衆議院・参議院会議録情報 抜粋

衆議院ホームページの会議録から一部抜粋したものを、こちらのホームページに転記致しました。

第24号 平成22年5月28日(金曜日)
本日の会議に付した案件

政府参考人出頭要求に関する件

独立行政法人地域医療機能推進機構法案(内閣提出、第百七十三回国会閣法第八号)

障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(田村憲久君外四名提出、衆法第一七号)

障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(園田康博君外六名提出、衆法第二三号)

障害者自立支援法等の一部を改正する法律案(田村憲久君外四名提出、衆法第一七号)及び障害者自立支援法の廃止を含め障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案(園田康博君外六名提出、衆法第二三号)の撤回許可に関する件

労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第六〇号)

厚生労働関係の基本施策に関する件

障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案起草の件

・・・【中略】・・・

坂口(力)委員 半日間休ませていただきまして、委員を交代してもらっておりましたら、出てまいりましたら委員長が交代になっておりまして、世の中の移り変わりの早さを感じるわけでございます。
・・・【以降、途中まで略】・・・
けさからこの派遣法に対するファクスが、物すごい数のファクスが来るわけですね。私の部屋のファクスは古いものですから、詰まって動かなくなるほどたくさんのファクスが来る。非常に関心が深いんだ、それだけ関心が深いんだというふうに思っております。

中を拝見してみますと、いろいろですけれども、今回の派遣法というのは中身が抜け穴だらけだ、これでは派遣法の改正にはならないという趣旨のものもあれば、あるいはまた逆に、この改正法をやってもらったら我々中小企業はやっていけなくなるという逆の御意見の方もありますし、反応はさまざまでございます。

そうした中でございますので、これはしっかり議論をやっていかなきゃならないというふうに思いますが、確かに、今回の法律案を見ておりますと、表面、一通り見ただけでは、これはかなり改正をされた、今までのものに比較をいたしますと非常に改正されているというふうに思うんですが、しかし、よくよく見るとそうでもない、抜け道も確かにあるということも事実でございます。

私は、どの法律を改正するときもそうだと思うんですが、この法律も、法律の中だけを見ておりますと、それは一歩前進の面も多いというふうに思いますけれども、しかし問題は、働く人たちの労働環境、労働条件というものが改善をされるかどうかということが一番の中心だろうというふうに思います。

それで、この派遣法という法律の中だけではなくて、もう少し広い範囲で見たときに、派遣法が厳しくなって、そして余り派遣切りだとかそういうことができないようになる。そうすると、雇う側からすると、この派遣の中だけではなくて、どんな雇い方を今度はしてくるのだろうかということを考えましたときに、一番考えられるのは、一つは、請負業と派遣業との間が一体どうなるのかということでございます。

かつては、派遣業がなかったときには皆、請負業だったわけですね。どこの自動車の製造工場に行きましても、それぞれの部分部分で何々組と言われるような請負業の人たちがそこへ入ってきて、そしてお仕事をなすっていた。偽装だとかなんとかというようなことが言われたりするようになってきて、そして派遣、派遣という働き方ができてきて、派遣の方にかなり移っていったと思うんですけれども、移りましたら移ったで、今度は派遣のいろいろの問題点も出てきた。

今度は派遣を、もう少し権限を圧縮すると申しますか、派遣の範囲を狭めて、余り派遣ができないような形にしていこうということになりますと、やはり、またもとの請負業の方に戻っていく可能性があるのではないか、こういうふうに実は思っているわけです。

それで、きょうは初回でありますから、余り具体的なことを申し上げるのではなくて、大枠のところのお話を少しさせていただきながら、そして御意見をお伺いしたい、こういうふうに思います。

請負業というのは、外でやっておりましたらこれは下請ですね。下請企業ということになります。しかし、企業の中へ入ってやっておりましたらこれは請負業という感じになる。外と中で分けるだけでは、それは分けられない部分もありますけれども、中でやっている場合には大体、請負業ということでやっていたケースが多い。

