それから登録型派遣の原則禁止の対象となる労働者が約十二万人ということでございます。
○松浪委員 表向きの数字はそうなるわけでありますけれども、今回、常用雇用というものが禁止対象から除外をされているところがありまして、実際、一年間という見込みがあれば常用雇用とみなされるとあるわけでありますけれども、これはあくまで、雇う側が一年以上やるんだということをしっかりと宣言すればいいというだけでありまして、その後ろに何の保証もないということであります。
こうした状況についてはどのようにお考えになっているのか、また、どういう対策が打ち得るのか、実効性を伺います。
○森山政府参考人 お答え申し上げます。
常時雇用の関係でございますけども、先ほども議論になりましたけれども、これは大きく二つございまして、期間の定めなく雇用された者、それからまた、有期の場合、反復更新された場合に一年を超えて引き続き雇用されると見込まれる者ということがこの常時雇用の定義でございます。
私ども、今回の法律におきまして、この常時雇用という概念、中心の概念でございますので、この見込まれるという点につきましてはしっかりと、契約等でそれがはっきりと見込まれるということが認められる、そういう内容にしていかなきゃならぬと思っていまして、そういうところの対策を、この法律が通りましたならば早速始めたいというふうに考えているところでございます。
○松浪委員 この点、非常にあいまいな部分が多くて、抜け道の可能性が非常に指摘をされるわけであります。
今回、このように状況が、派遣をめぐる状況がこの二年間で激変した。半分になるというのは本当の異常事態であります。こうした半減したという状況を、今回の派遣法、今まで民主党を応援してきた皆さんが、今、ちまたに、国会の外に出ると、強行採決反対だという声を大きくかけていらっしゃる。私ども自民党とはもちろんアプローチの仕方は違うわけでありますけれども、しかし、これでは労働者をめぐる状況はよくならないんじゃないかという認識だけは私は共通しているんじゃないかなというふうに思います。
それはなぜか。
私は、かつてパートタイム労働法という法律を本会議場で代表質問させていただいたときに、非正規と正規という言葉自体の定義がおかしいんじゃないかということを指摘したことがありました。正規というものと正規にあらずというものを分けているというこの概念自体が、もちろん、もう適切ではないのではないかと。ただ、これは言葉遊びで終わらせてはだめだと思います。非正規という言葉を、幾ら非正規にかわる耳ざわりのいい言葉にしても、労働状況は変わらないと私は思います。
ここに水がめがあって、今、日本をめぐる雇用というこの水がめは、大きさは変わらないわけであります。そして、今不況で、この水がめの水はこれから少なくなろうとしている。そして、残念だけれども、正規雇用という水よりも、この上の方にある派遣という水については出したり入れたりがやりやすいということで、この問題が、派遣切りの問題も大きくなってきたわけであります。
この水がめ全体の水をどういうふうにするのかということを議論することなしに、上澄みの派遣というところだけをさわってしまっても、結局は、派遣、パートタイム、いろいろありますけれども、非正規という枠の中だけで皆さんは水を入れかえようとしている。これはやはり、正規雇用というものがありますけれども、この正規雇用という水も一緒に議論をしないと、派遣法改正だけで、今、小手先の改正をして状況がよくなるとは、路上にいる皆さんも、そして我々も思えないわけであります。
そして、今回特に、施行まで、普通、つくれば半年ぐらいで施行するものですけれども、そこから三年あります。三年あるからやりますというのであれば、今、何も強行採決を急ぐ問題ではない。もっと大きな議論をして、そしてその中でこれを一つの課題としてやるのであればわかりますけれども、全体のパッケージ、水がめの水の話をしないで上澄みの話をするというだけでは、私はやはり非常に不十分なんだと思います。
ですから、大臣には、こうした働き方の移動がその上澄みだけで本当に進んでしまっていいのか、それにかわる対策はお考えでないのか、大きな意味でのビジョンを伺います。
○長妻国務大臣 日雇い派遣のような、かなりの自民党政権での雇用の緩和というときも、結局、大きな話で、国際競争力とかあるいはグローバル化への対応、雇用の多様化などなどの議論もいろいろな方面からもあったというふうに承知しておりますけれども、その結果が、これほどまで雇用が、派遣で登録型、日雇いということで非常に問題があるということになったわけであります。
そして、今おっしゃられた水がめの、雇用の一つのパイということで、雇用のパイをまずは拡大するというのがもちろん重要なことでございます。これについては、我々は新成長戦略、厚生労働省の分野では特に介護という分野が一番雇用波及係数が高い分野で、そして今、人手が不足しているという分野でありますので、そういうものも戦略的に拡大して雇用の受け皿になるような、そういう取り組みも必要であるというふうに考えておりますが、その中のパイで、いろいろな働き方がある中で最低限度の雇用の安定を図っていくということは重要であります。
