『控訴審・判決全文』


―判決(100頁・後1行~110頁)―


エ 本件居室からは、ステッパーの検査マニュアルや社内検査の記録、ソフト検査の検査報告、ソフト検査に関連する資料等(甲18~31)が発見された(一審被告ニコンが原審第2回口頭弁論期日に陳述した平成13年10月9日付け第6準備書面の記載によれば、これらの中には、複数のステッパーの検査マニュアルや、平成10年12月17日に実施されたステッパー[S202A機]の社内検査の検査データ、平成11年1月及び2月に勇士が従事したソフト検査の結果データ、その際のエラー表示を印刷したもの、同検査の検査報告メール及び検査報告書、納入検査の際に実施するオンライン検収試験の方法に関するマニュアル等が含まれていた。)。

(8)ア 「精神障害等の労災認定に係る専門検討会報告書」(甲181、乙93)によれば、精神障害と自殺の関連性は高いが、人間の自殺行動の中には必ずしも精神障害が関与しない自殺もあり、本人の主体的な選択による「覚悟の自殺」の場合もあるとしている。

イ 防衛医科大学校高橋祥友教授は、欧米において自殺の原因を探る手法として活用されている心理学剖検という手法を用いた既遂自殺の研究の結果によれば、自殺者が生前に気分障害(主として、うつ病)にかかっていた例が圧倒的に多く、さらに、統合失調症、アルコール依存症を含む薬物依存、人格障害等も自殺に関連し、既遂自殺者の中で精神障害の診断に該当しない人は約1割程度でしかない(同教授の引用する既遂自殺についての多くの研究者の研究結果において、自殺原因に気分障害があるとされたものの割合の平均値は51.5%で最も多く[研究結果の最高値は80%]、その次に多いのは薬物依存[平均値が34.5%、最高値は60%]であった。)ことを紹介した上で、しばしば「覚悟の自殺」、「理性的な自殺」が議論されるが、実際には、自殺の背後には精神障害が極めて高率に潜んでいることを強調している。

また、文献(「自殺企図 その病理と予防・管理」[甲178])によれば、欧米において1960年前後より発展した心理学的剖検法による自殺研究の結果、自殺者の80%~100%に何らかの精神障害が認められ、精神障害に関連しない自殺は極めてわずかであることが明らかにされた。自殺の原因となる病態は、第1に抑うつ性障害であり、第2にアルコール症であるとされている(なお、稲村博の著作[1977年出版の「自殺学」[甲184] ]には今日の診断基準では狭義の精神病が自殺既遂者全体の3分の1程度とするのが一応妥当な線といえようとの記載が[甲第59号証にも稲村博の同旨の見解が記載されている。]、詫摩武俊の著作[1986年改訂版出版の「青年の審理」[乙127] ]には自殺者の中で精神病者の占める割合は10%から20%くらいであるといわれているとの記載がそれぞれあるが、甲第178号証の2 [そこではこれらの記載と同旨の見解がかつて大方の定説であったが、その後、この定説が覆された旨記載されている。] に照らせば、これらは上記研究による知見が一般化する以前の既に陳腐化した見解であると認められる。)。

ウ 東京都板橋区の帝京大学本院救命センターに平成3年から平成5年までに搬送された全自殺既遂者を対象とした調査では、診断不明例を精神障害なしとしても、その89%が自殺時に精神障害を有しており、最多の精神障害はうつ病性障害で、全体の54%を占めていた。
 また、文献(「自殺企図 その病理と予防・管理」[甲178 ])に紹介された救命救急センターにおける自殺失敗者の臨床研究によれば、統合失調症を中心とした精神病圏、内因性うつ病、アルコール・薬物性障害を合わせた狭義の精神障害の割合は75%であり、この結果から推計した自殺既遂者中に占める精神障害の割合は、抑うつ性障害圏46%、精神病圏26%、アルコール症などの精神作用物質性障害圏18%の合計90%であったとされている。

