『控訴審・判決全文』


―判決(160頁・後6行〜170頁)―


そして、勇士が平成11年度の第二種電気主任技術者試験を受験する予定をしていたとしても、必ずこれに合格しなければならないとする切羽詰まった事情があったとまではいえない上、前提事実として認めた高等専門学校や大学時代の勇士の成績に照らして、この受験あるいはそのための受験勉強をすることにかかわる心理的負荷がうつ病を発症させるに足りるほどのものであったとまで認めるべき証拠はない(同試験の受験者や合格者の状況を示した表[丙36]によれば、同試験の合格率は必ずしも高いものとはいえないが、他方、証拠[甲68、乙118]によれば、指定された授業科目の単位を修得して東京都立大学工学部電気工学科を卒業した者は一定の実務経験を経て電気主任技術者免状の交付を受けることが可能であるところ、

当該単位の相当程度を勇士が修得済みであると認められることに照らして、合格率が低いことのみから直ちにこの受験勉強等がうつ病を発症させるほどの心理的負荷をもたらすものであったと認めることはできない。)。これらによれば、結局のところ、勇士のうつ病発症が勇士が自ら選択した生活設計に起因するものであるとも、私的な事情によるものであり、業務とうつ病との間には因果関係は存しないとも認めることはできないといわざるを得ず、一審被告らの上記主張はいずれも失当である。

ウ さらに、一審被告ニコンは、労働の過重性を判断するには、一定期間に集中して精神的・身体的負荷が高まることによって過重労働となったか否か、その過重性に起因して精神疾患が発症するのか否かが問われなければならず、一定期間とは、精神医学的知見に基づき妥当な評価期間として判断指針においても採用されている評価期間である精神疾患発症前の約6か月間を基準とすべきであるが、おおむね6か月間に起きた出来事による心理的負荷の総和を求め、その大きさを評価しようとするものではないとした上で、<1>勇士の自殺直前の6か月間の1か月当たりの平均合計労働時間は173時間5分、作業日1日当たりの平均労働時間は10時間5分であり、自殺直前の6か月間の勇士の休日は延べ日数90日間であり、熊谷製作所の一審被告ニコン従業員のうち通常勤務者の同期間の所定休日62日を大きく上回っており、

平成10年度の勇士の夜勤番64日中、所定外労働時間が行われたのは14日間合計19時間であり、1回当たりは1ないし1.5時間で最長でも2時間にすぎず、<2>時間外労働時間数を導くには法定労働時間数(1週40時間)を基準とすべきであり、また、問題とすべきは恒常的な長時間労働であるところ、平成11年1月から2月初旬にかけての長時間労働はわずか2週間のものであって、その前後の休日等の存在を考慮すれば、その直後に精神疾患を発症するということは経験則上認めることができず、<3>熊谷製作所の交替制勤務は、サーカディアンリズムの乱れをできるだけ抑制し勤務者への負担をできるだけ軽減した夜勤頻度が非常に少ないものであり、

また、勇士の勤務シフトは夜勤から日勤にたびたび変更されていることにより更に夜勤頻度は減っており、<4>勇士がクリーンルーム内で働くことに不平不満をいっていたことは認められないし、クリーンルーム内作業が労働者に心理的負荷等を蓄積してその心身の健康を損なう危険のある労働であるとの医学的知見はなく、<5>従事した業務の内容も定型的な検査を行うもので、命令を入力した後はデータが検出されるまでの間休憩を取ることができるなど心理的負荷をもたらすものではなかったなどとして、既に説示したとおり、労働の過重性を否定する趣旨の主張をしている。

そして、本件週報及びKKの陳述書(乙49)には<1>に沿う記載が、KZ.Oの意見書(乙99)には<2>に沿う記載が、「精機二交替制勤務について」と題する書面(乙26)、KK、HS.T、HN.M及びTH.Hの陳述書(乙49、66〜68、70、72)並びにKZ.Oの意見書(乙99)には<3>に沿う記載が、HS.Tの陳述書(乙67)には<4>に沿う記載が、KK及びOWの陳述書(乙49、54、55)には<5>に沿う記載があり、原審証人KK及び原審証人OWの供述中にはそれらと同旨の部分がある。

