『控訴審・判決全文』 |
―判決(150頁・後7行〜160頁)― |
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(4) ところで、前示のとおり労働者派遣法が何人も適用対象業務以外の業務について労働者派遣事業を行ってはならず(4条3項)、労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を適用対象業務以外の業務に従事させてはならないとしている(同条4項)ことについて、次のようにいうことができる。すなわち、従来、職業安定法は、何人も、労働組合等が労働大臣の許可を受けて行う場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならないとし(同法44条)、 この「労働者供給事業」を供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させる事業と定義して(昭和60年法律第89号による改正前の職業安定法5条6号参照)、同事業を行うこと及びこれを行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させること(以下「労働者供給事業等」という。)について一部の例外を除き一律に禁止していたところ、労働者派遣法の制定に当たり、労働者派遣に該当する場合については職業安定法による禁止の対象から外すとともに(昭和60年法律第89号により職業安定法5条6号が改正され、「労働者供給」の定義から労働者派遣法2条1号に規定する労働者派遣に該当するものが除外された。)、 労働者派遣法において、労働者派遣事業を行うこと及びこれを行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者がその指揮命令の下に派遣労働者をその業務に従事させること(以下「労働者派遣等」という。」を改めて禁止の対象とし、ただし、適用対象業務についてする場合にはこの禁止を解除するとともに、これを労働者派遣法の定める事業の許可等の規制に係らしめ、その規制を受ける場合について派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置を講ずることとした上で、労働者派遣事業をすることができることとしたものである。 従来の職業安定法が労働者供給事業等を例外を除いて一律に禁止していたのは、憲法18条や27条1項及び2項、労働基準法1条1項、5条等の規定を前提として、供給契約に基づき労働者を他人の指揮命令を受ける労働に従事させ、また、これによって供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる場合、その過程で中間さく取が行われ、かつ、劣悪な労働条件の下に過酷な労働が強制されるなど労働者に不当な圧迫が加えられるおそれがあるためであると解される。そして、労働者派遣法は、職業安定法制定時と比べて労働力の需要と供給において変化が生じたことを前提に、労働力の需給の適正な調整に資しかつ派遣労働者の保護と雇用の安定を図り得ると認められる限りにおいて、労働者派遣等に関して従来の職業安定法によってされていた禁止の一部を解除したものと解され、その場合を除いてこの禁止がなお維持されたのは、従来の職業安定法が労働者供給事業等を禁止したのと同趣旨に出たものと考えられる。 すなわち、職業安定法44条の規定は、憲法が何人もその意に反する苦役に服させられないとし(18条)、また、すべて国民は勤労の権利を有し、賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は法律でこれを定めるとして(27条)、これを受けた労働基準法が労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならないとするとともに(1条1項)、使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって労働者の意思に反して労働を強制してはならないとしていること(5条)等を前提に、 労働者供給事業等においては、中間さく取と劣悪な労働条件の下に過酷な労働が強制されるなど労働者に不当な圧迫が加えられるおそれがあるため、その弊害を防止するという目的に基づいて一部の例外を除きこれを一般的に禁止したのである。そして、この場合、他方において、このような経済活動規制立法は経済的自由権を規制するものであって、その制定に当たりその合憲性が問題となるところ、立法府においてその立法事実(その立法目的の合理的ないしその立法の必要性を根拠付け、また、当該立法目的達成のための手段として当該規制が合理的であることを基礎付ける事実)が存することを前提としてこれを制定した以上、 当事者間においておよそ当該立法の違憲性の問題が提起されていないことも踏まえれば、憲法秩序下における立法府と裁判所の役割分担の在り方に照らして、合憲性推定の原則の下、裁判所はそうした立法府の判断を尊重すべきである(なお、これが経済的自由権に対する消極的警察的目的の規制であるにしても、同条の規制が他方において憲法18条や27条1項及び2項の規定を背景とするものであると解されることに照らせば、消極的警察的目的のための規制について最高裁昭和50年4月30日大法廷判決・民集29巻4号572頁において示された法理を適用するのが適切な事案であると即断することはできないと解される。)