 さらに、ケンブリッジ大学精神科の張賢徳が東京で行った調査では、救命センターへの連続搬送自殺者93例中、うつ病性障害46%、アルコール・薬物依存3%、分裂病(ママ)圏26%、精神障害なし2%であった。
 厚生労働省が作成した「職場における自殺の予防と対応」(甲182)には、「自殺が起きる背景には、うつ病、精神分裂病(ママ)、アルコール依存症、薬物乱用、人格障害などの心の病が隠れていることが圧倒的に多いのです。ところが、生前に精神科に受診していた人はごくわずかというのが現状です。」との記載がある。

(9)ア 気分障害について、文献(大月三郎著「精神医学」[甲7])によれば、次のとおりである。
(ア) 気分(感情)障害の基本は、感情の抑うつ、あるいは高揚への変化を来たし、これがある期間持続する状態である。それぞれの病相をうつ病相(あるいはうつ病エピソード)、躁病相(あるいは躁病エピソード)という。持続的な感情の状態を気分というので、感情障害を最近は気分障害という。
 気分障害には、従来、躁うつ病として、精神分裂病(ママ)と共に内因性精神病に属する主要な精神病とされていたものが中核となるが、その周辺にあって症状の程度が軽く神経症とか正常範囲に近いものもすべて含んでいる。気分障害の分類としては、躁病相を持つ双極性障害とうつ病相のみを示すうつ病性障害に2大別するのが最近のすう勢である。

(イ) 初発年齢は思春期以後であり、加齢と共に発症が増加する。抑うつ形の頻度は躁病型よりもはるかに高く、約80%は抑うつ型のみを示す。
(ウ) 感情の抑うつ、あるいは高揚への変動が基本障害であり、意欲、思考は感情障害に伴って二次的に変化する。障害される感情は生気感情とされる。

(エ) 躁うつ両病相共に、ある期間持続する病相を形成することが特徴であり、様相は全く誘因なく発病することもあるが、心理的誘因に引き続き、あるいは、仕事の過重負担などの心身過労が続くうちに、突然に躁病あるいはうつ病を発することも多い。特に、うつ病を引き起こす状況因については詳しく調べられており、次のような呼び方がある。

a 根こぎうつ病 自分の生活のより所を失って起こるもの
b 引っ越しうつ病 中年以後に多いが、住み慣れた住所を変更して起こるもの
c ストレスうつ病 長く続く精神的重荷から起こるもの
d 荷下ろしうつ病 長い感情ストレスが続いた生活から、急に感情緊張のとれた生活に入って起こるもの

(オ) うつ病相ではしばしば自殺の危険がある。自殺はうつ病相の極期よりも、精神運動抑制が軽くなった回復期のあるいは病初期の不安定な時期に起こりやすい。

イ 北海道大学名誉教授(精神医学講座)山下格医師によれば、抑うつ症状が一層強まり、あるいは長く続くと、患者は学校・職場に行くのがつらく、少しでも楽になりたいと思い、将来にも自信を失って、周囲の意見を聞くゆとりもないままに退学届・辞表を出す。あるいは毎日が味気なく、生きていてもつまらない、死んだ方が増しだ、死んだ方がよい、死にたいと気持ち(自殺念慮)が進んで、一日中死ぬ方法ばかり考え、ついにはそれを実行することがある(自殺企図)。特に早期及び回復期には、その危険が大きい。

そうした精神症状に関して、注意すべき点が2つあり、それは、<1>うつ病者がいかにも憂うつな表情で、口数の少なく、うなだれているというのはかなり重症のうつ病の場合のみで、絶対多数を占める軽症うつ病者は、苦痛に堪えながらも相手に気取られぬように努力して、なめらかに話し、にこやかに笑顔を浮かべて応対すること(そのため、家族、同僚、診察者も、本人がそれほど苦しんでいるとは思わず、突然の退学届・辞表・自殺企図に周囲が驚く元になるという。)と、<2>うつ病者は、自分は取り柄のない怠け者で皆に迷惑をかけているというとき、実際には優れた能力を持ち、勤勉で、皆の尊敬を集めているということを言葉を尽くして説明しても容易に納得しないこと、すなわち、うつ病者は原則として病識を持たないことであるとしている。