 また、一審被告アテストは、心理的負荷が強く関係する精神障害の場合、その精神障害発症の6か月前からの出来事が調査されるのが一般的であるとした上で、<1>交替制勤務は、平成9年12月5日から開始しており、交替制勤務による一定の心理的負担があったとしても、これを精神障害の発症に係る心理的負担とするのは時期的にみて明らかに失当であるし、<2>クリーンルーム作業は
同年10月27日から開始しており、交替制勤務と同様、これを精神障害の発症するおそれのある心理的負担として論じるのは筋違いであるし、クリーンルームが劣悪な環境であるとはいえず、<3>平成11年1月24日から同年2月7日までのソフト検査実習は、一般検査時にしていたのと同様のデータ収集作業であり、仕事内容の変化はほとんどないものであり、その前に6日間連続の休日が、同年1月は全体で15日間の休日が存在しており、同月の時間外労働及び休日労働(77時間)は、精神障害を発症するおそれのある心理的負担とは到底いえないなどと、既に摘示したような主張をしており、

KKの陳述書には<3>に沿う記載が、OWの陳述書(乙49、55)には<2>及び<3>に沿う記載がそれぞれあり、原審証人KK及び原審証人OWはそれらと同旨の供述をしている。
  しかし、一審被告ニコンがその主張のよりどころとする判断指針の策定にかかわった元東京大学教授原田憲一医師は、判断指針の考え方を説明した論文[甲183]の中で「発病前どれ位まで遡ってストレスを取り上げるかについて、明確な決まりはないが、6ヵ月から1年間を問題にするのが普通である。この際も、出来事的ストレスが何ヵ月前、何年前にあったかよりも、その後そのために生じた持続的、慢性的なストレスの方が精神への侵襲としては問題になる。」としており、実際にも、労災と認定された自殺事例を対象とした調査の結果、出来事から発病までの期間が7か月以上の事例が調査対象の16%を占めた[うち6%は1年以上]とする研究結果があることは既に説示したとおりであるから、

判断指針の「おおむね6か月」とは、6か月から1年程度といった期間をゆるく想定しているにすぎないと解するのが妥当であるし、そもそも判断指針自体は公的保障制度である労働者災害補償保険の給付の請求に対する行政庁の審査基準であるから客観的評価基準となるのは致し方ないが、認定実務の運用は個別性を考慮した修正を加えて医学的妥当性を図っていること(甲121、丙21)にかんがみれば、判断指針の機械的当てはめは妥当でないのであり、これらによれば、一審被告ニコンが労働の過重性判断に関し前提として主張するところが交替制勤務による疲労や精神的負荷等の評価期間も6か月とすべきであるとの趣旨としても、その主張は、特定の出来事の過重性に重点を置くべきであるとする点を含めて失当といわざるを得ない。

また、交替制勤務による影響の点については、夜勤慣れは成立せず、夜勤を継続する限り生体リズムの混乱が収まらないことは相当以前からの知見で、交替制勤務が生理的適応の範囲内にあるとする見解や昼眠を含めた合計睡眠時間の見掛けの長さが十分あれば交替制勤務負荷を相殺できるとする見解は妥当ではないとされており、また、交替制勤務に従事した年数がうつ病発症の危険率を高めることは明らかとする研究があることは既に説示したとおりであることに照らせば、その影響を特定の期間に限定して評価することに合理性を認めるのは困難であって、一審被告ニコンの主張がこのことをいうものであるとしてもそれは失当であるといわざるを得ない。

さらに、心理的負荷が強く関係する精神障害の場合、その精神障害発症の6か月前からの出来事が調査されるのが一般的であるという前提に立ち、勇士の交替制勤務は平成9年12月5日から開始しているという点でこれを精神障害の発症に係る心理的負荷とするのは時期的にみて明らかに失当という一審被告アテストの<1>の主張は、以上に説示したところに照らして精神障害発症の原因がその発症の6か月以内の出来事に限られるとはいえないことの一事にかんがみても、明らかに失当である。