そうしますと、今まで派遣でおやりをいただいていた皆さん方が、派遣は厳しくなるから、今度はまたもとの請負業だというので、請負の方にかわっていかれる。請負に戻られた労働者の皆さん方は、派遣のときと一体どれだけ労働環境がよくなったのかといえば、これはなかなか、そうはよくならないんだろうというふうに思うんです。

そこで、きょうお聞きしたいのは、中でやっている請負業とそれから派遣とを比較したときに、どんな違いがあるのか。

例えば正規雇用率というのは、これは派遣業と請負業とどんな違いがあるのか、あるいは平均手取り賃金というのは、これは請負業と派遣業と一緒なのか、違うのか、そういうことを少しお聞きしたいと思うんです。

そうでないと、派遣の改正案を出して、ここはでき上がったけれども、しかし、派遣の外で今度は仕事をおやりになる方が全然よくならないというのでは、これは働く皆さん方にとって前進にならないわけでありますから、そこのところはこれからどうしていくかという大きな問題があるというふうに思っておりますので、ここは、きょうは大臣、副大臣に、いずれでも結構でございますから、それぞれ、得意とするところは得意とする方にひとつお答えをいただくということで結構でございますので、お答えをいただきたいというふうに思います。

まず最初に、派遣業と請負業の間に、先ほど言いました正規雇用率、これはどれぐらい違うのか、違わないのか、あるいはまた、請負業の場合にはなかなか統計のないものもございますから、比較にならないのか、そうしたことも含めて、ちょっとお答えをいただきたいと思います。

細川副大臣 坂口委員の御質問にお答えしたいと思いますが、派遣の規制が強くなっていくと派遣から請負の方に移動するのではないか、移動したときに派遣と請負の関係でどのように違うかということで、まずは、派遣業と請負業の間での正規雇用率がどう違うのか、こういうことの御質問でございますけれども、結論から申し上げますと、正規の雇用率というのは把握をいたしておりません。まことに申しわけないと思いますが。

というのは、正規雇用というものについては法律上規定がなくて、そういうことで派遣と請負の中で正規の雇用ということでの統計というものがございませんので、まことに申しわけないんですけれども、それについての把握はしていないということでございます。

坂口(力)委員 いえ、断っていただく必要はないんです。これは前からなかったんです。請負業というのは、言ってみれば一般の企業ですから。だから、請負業だけの法律というのは存在しないし、一般企業としての各種労働法規がかかっているだけでありまして、請負をしているところだけの統計というのはなかなかとりにくいことも事実なんですね。

インターネットで調べてみますと、例えば電機ですとか自動車ですとか、特別な部分の企業体のところについての統計というのは、それぞれおやりになって、出しておみえになるところがあるんですね。ですから、ある程度はあるんだろうというふうに思いますけれども、はっきりしたところが、とにかくここはわからない。

だから、派遣業で正規雇用の人がどれだけあったのか、派遣業を厳しくしたら、今度はそれが、働く人たちは請負業に行って、そして、そこでよくなるのかどうかということも、今までの統計がないということになりますと、これはなかなかつかみにくいということも事実でありますから、ここは何か特定してもいいと思うんですがね。自動車産業なら自動車産業、あるいはもう少し広めて製造業なら製造業、あるいは電機製造業なら電機製造業、それは狭めてもらってもいいと思いますけれども、そこで一体どうであったのかということは少しやはり把握をしてもらわないと、今回の改正案で結果がよくなるのかどうかということがつかみにくいということがあります。

これは二〇〇七年の七月に出ております製造業請負事業の適正化に向けてのガイドライン、これは厚生労働省がお出しになったんだと思うんですが、出ております。

この中にもいろいろなことが書かれておりますが、この中に書かれておりますことは、請負労働者の雇用の安定と待遇の改善を図ることが大切である、請負事業主向けのガイドラインと発注者向けのガイドラインが策定されるといったようなことが書いてあって、そして、請負労働者には若年労働者が多いこと、それで製造現場で大きな役割を果たす働き方をしていること、これら製造業の請負事業で働く若年労働者が、技術、技能を蓄積しなければならないといったようなことが書いてあって、そうして、この請負労働者はそれ以外の労働者に比べて早期に離職に至る傾向が強い、短な期間でやめていく人たちが多いということが出ている。

