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就業環境
深夜業については,生体リズムとの関係などから日中の勤務より身体に対する負担が大きくなる可能性があることから,労働条件を含めた就業環境への一定の配慮が必要である。その具体的内容はおおむね以下のとおりである。
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就業(勤務)管理
シフト編成や勤務表の作成に当たり,深夜業に従事する労働者の希望を聴取し,その反映に努めること,深夜業従事開始後においても希望を把握すること,深夜業からの離脱も含めた就業に関する将来的な見通しを提示すること等計画的な勤務管理の視点が必要である。
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(2)
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作業管理
昼間勤務より過重な労働とならないように配慮するとともに,労働者の精神的な面にも配慮するなど労働者の心身に過度の負担が生じないよう配慮した適切な作業管理の視点が必要である。
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(3)
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交替制等のサイクル,シフト編成,交替順序
深夜交替制勤務の場合には,休息期間(勤務終了後,次の勤務が開始されるまでの期間)が一定となるよう,また,始業時刻の早い直から遅い直へと順にサイクルを設定することが望ましい。
特に,直の変更や深夜直開けの場合に生体リズムへの影響が大きいため,一定のまとまった休息期間を設けるなどきめ細かな配慮が必要である。
また,連続勤務は勤務が長時間にわたり,健康面からみて望ましくないため,できるだけ避けることが望ましく,また,やむを得ず連続勤務を行う中途で一定の十分な休憩時間を与えることや,勤務終了後ある程度まとまった休息期間を与えることなどの配慮が望ましい。
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(4)
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深夜勤務の時間・回数
生体リズムへの影響や睡眠時間の確保の観点から,深夜勤務時間および回数が過度にわたらないように配慮することが必要である。
この場合に,過度の深夜勤務時間および回数とならないよう,省力化投資などにより勤務体制を見直すことや労使の話し合い等により深夜勤務時間および回数に制限を設けることも一つの方策と考えられる。
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(5)
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深夜勤務が長時間に及ぶ場合等の休憩・仮眠時間
疲労回復のため,深夜勤務時に十分な休憩時間を付与することや場合により仮眠時間を設けることが望ましい。
休憩時間および仮眠時間の回数・時間については,深夜交替制勤務,常夜勤務などの勤務形態,業種,職種,事業場の実情に応じてきめ細かに設定することが望ましい。
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深夜勤務後の休息期間
深夜勤務後には疲労の回復や健康の維持のため,休息期間の確保等一定の配慮が必要である。
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深夜勤務の連続日数
深夜交替制勤務においては,健康の維持・確保,家庭生活,社会生活との調和を考慮することが必要であり,深夜勤務が過度に連続しないよう配慮することが必要である。
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深夜業従事者の所定外労働
深夜業における長時間の所定外労働は,健康確保,家庭生活・社会生活の維持に影響を及ぼしやすいため,なるべく抑制することが必要である。このため,深夜業について所定外労働を行う場合には,過度に長時間にわたらないよう配慮し,また,勤務終了後に十分な休息期間を確保できるようにすることが必要である。
特に所定外深夜勤務従事者については,労働時間が長時間にわたる傾向があるため,省力化投資等による勤務体制の見直しや,業務の計画的遂行等により所定外深夜勤務を抑制するための対応を図ることが望ましい。
また,常夜勤務従事者も日中の勤務に比べて所定外労働時間が長い者もみられるところであり,所定外労働時間の抑制に向けて配慮することが必要である。
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年次有給休暇の取得
健康の維持・確保,働きがいの観点から年次有給休暇の取得は重要であり,年次有給休暇を取得しやすい環境づくりが必要である。
特に,労働時間が長くなりがちな所定外深夜勤務については,より積極的な取り組みが望まれ,その際に連続休暇の観点も必要である。
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職場環境・施設の整備
仮眠施設・休憩施設の整備,夜間でも利用できる食事施設等の整備,夜間でも利用できる風呂・シャワー設備の整備など,より快適な職場環境を整備するための配慮が必要である。
その際,法令で定められた仮眠施設,便所,休養室等を含め,男女別に施設の整備を図る観点も必要である。」
これも数字的記載はないもののその基本的姿勢を「産業医学会意見書」と同じくする。
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勇士における交替制勤務による過重性の有無
産業衛生学会基準に照らし、勇士の交替制勤務の過重性の有無を判断すると以下のとおりである。
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週労働時間40時間、時間外労働の原則禁止(基準(1))
基準(1)は、交替勤務による週労働時間は、通常週において40時間を限度としている。
勇士の勤務時間について、平成10年7月1日から平成11年2月23日までの間の476日間(2週間×17期間)について、2週間を1期間として勤務時間を算出すると甲91添付の表1
「上段勇士氏の2週間ごと勤務時間、夜勤時間数」のとおりとなる。下記の表は、同表の抜粋である(なお、同表の赤字部分は下記の表においては網掛けとしている。)。
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