 また、以上に説示したところから勇士の自殺直前6か月の平均労働時間等に関する一審被告ニコンの<1>の主張は失当であることが明らかであるといわざるを得ないし(これに沿うとして掲示した上記証拠は採用できない。)、<2>のうち問題となるのは恒常的な長時間労働であり、2週間の長時間労働程度は問題にならないとする主張に合理的根拠があると認めるに足りる証拠はない(むしろ、上記認定事実によれば長時間労働が問題となる労災自殺事案で出来事から自殺に至るまで1か月以内のものが相当程度あることが認められることに照らせば、この主張に合理的根拠はない可能性が高い。)。

 さらに、一審被告ニコンの<3>の主張のうち勤務シフトの変更はこれにより夜勤頻度が減っていたから問題ないとする点は、既に説示したとおり、勇士がその意向にかかわらず、一審被告ニコンの業務遂行上の都合からシフト変更を多数回にわたり命じられ、継続的に相当な心理的負荷を受けていた可能性があることに照らし、到底問題ないなどとはいえず失当であるといわざるを得ないし、熊谷製作所の交替制勤務がサーカディアンリズムの乱れをできるだけ抑制し勤務者への負担をできるだけ軽減した夜勤頻度が非常に少ないものであるとする点は、そうとしても、既に認定した交替制勤務に関する種々の知見に照らし、

熊谷製作所で一審被告ニコンが実施していた交替制勤務に問題がないということはできない(上記認定事実によれば、交替制勤務が家庭・社会生活の阻害をもたらす危険があるほか、人間が本来持つ生理的なリズム[概日リズム・サーカディアンリズム]の乱れをもたらし、労働者の慢性疲労や健康低下を来すおそれが強いものであることが相当以前から知られていたことである上、深夜・交替制勤務と精神神経疾患との関係が示唆されたとする研究や慢性的な不眠症はうつ病のリスクファクターとなることを指摘する研究、交替制勤務に伴う睡眠障害や睡眠不足がうつ病の直接のリスクとなり得る可能性が高いことを示す研究も報告されており、また、交替制勤務が不眠症を引き起こし、

その不眠症がうつ状態を引き起こすという考え方を提示する研究発表も存することが認められるところであり、これらの研究が妥当ではないことを示す証拠は見当たらない。他方、一審被告ニコンの<3>の主張に沿うものとして掲示した上記証拠のうち、HS.Tの陳述書は、客観的な研究結果等の根拠を示すことをしないまま、この交替制勤務における夜勤明けの休日設定が夜勤によってずれてしまったサーカディアンリズムを修正するのに十分な長さであると評価できるなどとするものであって、容易には採用できないし、この陳述書以外は、熊谷製作所の交替制勤務が労働安全衛生上の観点からおよそ問題がないことの根拠を提示するものではなく、他にこれを認めるに足りる証拠はない。)。

その上、これまでに認定した事実によれば、平成10年12月15日以降、勇士は、一審被告ニコンが世間動向及び専門文献等を十分調査・検討した上で、一審被告ニコンの労働組合との協議を経て、また、日本電機工業会、通信工業連盟及び電機連合の三者による企画委員会が電機製造業の交替制勤務について策定したガイドラインについて十分配慮の上で導入したとする交替制勤務の所定労働時間を相当程度超過して業務に従事していたことが明らかである(本件週報の記載を前提とした上記認定事実における拘束時間によっても、平成10年中に勇士が夜勤をした回数は65回[同年7月以降で25回]、延べの拘束時間は773時間52分[同月以降で298時間4分]であり、1回当たりの所定の拘束時間を11時間としてこれからの超過時間を算出すると、平成10年中で58時間52分[同年7月以降で23時間4分]、1回当たりの超過時間の平均は54.3分[同年7月以降で55.4分]である。