だから、ガイドラインというのも出して、しっかりやるようにということなんだろうというふうに思うんですが、その離職が多いというのは、やはりそこに労働条件が悪いということがあって、やめていく人が多いんだろうというふうに思うわけです。

ですから、少し、請負業に対する新しいガイドラインも出されるというお話も聞いたことがございますが、その点をしっかり踏まえて、新しい法律ができたらどうなるかということがわかるようにしていただかないと、あるいはまた、少なくとも過去にはどうであったかということを把握してもらわないと、この派遣法を改正するのがいいのか悪いのかということの結論がなかなか出てこないということでありますので、ひとつ、そこはしっかりおやりをいただきたいというふうに思います。

もう一つ、派遣業労働者と請負業労働者は、平均の手取り賃金の差というのはあるんでしょうかね。これは、手取り賃金というのは同じぐらいなのか、それとも違うのか。その辺は何かありますか。

細川副大臣 派遣業と請負業者の賃金の違いについての先生のお尋ねでございますけれども、これはちょっと古い統計で失礼でありますけれども、平成十七年の調査でありますが、製造業の請負で働く労働者については、時給については千十九円、平均月額給は二十万五千円というふうになっております。

一方、そのときの調査におきまして、派遣で働く労働者については、その賃金について、平均的な時給は千二十二円でありまして、平均月額給については十八万九千円ということになっておりまして、多少違いはありますけれども、労働条件で大きな違いはないのではないかというふうに考えております。

坂口(力)委員 この表は私ももらったんですが、この時給額で見ると、一時間当たりで見ますと、派遣の方は千二十二・一なんですね。請負の方は千十八・七なんですね。若干の違いがある。これも派遣の方が高い。ところが、月収で見ると、派遣が十八・九万円で、請負の方が二十・五万円で、これは一体何を意味するのかよくわかりませんが、時間単位で見ると派遣の方がいいけれども、一カ月の給料で見ると請負の方がいいという結果になっていて、いずれにしても、大きな差はありませんから、差がないと言った方がよろしいのではないかというふうに思います。

そういたしますと、これは、賃金におきましても、派遣にお見えになった皆さん方が、派遣業をやめたところが請負業になって、請負業になったとしても、賃金がえらい上がるわけではなさそうだということが言えるのではないかというふうに思います。

もう一つお聞きしますが、派遣業の方のマージン率というのが問題になりまして、派遣をおやりになっているところが、いわゆるピンはねというと言葉は悪いですけれども、派遣先から受け取った額の中からどれだけを派遣元が取って、そして働く人たちにどれだけ渡しているのかということが議論になって、いわゆるマージン率というのが問題になる。

これは、派遣の方は大体出ているというふうに思うんですが、請負の方は、これはどれだけかということがわかるのか、わかっていないのか。もう一度御答弁いただきます。

細川副大臣 派遣と請負につきましては、雇用の形態というのが全く違う形態でございまして、これまでいろいろ問題になってきたのが、派遣業におきます派遣先からもらった料金と派遣労働者に対する支払いとの差がどういうふうにあるのかということでマージン率が大変問題になって、そのことについての調査はございますけれども、この請負業につきましては、そういう意味で、これまでマージン率というような形で把握したことはございませんので、どういう差があるかということはちょっと比較ができないところでありますけれども、この派遣につきまして、一般労働者派遣事業と、それから特定派遣事業についてのマージン率は少し違っておりますけれども、このことについては御説明しましょうか。