ウ ミサト協立病院天笠崇副院長(精神科医)は、うつ病の極期には何のできない状態になるが、初期や軽症であれば、一見通常の仕事をこなすことができ、会社に出勤しているからといってうつ病ではないとはいえないとしている。

エ 日本産業精神保健学会編「職場におけるメンタルヘルス対策」(甲190)には、「自殺のリスクファクターが高い者や、性格的に追い込まれやすい労働者が自殺について頻回に考えるようになり、実際に自殺を準備するようになると、周囲の者から見ても「自殺サイン」と呼ばれる危険徴候が観察されることが多い。たとえば、自殺をほのめかす言動(消えてなくなりたい、遠くに行きたい)、身辺の整理(持物を処分したり、大切なものを他人に渡す)、身なりの変化(身なりや清潔にかまわなくなる)、態度の変化(落着きがない、投げやり)、性格の変化(話し方や表情が変わる)、業務態度の変化(業績が落ちる、突然の欠勤)、家出、失踪などがみられる。」との記載がある。

オ 笠原嘉著「軽症うつ病―「ゆううつ」の精神病理」(甲191)には、「サラリーマンの場合、うつ病が無断欠勤のかたちで始まることがあります。それまであまり欠勤しなかった人が急に欠勤しだします。そういう場合、会って聞いてみると、既に何ヵ月かうつ病の症状(「ゆううつ気分」と「不安感」と「おっくう感」)に苦しんでいたが、助けを求める決断ができないまま日を過ごし、とうとう我慢ができず無断欠勤してしまった、といいます。なかには単なる欠勤でなく失踪のかたちをとることもあります。こういうときの失踪は短く、長くても数日で終わります。」との記載がある。

(10)ア 日本産業衛生学会交代勤務委員会が3年間の研究討議の上で昭和53年5月に発表した「夜勤・交代制勤務に関する意見書」(甲84)は、夜勤・交替制勤務によって単に生活周期の混乱が起こるにとどまらず、従事労働者の健康にまで有害な影響の及ぶことは、同委員会による健康調査結果や内外の夜勤・交代勤務者の安全衛生に関する近年の諸文献によって明らかであり、夜業若しくは交替制の導入は社会的に必要な最小限度にとどめるべきだと考えられるが、やむを得ず夜勤・交替制勤務を行わせる場合は、その労働者の健康と生活について十分な対策が講じられなければならないとした上で、交替制勤務実施上の労働衛生学的問題として、次のような諸点を留意すべきであるとしている。

(ア) 交替勤務の有害な影響は各種の健康障害の発生となって現れるに至る。交替勤務に伴う健康障害としては、消化器疾患が顕著であるほか、呼吸器疾患、腰痛等の運動器の疾患及び各種の神経系症状の進展などがあり、さらに、一般的健康状態の低下、過労による疾患の誘発などを挙げることができる。また、常日勤務者と交替勤務者の比較には、その労働・生活条件差の検討が必要である点や、交替勤務離脱者を調べると健康障害の比率が特に高いという指摘に留意すべきである。

 夜勤、交替勤務が神経症の発症に関連することが報告されており、睡眠障害や各種の慢性疲労症状の有症率が夜勤期間や交替勤務者において著しく高まる事実も、神経症を含む各種の中枢神経症状の進展が起こり得ることを示唆している。夜業あるいは勤務の交替がこれらの健康障害をもたらす第1の原因として、生体リズムの乱れに伴う疲労と睡眠不足あるいは栄養摂取の不整等による病気への抵抗性の減弱が考えられるが、それと並んで第2に、自律神経系機能失調若しくは精神身体医学的要因などによる直接の発症機転が重視される。