なお、HS.Tの陳述書[乙67]には勇士の従事した残業等による健康への悪影響はなかったなどとする記載部分があるが、これまでに説示したところに照らしてその判断の前提とした勇士の労働時間の点に誤りがあるといわざるを得ないことの一事をもってしても容易には採用することができない。また、「勤務時間割・交代制」[乙29]によれば、仮眠によって夜勤負担の軽減化を図ることができることが認められ、KKの陳述書[乙49]には仮眠が必要な者はクラブハウス2階の仮眠室を使用できるようになっていた旨の記載があるが、NK.Jの陳述書[乙95]によれば、仮眠室を利用した仮眠は行われていなかったことがうかがわれることにかんがみれば、仮眠によって交替制勤務による負担の軽減化が図られたとまで認めることは困難である[なお、同陳述書及びSM.Kの陳述書(乙98)には、
リフレッシュルームの長いすやクリーンルーム内の詰め所にあるいすなどで仮眠を取ったことがある旨やそうしているのを見たことがある旨の記載があるが、そのような形態の仮眠によって夜勤負担の軽減化を図ることができるとする根拠は見当たらない。]。)。

かえって、これらによれば、交替制勤務により勇士に慢性疲労が蓄積し、あるいは、これに伴い睡眠障害を来すに至るなどした疑いがあるということができ、この疑いを否定するに足りる証拠はないというべきである。
  加えて、勇士がクリーンルーム内で働くことに不平不満をいっておらず、また、クリーンルーム内作業が労働者に心理的負荷等を蓄積してその心身の健康を損なう危険のある労働であるとの医学的知見はないとの趣旨の主張(一審被告ニコンの主張<4>)やクリーンルームは劣悪な環境ではないとの趣旨の主張(一審被告アテストの主張<2>)については、次のことが指摘できる。すなわち、上記認定事実によれば、熊谷製作所でのステッパーの検査(社内検査及びソフト検査)の作業はクリーンルーム内で行われており、勇士は、平成9年10月から自殺の直前までクリーンルーム作業に従事したこと、勇士が作業に従事したクリーンルームは、クラス1000の清浄度を保つ仕組み、摩擦・しゅう動部分をできるだけ除去した機構が施された閉所で、室内の温度は23℃前後、湿度は40%台を保つようにされており、

その照明は法定の基準である300ルクス以上の400から600ルクス程度のイエローランプであって、室内にトイレ・休憩施設はなかったこと、勇士の作業していた当時、室内での手袋・マスクの着用義務はなかったが、クリーン着(防じん服)、帽子、クリーン靴の着用が義務付けられており、また、入室には数十秒エアーシャワーを浴びる必要があったことが認められる。そして、こうしたクリーンルーム作業について、特殊な労働環境でその作業者には生活的要求に対しても他の職場の作業者と比較すると格段に多方面の規制、制限が課せられ、その多くが単独作業あるいは少数の作業者による作業で、一般的な人間関係を阻害する要因が潜在しているといった特殊性があり、過緊張、仍圧感、孤独、不安、情緒不安定、行動抑制、強迫観念といった自律神経系への影響を含めた精神活動面への複雑な影響が労働者に顕在化する可能性があるといった指摘が以前からされており、

また、精神神経疾患による配置転換事例を多く報告した事業場は、クリーンルーム作業が主であり、ウェアの不便さ、立ち作業の多さ、閉鎖圧迫感等のクリーンルーム特有のストレッサーにより、ストレス反応を引き起こしやすいという報告が散見されるとした上で、それらの配置転換事例の中にストレス反応による事例も多いことから、クリーンルーム作業との関連も考えられたとする報告や、クリーンルーム内のイエローランプについて、非常に輝度が高く、その環境下で作業を続けると、輝度による色順応や眼精疲労を引き起こし、これが遠因となって肩こりや精神的ストレスが起こることが考えられるという報告もある(いずれも説示したとおりである。)。