。 すると、立法の目的を根拠付ける立法事案(禁止の対象とされた労働者供給事業等が行われる場合、中間さく取と劣悪な労働条件の下に過酷な労働が強制されるなど労働者に不当な圧迫が加えられるおそれがあること)の存在が推定され、この理は上記労働者派遣法下においても当てはまるというべきである。こうした労働者派遣等においては、派遣元が労働者を雇用して、派遣元に派遣してその指揮命令下に置いて業務に従事させるが、派遣労働者は派遣先との間に直接契約関係を有しないという仕組みである上、同法の定める許可等の規制を受けることなどもないため、派遣労働者は不安定な立場に置かれやすく、他方、派遣先が労働者を自ら雇用する場合と比べて、就労環境等に意を用いないことなどのため、中間さく取と劣悪な労働条件の下に過酷な労働が強制されるなど労働者に不当な圧迫が加えられるおそれが類型的に高いものと考えられる。 (5) このことに加え、交替制勤務によりクリーンルーム作業に従事する労働者が使用者側が用意した寮に単身で居住している場合、当該労働者の生活の大部分はそのような形で労働者を使用する者によっていわば抱え込まれているのであって、その健康状態を含めた生活の状況等の全般を外部者が把握することはその外部者が当該労働者の近親者である場合を含めて容易ではないのが通常であり、他方、その生活の大部分を抱え込んだ使用者がこれを把握することは比較的容易であることは既に説示したとおりであり、中でも、交替制勤務の下閉所内のクリーンルーム作業において当該労働者がどのような労働環境の下でいついかなる業務をどのように遂行したか等を個別具体的に外部者自らが明らかにすることはほとんど不可能に等しい一方、その業務を管理監督する使用者がこれをするのに特段の困難はないというべきである。 そうだとすると、そうした労働者に関する労働災害に関する損害賠償請求訴訟において、当該労働者のうつ病の発症がその業務に起因するか否かが問題となった場合、主張立証責任の分配上は外部者たる原告がこれを主張立証すべきであると解されるものの、上記のような場合においては、原告側は、その業務に起因してうつ病が発症したことについて相当な疑いがあることを合理的根拠をもって提示すれば足り、その場合、うつ病の発症は就業前のことであるとか、他に有力な原因があるとか、業務が発症の有力な原因とはなり得ないことであるとかいったことを示して、うつ病発症がその業務に起因するものとはいえないことを使用者たる被告の側で明らかにしない限り、そのうつ病の発症が業務に起因するものであることが推認されるとするのが訴訟上の信義則にかない、公平であるというべきである。 本件の場合、一審被告アテストが入寮制の前提で勇士と雇用契約を結んでこれを雇用し、その用意した寮に勇士を居住させた上で交替制勤務があり得るとの前提で一審被告ニコンの指揮命令の下で就労させ、また、一審被告ニコンが一審被告アテストとの契約に基づき勇士を熊谷製作所でのクリーンルーム作業に従事させ、平成9年12月15日以降は交替制勤務のシフトに組み込んだこと、勇士がその後平成11年2月下旬まで基本的にそうした形態によって一審被告ニコンの指揮命令の下に就労したことは既に説示したとおりである。 そして、勇士を一審被告アテストが一審被告ニコンに派遣して、一審被告ニコンがその指揮命令の下で熊谷製作所における業務に従事させたことは、労働者派遣法によって禁止された労働者供給事業等に当たり、この場合、中間さく取が行われるとともに、劣悪な労働条件の下に過酷な労働が強制されるなど労働者に不当な圧迫が加えられるおそれが類型的に高い場合(上記認定事実によれば、過重な業務により強い心理的負荷を受けることによってうつ病を発症する危険があることが明らかであって、また、劣悪な労働条件の下に過酷な労働が強制されるなど労働者に不利な圧迫が加えられれば労働者が強い心理的負荷を受けるおそれがあることは改めて指摘するまでもないことである。)に当たる上、 加えて、実労働時間を確定することはできないものの、勇士が本件週報に記載された時間を超えて業務に従事したことは明らかである上、休憩時間に業務に従事したり相当期間にわたり終業後や休日を業務に割いたりした疑いがぬぐえないこと、勇士がその意向にかかわらず、一審被告ニコンの業務遂行上の都合から重点的に、シフト変更を命じられ、また、本来業務ではない業務での出張までを命じられて、相当な心理的負荷を継続的に受けていた疑いがあること、一般検査の担当であった勇士がその意向にかかわらず一審被告ニコンの業務遂行上の都合から、一般検査の仕事との兼務で経験のない者には本来こなせないとされるソフト検査を担当させられ、そうして勇士が本来業務(一般検査)とそれ以外の業務(ソフト検査)とに兼務で従事したことによって、心理的負荷を蓄積させた疑いが極めて強いことも既に説示したとおりである。