(イ) 夜勤・交替勤務の従事者には、日常的に諸生理機能の乱れが反復されることが大きな特徴であって、これは、夜業昼眠生活に対する生体リズムの位相逆転が完全には成立しない事実に基づく。このため、深夜ないし早朝を含む勤務期にこの生理機能の乱れが集中的に増大する。この混乱が夜業への移行後数日ないし1週間にわたって特に著しいことと、第2週以降も夜業を継続する限りこの混乱が収まらないこととが共に注目される。その影響は、体温や各種自律系機能の日内リズムの変調をはじめ、血液や尿の水分・電解質等の性状、ホルモン類や酵素系を含めた代謝活動などから中枢神経系機能まで全身に及ぶものである。

 夜業期間中ないしは大幅な生活時刻のずれを起こす勤務期間中は、生体リズムの作用と環境刺激とによって、睡眠が量、質共に不足したまま推移する。食事時刻等の不整もこれに関係する。昼眠が夜眠と異なるものにとどまることは、生理反応や脳波の研究から明らかにされており、夜業期を中心とした睡眠不足が交替勤務の有害な影響を更に加重することになる。

 こうした理由から夜業が反生理的であるとする見方が成り立つのであって、日常的に夜勤期ごとに生活リズムの位相の調整不良が反復されることが結局は健康障害の原因となると考えられる。この意味で、交替勤務が生理的適応の範囲内にあるとする見解や、昼眠を含めた合計睡眠時間の見掛けの長さが十分あれば交替勤務負荷を相殺できるとする見解は妥当ではない。これに対して、夜業を1日にとどめる場合には、生活時刻の位相ずれによる混乱が実質的に少ないうちに正常の昼業夜眠に復帰し得ることが知られている。

(ウ) 夜勤・交替勤務者の被る家庭生活・社会生活上の不利益は極めて深刻なものがあり、家族構成員にも波及し、社会心理学的影響も著しい。

イ 文献(「勤務時間制・交代制」[甲51])によれば、夜勤・昼夜交替勤務によって労働者に及ぶ影響について、少なくとも、<1>生理的なリズムの乱れ、<2>疲労・健康低下、<3>家庭・社会生活の阻害の3つの影響をまとめて取り上げることが重要であるとされ、これをもう少し具体的に主だった影響を挙げると次のとおりであるとされている。

(ア) 人間には約24時間の生理的な昼夜リズム(概日リズム・サーカディアンリズム)があり、夜間は休息(睡眠)期に当たる。夜寝ないで働けば生理機能の大きな低下に抗していかなければならず、生理リズムは乱れる。当然体調不良の原因となる。

(イ) 徹夜で働けば、昼間寝ることになる。しかし、生理リズムの上からは既に活動期に当たる。昼間寝難いのは睡眠環境が悪い(うるさい、明るい、暑いなど)ことと併せて、この生理リズムのせいである。最近の睡眠波研究によっても、昼間では寝付くまでに時間(入眠潜時)を要したり、深い眠り(徐波睡眠)が出難かったり、途中覚せいが多いなど、夜間睡眠と比べて睡眠の質が悪いことが分かってきた。また、昼眠は持続時間も短い。つまり、夜勤者の睡眠は質、量共に不足がちとなる。昼眠だけでは夜勤疲労の回復は不十分に終わる。

(ウ) 大事な点は、夜勤生活を何日繰り返しても生理的な逆転(生理的な適応)は起こらないことである。夜勤を続ける限り生理的な乱れも続く。つまり、夜勤慣れは成立しないのである。

(エ) 夜勤によって疲労が大きく進み、その後の疲労回復が不十分に終わる。こんな状態を繰り返せば、容易に慢性疲労に陥る。夜勤者の体はいつもだるく疲れており、また、彼らの生活は休息・睡眠を優先したものにならざるを得ない。