そして、以上に説示した諸点に照らして、クリーンルーム作業が労働者に心理的負荷等を蓄積してその心身の健康を損なう危険のある労働ではないとも、クリーンルームが劣悪な環境ではないとも認められないし(以上に説示したところに照らし、クリーンルーム作業が精神の健康上およそ悪影響を与えるものではないという文脈においてHS.Tの陳述書の上記記載を採用することはできず、クリーンルーム作業によって精神がむしばまれることは考えられないし、体調がおかしくなったり体調がおかしくなったという話を聞いたりしたこともないとのOWの上記陳述及び原審供述は、そのとおりであるとしてもOWの経験をいうものにすぎないから、これをもってクリーンルームが劣悪な労働環境ではないとまではいえない。)、

勇士が不平不満を述べなかったとしても、そのことによってクリーンルーム作業によって心理的負荷等を受けなかったとは直ちにいえないから、一審被告らの上記主張はいずれも失当である(このほか、一審被告アテストは、勇士がクリーンルーム作業に従事するようになった時期の点からクリーンルーム作業が精神障害の原因となったとすることはできないとも主張しているが、そのようにいえないことは既に説示したことから明らかである。)。かえって、以上によれば、勇士は、クリーンルーム作業によるウェアの不便さ、立ち作業の多さ、閉鎖圧迫感、イエローランプ等のクリーンルーム特有のストレッサーによって、慢性的に心理的負荷等を受け続けた疑いが強いというべきである(この疑いを解消するに足りる証拠はない。)。

 加えてさらに、一審被告ニコンは、勇士が担当したとする一般検査及びソフト検査の概括的な内容を一般的、抽象的に主張するのみであって、勇士が就業した各日に従事した業務内容は個別具体的にはほとんどつまびらかにされていないから(一審被告ニコンの<5>の主張に沿うものとして掲示した上記証拠によってもこの点は変わらない。)、勇士の業務の密度やこれによる心身に対する負荷の状況を具体的に把握することはできず、勇士が従事した業務が精神障害を発症させる心理的負荷をおよそもたらすものではないとは到底認められない。そうすると、勇士が従事した業務の内容は定型的な検査を行うもので、命令を入力した後はデータが検出されるまでの間休憩を取ることができるなど心理的負荷をもたらすものではなかったとの趣旨の一審被告ニコンの<5>の主張事実を認めることは不可能であり、その主張は失当であるといわざるを得ない。

(7) 結局のところ、一審被告らの上記主張はいずれも理由があるとは認められない。むしろ、これまでに説示したところを判断指針によって示されている基準に照らして検討すると、次のようにいうことができる。

ア まず、<1>精神障害の判断について、遅くとも平成11年2月中旬ころまでには勇士のうつ病が発症していたと推認されるところ、これは、ICD-10のF3に分類される精神障害ということができる。そして、<2>業務による心理的負荷の強度の評価について、平成11年1月ころに未経験者には本来こなせないとされている動作確認や安定性確認の業務を含んだソフト検査を担当するよう勇士が命じられたことは、評価表1の出来事の類型の「<3> 仕事の量・質の変化」に該当し、「(1) 平均的な心理的負荷の強度」としてはこの出来事が「仕事内容・仕事量の大きな変化があった」場合に当たると解されるから、その心理的負荷の強度は「II」に該当すると解される。

そして、「(2) 心理的負荷の強度を修正する視点」において「業務の困難度、能力・経験と仕事内容のギャップの程度等」という着眼事項に照らして、一般検査しか経験のない勇士が1年程度の実習を経ないと一人前とはいえないソフト検査を担当させられ、しかも、ソフト検査の経験のない者にはこなすことが難しいという動作確認や安定性確認の業務までを担当したことにかんがみれば、同種の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から検討しても、心理的負荷の強度は「III」に修正するのが相当と考えられる(なお、判断指針は、出来事の発生以前から続く恒常的な長時間労働、例えば所定労働時間が午前8時から午後5時までの労働者が、深夜時間帯に及ぶような長時間の時間外労働を度々行っているような状態等が認められる場合には、それ自体で、評価表1の(2)の欄による心理的負荷の強度を修正するとしているところ、


<<前のページへ