これらによれば、勇士にその業務による過重な心理的負荷等によってうつ病が発症したことについて合理的な根拠に基づく相当な疑いがあることは明らかである。 そうすると、勇士の使用者たる一審被告らは、勇士のうつ病発症が就業前のことであるとか、他に有力な原因があるとか、業務が発症の有力な原因とはなり得ないことであるとかといったことを示して、うつ病発症がその業務に起因するものとはいえないことを明らかにしない限り、そのうつ病発症が業務に起因するものであることが推認されるというべきである。 (6) そこで、次に、勇士のうつ病発症はその業務以外に起因するものであるなどとして一審被告らが争っている点について検討する。 ア まず、HS.Tの意見書(乙106)には、勇士が一審被告ニコンの指揮命令下に就労する以前から気分変調症を発症していたとの記載がある。しかし、この意見書は勇士を直接診断した結果によるものではなく、その判断の前提事実は多分に推察に基づくものであることがその記載内容自体から明らかであるところ、これが正確であると確認することができず、また、その判断に至る経過も必ずしも合理的なものとも認められないから(例えば、勇士が大学を退学した点を不合理な行動であるとしているが、上記認定事実によれば、勇士はなお1年半の期間の学業を継続しなければ大学を卒業することができなかった可能性が高いのであって、その場合に大学を退学したことをもってその行動が直ちに不合理とはいえない。)、 勇士が以前から気分変調症を発症していたとは認められない。かえって、上記認定事実によれば、一審被告ニコンが勇士と面接をした上でその指揮命令下に置いている上、平成9年12月6日の健康診断では勇士に特段の以上は認められなかったことにかんがみれば、勇士が以前からうつ病を発症していたということはできない(HS.Tの陳述書[乙73]には、会社が実施する健康診断は精神疾患の有無を判断する診察行為とは目的が異なる旨の記載があるが、これによっても、医師が特段の異常なしと認めたことが当該健康診断以前の精神疾患発症を認定する上での障害となる事実であることは否定できない。)。 イ また、一審被告ニコンは、<1>両親の離婚に端を発して勇士の性格が一部の者としか話をしない、同僚等が話し掛けても大した答が返ってこないため話が続かない、同僚から何かを誘われても応じようとしないという態度を取り、まるで中学時代とは別人のように極めて消極的・内向的で、精神的にぜい弱なものとなっていた一方、<2>まじめで上昇志向の強い性格はそのまま維持され、勇士が自らに厳しい日課を課し、国家資格を目指して勉学に励むために睡眠時間を削り、次第に理想としていた睡眠時間数と勉強・肉体鍛錬に費やす時間を確保することが困難となって、睡眠不足等に陥り、他方、<3>学資を貯めるために就職したのであり、また、お金への執着が非常に強く、お金を見て喜ぶという特殊な感性を有していたところ、爪に火をともすようにして貯蓄した学資の半額にも相当する大金を一審原告らに貸さざるを得なくなって精神状況に大きな影響を受けたなどとして (HS.Tの陳述書[乙67、122]及び意見書[乙106]、TM.Tの意見書[乙107]並びに当審証人TMの供述中にはこれらの主張に沿うと解し得る部分がある。)、勇士が睡眠不足は勇士自らが選んで実践した結果で業務には関係なく、勇士の健康悪化は勇士が自ら選択した生活設計に起因するものであると主張しており、他方、一審被告アテストは、勇士の自殺は、<4>生活苦又は借金苦のために大学を卒業間際で中退せざるを得ず、一審被告アテスト就職後も一審原告への仕送りのために預金もままならず、生活費を切り詰めてようやく預金を作ることができるようになってきたら、今度はその預金を一審原告や揚一に無心あるいは召し上げられるに至った勇士が将来に絶望し、また、<5>第二種電気主任技術者試験という難関試験の受験勉強によるストレスが勇士にとって相当程度の心理的負荷となるという私的な事情によるものであり、業務とうつ病との間には因果関係は存しないなどと主張している。 この点、上記認定事実に加え、証拠(甲73、132の1、原審証人KK、当審証人HI、原審一審原告本人)によれば、勇士の両親が勇士の中学3年生のときに離婚し、その問題で勇士が悩み顔を見せていたことがうかがわれること、その背景にHIのギャンブルや借金の問題があったこと、勇士が中学時代には様々な分野でリーダーとして活躍し、また、中学校及び高等専門学校において優秀な成績を修め、大学でも取得単位数の3分の2が優であったこと、大学4年次中途で退学したこと(もっとも卒業するにはもう1学年が必要であった可能性が高い。)、勇士が非常にまじめで責任をもって仕事をする人物であったこと、第二種電気主任技術者試験の受験を考えていたことが認められる。 