今回の法律も、経営者側も御理解、了解をいただいて、国会に労使ともに御了解のもと出させていただいているということでございますけれども、やはり猶予の期間は必要であるという御論議の中で、こういう期間を設けさせていただいているところであります。
○松浪委員 私が今申し上げたのは、猶予の期間をそんなに長くするのであれば、もう少し現状を、おとつい出たばかりのこの劇的な数字を踏まえた上で抜本対策を踏まなければ、幾らこれから雇用が生まれる、雇用を新成長戦略で生むと言っていても、そこに対して実効性というものが問われるわけであります。これは、実効性が本当に伴うというような論評というものは今のところ余りにないのではないか、そのことに真摯に耳を傾けていただきたいと思うわけであります。
そして、先ほどから、中小企業は国外に出ることができないという声も上がっておりました。そのとおりであります。中小企業は外に出られません。そして、中小企業は結局はつぶれるしかないんです。その分は、海外に移転をする、雇用がなくなるという縮小の悪循環に陥るということもあるわけであります。
皆さんも、地元で中小企業の皆さんのところを回っていたらわかると思います。本当に中小企業の皆さん、この派遣法改正で、結局、アルバイトに切りかえるとかそういうところでしか対応しようがない、何とかごまかすしか対応しようがないんだよ、そういうふうにおっしゃる中での規制強化だということを何とか皆さんには、政治家ですから、本当に現場の中小企業の経営者の皆さんの血のにじむような声に耳を傾けていただきたい。
そして、労政審でも、中小企業側からは、製品のサイクルが短くなる、生産現場の労働需要の上下の激しさというものが厳しくなる、多くの中小企業で自前で人員をそろえることは困難だということが出ているわけでありますから、これは、三年の猶予で、本当に不況に苦しむ中小企業に対してどこまでの対応を求めるわけですか。
○細川副大臣 これは、派遣の期限というのが三年ということになっておりますので、まず三年のうちに、もっと早目にやっちゃうと解雇になりますから、まず三年の猶予が必要ではないかというふうに思います。
それから、委員は中小企業のことを本当に心配されております。私もよくわかりますけれども、常時雇用については派遣も認めているわけでありますから、派遣元が常時雇用にしてもらって、そしてその人を派遣していただくというようなことになりますから、御心配されるよりは、その方にどんどん進んでいくんじゃないかというふうに私は思っております。
それから、その他の対策として、中小企業の皆さんに対しては、派遣から直接雇用に転換をしていくための制度というものもつくって、それでいろいろな、資金を援助するという派遣労働者雇用安定化特別奨励金という制度をつくりまして、中小企業と大企業にはそれぞれ違った助成金ですけれども、期間の定めのない雇用をしていただければ中小企業には一人百万円、それから、有期でも六カ月以上の有期ならば一人五十万円の補助金を出すというようなことで、経済的にもしっかり援助しながら派遣先にきちっと雇用していただけるような仕組みもつくって、中小企業も当然守りながら、派遣労働者も安定して働けるような制度もつくっているところでございます。
○松浪委員 ちょっと楽観が過ぎるなという印象を持たざるを得ません。
今回の法改正によりまして、派遣労働者の賃金決定において、同種業務の労働者との均衡を考慮するというふうにありますけれども、具体的にどのような措置を講じるわけでありますでしょうか。簡潔にお願いします。
○細川副大臣 これは、今回の法律におきまして、派遣先の同種の労働者とそれから派遣労働者との賃金を均衡にする、こういう規定です。
そこで、これはなかなか難しいところでありますけれども、私どもが考えておりますのは、指針をつくってしっかりやっていかなければと思っておりますが、先に私どもは労政審にかけまして、審議会で労使の皆さんの代表の方にしっかり議論もしてもらおうと思っております。
その指針の中で検討していただくのは、派遣先の働いている人たちの基本給は幾らなのか、それから役職手当はどうなっているのか、あるいは家族手当を考慮するかどうかというようなことを派遣労働者と比較をしながら基本給なんかも考えていくというふうにしておりまして、そういう指針をつくりましたら、その指針に基づいて、派遣元の企業などについてしっかり指導していきたいというふうに思っております。
○松浪委員 今伺っても、なかなかはっきりとした実効性というのは見えないわけであります。
当然ながら、先ほど申し上げたように、水がめの中の水の量は変わらないわけでありますから、これはその賃金の差を均衡させる。例えば、ここに四月の週刊ダイヤモンドの記事で、連合傘下の全産別組合が開示した正社員の月収と派遣の職種別時給の対照表のようなものがあります。こうした調査をしっかりと行った上で、どれぐらいが相場なのかということは数値をきっちりと決めていくことが大事だと思います。
そして、冒頭申し上げましたように、やはりこれだけで時給を上げろというのは無理な話であります。パイの、水は一緒ですから、その間をどういうふうにならしていくのかという、これまでの既得権とは言いませんけれども、それは正社員は大事ですけれども、やはりその間に切り込むようなしっかりとした仕組みがないと、実効性がないと言わざるを得ないのではないかと私は思います。