(オ) 疲労が慢性化すれば、病気に対する抵抗性も悪くなるから、多様な疾病が交替勤務者に起こる。事実、夜勤者に免疫機能の低下を認めたとの報告もある。全般的な健康低下や活力低下のほか、女性では妊娠・出産機能の低下が懸念される。風邪を引きやすかったり、治り難いという訴えもよく聞く。また、夜勤者の胃腸障害はよく知られている。このほか、夜勤・交替勤務に伴う過労によって、他の疾病を誘発したり、憎悪させる危険が指摘されている。

(カ) 夜勤生活を送れば、本来の生活リズムから大きく逸脱する。この通常生活からのズレのために、交替勤務者本人は、家族とのすれ違いなど、家庭・社会生活上、不利な影響を受ける。

(キ) 夜勤・交替勤務者の場合、仕事以外の付き合いやつながりが薄くなりがちとなり、社会的に孤立化する。近所付き合いや地域生活は疎遠となり、社会参加もままならない。交替勤務者は自由時間を持っているようにもみえるが、実際はうまく使えていないようである。それは一般の社会生活との時間ズレのためにしたくともできない構造と、体に慢性疲労があってやろうとしてやりきれない構造があるから、この両面をみなくてはならない。

ウ 産業医科大学による平成10年度労働省委託研究報告書「深夜業の健康影響に関する調査研究」(甲70)によると、企業における深夜・交替制勤務従事者に関する産業医アンケートの結果、疾病を理由とする配置転換事例のうち、最多は精神神経疾患を理由とするもの(21.3%)であり、深夜・交替制勤務と精神神経疾患との関係が示唆されたとしている。

また、精神神経疾患による配置転換事例を多く報告した事業場は、クリーンルーム作業が主であり、ウェアの不便さ、立ち作業の多さ、閉鎖圧迫感等のクリーンルーム特有のストレッサーにより、ストレス反応を引き起こしやすいという報告も散見されるところ、この調査研究において報告された精神神経疾患事例の中にもストレス反応による事例も多く、クリーンルーム作業との関連も考えられたと指摘されている。

 また、中央労働災害防止協会調査研究委員会が平成2年9月にした報告書「クリーンルームの安全衛生管理」(甲113)には、次のような指摘がある。すなわち、クリーンルーム作業は一般の作業環境からは隔絶された特殊な労働環境下に置かれ、室内作業者には食事、休憩時、用便時等といった生活的要求に対しても、他の職場の作業者と比較すると格段に多方面の規制、制限が厳しく課せられている。そして、その多くが単独作業であったり、少数の作業者相互間には、一般的な人間関係を阻害するいくつかの要因が潜在している。クリーンルーム作業の特殊性を考えるとき、作業者個人のパーソナリティー、知能、技能を背景にして、ひとつには、作業性から来るストレスの増大、人間疎外、非恒常性、没個性化、空間制限、時間拘束といった多彩な要因があり、また、精神・身体的側面としては、過緊張、仍圧感、孤独、不安、情緒不安定、行動抑制、強迫観念といった自律神経系への影響を含めた精神活動面への複雑な影響が顕在化する可能性があり、クリーンルーム作業者は、必然的に一般作業者とは異質な作業環境、作業形態、作業体制、職場人間関係等の条件に置かれ、特異的な精神・心理状態を余儀なくされやすい。
 さらに、クリーンルーム内のイエローランプについて、非常に輝度が高く、その環境下で作業を続けると、輝度による色順応や眼精疲労を引き起こし、これが遠因となって肩こりや精神的ストレスが起こることが考えられるという内容の日本産業衛生学会での報告(甲81)がある。

エ 福島県立医科大学衛生学・予防医学講座金子信也らが発表した論文「工場労働者の精神状態に対する交替制勤務の影響」(甲188)によれば、軽症うつ病発見のための自己試入式調査票を用いて工場労働者の精神状態に対する交替制勤務の影響を調査した結果、男性におけるうつ傾向得点は、交替制勤務に従事するグループの方が通常の昼間勤務に従事するグループよりも高く、技能職に関しては、2日連続の交替制勤務に従事する男性労働者のうつ傾向得点が通常の昼間勤務に従事する男性労働者のそれよりも高かったという。


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