しかし、勇士が熊谷製作所で就労する時点で周囲の人とのかかわりにおいて非常に消極的・内向的な性格であったとまで認めるに足りる証拠はないし(OWの陳述書[乙55]には勇士の性格について、明るい方ではなく、自分から離し掛けることはしなかったと思う、友達付き合いをしないようにしているという話も聞いたことがあるとの記載部分が、MTの陳述書[乙65]には勇士がおとなしく、自分から積極的に周りの者に離し掛けてくるタイプではないとSTとKKから説明を受けたとの記載部分が、NK.Mの陳述書[乙79]には勇士が自分から話をするということがなく、仕事以外でふだんしていることについて聞いても「特にない」という答えが返ってくるのみで、会話が続かなかったとの記載部分が、HG.Kの陳述書[乙81]には勇士がとにかくおとなしい人で周りの同僚とも仕事以外のコミュニケーションを取ることもなく、冗談もいわず、取っつきにくい人であったとの記載部分が、 HR.Iの陳述書[乙87]には勇士が積極的に話し掛けてくる感じではなく、どちらかというと無口の方であったとの記載部分が、SM.Kの陳述書[乙98]には会社外の交流については、勇士が積極的に交流を求めるでもなく、逆に誘っても付き合ってくれることもなく、皆無であったとの記載部分がある。しかし、そもそもOWの陳述及び原審供述は勇士の個人的事情や私的生活に関係する部分については到底採用できないことは既に説示したとおりである上、原審証人OWが上記陳述とは必ずしも沿わない内容の供述[勇士が物静かですごくまじめであり、仕事をこつことやるタイプであった、集団行動が苦手なのかなと見受けられたが、それ以上には特になく、勇士は信頼できる人であったというもの]をしていることに照らして、OWの陳述書の上記記載部分は採用できない。 また、MTの上記陳述は伝聞であるところ、その原陳述者のひとりとされる原審証人KKは、勇士の性格について体調が悪ければ体調が悪いときちんと話せる人物であったと思うという以上には何らの供述もしていないのであって、結局のところ上記陳述の正確性を確認することができないし、NK.Mの上記陳述は台湾出張の際に勇士と1度だけ会った際のことにすぎず、また、陳述のような経過があったとしても具体的にどのような状況でのことなのか等詳細は全く明らかでない。HG.Kの上記陳述は勇士がソフト検査に従事した期間に関するものであるが、HG.Kがその際に性格を云々できるほど勇士と接触を持ったことは確認できないし[その陳述書には、当時、HG.Kは勇士が担当したものとは別の主力生産号機のソフト検査の対応に追われていた旨の記載があり、また、同陳述書によれば、勇士との中心的な接点はメールで報告を受けることであったことがうかがえる。]、 HR.Iの上記陳述は平成9年10月終わりから同年12月にかけて行われたという職場導入研修の際のことであるが、同人の陳述は全般的にあいまいで[はずであるとか、であったと思うとかの記載が随所にある。]、どの程度信用できるものであるか不明であり、また、SM.Kの上記陳述は全般的に抽象的であって[例えば、どのような状況でどのようなことを誘ったというのか明らかではない。]、これをもって直ちに勇士の性格がどのようであったかを認めることは困難である。他方、証拠[乙76、77、88]によれば、IK.Yと勇士は、平成9年11月ころの1か月間一緒に職場導入研修を受けて知り合い、アメリカやアメリカ留学のこと等を話し、勇士もIK.Yに対し、東京都立大学を退学した事情や生活のこと、友人がいることなどを語ったこと、平成10年2月ころ、渡米するに当たりIK.Yが勇士に対し、勇士が渡米した場合にIK.Yと連絡が取れるよう同人の実家の連絡先を教えたこと、 勇士は、YG.Kとも同じ研修の際に知り合い、同人から留学体験を2回ほど聞いたことがあること、勇士が平成10年3月の台湾出張の際、出張期間の後半にビザの関係でいったん台湾の域外に出る必要が生じて沖縄に渡航したところ、勇士は、これに同行したIR.Kと行動を共にして沖縄で買い物をしたり観光をしたりしており、また、その際に示された勇士の態度に特筆されるような点はうかがえず、勇士がIR.Kと通常の会話をしたことがそれぞれ認められる。これらにかんがみれば、勇士が周囲の人とのかかわりにおいて非常に消極的・内向的であったとはにわかに認められない。)、 そもそも勇士の中学時代の性格について、まじめで努力家であると評され、様々な分野でリーダーとして活躍したことから、直ちに能弁であったとか短期間に多くの人と交友関係を作り上げるタイプであったとかまでを認めることは困難であるというべきであって、他に証拠もない以上、勇士の性格が熊谷製作所で就労するまでに周囲の人とのかかわりにおいて非常に消極的・内向的な性格に変容していたと認めることはできない(そうすると、この点を判断の重要な前提とするHS.Tの陳述書及び意見書、TM.Tの意見書並びに当審証人TMの供述中の上記部分はいずれも採用することができない。)。また、勇士が受験勉強や肉体の鍛錬のために費やした時間がどの程度であるかを具体的に認定できる証拠もない(なお、メモ[甲33]が勇士の作成によるものであるとしても、その記載のとおりの生活を勇士が実践したことの証拠はない。)。さらに、一審原告及び揚一が勇士から金員を無心あるいは召し上げたと認めることができないことは既に説示したとおりである。 |
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