それでは、次の質問に移ります。
今回、直接雇用みなし制度というものが導入をされておりまして、この違法性をチェックするのは、労働者派遣事業の指導監督を行う需給調整指導官ということになるわけでありますけれども、この指導官の数が余りに少ないということが指摘をされております。
一人当たり、実際どれぐらいの事業所を担当されるんでしょうか、伺います。
○森山政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘されました需給調整指導官でございますが、この指導官が労働者派遣事業の指導監督等に当たっているわけでございます。
二十一年度の数字でございますけれども、二十一年度の指導監督実施件数、これは一万二千二百八十四件でございまして、そして二十一年度の需給調整指導官数でございますけれども、これは四百四名でございます。そういう人数の中で指導監督をやってございまして、それを割り算いたしますと、一人平均三十・四件ということになるわけでございます。
○松浪委員 三十・四件、一万二千の指摘のうちで一人これだけのことをやっているというわけでありますけれども、私は、一人が担当するそのエリアの事業所というのはどれぐらいの数になるかということを申し上げたんですけれども、それのお答えというので。
○森山政府参考人 お答え申し上げます。
担当のエリアでございますけれども、先ほど申し上げましたように四百四名ということで、全国でいきますと大変な、人数が限られておりますので、これは各地の労働局に配置をしておりまして、担当としましては、それぞれの都道府県を担当しているというものでございます。
○松浪委員 事業所の数、派遣元、派遣先を入れていくと、一人がすさまじい数になるという指摘をさまざまなところでされているわけでありますから、これは私は、正直、本当にこのみなしの違法性のチェックというには余りにほど遠い、非現実的な状況だと、局長もうなずいていらっしゃいますけれども、言わざるを得ないわけでありまして、この雇用みなし制度の実効性というものについても、やはりかなり厳しい目が向けられているということを実感をいただきたいと思います。
このみなし後の取り扱いというものについても、これがはっきりしないというか、不備があると思います。
松下PDP事件というのがございました。偽装請負が発覚をした、その後どのような手続がなされたのかということを、皆さんはもう一度思い出していただきたいと思います。
松下PDP事件で、偽装請負が発覚をした、その後、企業はさまざまな訴訟もあり、直接雇用をしたわけであります。雇用者との間であれだけしっくりこなかったということはいろいろ考慮の余地はあろうかと私も思いますけれども、実際は、半年後には雇うことをやめてしまった。
こうした実情が現在でもまかり通っているということは、直接雇用をしても、実効性というところには疑問を持たざるを得ないと思います。そこまでして、今回、直接雇用のみなし規定はそこまで実効性を発揮するんでしょうか、伺います。
○細川副大臣 現行法でいきますと、御指摘のような松下の事件などにつきましては、労働局が松下の企業に対して直接雇用にしてほしいと、こういう推奨をするようなことしかできないんですけれども、今度の改正案では、違法な派遣があれば、派遣先から派遣労働者に対して雇用契約の申し込みがあったものとみなす、こういうことになります。
それに対して、派遣労働者の方で、引き続きそこで働きたいか、あるいはそこでやめたいか、こういう選択ができまして、そこで今後も働きたいということであれば、その申し込みを承諾するということで契約が成立していくというようなことで、そこは法律上きちっと雇用契約が、直接そこで働けるということになりますから、これは法律でそういうふうに決めますから、実効性はもちろんある、こういうことであります。
○松浪委員 先ほども指摘させていただきましたように、チェック体制の大変手薄なものがございます。そして、今のPDP事件のようなこともございます。これについて、逆説的なことも十分考えられるということは重々に認識をしていただきたいと思います。
時間も参りました。
最近やはり、かつて社民党の阿部議員も、先般、一カ月ほど前ですか、この厚生労働委員会でも大臣に対してもおっしゃったと思います。国民の声に耳を傾けて、心のこもった答弁を願いたいというふうに思います。
特に、山井政務官、私も政務官の経験がございます。政務官は、ラインじゃなくてスタッフであります。大臣、副大臣が答えにくいなというようなことは、ちょっとどつかれてでも言うても、与党として、私らはちょっとぐらいそれはどつき返すかもしれませんけれども、でも、国民の皆さんは、そこが山井さんらしいなということで熱く見守ってくれると思いますので、本当に、余りに通り一遍な答弁だけでこの委員会をやることに対しては、これからどうぞ御配慮をいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
・・・<以下省略>・・・
|