では、御説明いたします。

常時雇用をしている派遣業、これは特定労働者派遣事業でありますけれども、このマージンは八千二百五十五円、派遣料金の三五・四%。それから一般労働者派遣事業、これは五千九十四円でありまして、派遣料金の三一・二%のマージン率になっているところでございます。

坂口(力)委員 そうしますと、今お聞きしますと、派遣の方は三五・四%のマージン率、一般労働者のもので三一・二%、三〇%台前半から真ん中ぐらいなところのマージン率だということがこれでわかるわけですけれども、同じようなところで働いている請負業のところ、これは働き方が違うというふうに言われます。

しかし、自動車産業なら自動車産業の中で働きます場合に、そうしますと、そこで必要な機械器具等は、いわゆる請負業をする方が持たなければならないとか、お金の用意をしなきゃならないとかいうことは、それはあるでしょう。しかし、派遣先にしろ、請負先にしろ、その企業から一人当たり幾らもらうというのは、大体同じようにもらっているんだと思うんですね。

それで実際、どれだけ渡しているかということがあるわけでありますから、請負業の方もマージン率というものはあると思うんですね。だから、そこがわからなければ、派遣業を厳しくしました、そうしましたら請負業になりました、請負業に行きましたらマージン率がさらに下がりましたというのでは、働く人たちはたまったものではない、こういうことになりますね。ここも少し私は調べてもらわなきゃいけないと思う。

だんだん時間がなくなってきましたので、もう一つだけお聞きしておきますが、今度は社会保険への加入ですね、社会保険への加入が一体どうなのか。

これは、派遣業の方は多分お調べになっているというふうに思いますが、請負業の方も、請負業の方はそれぞれの独立した企業でありますから、本来ならば全部入っていなきゃならないわけでありますけれども、入っていないところもあるということが厚生労働省から出されましたこの資料の中にも指摘されておりますので、多分そういうところもあるのではないかというふうに思います。

ここに比較するものがあるのかないのか、もうちょっとだけ答えてくれますか。

細川副大臣 製造業の請負で働く労働者につきましては、これは十七年の調査でございますけれども、社会保険への加入状況について申し上げますと、雇用保険は九一・二%、それから健康保険は八二・五%、厚生年金については七六・〇%となっております。

一方、そのときの調査におきまして、製造業のみじゃなくて全体ですけれども、派遣で働く労働者については、雇用保険は八八・七%、健康保険は八五・一%、厚生年金は八二・四%となっておりまして、社会保険への加入状況については大きな違いがないのではないかというふうに考えております。

坂口(力)委員 これは両方比較をしてみますと、一番最初の九一・二%というのは雇用保険ですか。そうしますと、雇用保険に入っているのは、派遣の方は八八・八%、それから請負が九一・二%。雇用保険は派遣の方ももっと入っているというふうに思いますけれども、かえって派遣業の方が少ないんですかね。三つの数字を並べてみますと、どっちもどっちというぐらいな程度ですね。ですから、いずれも一〇〇%ではない、よく似たものということになりますね。

それで、もう時間がなくなってくるわけですが、こういうふうに幾つかの点で派遣とそれから請負というものとを比較したときに、比較のできる数字のあるものもあるし、ないものも存在する。そうすると、今般のこの法律改正で、もしこれが通ったといたしましたときに、働く人たちが、本当にその働く条件が一体よくなるのかどうかということがわかりにくいですね、今の状況では。ということになりますと、この法律改正というものの意味が問われることになってくる。ここは少し整理をしていただく必要があるのではないかというふうに思います。

請負業全体で見るということはなかなか困難だと思いますけれども、特定の部分に限ってでもいいからひとつ調べていただいて、比較をしていただいて、製造業なら製造業の中でどうなのかといったようなことを少し出していただいた方が、出していただいた方がじゃなくて出してもらわないと、きちっとした整理ができないということでございます。

この続きは次のときにお聞きをさせていただきますので、きょうはこれだけにさせていただきます。

ありがとうございました。

・・・<以下省略>・・・




 

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